概要
旧日本海軍が擁した駆逐艦隊のうち、綾波型のみで結成された駆逐艦隊。メンバーは朧、曙、漣、潮。
全員が特ⅡA型と呼ばれる綾波型の後期型グループであり、drew氏がイラストレーターを担当している。
入手のしやすさ(一名だけ例外)に加えて、なぜかカニと共にいる朧、しょっぱなから「クソ提督」呼ばわりするやさぐれ気味の曙、ネットスラングとレアリティ詐欺で有名な漣、装甲の厚さで有名な潮と、特徴的な娘が多いため、提督からの認知度は高い。
史実
朧、曙、漣、潮は、1931年から1932年にかけて就役した駆逐艦である。艦番号は、綾波型7番艦「朧」に始まり、8番艦「曙」、9番艦「漣」、10番艦「潮」の順番だが、就役した日を基準にすると、曙(1931年7月31日)、朧(1931年10月31日)、潮(1931年11月14日)、漣(1932年5月19日)の順番となる。
史実では、結成当初はロンドン海軍軍縮条約の影響で特型駆逐艦は三隻で駆逐隊を編成していたため、朧・曙・潮の三隻で編成されていた。
漣は特Ⅱ型の狭霧(『艦これ』未実装)、特Ⅲ型の暁と第十駆逐隊を編成していた。
1939年に駆逐隊が四隻編成に戻され、第十駆逐隊解隊に伴い漣が第七駆逐隊に加わることになる。
第七駆逐隊の面々は、一航戦・五航戦と縁が深い駆逐艦であり、太平洋戦争の開戦時には曙・潮・漣は赤城・加賀の護衛で、朧は開戦の直前に、第七駆逐隊から五航戦に移り、秋雲と共に瑞鶴・翔鶴の護衛をしていた。ノベル『一航戦、出ます!』では赤城、加賀の護衛として艦隊を編成している。
漣が図鑑内のコメントで「南雲機動部隊が真珠湾でボコボコやってる時、ミッドウェー島砲撃を敢行したよ」と語っているが、これは真珠湾攻撃の話である。
また、初の空母対空母の戦いとなった1942年5月の珊瑚海海戦では、曙・潮が五航戦の瑞鶴と翔鶴の護衛を務め、漣は祥鳳を護衛していた。
この珊瑚海海戦では、被害担当艦として退避していた翔鶴が潮でも追従が困難なほどの速度を出していたり(この時のネタは瑞鶴が主役のノベル『鶴翼の絆』でもネタにされた) 、曙がやさぐれてしまった大きな一因が、翔鶴を守り切れず中破させてしまった事などの責任を、軍の上層部が曙の船員達に全て押し付けてしまったなど、一航戦・五航戦ともかなり縁が深い。
ちなみに、朧と秋雲は、この直前の4月に五航戦から横須賀鎮守府附と第十駆逐隊へと、それぞれ異動しており、この海戦には不参加であった。珊瑚海海戦での五航戦所属の駆逐艦は、第二七駆逐隊の面々が一時的に編入されていた。
珊瑚海海戦の後、曙、漣、潮の第七駆逐隊は、第六駆逐隊や第二一駆逐隊とともに北方部隊に編入となり、アリューシャン方面の戦いを援護した。第七駆逐隊は9月には北方部隊を離れるが、10月1日に朧が北方部隊に編入され、ごく僅かの差で同じ部隊となる機会を逃す事になる。
そして、朧が北方部隊に入った直後の1942年10月17日、朧はキスカへの物資輸送中、米軍のB-26により爆撃を受け、撃沈されてしまう。こうして、太平洋戦争中は、四人姉妹で行動を共にしたことは一度もなかった。
1944年1月には、漣がアルバコアを含む米潜水艦群から攻撃を受け、撃沈される。この時、漣は曙と行動をともにしており、曙の目の前で僅か2分足らずの間に沈没している。
曙は同年11月に砲火を浴び炎上、潮による消火活動を経てマニラ湾に曳航され、沈没を避けるため擱座処分となる。この時点でどうにか生き延びた曙は修理を待つも、戦況悪化もあってそれも叶わず、そのまま終戦を迎えた(一方で、沈没したとする説もある)。
1945年1月に第六駆逐隊唯一の生き残りである響が編入される。第七駆逐隊自体は1945年4月20日に解隊となったが、響・潮は終戦時まで残存していた。また、霞も一時期所属していたものの、大和特攻に随伴して轟沈する。
なお、帝国海軍の最後の発砲は、潮から預かった連装砲を装備した響が米軍に放った最後の一撃とも言われている。
曙と漣の名を受け継いだ護衛艦
戦後、日本に残った特型駆逐艦の最後の一隻であった潮は1948年に解体された。
そしてマニラ湾で終戦を迎えた曙は後れて1955年、同じマニラ湾で大破着底した軽巡の木曾と共に現地で浮揚、その翌年に解体されたが、この2隻の解体に関わったのが、のちに海上自衛隊のむらさめ型護衛艦4代目「あけぼの」(DD-108)の建造を手掛けることになる石川島播磨重工(現・IHI)の前身のひとつ、播磨造船所である。
その曙の浮揚~解体とほぼ同じころ、沿岸護衛艦3代目「あけぼの」(DE-201)が同じIHIの前身のひとつ石川島重工で進水~竣工し、日本海軍の流れをくむ海自の黎明期を支えた。
そして時は流れて現在、海自では前述の4代目「あけぼの」と、漣の名を継いだ、たかなみ型護衛艦3代目「さざなみ」(DD-113)が現役で活躍しており、当代「あけぼの」は石川島播磨重工東京工場が建造した最後の艦でもある。また、同時に曙~あけぼのは、2代目から3代続けてIHIと縁が深い艦名ともなっていることがうかがえる。
他方、朧、潮の名を冠する護衛艦は現在に至るまでまだ一度も現れていない。
『艦隊これくしょん』における露出
漣は初期艦5名の一人であり、残り3名もサービス開始当初からいる艦娘。浅い海域からドロップするほか開発でもALL30の最低値で出るので、集めるのはたやすい(漣のみ、初期艦として選ばなかった場合、若干入手に苦労すると言われる)。
ただし、同じく初期から構成できた駆逐隊である第六駆逐隊や第八駆逐隊と比べると追加ボイスや改二の実装は遅めだった。六駆では2013年9月に早々にヴェールヌイが実装され、八駆も2013年10月~2014年1月にかけ追加ボイスや関連任務が実装されたが、第七駆逐隊には全く動きがなかった。折しも、担当声優の早坂梢氏が声優業を引退したのではという憶測も出て(後に提督達の単なる誤解と判明)、「もう七駆はずっと追加要素が望めないのでは…」と一部提督から危惧が上がるほどの時期もあった。
が、2014年11月の潮改二の実装でそれらの不安は一気に解消された。その後は他の3名にも追加ボイスが入り、2014年の年末にはクリスマス漣と着物曙が登場、年末の鎮守府の盛り上げに一役買った。
そして2015年6月26日のアップデートでは、なんと四人全員の水着グラフィックと期間限定ボイスが一気に実装されるという大盤振る舞い。他の3人に比べて不遇な扱いだった朧にも日が当たることとなり、一時の日照りがウソのように各艦娘とも出世していると言える(→夏服七駆)。
2015年9月7日の夏イベント終了に伴うアップデートでこれらは終了した…と思いきや、朧のみ浴衣姿を披露してくれた(曙、漣も秋ボイスが実装された)。さらに、秋の秋刀魚祭りでは、曙と潮が、釣り人姿や、焼き芋を抱えた限定グラフィックが実装された。
また、ノベライズ『陽炎、抜錨します!』には、曙と潮が主要メンバーとして登場している。
余談
実は第七駆逐隊に所属する朧達四艦は特ⅡA型という綾波型の中の派生型であり、本来は背部艤装や手持ちの連装砲は綾波や敷波に準じた物に(煙突横の吸気口が御椀型に・12.7cm連装砲はB型に)なるはずだが絵では特I型(吹雪型)仕様の物(吸気口が煙管(キセル)型・12.7cm連装砲がA型の形状)を身に付けている。公式側からの発言は無い為あくまで憶測だが、この四艦のデザインはおそらく島風と同じく吹雪型のデザインコンペ案の絵をそのままスライドさせた物である可能性が高い。
なお、潮に関しては、11月14日に実装された潮改二にて吸気口のみ綾波型準拠に修正(手持ち主砲はそもそも史実で搭載していない物に変更)された。また、朧も2015年12月8日に差し替えとなった「朧改」のグラフィックで、艤装が特Ⅱ型基準のものとなっている。
更なる余談
水着姿に絡んでdrew氏曰く……
だいたい「潮>>>朧=漣>>曙」らしい。
え、何がかって? お察しください。