概要
本来の意味としては、心の中で他者と自身とを同一化することで他者の考えていること、世界観を共有することを指す。転じて、創作物に登場する人物(主に主人公)に対して閲覧者(視聴者・読者・プレイヤー)が感情を同一化することも指すようになった。
創作物は、閲覧者の住む世界とは異なる話を描いていることになるし、登場人物と同じ世界観を持っているわけではない。そのため、閲覧者は主人公の行動を通じてその創作物を読み解くことになる。そのため、閲覧者が主人公に対して感情移入できるか否か、というのは作品の評価に直結する要素であり主人公が感情移入しがたい性格であると途中で飽きられてしまうというケースも少なくない。
創作物は、ある人が感情移入しづらくても、別の人は感情移入しやすいこともある。
(例:感情移入しづらいSFを、SFを作った作者(神)に感心する形で読む)
ある人は創作物だと割り切っていても、別の人は現実とほぼ同じ(2.5次元)だと思って見ていることもある。
作者が感情移入させることを想定せず作った部分に、主人公・読者・プレイヤーが感情移入してしまうこともある(例・戦闘、探索、冒険を主旨としているはずの剣と魔法のファンタジーの村人や町人の普段の様子が気になってしまう、「魔王やモンスターを倒す意味がないのでは?」と考えてしまう、主人公以外の人物に感情移入してしまう、主題と別の部分が気になってしまう、等)。
現実に近付け過ぎたことが原因で、視聴者・読者・プレイヤーが引いてしまうこともある(メルヘンのような夢のあるシーンが描かれない、ファンタジー職業を使わずにバイオレンスやエロ漫画を描いたせいで現実の人間が偏見を持たれてしまう、等)。
フィクションへの感情移入の仕方が分からない視聴者・読者・プレイヤーが、ハイファンタジーの第四の壁を破り、「劇中劇がある現代もの、恋愛ものにするべきだ」等と説教し出すこともある。→メタ 異物混入 混ぜるな危険 お前じゃない
作者が「視聴者・読者・プレイヤーは自分と同じ年齢、性別、境遇の主人公にしか感情移入できない」と決め付けた結果、作品が残念な出来になることも(主人公以外のキャラが薄くなり、つまらなくなってしまう、オタクの主人公が反感を持たれてしまう、等)。
若者全員の気持ちを代弁している主人公が、若者のうちの限られたタイプであることも。
ファンタジーの出来事を現実で実行しようとする人間が出ることも。→インスタ映え
(間違った行為じゃなければ、具現化という正統派な行為になるが)。
混乱を避ける為に、視聴者・読者・プレイヤー同士で「創作物のどこを面白いと思ったのか」「架空のものと現実の何を同一視していたのか」をよく話し合い、よく考えて欲しい(人は創作物を見た時、現実の要素を重ねないと「面白い」という感情が湧かないものだと言われている)。
ピクシブではタグとして感情移入が用いられることはないが小説においてブックマークが多くつけられているものは感情移入を促されやすいのではないか、と思われる。