ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

全天周囲モニターの編集履歴

2018-06-04 00:03:06 バージョン

全天周囲モニター

ぜんてんしゅういもにたー

TVアニメ『機動戦士Ζガンダム』から用いられるようになった、モビルスーツのコクピット用技術。

リニアシートと併せて、第二世代モビルスーツの必須要項とされるMSコクピット周りを始めとする基本構造である。MSの操作性を劇的に向上させた。

本項ではこの「全天周囲モニター」と「リニアシート」を別個に解説する。


全天周囲モニター

「全天周モニター」あるいは「360度パネル」とも呼ばれる、グリプス戦役期からモビルスーツに本格採用された、コクピット・モニター方式。


球状(に近い)コクピット内壁をすべてモニターとし、パイロットの死角を無くす構造となっている。

一年戦争で稼働していたMSのモニターは、基本的に機体頭部のメインカメラから撮影された映像を、機体腹部に内蔵されたコクピット内の複数のコンソール(多くは3面)モニターにそのまま表示していた。つまり、モニター範囲外に死角が存在していたのはもちろんの事、パイロットが搭乗している位置と視点に差異が生じていたのである。

しかし、パイロットとインターフェイスを改善していく研究の途上で、固定されたモニター上に敵機を自動追尾する映像が表示されるよりも、その移動方向にパイロット自身が視点を巡らせることで視認する方が、MSの操縦においては絶対的に有利である事(機能的には当然ながら、任意ズーミングや追尾が可能であるとすること)が判明した。つまり、MS同士による戦闘は、彼我の位置関係が頻繁に変化しやすいため、感覚的にも「操縦する」というよりは「パイロット自身がその場に在って、敵機と直接戦闘している」と認識できた方が、生理的にもストレスが少ないと判断されたのである。


これを解消するため、地球連邦軍一年戦争末期に開発したガンダムNT-1では、頭部メインカメラからだけでなく、機体各所に設置(内蔵)されたカメラによって撮影された周囲の映像を、上記のような球形モニターに隙間なく投影する方式の、プロトタイプが開発・採用された(が、本機は本格的に実戦へと投入される前に撃破されてしまっている)。またその後の宇宙世紀0083年においても、アナハイム・エレクトロニクスがロールアウトさせたガンダム試作3号機に同様のものが用いられている。


そして宇宙世紀0087年に地球連邦軍アナハイム・エレクトロニクスがそれぞれ戦場へと投入したガンダムMk-Ⅱリック・ディアスに、正式なシステムが導入されたのだった。

全天周囲モニターに表示されるのは、カメラで撮影された外界そのものではなく、それを元にコンピューターグラフィックスによって描画され直した画像である

このCG画像は、腕部や脚部の陰になる位置の映像を“埋める”だけでなく、パイロットの戦闘判断に不必要な情報をカットし、敵機や作戦目標が認識しやすくしている。このほかにも、パイロットの恐怖心を抑えるために意図的に、あたかもゲームのようなチープさを感じさせる画像に変換してある宇宙世紀における技術レベルは、当然ながら外界を完全再現する事は容易であり、実際に劇中世界では『現実そのもののようにリアルなMSシミュレーターゲーム』が家庭用ゲームとして販売されている)。

なお、通常は自機の四肢やマニピュレーター等は表示されず、あたかも『シートが宙に浮いている』ように見えるが、武装の持ち替えや、マニピュレーターに人(物資)をのせる際には、任意で自機の必要部位が表示される。


この他、パイロットの操縦補助として音声発振機能を有している。

MSという宇宙空間さえも行動領域に見据えた兵器の特性上、コクピット内は高度に外界から隔絶されており、完全防音となっている。また、宇宙空間では防音機能を搭載するまでもなく、“真空”という壁が接触体から発されるもの以外の音を完全に遮るため、本来はほぼ『無音』環境となる。

しかしながら、人間は周囲の状況を把握するために聴覚からも多くの情報を取り入れているため、コクピット内では操縦に伴うアポジモーターの「プシュン」という作動音や、CG画像処理に添った機動音(味方・敵機のスラスター音……近づいてくるものは大きく、遠のいていくものは小さく鳴る)が合成され、コクピット内に発振される。


演出

「全天周囲モニターに映っているのはCGである」という事を表現するため、[[]]以降の富野監督作品では実宇宙(MSと共に画面内に映る宇宙空間)と、モニター表示宇宙(パイロットと共に画面内に映る宇宙空間)の色彩を意図的に変えてある。

具体的には、実宇宙はダークブルー~黒に多段階のグラデーションをかけたもの、モニター表示宇宙はライトブルー一色または単純なグラデーションをかけて星々の数を極端に減らしたものが使用されている(映像の複雑さは、作品の製作年代および予算に依る)。このため、『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』においてシャアクェスサザビーに受け入れるためや、『機動戦士Vガンダム』においてファラザンネックから出るためにコクピットを開くシーンでは、コクピット搭乗口の部分のみ周囲(ライトブルーのモニター表示)よりも暗くなっている(実宇宙が見えている)。


また、全天周囲モニターの設定上はパイロットの視線外のモニターは非表示となるため、基本的には背後モニターは消えているはずだが、アニメーターにかかる負荷が大きいため常時宇宙空間が表示され続けている。


リニアシート

全天周囲モニターの後部(パイロットの臀部方向部)から伸びたア支柱によって、シートを支える機構。第二世代以降のMSの“乗り心地”を劇的に改善した。


一年戦争において運用されたMSのシートは、機体に直接据え付けられていた。しかし、MSの機動や格闘においてパイロットが被る加速や衝撃は旧世紀戦闘機などの比ではなく、MS本体の損傷が軽微であっても機体内でパイロットが負傷した例が数多くあり、人間の搭乗する機動兵器としては、MSは「最悪の乗り心地」であった。


リニアシートを支える支柱には、機体を制御しているメインコンピュータとリアルタイムに連動するアクチュエータが内蔵されており、加えてこの支柱の基部は、コクピットブロックのリニアレール上に浮遊している構造となっている。これらが有機的に連動し、パイロットへの身体的な負担を激減させるのである。

更に、シートに対応した規格のパイロットスーツを着用していれば、スーツの腰部を中心に磁力のようなものでシートに対して固定されるため、シートベルトなどが不要となった。

逆に言えば、第二世代MS以降はパイロットスーツを着用しなければ衝撃対策が不十分となる事を意味しており、シーブックウッソは劇中序盤に私服でMSに搭乗した際、「(パイロット)スーツがないと、身体が固定されないか……」と口にしている。


また、如何に幾重ものショックアブソーバー機能を有したリニアシートであっても、緩和できる衝撃には限界があり、特に大気中の至近距離で敵機を撃破して“しまった”場合、パイロットは激震に見舞われる事となる。本件については小型・高出力ジェネレーター開発後は更に顕著であり、宇宙世紀0150年代においてさえ、ベスパの士官学校で『ビームサーベルで敵機を爆発させてしまった馬鹿が、衝撃で舌を噛み切って死んだ事例はいくらでもある』と教練が行われている。


耐G機能

MSの機動は戦車戦闘機とは異なり、360度の如何なる方向へもの複雑なターンを連続的に行うため、主に一方向のみに対する緩和対策を行えばよい戦闘機の耐G装備とは根本から対処法が異なる(モビルアーマーの中には、スラスターを背面のみに集中配置して一方向へ爆発的に連続加速する機体も設計・運用されている場合があるが、そのような単純機動は弾着予測が簡単に可能な“マト”になるため、Iフィールド・ビームバリアを併用が必須であり、それでもなお実弾を含めた集中砲火に晒されての被撃墜の可能性が高い)。

リニアシートはこの多方向に生じる加速Gに対しても高い効果を発揮するが、やはり当然ながら機構的限界があり、パイロット(軍人)は肉体を鍛える事で自身のG耐性を後天的に高めている。


だがなお、パイロットがGに耐えるために奥歯を砕ける程噛みしめなければならないような負担を掛けるガンダムMk-Ⅴや、設計段階で「人間には限界性能を引き出す事が出来ない」とされるシナンジュ・スタインのような機体も存在し、実戦で運用された。

このような超高速機動機への対策として、クローン強化人間には血流の循環補強用人工臓器を付与したモデルや、宇宙服無しで真空中での行動が可能なほど強化したモデルも研究の産物として記録に残っている(特に後者は、対人用の銃弾が直撃しても行動に支障を生じない程であった)。

また、ユニコーンガンダム123号機のように、専用パイロットスーツに自動投薬機能を内蔵させ、薬理的に耐G能力を向上させるといった手法を採ったものも存在した。

だが結局は、人体には眼球などのGに対して強化措置をとれない部位が存在するため、9~10Gを大きく超える事は生命維持に関わる事に変わりはなかった(それでも一説には、ユニコーンガンダムはデストロイモードにおいて瞬間的にではあるが20Gにまで達したとされる)。

宇宙世紀0150年代を過ぎた頃には、そもそもMSの物理的強度限界により、高速機動時に無理な方向転換を行うと、機体が空中分解してしまうファントムガンダムまで開発されたという説もある。



これらを解決するため、人類は最終的には(結局は)ミノフスキー物理学側の研究を推し進め、その到達点として慣性制御機能を有するミノフスキー・ドライブ・システムを開発することで、機体とパイロットにかかる加速G自体を緩和するという道を見出したのだった。

本システムを(一定以上の完成度で)搭載したV2ガンダムは、コクピットのショックアブソーバーとの併用により、ノーリスクで20Gレベルの機動を連続的に行う事が可能な域に達している


関連タグ

宇宙世紀 モビルスーツ

コア・ファイター

機動戦士Ζガンダム ガンダムMk-Ⅱ リック・ディアス

機動戦士ガンダムΖΖ

ガンダムセンチネル

機動戦士ガンダムUC

機動戦士Vガンダム

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました

見出し単位で編集できるようになりました