「稟議、承認ッ!!」
CV:三木眞一郎
概要
キュアエール達プリキュアの敵対組織クライアス社の社員。役職は社長秘書。
彼のみは「あざばぶ支社」の所属では無く、本社から出向しているようで、支社社員たちを統括する支社長代理的立場も担っている。
プレジデント・クライの目的の為に、出撃する社員を決めて出撃許可を出す「稟議承認」を執行する。
その立場上、自ら現場に出向くことは基本的にないが、第33話で新社員のスカウトの為に遂に腰を上げた。この際猛オシマイダーを発注したものの、発注プロセスはカットされてしまっている。
その後第39話で初めて発注バンクを披露。トゲパワワで生成した棍棒を振り回す演武のような演出となっている。
人物
目的のために常に自他ともに厳しく律し、喜怒哀楽の感情を顔に見せることはない鉄仮面。
会社の利益になる事ならば、部下を切り捨てるどころか虐待することに何の罪悪感も抱かない冷酷な一面を持つ。
社内では、下の者であっても基本的に「さん」付けし、慇懃な物腰で敬語口調を常用する。一方で、素の一人称は「俺」で二人称も場合によっては「あんた」とかなり砕けている。
相手のプライドを抉るような言い方もよくするが、感情的にならずに正論で相手を追い詰めていく理知的な人物。
そのため部下達からはあからさまに疎まれているのだが、本人はどこ吹く風で一切気にしていない。
ビシンに対しては、後述の理由もあってか、比較的温かい態度で接しており、素の態度を曝け出しているなど、互いに一定の信頼を持っていると思われる描写がある。
その一方、制裁を恐れて他者に害をなす人物に対しては嫌悪感を抱いている。
第33話では若宮アンリのアイスショーをTVクルーが撮影していた時、刺激のある絵が撮れないと上から叱られると切羽詰まった出刃亀ディレクターがアンリに恥をかかせようとした時、リストルが「あんたは俺が最も嫌うタイプの人間だ」と吐き捨てつつ、その人物の発生させるトゲパワワを猛オシマイダーの発注に利用している。
本編での動向
あざばぶ支社の初期メンバー時代(第1話〜第23話)
第1話ではあざばぶ支社の社員たちが、自分たちの立場が左遷扱いであることに不満を述べている中で「ボスは無事目的を達成した者に昇進を約束している」と宣言。その直後、その言葉を肯定するかのようにホログラム映像の社長が出現。これによりチャラリートが出世のチャンスとして自分から出撃を要請し、リストルが社長を通して稟議を承認。
しかしミライクリスタル・ホワイトの回収に時間がかかっており、リストルも最初はチャラリートのやる気を買って、第2話あたりは急かす社長とは反面的に擁護するかのような態度を見せていたが、チャラリートがキュアエール達の覚醒を会社に報告せずに隠していたことが発覚し、第5話では規則違反としてチャラリートを罰する決定をした。
だが、社長がチャラリートに「最後のチャンス」を与えることを許したため、リストルも一旦罰を与えるのは引っ込めている。だがこの時に「失敗した時は…わかってますね?」と釘を刺した。
そしてその最後のチャンスを失敗したチャラリートはリストルによって左遷部屋へ送られることになり、次の現場責任者にパップルを指名する。
第11話では左遷部屋で心を壊されたチャラリートを最後に使い捨てると言うパップルの非情な計画を社長が承認したので、無表情無感情にチャラリートをオシマイダーに変えるプロセスを実行した。
だが、そのチャラリートはプリキュアを追い詰めはしたが、プリキュア達は新たなミライクリスタルとメロディソードを生み出すことで逆転勝利してしまう。結果的にはプリキュアを成長させることに繋がったため、リストルは計画の立案者たるパップルを社内会議で「由々しき事態ですね。どう責任を取るおつもりで?」と問い詰めた。
この時点ではまだ罰を与えるとは口には出してないが、パップルにとっては最終通告と聞こえたようで、必ず自分がプリキュアを倒すと返すものの、今度は彼女が追いこまれる立場になってゆく。
しかしその後もパップルは失敗続き。第17話では組織を裏切ったルールーからプリキュアの情報を引き出そうと彼女を拘束してメモリースキャンをかけていたが、そこにリストルがやってきて、「どうせならプログラムを戦闘用に変えて見ましょうか。それに試作品の戦闘用パワードスーツも…」と勝手に端末を横取りしてルールーのプログラムを書き換え出す。
記憶消去に留めておくつもりだったパップルはドン引きするが、「機械人形は機械人形らしく、役に立ってもらった方がいいでしょう」と冷たく言い放った。彼にとってはルールーは社員ではなくただの会社が開発した新型の商品としか見なしていなかったのだ。
その後、プログラム書き換えの影響か、ルールーが暴走して命令を待たずに勝手に出撃してしまうのだが、リストルは「パップルさん、後はお願いしますよ。調整を始めたのはあなたですから」と責任を擦り付けた。
ルールーが心に目覚めて会社を離反した第18話では、そもそもパップルがルールーに妙な調整を始めたのが裏目に出てルールーに心というバグが生まれたと、相変わらず理知的にパップルを糾弾する。
一連の言動はリストルが保身のためにパップルを必要以上に悪者に仕立て上げたも同然であり、パップルはかなり理不尽を感じていたが、社長の直属秘書であるリストルを諌めることができる者は誰もおらず、パップルは涙を飲むことになる。だがさすがにリストルは今回の件でパップルに罰を与えることまではしなかった。
ただし、後に発覚する事実と合わせると、ルールーの暴走に関する彼の一連の行動や態度には別の意味合いが見えてくる(後述)。
第20話ではプレジデント・クライのホログラム映像が話している傍らでなにやら端末を操作していた。よく見るとプレジデント・クライの顔が大きく表示され、更に彼の台詞に合わせて何かを入力している様子。更に続く第21話では彼が端末のボタンを押すたびにそれに合わせるかのようにプレジデント・クライが喋っているかのような描写があった。
プレジデント・クライは第1話からホログラム映像という形であざばぶ支社に登場しており、本社にいる社長が自らリアルタイムで映像をよこしていると当たり前に考えられていたのだが、これらの描写によって視聴者からは「今この場にいるリストルがホログラム映像を通じて社長を演じている」という疑念が生まれることになった。
そして第23話でダイガンが粛清される形でクライアス社から席を抹消されたため、あざばぶ支社の初期メンバーはリストルを除いて全て会社からいなくなってしまった。
だが同時に、この話で社長の正体がとりあえず見た目は普通の人間と判明し、ホログラム映像は本物の社長の不在を隠すための影武者として用意された作り物だったことがほぼ確定した。第1話からの「社長がこう言っている」というリストルの宣言も、社長の承認によってリストルが非道な計画を実行したことも、全て自作自演であったわけだ。
またミライクリスタルが10個生成されたことを「計画通り」としていることから、本物の社長と手を組んで『プリキュア達を適度に追い詰める事でミライクリスタルを生み出させて、クリスタルがある程度集まったところでまとめて強奪する』計画を企てていた様子。
そしてこの23話でダイガンを粛清して初期メンバーが一掃された後、あざばぶ支社は社長の直接指示の元に新体制を整えることになるのだが、そもそも最初からこの補充メンバーこそが社長の計画のために選抜されたメンツであり、初期メンバーは使うだけ使い倒して会社から追い出すというのが最初からのプランであったようだ。その汚れ役を買って出たのがリストルだったとも言えるだろう。
初期メンバー達は自身がかませ犬に利用されているなんてまるで気づいてはおらず毎週本気でプリキュアを倒そうとしており、リストルの本音は最後まで部下達に悟られることはなかった。大した役者ぶりである。
ルールーのプログラムが戦闘用に書き替えられた際に機密情報のデータが削除されてしまったのも、彼女がプリキュア側に寝返る(もしくはプリキュアに覚醒する)ことを想定していたためなのかもしれない。
あざばぶ支社の新体制(第24話〜)
あざばぶ支社はジョージ・クライ社長が直接の指揮をとることになり、ジェロス、ビシン、ドクター・トラウムを迎えた新体制が発足。リストルは引き続き社長秘書としての任務を継続することとなった。
しかし今までリストルは社長のホログラムを操ることで社員たちを誑かす仕事をしてきた人物である。今までのように社長の言葉を利用して社員達を操る必要は無くなったが、リストルは社員達を完全に手駒に操った実力者でありそのあり方は「社長」そのものであった。ある意味ではジョージ・クライにとっては一番の危険人物になり得るかも……?
第25話では、「ひとり夏祭りごっこ」に興ずるドクター・トラウムを呆れた目つきで見つめながらも上役に対して意見する訳にもいかず、彼の出したカリフォルニアロールを「少しずれていますね…。」と言いながらも黙々と食べている。社長直属指揮下の新体制では今までほどの権力はなくなったことがよくわかる一瞬である。
なおこの時にトラウムから「彼(ハリー)に会いに行ったよ」ということを聞かされたリストルは「まさか…。」と事情を察している。このことからハリーとビシンの軋轢にリストルも何か関係あるのではと一部の視聴者からは予測されていた。
また同時に、リストルよりも上の立場の人間の許可を先に取れば、彼は口出しできなくなるというのが新体制の特徴であることも判明したことになる。
第30話ではプリキュアたちが世界一周旅行に出かけていることを突き止め、いつもと状況が違うから自分が出撃しようと言い出す。
海外なら英語が話せる人が適任として名乗りをあげるジェロスに対し「いやいや、このリストルが」と微妙にキャラを崩壊させながら大人気なく言い合うが、結局トラウムが勝手に出かけてしまったのでこの話は強制終了した。ちなみにルールーの回想では彼もクライアス社の社員旅行には参加していた模様。
第32話では『ハリーが強く想いを寄せている女性』の存在を突きつけられ傷心状態のビシンに対し、「泣くな」と優しく諭しつつ「本来の姿」に戻り、泣きじゃくる彼を慰めている。普段冷淡な振る舞いをするリストルが、数少ない懐の深さを見せた一幕となっている。
第33話では若宮アンリをクライアス社の人材確保のためスカウトするも、えみるの説得もあり断られる。しかし彼はその際もらった名刺を捨てずこのエピソードは終りを迎える。バンクはなかったもののディレクターのトゲパワワを使い猛オシマイダーを発注し、その際には「あんたは俺が最も嫌うタイプの人間だ」と普段とは一転して感情的な顔を見せた。
正体(ネタバレ注意)
実は、人としての姿は仮の姿であり、ハリハム・ハリーやビシンと同じく、本来の姿はネズミのような小動物の種族・ハリハリ族。尻尾の形状からモチーフはリスであるようだ。ハリーと異なり、本来の姿になっても声の変化は全くない。
そのことが明確に判明したのは第32話だが、実は第25話で彼の小動物態の姿はすでに登場している。
それは、ハリーがほまれにかつての「家族」のことを語る回想シーンである。この回想シーンに出てきたハリーの「家族」の中にビシンと同じ赤い上着を着た小動物がいるのはわかりやすく映っていたのだが、それ以外のモブ動物たちの中にリストルにどことなく似た個体がいるとして放送直後から一部の視聴者の間で話題になっていた。
(参考画像において、ハリーの向かって右側にいるのがリストル)
そして、上記にある第32話のラストで、リストルとビシンが小動物形態に戻ったことで、この二人ともがハリーと同居していた仲間の一人でビシンの次兄に相当する存在であることが明らかになった。
なお、第33話でのビシンによればかつて自分たちが暮らしていた“ハリハリ地区”を一番に捨て去った過去があるらしい。
第39話でハリハリ地区を襲った伝染病で仲間が次々倒れる中必死に看病したが、結局自分とハリーとビシン以外救えなかったことが判明、更に地区自体が何者かの手で焼きはらわれている。
突如未来に送られたはなたちの前に現れ、激闘の末ミライクリスタル・ホワイトが変化したミライクリスタル・マザーハートの力で浄化された。
その後なんと自力でジョージの元に戻ったが、彼に気遣われてもまともに受け答えができないほど衰弱し「あんたが……憎い」と本音を漏らしたあと気絶する。
その後第41話では治療なのかカプセルの中でチューブやらマスクやらを繋がれた、人工生命体の製造風景または重病人のような状態にされていた。
ビシンはそれを「ハリーと同じく自分から離れた」と表現している。
余談
名前のモチーフ
名前の由来は恐らく「リストラ」をもじったもの。
ハリーが「ハムスター+ハリネズミ」、ビシンが「ハクビシン」と小動物から名前が取られているように、リストルも「リス」から名前が取られてるダブルミーニングではないかという仮説が出ている。
中の人について
担当声優の三木眞一郎はプリキュアシリーズ初出演。