概要(演義準拠)
漢王朝の血を引く青年で、むしろを売って生活していた。
しかし荒れゆく世の中を憂い、平和な世を取り戻すために乱世に立つ。
武力に関しては義弟の関羽や張飛ほど強くはないが、慈悲深く人々を惹きつける魅力に溢れており、また人を見る目と扱う術を心得ていた。
その為、趙雲・諸葛亮に代表される多くの逸材が彼の元に集っている。
ただし慈悲深いのも考えもので、戦略的に圧倒的に不利なのにも関わらず民衆を「忍びない」の一言で連れて逃亡し、諸葛亮などからは甘すぎると散々叱咤された(だが実際、長坂の戦いでは、家臣の勧めとはいえ民衆を見捨てて一人で逃走している)。他にも優柔不断な行動が度々目に付き、よく諸葛亮に助けてもらっている。
また人を見る目がある逸話として、諸葛亮のお気に入りの弟子だった馬謖(ばしょく)を見て、「あれはダメ」だと諸葛亮に注意したという。
結果、馬謖は大言を吐いて失敗し、「泣いて馬謖を斬る」の逸話となる。
一方、身分を隠して仕官してきた龐統の大才を見抜けなかったという逸話もあり、これは劉備が増長して目を曇らせていたのか龐統が巧みなのか……。
その最後は義兄弟たちの死をきっかけに復讐に燃え盛り、悪鬼のごとく呉へと攻め入ろうとしたが、結局それは為されずしかる後に病でこの世を去った。
概要(正史準拠)
演義と同様、漢王朝の血をひくと自称していた。
ただし劉邦が前漢を建国してから四世紀近くを経て、劉姓を持つ人物は劉虞・劉表・劉焉など漢王朝の影響下のあちこちにいた(このうち後漢の皇帝の男系子孫は劉虞であり、劉備・劉表・劉焉はあくまで前漢皇族の系譜でしかないとされる)。
さらに言えば、彼が己の先祖と言っていた劉勝という人物は好色で有名な皇族であり。
子供を作りまくって実子だけで50人近く、孫の代に至っては100人を超えてたという超絶倫野郎である。ちなみに1900年程下った日本にも似たような御仁が存在したのは余談。
また、農民ではあったが演義ほどに困窮していたわけではなく、実際のところはやはりそれなりに学問をできる程度の豪農ではあったようだ。周辺のチンピラやゴロツキを束ねていたのではないか?と言う説もあり、その辺りははっきりとしない。ちなみに、耳たぶは自分で見れるほど長く、腕は膝の下あたりまであったといわれる。もっともこの手の極端な記述は関羽の赤ら顔等と同様に誇張表現の一つと捉える方が無難だろう。
近年は彼の先祖は劉勝ではなく光武帝の実兄劉縯の庶子の末裔だったという説もある。
現にこの辺りは魏略にも書かれていたり何気に信憑性がある。
演義の描写とは裏腹に、軍を動かす事に関してはかなりの才があったようで、庇護してくれた群雄から即座に前線指揮官を任される程。陳舜臣も著作『小説・十八史略』や『秘本三国志』でこの説を採っている。
劉表庇護下にはいるまでの彼の立場は傭兵集団の頭目(それもかなり優秀な部類)であり関羽、張飛といった幹部にも恵まれ複数の群雄を渡り歩いた。
特に少人数のゲリラ戦や撤退戦など、戦況の見切りが重要になる局面では無類の強さを誇っていた模様。(実際の所も彼に土を付けた相手は曹操やら呂布やら陸遜やら、いずれも名だたるリアルチート連中だらけである事を留意されたし)
一方で、庇護された群雄の旗色が悪くなるとすぐに別の群雄に鞍替えするなど、良くも悪くも各地の群雄に一目おかれていたようである。どのような状況においても自らの勢力を保たせるのは乱世の生き様としては一つの正しい形ともいえるが。
さらにそれだけホイホイ立場を変えていながら、群雄に自分を売り込み信用させる才能はもはや天性・或いは魔性とまで言えるレベルである。或る意味夜盗の類よりも質が悪い。
三国志における裏切り梟雄の代名詞こと呂布が死に際し、劉備を「貴様が一番信用できん」と罵ったが、史実で言えばあながち間違いではないのだ(特にこれを一緒に聞いてた曹操からすれば…)。
夷陵の戦いでは諸葛亮を反対し記述するない、関羽や張飛の死をきっかけに復讐ではなく、近年は荊州を奪還する戦略の方という説もある。
こと世渡り・『生き残る才能』は、ある意味で曹操をも凌ぐほどのものかもしれない。
創作作品ごとの劉備
横山三国志
蒼天航路
アニメ版声優:関智一
べらんめぇ調で人間味臭い野心家として描かれている。
聖人君主な演義基準の劉備に慣れている人にはこのようなキャラで描かれた劉備を「蒼天仕様」と呼ぶことがある。
真・三國無双シリーズ
劉備(真・三國無双)を参照
SDガンダム三国伝
劉備ガンダムを参照
一騎当千
劉備玄徳を参照
DRAGONSISTER
(左から2番目)
「人並み外れた能力を持つ英傑が女として生まれる」呪いが蔓延した世界で、なぜか正史・演義通り男に生まれた主人公。
卓越した判断力と、人並み以上の腕力(董卓軍一般兵が2人がかりで運ぶ大石を一人で持ち上げた)、そして他者を守ろうとする勇気と優しさを兼ね備えた人物。しかし、本人は自分のことを「今ひとつ頼りない人」だと思っており、危険度の高いことを義妹の関羽・張飛に任せることを気にしている。
真・恋姫†無双
ちなみに前作恋姫†無双では主人公の北郷一刀が劉備のポジションにいて、彼女の登場が遅れた。
さらにアニメ版では全く別人の偽物も登場した(何の因果か担当声優は後に蒼天航路の劉備を演じる関智一である)。
十三支演義
CV:石田彰
猫族の長として登場する。関羽が主人公のため必然的に絡みが多い。
三国恋戦記
玄徳を参照。
鋼鉄三国志
CV佐藤利奈
他の作品とは異なり少年の姿で描かれている。
花が大好きで戦が嫌い。
蜀を建国し関羽、張飛の死後孔明に唆され暴走する。
最強武将伝三国演義
CV船越英一郎(日本版)
アニメ戦国コレクション
戦国世界では2本の中国刀を武器に、蜀国の乙女皇帝として君臨していた少女。
明るく前向きで愛嬌も良く、人に慕われやすい。流れ着いた現代では家政婦として働いている。
アニメイナズマイレブンGOクロノ・ストーン
CV平田広明
時空最強イレブンに必要な力の持ち主として円堂大介が挙げた人物の一人。
諸葛孔明を軍師に引き入れるべく孔明の屋敷に向かっている途中で天馬達と出会い、行動を共にする。一度やると決めたら絶対にやり抜く強い信念を持つが、後先考えない行動で周りを巻き込むこともしばしば。
道中のサッカーバトルでキーパー、ザナーク・ドメインとの試合では監督を務める。前者の試合ではキーパーにもかかわらず前線に飛び出してゴールをがら空きにしたことで信助に呆れられるが、後者の試合ではザナークのシュートに怯える信助に自身の理想を語ると共に勇気付け、ミキシマックスを成功に導いた。
妖怪三国志
ジバニャンが担当する、アニメ・ゲーム両方における主人公的立ち位置である。
初めはアニメで描かれたようにぐうたらでやる気がない状態だったがゲームでは話が進むにつれやる気を出していく。
三国志 Three Kingdoms
吹き替え家中弘
基本的に『演義』に準じているが、剣の使い手であり、したたかな策略家としての一面も描写されている。諸葛亮との信頼関係も強調され、不満を抱く関羽と張飛に
「先生の意に沿わぬ行動を取れば斬る」と厳命するほど。
白帝城では劉禅に最期の教えを授けその生涯を終える。