タイムふろしき
たいむふろしき
概要
タイムふろしきとは、藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場回はTC2巻収録「タイムふろしき」。
見た目は時計模様の風呂敷で、生物をこの風呂敷で包むと若くなったり年を取ったりする。古代生物の化石やワニの革のような死体の一部だったとしても、生前の状態まで時間を戻して生き返らせることが出来る。物なら時間を戻してピカピカの新品にしたり、時間を経過させてボロボロに古くしたり出来る。
また、壊れた物の破片や欠片1つだけに被せて時間を戻した場合、破片だけが新しくなるのではなく失われていたり欠けている部分を含めた完全な状態に復元することが出来る(下記の「無人島へ家出」ではのび太が既に身に着けていなかった衣服まで復元してその場に出現させており、2019年に放送されたアニメのアイキャッチでも、ドラ焼きを食べ切った後の皿に被せてドラ焼きを食べる前の状態に戻すことで、既に失われたドラ焼きをその場に出現させている)。
他のひみつ道具に対しても有効で、下記の「強~いイシ」や「しんじゅ製造アコヤケース」ではタイマー式のひみつ道具に使用して時間を進めることで有効期間及び必要時間を短縮しており、下記の『ワンニャン時空伝』では壊れたひみつ道具を修復している。
包んだ物の時間が過去に逆行するか未来に進行するかは、表裏どちらで包んだかによって決まる。
原作及び大山のぶ代版アニメでは、エピソードによって表と裏の効果が入れ替わることが多かった。それに対し水田わさび版アニメでは「赤色を表にして包むと逆行し、青色を表にして包むと進行する」という仕様で統一されている。
下記の『恐竜』では、包んだ物体の時間を1億年戻す際はそこそこの時間を要していたが、同じく下記の「化石大発見」では数億年の時間を瞬時に経過させている。また、1991年版「南海の大冒険」や『恐竜2006』では自動停止機能が備わっており、指定した時間まで逆行及び進行した際はアラームが鳴り響いて知らせてくれるようになった。
それだけでなく、水田版アニメでは『恐竜2006』での演出がそのまま引き継がれており、基本的にどのエピソードでも時間を逆行及び進行させる際は、時計の針が動くような音が鳴り響く演出になっている。
スピンオフ漫画『ザ・ドラえもんズスペシャル ロボット養成学校編』にて、タイムふろしきは破片だけでも効果を発揮することが明かされている(原作に登場するひみつ道具「地震訓練ペーパー」は破片だけで問題無く効果を発揮している為、タイムふろしきも同じように破片だけで機能すると考えることが出来る)。作中ではビリビリに破れたタイムふろしきの破片を集め、一番大きな破片で残りの破片を包んで元通りの状態に戻している。
また、人間や生物の年齢を若くしたとしても、風呂敷を被る前の記憶は保持される(下記の「赤いくつの女の子」ではこの仕様を利用し、のび太が小さい頃に喧嘩別れしてしまった女の子と仲直り出来るようにする為、ドラえもんがタイムふろしきを使用してのび太を幼稚園児の頃の姿に戻している。
『ドラえもんのひみつ道具使い方事典1』にて、外観こそ薄い布だがハイテクメカが搭載されており、「時流漏洩防止膜」、「未来流ファイバー」、「タキオン織りこみゾーン」、「過去流ファイバー」、「時流漏洩防止膜」の五重構造となっており、中央から放出されるタキオンエネルギーが、過去流ファイバーあるいは未来流ファイバーを通し、ふろしきで包まれた空間内に作用することで、包まれたものの時間が逆行あるいは進行するという仕組みであることが明かされている。
「タケコプター」や「どこでもドア」、「タイムマシン」程ではないものの、作中で何度も登場しているひみつ道具である為、知名度は比較的高い。
主な使用例
原作短編
幼稚園児の頃に喧嘩別れしてしまったノンちゃんに謝る為、タイムマシンで過去へ向かった後、ドラえもんがこの道具を使用し、のび太を幼稚園児の頃の姿に戻した。
- 化石大発見
エイプリルフールということで、化石を発掘しようとしているお爺さんを驚かせようと、ドラえもんとのび太が生ゴミを地面に埋めてその上に風呂敷を被せ、ゴミを化石にして埋め直した。しかし、これを元の生ゴミに戻そうとした時にある事件が起きる。
10年間の家出を無かったことにする為、ドラえもんがこの道具を使用し、20歳になったのび太を子供の頃の姿に戻した。
雪山で遭難した未来のしずかを助ける為、のび太がこの道具を使用して大人になり、「タイムマシン」で未来へ助けに向かった。
真珠貝を培養するひみつ道具に被せ、本来なら真珠完成まで3か月かかる工程を30分に短縮した。ちなみにこの話のラストでスネ夫も真珠になってしまった。
- 強~いイシ
1年間連続で走り続けることを強制させるよう設定してしまったひみつ道具のタイマーを進行させることで、一瞬の内に機能停止させた。
- みせかけ落書きペン
大長編・映画版
時限爆弾のタイマーにこの道具を被せてタイマーの時間を戻し、爆発を回避した(正確には、大長編版は風呂敷が偶然タイマーに被さり、映画版ではロップルが風呂敷をタイマーに被せている)。
ドラミが使用し、敵が放った魔法により石化してしまったドラえもんとのび太を元の姿に戻した。また、作中の中盤で燃えてしまい灰になってしまっていた魔法の絨毯を元の状態に復元した。
故障してしまった「進化退化光線銃」を修復した(ただし「タイムふろしき」が登場したのは映画版で、大長編版ではドラえもんはタイムふろしきを持ち合わせておらず、進化退化放射線源を工具で修理していた)。
番外編
- ドラえもん 最新ひみつ道具大事典
ドラえもんを耳があった頃の姿に戻す為、のび太が使用。しかし裏表を間違えてしまい、ドラえもんがボロボロになってしまった。
- ドラえもん 大昔大探検
墓荒らしを懲らしめる為、ドラえもんが「ようし、タイムふろしきで生き返らせてやる!」と言いながら、ファラオのミイラに被せて生き返らせた。
ちなみに、蘇った元ミイラは自分が先程まで死んでいたという自覚があるらしく、ドラえもんに「私を生き返らせてくれるとは神の子だ!」とお礼を言っていた。
- ドラえもん 恐竜大探検
『恐竜』及び『新恐竜』同様、化石に被せて生き返らせた。しかしこちらは卵の化石では無く、恐竜の骨そのものに被せた。
- 恐竜島大決戦
『恐竜大探検』同様、恐竜の骨に被せて生き返らせた。
3巻収録「戦国の覇王」にて豊臣秀吉の顔に被せたのだが、その際は何故か顔が猿人あるいは原人に先祖返りしてしまった(「進化退化放射線源」と同様の効果)。
一方、11巻収録「意外な味方!?」にてフック船長に被せた際は、原作通り子供の姿に若返る効果を発揮していた。
クロえもん達の対戦相手がこの道具を使用して大人になり、身体能力を底上げしようとしたのだが、トラえもんが放ったボールにより巻き起こされた風で風呂敷が被さってしまい、裏表が逆だった為に赤ちゃんになってしまった。
ドラえもんが「タイムふろしき」を洗濯して庭で干していた時に、のび太のママが誤って風呂敷を被ってしまい、のび太と同年代の姿に若返った。
関連道具
- 復元光線
光線銃型のひみつ道具。
壊れた物にこの光を当てると、壊れる前の状態に戻すことが出来る(「タイムふろしき」とは違い、失われた部分まで復元される訳では無く、基本的に散乱したパーツが集結する形で復元される)。割れた壺(原作「(秘)スパイ大作戦」)から半壊した家(水田版アニメオリジナルエピソード「クジラとまぼろしのパイプ島」)、更には崩壊した巨大な建造物(映画版『ひみつ道具博物館』)まで、壊れた物の大きさや壊れ具合に関わらず何でも直すことが可能。ただしタイムふろしきとは違い、光を浴びせ続けたとしても原料まで戻ってしまうことは無い。
水田版アニメオリジナルエピソード「世界一のメロンパン」では、ペンキで全身が汚れてしまったジャイアンとスネ夫にこの道具の光を照射したところ、彼らの服と身体の両方をペンキで汚れる前の綺麗な状態に戻している。
このことから、復元光線は生物に対しても有効であり、壊れた物の修復だけでなく汚れた物を綺麗にする等、色々な使い方が出来ることが分かる。
ただし上記の『恐竜大探検』では、恐竜の骨の化石に対してドラえもんがこの道具を使用したのだが、その際はバラバラだった化石が元の並びに戻るだけで、生前の姿に戻ることはなかった。
- 復元ライト
大山版アニメオリジナルひみつ道具。上記の「復元光線」の完全上位互換。
基本的な効果は復元光線と同じだが、こちらは「タイムふろしき」同様、失われた部分も含めて完全な状態に復元することが出来る。
それだけでなく、一度復元した物を復元前の状態に戻すことも可能で、更には特定の部分のみを復元するという細かい調整も行える(ドラえもん曰く「お好み復元」という機能であるらしい)。
作中では野比家に保管されていたレコードが2つに割れてしまった為、ドラえもんがこの道具でレコードを新品の状態に戻す。しかしパパが「昔はこのレコードに傷がついていたお陰で、音楽が同じところで繰り返しになったから、いつまでもママと2人で踊ることが出来たんだ」と言った為、ドラえもんが再びこの道具を使用し、上記の「お好み復元」でレコードについていた傷のみを復元した。
- 全体復元液
小さなスポイト型のひみつ道具。
この液体を欠片に垂らすと、欠片から全てを復元することが出来る。欠片さえあればどんな物でも元の姿に戻すことが可能で、作中では食べかけのドラ焼きや破けた漫画の1ページ、玩具の部品や化石の欠片を元の状態に戻している(ただし化石の場合、あくまでも化石の状態で全てが復元されるだけで、「タイムふろしき」とは違い生き返らせることは出来ない)。
- 年月圧縮ガン
光線銃型のひみつ道具。
この道具から照射される「年月圧縮光線」を物体や生物に浴びせると、数百年~数千年以上の時間を一瞬で経過させることが出来る。それだけでなく「逆光線」を浴びせると時間を戻すことも可能。ドラえもん曰く「長い年月がかかる現象を手っ取り早く完成させる道具」であるらしい。
作中ではドラえもんがこの道具を使用して太平洋プレートの動きを素早くし、日本とハワイをボートにより数分で往復出来る程の距離まで縮めていた。それだけでなく、のび太がこの道具を月に対して使用することで、地球から少しずつ離れていっている月を地球に近付けようとした(ドラえもんが慌てて止めた為、実行されることは無かったが)。
- もどりライト
ライト型のひみつ道具。
この道具の光を浴びせた物は、何でも原料の状態に戻すことが出来る。効き目は30分。ただし原料を丸ごと復元する仕様である為、例えば紙にこの道具を使用した場合は木が丸ごと1本その場に出現することになる。
- 原料ライト
ライト型のひみつ道具。
上記の「もどりライト」とほぼ同じ効果だが、こちらは段階を経て原料に戻っていき(のび太がこの道具を使用して紙を木に戻したのだが、その際は紙からパルプに、そしてパルプから木へと変化している)、作中での描写を見る限り効き目は永続する(先述の木を裏山に植えたのだが、「タイムトンネル」を使用して数年後に行った際、その木は大木に成長していた)。