概要
てんとう虫コミックス28巻及び、藤子・F・不二雄大全集13巻に収録。
その名の通り、真珠を製造するアコヤ貝型の装置。中に海水を満たし核となる物を入れておくと真珠ができあがる。
ただし欠点として、真珠の核となる物は生物・非生物問わず、生物が落ち込んだ場合緊急停止するなどの安全装置は確認されないばかりか、内部から開けることも不可能である。警報もついていない。
ちなみにラストにて真珠になってしまったスネ夫は原作では、真珠化された状態で出てくる時点で話が終わってしまうため生きているかどうかが不明だったが、2015年版では真珠となった状態で生きているという展開に改変された。
映画『のび太の人魚大海戦』では、怪魚族に捕らわれたしずかと引き換えに伝説の剣を渡すことになったため、これにビニール製の剣のおもちゃを入れ本物に見せかけた。
ストーリー
母親から婚約した時に夫からもらったネックレスを見せられたしずかは、自分もこんなのが欲しいといいながら首にかけ、母親から「大人になったらね」と言われたがその時、玄関から自分を呼ぶ声がしたためそちらに向かった。すると宿題の分からない問題を聞きに来たスネ夫が「それをつけるとお姫様みたいだよ」と褒め始め、しずかは背中を押されるまま空地に移動。
そこでスネ夫はネックレスの値段を300万円はすると予想し、のび太は手に取って驚いていたが、ジャイアンが自分に見せるよう引っ張ったため、ネックレスが壊れ真珠が周りに飛び散ってしまった。ジャイアンとスネ夫はのび太を責めたが(そもそもの元凶はジャイアンであり、お前が言うなとはまさにこのこと)、それでも一同は懸命に真珠を探し大半は見つけることができたが、残りの5個だけは見つけられなかった。
これにしずかは母親に叱られると泣き出してしまい、スネ夫は塾を、ジャイアンは母親のお使いを理由に帰ってしまったが、のび太は「きっと何とかするから」と言い残しドラえもんに相談。だが「真珠のネックレスなんかあるわけない、ばかばかしいと聞く耳をもってもらえず、しずかが非常に困り悩んでいると泣きながら伝え、協力してもらうことになった。
そこでドラえもんは「しんじゅ製造アコヤケース」を取りだし、真珠ができるまでの家庭やこの道具の説明をした後、これに芯を入れ、庭に置いた水を貼ったビニールプールの中で真珠の製造を開始。のび太はしずかを呼びに空地に向かったが、そのこに彼女の姿はなく帰ったのかと思ったが、実は母親に見つからないよう土管の裏に隠れていた。
彼女から3ヶ月なんて待てないと言われ、のび太は3分でできないかドラえもんに相談したが、「カップめんじゃあるまいし」と言われてしまい、しずかの発案で「タイムふろしき」を使うことに。それでも色や形を良い物にするには30分はかかると言われ、その時しずかの母親が訪ねに来てしまい、更に玉子が庭にいることもばらしてしまったため、一同はパニックになってしまった。
その時ドラえもんが「わすれろ草」を使うことを思いつくも、ドラえもん本人がこれで本来の目的を忘れてしまったため、しずかが自分で使用することに。これで彼女の母親は目的を忘れ帰って行き、その後化粧をしている最中にネックレスのことを思い出し、道で出会ったスネ夫からよく分からないながらも理由を聞いたが、この少し前に真珠が出来上がったので、しずかはネックレスを渡すことができた。
前より大粒で綺麗になったみたいと思われた一方で、ドラえもんはスネ夫にアコヤケースのことをネタ晴らしし、これを聞いた彼は野比家の庭に忍び込み、ケースの蓋を開け自分も真珠を作ろうとしたが、間違って自分が入ってしまった。その後スネ夫の母親が息子が来ていないか訪ねてきたが、ドラえもん達はそのことについては思い当たらなかったため、アコヤケースを片付けようと思ったが、その中から真珠になったスネ夫が出て来たため、2人してびっくりしていた。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1983年4月29日に、水田版は2016年5月20日にそれぞれ放送している。
1983年版
- サブタイトルが「しずかのネックレス」に変更。
- のび太も宿題を理由に立ち去ろうとしたが、すぐに戻ってきてドラえもんに相談してみることを伝え慰めた。そしてドラえもんはのび太から訳を聞くと、すんなり道具を出している。
- しずかの母親が真珠が前より大きくなったことに気付いた際は、ドラえもんはのび太も気のせいだと誤魔化している。
- その晩、しずかは空地でなくした真珠を探していて、心配してやってきた母親にネックレスの件を謝り、他のメンバーも各々自分の至らなかった点を反省した。そして真珠は何とか4個まで見つかり、残りの1個はしずかのお下げの部分に隠れていたのをのび太が発見し、しずかの母親は5粒をしずかにプレゼントし、残りは大人になってから渡すということにし、無事和解した。
- このため、スネ夫が真珠になってしまう下りなどは描かれていない。
2016年版
- 冒頭でのしずかの台詞のうち、「無理」は「優しい」に変更されていた。
- スネ夫はネックレスを見た際、大きさや輝きについても絶賛していた。
- 空地でしずかのネックレスを見ていたメンバーには、眼鏡をかけた女子も追加されていて、のび太は最初にネックレスを見た際、500円くらいかと思っていた。そしてこの女子が自分もつけてみたいと頼んだことでしずかはネックレスを外そうとし、のび太が手伝おうとしたが手間取ったため、ジャイアンが無理やりひっぱり壊れてしまった。
- 真珠を探した際スネ夫はのび太のことを責めてはおらず、ジャイアンも立去る際には用事を済ませたら戻って来ると言っていた。ちなみに足りなくなった真珠の数は3個になっている。
- のび太から話を聞いた際ドラえもんは「ばかばかしい」とは言っていなかった。また、ドラえもんが真珠の養殖について説明したシーンは実際に業者がそれを行っている場面が追加された。
- ビニールプールはのび太が物置から出してきた。またドラえもんが「カップめんじゃあるまいし」という描写はカットされ、「タイムふろしき」を使うこともドラえもんが思いついていた。
- のび太は「夕飯の買い物では?」と言ってしずかの母親を誤魔化し、この後、真珠が早くできるよう手からアコヤケースに念力を送っていた。
- しずかの母親は道を歩いている時にネックレスのことを思い出していて、このネックレスはしずかのパパが将来女の子が生まれた際にあげるつもりで購入したことも話していた。更にこれの値段は300万もしない普通の値段だったため、ドラえもんとのび太はそばにいたスネ夫を睨みつけていた。そしてこの話を聞いてしずかは再び残りの真珠を探そうとしたが、戻ってきたジャイアンから自分のポケットに入っていたことを明かされ、受け取った。
- 野比家にはスネ夫の母親は来ておらず、庭掃除をしていたママからアコヤケースを片付けるよう言われ、ドラえもんとのび太がこれを開けたことで真珠化したスネ夫を発見した。ちなみにこの時スネ夫は「う、う...」とかすかに唸っていた。
余談
そもそもの話、宝石に限らず希少価値が高いものほど価値があるのであって、希少価値が高いものをこれほど簡単に人造できるのでは天然ものの価値が暴落してしまうという根本的問題もある。
このネックレスは映画『のび太の結婚前夜』にて、母親からしずかに受け継がれることになる。
2016年版でドラえもんが養殖真珠を解説する場面では放送当時の時事ネタを踏まえてか、真珠養殖の発祥地として有名な三重県の賢島が登場している。なお、この時ドラえもんの声優だった水田わさびは三重県出身である(ただし、本人の出身地は伊勢志摩ではなく伊賀地方)。