本名アーノルド・アロイス・シュワルツェネッガー(Arnold Alois Schwarzenegger, Austria, 1947-)
ボディ・ビルダー出身のハリウッド俳優、元カリフォルニア州知事。
筋骨隆々とした体格を持ち、スーパーマン的なタフネスを体現する配役を多くこなす。
有事の際には自ら銃を取り駆けつける。
シルヴェスター・スタローンとはライバル兼親友である。
概要
1947年、オーストリア生まれ。
子供時代は病気がちで痩せっぽちだったということだが、ある時ボディビルに目覚め、学校と食事、風呂、睡眠以外の時間は全て納屋を改造したトレーニングルームで過ごしたとも言われる。
18歳の時に徴兵によりオーストリア連邦軍に入隊し、第4戦車大隊の戦車兵となった。除隊後はオーストリアン・オークの異名を取るボディビルダーとしてその名を馳せた(兵役義務中に無断外出して大会に出場、優勝したというエピソードもある)。ミスター・ユニバースを5回、ミスター・オリンピアを7回受賞している。
アメリカに渡り1970年頃から俳優業に転身。その体格を買われ、ヒロイックなタフネスを体現する配役を多くこなしていった。
1970年公開の映画「SF超人ヘラクレス」でハリウッドデビュー。当時日本では「ハリウッドのヘラクレス」と紹介されていたが、俳優としては酷いオーストリア訛りも災いしてパッとしなかった。
1982年に「コナン・ザ・グレート」の主演に抜擢され、「フラゼッタのイラストの再現」と称され一躍ハリウッドスターの仲間入りを果たす。この頃まで名前のカタカナ表記は「シュウォルツェネッガー」であった。
1984年には「ターミネーター」に殺人ロボット・ターミネーターとして出演。死と恐怖を体現したその姿は全世界に衝撃を与え、本作と配役であるターミネーターT-800は彼の代名詞になるに至った。
ただの恐怖役のみならず、続編たる「ターミネーター2: Judgement Day」では主人公の味方役となる。主人公である少年とのやり取り、そして有事には全力を持って主人公たちを守るため戦うその雄姿は「理想の父親」的ですらあり、シュワルツネッガーという俳優の人気を不動のものとした。
1985年には痛快アクション映画「コマンドー」では今までの無口で大柄、「ターミネーター」での冷酷な殺人マシンというイメージから一転、見事にビルドアップされた肉体と、それを存分に活かしたアクション、随所にちりばめられたセンスのいいジョークを披露し、この作品で正義の味方としてのイメージを確立すると共に、アクションスターの地位を不動のものとした。
また、この映画がきっかけでコメディ映画にも出演するようになったのである。
1983年にアメリカ国籍を取得(現在もオーストリア国籍を持っている)。
1997年には「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」のMr.フリーズ役で「ターミネーター」のT-800以来、久々に悪役を演じた。この時アメリカでは不評の声が多かったが、それ以外の国では好評だったとの事。
2003年、共和党候補としてカリフォルニア州知事選挙に出馬、見事当選を果たす。以来2011年に任期切れによって退任するまでカリフォルニア州の州政治を執った。
上記「ターミネーター」、「コマンドー」の印象が強い日本では「ターミネーター知事」、「コマンドー知事」、「一人エクスペンダブルズ」などと呼ばれることもあった。
2012年に「エクスペンダブルス2」で本格的に俳優業に復帰、2013年には復帰後初主演映画となる「ラストスタンド」が、2015年に「ターミネーター: 新起動/ジェニシス」が公開されている。
ちなみに、ミシガン州立大学の学生が集計した、映画の中での殺害人数で第1位(369人)を記録している(この集計には、1960年以前の映画とB級映画は含まれていない)。
1977年、ボディビルダー時代に筋肉増強剤を使用していたことを告白したが、当時を知る人達は「薬を使っていたとしても彼は誰よりもストイックに、誰よりもヘビーなトレーニングを自らに課していた」と語っている。
エピソード
ちなみにライバルのシルヴェスター・スタローンは、後期ケンシロウのイメージモデルとなっている。(初期のモデルはブルース・リー)
ラストスタンドの撮影中に怪我を負って手術室から出た際、入れ違いにスタローンが手術室に運び込まれるという事があった。
カリフォルニア州知事時代にドイツを訪問した事があるが、その際自身の話すドイツ語が全く通じなかった。
アメリカ暮らしが長かったからではなく、ドイツとシュワルツェネッガーの母国オーストリアは同じドイツ語を話すとは言っても全く異なる系統のドイツ語だった事が原因。
ちなみに事前に通訳を付ける様進言されたが断っていたりする。
1969年に出場したボディビルの世界大会「ミスター・ユニバース・ボディビル・コンテスト」のフィルムが公開されている。
担当声優
玄田哲章
ご存知本人公認の吹き替え声優。
日本語吹き替え版では85年の『コマンドー』より玄田が当てる事が多くなり、雑誌メディア等も彼の映画作品の特集を組む際には吹き替え声優としてインタビューを受けており、吹替に詳しくない映画ファンからも人気が高い。
アニメや他の映画でシュワルツェネッガーをパロディにしたようなキャラクターにも起用されているほか、初期のビデオ版では屋良有作をはじめ他声優が担当している作品が多いが、作品の時期を問わずテレビ放送の際はほぼ玄田である。
その後は特に20世紀FOX作品おいて、玄田以外のバージョンしかない作品も玄田版(TV吹替の流用など)が追加、もしくは置き換えられて再発売されている作品がある。パッケージラベルに「シュワルツェネッガーの声といえば玄田哲章」という赤いシールが貼ってある。
長らく二人の間に縁はなかったが、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』にて30年越しの初対面を果たす。長らく興味があったとしたシュワルツネッガーは、玄田に「今後100年間演じて欲しい!」とエールを送り、事実上の公認となった。
英雄コナン@コナン・ザ・グレート(テレビ朝日版) | T-800@ターミネーターシリーズ | ジョン・メイトリックス@コマンドー(テレビ朝日版、吹替の帝王版) |
ダッチ・シェイファー@プレデター(テレビ朝日版) | ダグラス・クエイド / ハウザー@トータル・リコール(テレビ朝日版) | ハリー・タスカー@トゥルーライズ(フジテレビ版) |
ジョン・クルーガー@イレイザー(日本テレビ版) | ハワード・ラングストン@ジングル・オール・ザ・ウェイ(フジテレビ・BD版) | ミスター・フリーズ@バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲(テレビ朝日版) |
ゴーディー・ブルーアー@コラテラル・ダメージ | トレンチ(右)@エクスペンダブルズシリーズ | レイ・オーウェンズ保安官@ラストスタンド |
エミル・ロットメイヤー(右)@大脱出 | ジョン・“ブリーチャー”・ウォートン@サボタージュ | |
屋良有作
かつての担当吹き替え声優。
ターミネーター以後の80~90年代の作品を多く担当。上記のように現在ではテレビ放送、ソフト版のリニューアルなどで玄田になっている作品の多くは当初屋良が吹替えをしていた物が多い。20世紀FOXの吹替の帝王シリーズのインタビューでは当時の事はほとんど覚えていないが、シュワルツェネッガーの体格などはあまり意識せず自分なりの演技をしたとの事。次第に玄田の担当が増え始め、玄田が担当した作品を観ると「シュワルツェネッガーは玄田さんだと思った」と語り、20年近く経っての追加収録に際しては当時の自分に近づけるのは難しかったと語っていた。コマンドーの追加収録時にも当時に比べると声が変わったと感じるし、当時は演技的にも未熟な感じがして恥ずかしいと回想していた。
なお、『コマンドー』、『プレデター』の二作は、20世紀FOXの吹替の帝王シリーズより両者の吹替えを収録したソフト版が発売されている(両作ともに『吹替の帝王シリーズ』以外のソフト版では玄田版が収録された物が発売されている)。
また、『ジングル・オール・ザ・ウェイ』ではVHS、DVD用のソフト版が屋良版、フジテレビが制作した玄田版がBDに収録された。なおフジ版では屋良は準主役の別の役の吹替えを行っている。
『コマンドー(TBS版)』ジョン・メイトリクス | 『プレデター(フジテレビ版)』ダッチ・シェイファー | 『トータル・リコール』ダグラス・クエイド / ハウザー |
『イレイザー』ジョン・クルーガー | 『ジングル・オール・ザ・ウェイ(VHS・DVD版)』ハワード・ラングストン | |
その他声優
他にも大友龍三郎や大塚明夫、古田信幸、津嘉山正種、銀河万丈、麦人、堀勝之祐、大塚芳忠、菅生隆之が吹き替えを担当した作品もある。