式波・アスカ・ラングレー
しきなみあすからんぐれー
概要
CV:宮村優子。
TV版および旧劇場版では「惣流・アスカ・ラングレー」という名だったが、新劇場版では「式波-」と改姓された。pixivでのタグは単にアスカを使用されることが多い。
登場は第二作目『破』から。名前も含め旧劇までのアスカからいくつかの変更がなされている。
旧作におけるアスカ(惣流・アスカ・ラングレー)との違い
外見
ほぼ旧作と一緒だが、髪の色がかつての橙色(あるいは茶色)から、より企画当初の設定画に近い黄土色掛った金髪に変更されている。また、プラグスーツのデザインも旧作とは細部が若干異なっている。更には「テストスーツ」という過激なデザインのスーツを着用する姿も披露した。
性格
勝気で尊大なところは旧作と同様だが、旧作アスカが(少なくとも表面上は)比較的社交的な性格だったのに対し、こちらは孤独を好み、いかなる時も排他的な態度を崩さない。もっとも、惣流がその複雑な内面から、心の深層部分においては孤独に生きようとする一面を常に保ち続けていたのに対し、式波はわだかまりが解けてデレるのは早かったが。
破において旧作通りのままでは物語上においてアスカの役割が無く「脇で騒いでいるキャラ」になってしまうことを懸念して3号機に乗せることになった。庵野秀明のコメントでは
鶴巻から「TV版のトウジを失ったときと同様のショックと喪失感をシンジ及び観客に与えねばなりません。そのためにはアスカを思い切って『良いキャラ』として描いてしまうことで、その喪失感を大きく見せたいと考えます」といった提案メモが来て、「うん。それはそうだよな」と。
との理由で惣流から性格が変更されたようである。
人間関係
旧作での憧れの人物であった加持リョウジとは何の面識も持たず、何の感情も抱いていない(これは旧作アスカとの最大の相違点の一つでもある)。その影響もあってか(加持の元恋人である)ミサトとの仲は至って良好。彼女に対しては己の内なる心情を吐露する程に心を許している。
シンジやレイに対しても、旧作終盤では一種病的なまでに歪んだ感情を抱いていたのに対し(特にレイへの憎悪は自身のトラウマとも相まって酷いものがあった)、新劇場版では上述の通り、年相応の健全な関係を築いている。
生い立ち
旧作では「EVAとのシンクロ実験中の事故で母親が正気を失い、我が子と認識されなくなった」という悲惨な過去を抱えていたが、新劇場版では生い立ちや家族構成が一切語られておらず、詳細は不明。ただ、劇中の独白シーンで「あたしをちゃんと見てくれる人は初めからいないし」と語っている事から察するに、やはり決して恵まれた人生は歩んできていなかった模様である。
本編中での扱い
新劇場版:破
EVA2号機(新劇場版におけるEVA弐号機)のパイロットで、「第2の少女」と呼ばれる。
弱冠14歳にしてユーロ空軍のエースを務め、階級は大尉。艶やかな金髪碧眼を持つ天才美少女だが、性格は勝気で尊大、自身がEVAのパイロットであることに異常なまでのプライドを持つ。
最初の頃は主人公・碇シンジを始めとする皆を見下しており、(顔見知りである葛城ミサト以外には)誰に対しても攻撃的な態度を取り距離を置いて接していたが、第8の使徒との戦いにおいて独力では何もできなかった自分を悟って以降、徐々にその態度を改めていくようになった。
当初はシンジを「(NERV総司令・碇ゲンドウの)七光り」、綾波レイを「(同じくゲンドウの)依怙贔屓」と呼んで蔑んでいたが、やがてシンジに対してはほのかな好意を抱くようになり、彼が何かに付けてレイの世話を焼く姿を見ては、露骨に焼き餅を焼く様子を見せていた。
レイに対しては次第に“恋敵”としての認識を強めてゆき、対抗心を燃やすが、彼女が不器用ながらも純粋にシンジの幸せを願い、彼とゲンドウの仲を取り持とうとしている様を知ると、一歩引いた姿勢を見せるようになった。
その後、レイがシンジとゲンドウの和解のために食事会を予定したその日がEVA3号機の起動実験と重なることを知ったアスカは、自ら3号機の実験パイロット役を志願する。その際、「自分は孤高に生きてきたが、彼等との触れ合いの中で、他人と居るのも悪くないと思い至るようになった」旨を、3号機搭乗の直前ミサトに打ち明けた。
「そっか、あたし、笑えるんだ」。
実験開始を待つエントリープラグの中、彼女は初めて気付く。
だがその直後、3号機は第9の使徒によって侵食され、アスカを内部に取り込んだまま暴走。
迎撃に駆り出されたシンジは戦いを拒むも、ゲンドウの意向によって初号機のコントロールをダミーシステムに強制移管され、殺戮機械と化した初号機はこれを惨殺。
アスカはエントリープラグごと初号機に噛み砕かれた。
後に彼女の生存は確認されたものの意識は戻らず、身体の侵食痕は消えたが精神汚染の恐れがあるとの理由により厳重に隔離され、以降本編内での登場は無かった(五体満足かどうかの描写も無かった)。
更にその後、彼女の愛機であるEVA2号機までもが第10の使徒との戦闘において大破。
そのあまりの展開に、誰もが彼女の今後の出番を危ぶんだが……。
『破』本編終了後の次回作『Q』の予告編にて、アスカは左目を眼帯で覆った姿で、青空をバックに笑顔で登場。全国の彼女のファンは胸を撫で下ろした。
監督の鶴巻和哉は「あれがないとアスカファンに殺されるかもしれませんから」と自分からこの予告編の復活カットを入れることを要望したという。
ちなみに、鶴巻和哉はアスカ派である事を公言している。
新劇場版:Q
2011年8月26日の金曜ロードショーにおける『破(TV版)』放映時、本編終了後に公開された新作『Q』予告編カットでは改修されたEVA2号機を駆って宇宙空間で戦う姿を披露。更なる健在ぶりをアピールした。
またこのシーン自体は『Q』冒頭での宇宙に打ち上げられた初号機を回収するためのエヴァにおける初の宇宙戦である。
『Q』では『破』から14年が経っているため、実年齢は28歳に上がっているが、「エヴァの呪縛」によって肉体年齢は14歳のまま止まっている。3号機もろともダミープラグ初号機に撃破されてからの動向や眼帯の意味は不明だが、年齢が止まっている事以外は特に問題ない模様。
眼帯が青く光るシーンでは眼帯に模様が浮かんでいるのがうっすらと見えるが、その模様は第三の使徒の封印に使われていた呪詛柱の模様である使徒封印用呪詛文様と同じパターンが浮かんでいる。
ニアサードインパクトから14年眠っていたシンジには色々と複雑な心境で、再会した際には面会のガラスにパンチを一発かましている。またシンジの事は「ガキシンジ」と呼ぶようになった。
真希波・マリ・イラストリアスとは軽口を叩きあう程に関係は良好で、人類の生存のために力強く生きている。
冒頭でマリの8号機の援護を得て、宇宙に打ち上げられたEVA初号機を回収。その後ヴンダーを動かすべくエンジンに火をつけている。
フォースインパクトを引き起こすべく利用される碇シンジと渚カヲルの乗るエヴァンゲリオン第13号機と綾波レイの初期ロットが乗るMark.09を阻止すべく、マリと共にセントラルドグマまで降下する。
シンジを止めようとするが13号機のビットによって攻撃を弾かれてしまう。
その末にシンジはアスカやカヲルの制止を振り切って2本のロンギヌスの槍を引き抜いてフォースインパクトを引き起こしてしまう。
その最中ヴンダーの主機の座を奪おうとするMark.9に対し、改2号機の「コード777」(ザ・ビーストに近いモード)を発動させ取りついた後に撃破すべく改2号機を自爆。
その際アヤナミレイに自我が芽生えかけてる事を察して彼女の緊急脱出を促す。
フォースインパクト後はカヲルが死んで生きる気力をなくすシンジの背中を蹴りつけ「助けてくれないんだ、あたしを」と恨み言を吐いた(庵野いわく「プロの傭兵」のはずなのだが…)。一応アヤナミレイが付随する事を許すなど気を使ってる所も見られる。
なおこの際に「L結界が濃いからリリンは救助に来れない」ということを呟いており、アスカ自体がリリン(旧作における人類)ではないのではないかと推測されている。
シンエヴァンゲリオン劇場版𝄇
『Q』のラストからそのまま続く形で、シンジの手を引きながらリリンが近づける(L結界の薄い?)場所を目指していた
シンエヴァンゲリオン劇場版公開中につき、ネタバレ要注意!
目的地である第3村に到着してからは、シンジを乱雑に扱いながらも彼を気遣う様子が見られた。また、ある人物をニックネームで呼び、下着姿でいることに何ら抵抗がない様子でいるなど、その人物との親密な間柄も示唆された。(後に彼女の精神世界に彼が登場することからも、その親密さは明白)そして、彼女の頸部には、前作のシンジ同様、彼女への不信と罰の象徴が…
そして、紆余曲折を経て再びシンジがヴンダーに戻る決心をしたことで、彼をヴンダーに搭乗させる。
物語後半、NERVの計画を挫き、全てに決着をつけるため、セカンドインパクト爆心地での最終決戦に臨んだ彼女は、マリと共に空中を浮遊する黒き月内部のNERV本部へ乗り込む。
しかし、碇ゲンドウの策略にはまった彼女は、第13号機に取り込まれてしまう。その後、彼女の驚くべき事実が語られる。
※ここから先はシン・エヴァンゲリオン劇場版の終盤に関わるネタバレです。
実は、綾波レイと同じく、NERVによって造られた人間であったことが判明。シキナミタイプと呼称され、第13号機にはオリジナルアスカが搭乗していた。