アイルランド島
いわゆるブリテン諸島の一島で、英国の主島であるグレートブリテン島の西方アイリッシュ海を挟む形で位置する。
北東部は英国の飛び地状態となっている北アイルランドで、それ以外の大部分を後述のアイルランド共和国が占める。
アイルランド共和国
現地名は「エーレ」又は「エール」、古くは「エリン」とも呼ばれた。
地理
国土は全体的に低地が広がり、最高峰のキャラントゥール山でも1,038m。
大西洋を流れる暖流や偏西風などの影響で、緯度の割に比較的温暖な気候である。
経済
20世紀前半までは西ヨーロッパの中では経済発展が遅れていたが、1995年から2000年代にかけて「ケルトの虎」と呼ばれる経済成長を遂げた。
現在はIT産業を主軸とし、各法人税率を低く設定し外国企業の誘致をしている。
略史
古代にはヒベルニアとも呼ばれたアイルランドはローマの支配下には入らず、各小王国とそれを緩やかに統合する君主がいるという形が長く残った。
ク・フーリンやフィアナ騎士団といった伝説もこのような社会を背景として成立したとされる。
5世紀ごろまでケルト神話の神々(トゥアハ・デ・ダナーン)が信仰され、キリスト教もこの基盤の上に広がっていく。
10世紀~11世紀にかけてイングランドの勢力が東部のダブリンを始めとして徐々に進出。
ジョン王の時代までにはイングランド王は名目上「アイルランド卿」を名乗るようになるが、この時代は依然土着の領主の勢力が強かった。
その後ピューリタン革命による英国での内戦を機に、オリバー・クロムウェルらがカトリック派の討伐を口実にアイルランドに軍事侵攻。
地元領主の土地を取り上げるなど勢力を弱体化させると共にブリテン島からの移民を推進。
この結果アイルランドに多数の不在地主が生まれ、地元民の小作農化も進んだ。
こうして英国の支配下におかれたアイルランドでは、住民の宗教対立や不平等な扱い、さらにジャガイモ飢饉などでの対策不足から反英感情が全体的に高まっていき、米国などへの移住や独立運動に転じる者が増えていった。
1938年イギリス連邦加盟国として独立を果たし、1949年同連邦から離脱した。
ただしブリテン系住民の多い北部6州は、住民投票の結果連合王国の構成国として英国に留まる。
その後も親アイルランド派と親英派との武力抗争が近年まで長く続いた。
社会文化
ケルト系文化を色濃く残しているとされている。
現在全体としてキリスト教社会となっているが、ケルト神話に登場する英雄クー・フーリンは政治闘争のシンボルにされたりと国民的な人気を誇り、中央郵便局にも彫刻が残っている。
伝統的な料理として主に羊肉を使ったアイリッシュシチューがあり、ポトフや肉じゃがのような外見である。
また英国、米国、カナダ、日本と並ぶ世界有数のウイスキー生産国である。
国民の約85%がカトリック教徒で保守的な風潮が強いとされてきたが、2015年に同性婚が合法化された。
(主なアイルランドの伝承関連)
- ガンコナー(妖精)
- クラウ・ソラス(魔剣)
- ジャック・オ・ランタン(妖精)
- リャナンシー(妖精)