概要
スーパーXの後継機であり、三友重工製。陸上自衛隊所属であるため、スーパーXと異なり、全体に濃緑色の塗装がされている。自衛隊内では艦艇として扱われる。スーパーXシリーズのうち、唯一「対ゴジラ兵器」として開発された。
黒木特佐以下、「ヤングエリート」こと特殊戦略作戦室により管制される。
チタン合金の二倍の耐熱性を持つ合金「TA32」を外装としている。スーパーXの搭乗員がゴジラとの戦いで全員死亡したことを踏まえてか、当艦は操縦員保護のため無人機となっており、自動操縦・遠隔操作によって航行並びに戦闘を行う。また飛行のみならず、深度1000メートルまで潜水する事も可能である。
外見はスーパーX以上にのっぺりとしており、アイロンに喩えられる台形型のデザインを持つ。右舷上部にはカメラが突き出しているが、そのデザインからガンヘッドと呼ばれる事も多い。カラーリングからはサンダーバード2号に似ているとも。
底部に6基の垂直上昇用ジェットノズルと後部に2基の推進用ジェットノズルを持ち、垂直離陸・マッハ1での巡航が可能。
武装は、ファイヤーミラー以外は全て実弾兵器であり、シリーズで唯一レーザー砲やメーサー砲系の装備をしていない。これは、無人機とするために通信システムに電力を割く必要から、レーザー兵器を発射できるほどの電力の余裕がなかったことによる(断じて言うが予算の都合ではない)。
装備
ファイヤーミラー
当艦の目玉兵器。艦首が左右に割れ、従来の鏡の一万倍の耐熱性と反射力を持つ「人工ダイヤモンド」製の鏡が出現する。鏡の周辺には反射板が三面鏡状に配置される。
ゴジラの放射熱線をこれで受け止める事で、熱線に含まれる放射線光を1万倍に増幅し、黄緑色の光線にして撃ち返す(このあたりは、『ゴジラ対メカゴジラ』に登場したキングシーサーの光線反射能力を彷彿とさせる)。
ただしミラー部分はTA32ほど耐熱性が高くなく、繰り返し熱線を受けるとミラーが溶け、反射光の照準も正確にコントロールできなくなるという欠点も抱えている。さらに、ミラー周辺の反射板は修理の際交換できるものの、ミラー本体はスーパーX2に完全に固定されているため交換ができない。劇中ではこれが仇となり、最終的に撃墜されてしまうこととなる。
技術そのものは高く評価されており、後のスーパーメカゴジラ、MOGERA、スーパーXⅢには、ファイヤーミラーを応用した、「ミラーコーティング」が施され、ゴジラの放射火炎によるダメージを大幅にカットすることに成功している。更にMOGERAにはより発展・強化された新素材「ブルーダイヤモンドミラーコーティング」が試験的に施されている。
また、相手を常に正面に据えながら、火器や攻撃兵器で攻撃を仕掛けるという戦闘スタイルは、後にメカゴジラまで踏襲されていくことになる。
スーパーミサイル
艦上部にせり出して発射される大型ミサイル。連続発射する事で、ゴジラを足止めするほどの威力を誇る。
40mmバルカン砲
艦首両舷に装備された機関砲。普段は格納されている。大阪での戦いで使用された。
特殊魚雷
艦首底部に4門設けられた魚雷発射管から発射される。
スーパーナパーム
スーパーミサイルと発射台を共用するナパーム弾。劇中未使用。
劇中の活躍
大島・三原山から復活し、東京を目指すゴジラを迎撃すべく発進、浦賀水道で交戦する。ファイヤーミラーを利用してゴジラの進行を妨げるが、ファイヤーミラーを多用したためにミラーを破損。止むを得ずミサイル攻撃に切り替えたが、尻尾の一撃を受けて操縦不能となったため、自動操縦により基地に帰還する。基地にて修理を受けたものの、ファイヤーミラーは修復されないまま前線に復帰する事となる。
ゴジラは箱根:芦ノ湖での対ビオランテ戦闘後、太平洋へ戻り行方をくらました。黒木特佐は、ゴジラは名古屋に上陸すると予想し、スーパーX2は多数の海上自衛隊艦艇とともに伊勢湾に配置される。
ところがこの予想に反し、ゴジラは大阪湾に出現した。スーパーX2を除く陸上自衛隊はゴジラの予想到達地点である若狭で体勢を立て直し、スーパーX2は大阪にて単独でゴジラを迎撃する作戦が立てられる。
時を同じくして、サラジア共和国エージェントに奪われていた抗核エネルギーバクテリアが自衛隊により奪還されたため、スーパーX2はバクテリアをゴジラに打ち込むための陽動を行うよう作戦変更された。
大阪ビジネスパークに侵入したゴジラに対し、スーパーX2はありったけのミサイル・バルカンを発射し、バクテリア弾を装備した自衛隊員の潜むビル群の中心部へゴジラを誘導した。ところが、ここで通常兵器の残弾が尽きてしまう。ゴジラを釘付けにするために、黒木はファイヤーミラーの展開を指示。ファイヤーミラーは放射熱線に耐えられずに破壊され、撃墜されたスーパーX2は爆発炎上した。しかし、ゴジラが撃墜したスーパーX2に気を取られた一瞬の隙をついて、特殊部隊がゴジラの体内に抗核エネルギーバクテリアを撃ち込むことに成功(ただし、この時、部隊を率いていた権藤一佐が戦死するという代償があった)、その後の若狭湾でのサンダービーム作戦へと繋がっていくことになる。
次回作「VSキングギドラ」で未来人により語られた歴史によれば、ビオランテとの戦いの後海に消えたゴジラは23世紀まで出現せず、日本は繁栄し世界一の大国となった。抗核バクテリアの注入を最優先し、スーパーX2を犠牲にした黒木の判断は正しかったことになる。同時に、その身を犠牲にして注入を成功させたスーパーX2は、対ゴジラ兵器としての任務を完遂したといえるだろう。
余談だが、検討用脚本第三稿では浦賀水道でゴジラと交戦した際、ゴジラが放射熱線を吐かずに小田原沖まで移動したため、スーパーX2もそのままゴジラを追撃し芦ノ湖で対決したが、現れたビオランテによって撃墜されるという展開だった。『VSビオランテ』のポスターはこの脚本をベースに描かれたもので、ゴジラの足元の湖面に浮かぶメカはデザイン決定前のスーパーX2である。
後継機
『ゴジラVSデストロイア』にて、後継機としてスーパーXⅢが登場する。
こちらはもともと対ゴジラ戦闘用ではなく、原発事故などの対処を目的として作られたものである。
また、黒木特佐もスーパーXⅢのパイロットの1人として再登場しており、暴走するゴジラやデストロイアの脅威へと立ち向かった。
怪獣黙示録
2039年の欧州奪還作戦時に実戦投入された。
ノルマンディーでのビオランテとの戦いで大きな存在を被ったスーパーXを現地で無人機へと改造したものらしい。
全部で2機存在していたらしいが、いずれもパリでのゴロザウルスとの戦いで撃墜され、失われてしまった。
衝撃の立体化
なんとコトブキヤより、1/144スケールで2014年12月に発売されることが決まった。ファイアーミラー展開やミサイルとナパームを差し替えで再現しているほか、おまけとして92式メーサービーム戦車が同梱されている。
ノベライズ版でのスーパーX2
「アングラー(アンコウ)」の名称で呼ばれる。機体の頭頂部に大出力の広角粒子ビーム砲を備えており、その姿がチョウチンアンコウに見えることからの命名。ファイヤーミラー関連の設定は一切なかったことになり、主武装は前述の広角粒子ビーム砲で従来の火器のように「爆発によるダメージ」ではなく、「高出力のエネルギー粒子によって対象を焼き切って攻撃する為、通常兵器の爆発に耐えるゴジラの堅牢な皮膚にも有効なダメージを与えうる」とされていた。抗核バクテリアは特殊ロケット弾として本機のランチャーに装填される。(その為ノベライズ版では権藤一佐は戦死しない)
作中での活躍は映画にほぼ準拠するが、最後はゴジラを粒子ビームで足止めしながら、最接近し、抗核バクテリア弾を撃ち込むことに成功、離脱する為に急上昇しようとしたところをゴジラに掴まれ、防御力の低い真下からの熱線を受けて爆散した。