概要
大阪に上陸したゴジラに対し、抗核エネルギーバクテリアを込めた特殊ロケット弾を撃ちこむ任務を受けた陸上自衛隊の権藤吾郎一佐は、特殊部隊員三名を率いて大阪ビジネスパークのビル街にスタンバイした。
スーパーX2にゴジラが気を取られた隙に、部隊は抗核バクテリア弾を4発中2発命中させ、任務は無事成功。隊員たちに引き上げを命じた権藤一佐だったが、ビルの窓から彼を発見したゴジラは、彼のいるTWIN21ビルに接近してきてしまった。上層階に居る権藤一佐に、もはや脱出する時間は残されていない。
必死で脱出を促す部下の無線を尻目に、黙々とランチャーを準備する権藤一佐。
振り返ると眼前で吠えるゴジラの姿。
しかし彼はその瞬間、相手の巨大な口の中に抗核バクテリア弾を発射、みごと命中させるのだった。
「薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさん!」
笑みすら浮かべて、不敵なセリフを吐く権藤一佐。怒ったゴジラにビルは破壊され、彼は帰らぬ人となった。
解説
ゴジラシリーズはウルトラシリーズ等と違い、怪獣と人間の力の差があまりにも歴然としているため、「生身の人間が巨大な怪獣に挑んでいく」というようなシチュエーションが殆ど無い。そのため、確実な死が目前に迫る中、ゴジラを相手に一歩も引かずに挑んだ権藤一佐の勇姿と最期のセリフは、ゴジラシリーズでもひときわ印象深く、高い人気を誇っている。
後にも先にも、バズーカ一丁で堂々正面からゴジラに挑んだ人間は彼だけなのだから。
余談
25年後の「GODZILLA-ゴジラ-」では、主人公が、自分に狙いを定めたムートーを前にピストルを構え、最後まで戦う姿勢を見せるという、権藤一佐のシーンにも通じる名場面が作られた。
が、映画館での観客のリアクションを集めた動画を見る限り、アメリカ人にはウケが悪かったらしく、失笑を買っている。
台詞の内容が本当なのかというと、実際には、普通の薬は経口摂取よりは静脈注射の方が効くらしい。まあ薬と言うよりは病原菌を撃ちこんでるわけだし、あくまで「飲むのに限る」というのは、権藤一佐が注射嫌いということかもしれない。
小粋なジョークに深く突っ込むだけ野暮であろう。
だが、それから27年後の「シン・ゴジラ」と「しんちゃん対シン・ゴジラ」で経口摂取だからこそ通用する存在が現れることになる……。
「クスリはやっぱり注射に限るぜ、怪獣サンよォ!!」という正反対のセリフがある。
『ウルトラマンZ』の第20話では『ゴジラVSスペースゴジラ』に出演した橋爪淳氏が演じるイナバ・コジローがM1号にバズーカ砲で抑制剤を口の中に命中させるというオマージュと思われるシーンが見られた。
関連タグ
ゴジラ ゴジラVSビオランテ スーパーX2 抗核エネルギーバクテリア
表記ミス
以下ネタバレ注意
2023年公開の「ゴジラ-1.0」では、機雷除去作業の木造船「新生丸」に乗っていた敷島浩一は船に搭載された機銃と回収した機雷で追いかけてくるゴジラに応戦し、口に挟まった機雷を機銃で撃って爆発させるシーンに権藤一佐のシーンを連想した人もいるのではないだろうか(ただし、新生丸搭乗員は負傷者を出しながらも全員生存した)。
そして、その時に見た【内側からの爆発には脆い】という情報が終盤の作戦に生かされた、かもしれない。