その他曖昧さ回避
- 上記の馬をモデルにした、ゲーム『ウマ娘プリティーダービー』のキャラクター。
現在pixivにおいては大半がキャラクターの表記揺れとして使用されているが、本記事では原義であるレシプロエンジンのターボチャージャー機構について解説する。
注意:検索妨害を避けるため、イラストのタグ付けは正しくお願いします。
自動車のツインターボ
簡潔に言うと、エンジンの排気の勢いを利用し、通常より多くの空気を圧縮し送り込む(=過給する)ことでハイパワー化する機構がターボチャージャー(ターボ)である。
エンジンが大きくなればなるほど、その排気量に対し十分な過給を行うために、より大型のターボチャージャーが必要となる。
しかしあまり大きすぎるターボチャージャーを採用すれば、運転者がアクセルペダルを踏んで排気が十分にターボチャージャーのタービンを回す力を得るまでにかかる時間(ターボラグ)が大きくなり、加速の反応悪化につながる。つまり俗に「ドッカンターボ」と呼ばれる、アクセルをエイッと踏んでしばらくしてから突然ドンッ!と加速するような、扱いづらいエンジン特性になってしまうのである。
そこでターボチャージャーを2基に分割し、小型のタービンで半分の気筒それぞれを担うようにしてターボラグを抑えるのがツインターボである。排気量にして2,500cc以上、気筒数にして6気筒以上のエンジンにはツインターボが用いられることが多い。
メイン画像と上の日産スカイラインGT-R専用のRB26DETT(RB26)に代表されるように、V型8気筒以上の大型エンジンが稀な日本車においてはツインターボはトップクラスの高性能エンジンの証である。
ただし上記の通り、ツインターボ化の主目的はアクセル開度に対するレスポンスの改善であり、パワーだけ求めるのならむしろ1基だけの方が都合がいい。つまり「ツインターボだからハイパワーになった」というのは因果関係が逆であり、「運転しやすさを維持しつつハイパワー化するためにツインターボ化した」というのが厳密には正しい。
対義語として、ターボが1基だけのものは「シングルターボ」と呼ばれる。逆にドイツ車では3基の「トリプルターボ」、4基の「クアッドターボ」までが存在する。自然発火させるためにノッキングのリスクがないディーゼルエンジンは特にターボチャージャーの多基化と相性が良いため、BMWには排気量3.0L・直列6気筒でもクアッドターボのものが存在する。
シーケンシャルターボ
上記の通常型ツインターボとは異なり、エンジンの作動状況によって2つのターボチャージャーを使い分ける方式で、構造別に「直列型」と「並列型」に分けられる。
直列型は大きさの違うタービンを直列に接続した配置で、低速時に小径のタービンに排気ガスを集中させてターボラグを小さくし高回転時に大径のタービンに切り替える。
並列型は動径のタービンを並列に設置しエンジンの回転数によって作動させる個数を調整するもので、低速時にはタービンを1個、高回転時には2個を作動させて高出力を出す仕組みである。
ちなみに頭文字DでRX-7駆る高橋啓介が吐いた名言「クソッタレが セカンダリータービン止まってんじゃねーのか!!」の「セカンダリータービン」とは、この並列式で高回転時に動き出す方のことである。
ツインスクロールターボ
ややこしいが、ツインターボとは別物。決定的に異なるのは、ツインスクロールターボはシングルターボということである。
ターボの基数はそのまま、排気ガスで空気を圧縮するためのコンプレッサーを2つに分ける。これによりそれぞれの気筒(ピストン)から発生する排気ガス同士の干渉を低減するのが目的である。
BMWが喧伝する「ツインパワー・ターボエンジン」はツインターボではなく、ツインスクロールターボのことである。
鉄道車両のツインターボ
あまり知られていないが、実は鉄道車両用エンジンにもツインターボ仕様の機関は存在する。
代表的なものとして、DD51形ディーゼル機関車に搭載されたV型12気筒の「DML61Z型」がある。
その後の改良によって「DML61ZA型」、「DML61ZB型」(ともにDE10形用)や、「DML61Z-R型」(除雪機関車DD53形用)が登場し、国鉄時代設計のディーゼル機関車の標準型エンジンとなった。
エンジンを床下に搭載する気動車においては小型のシングルターボエンジンが主流であるが、急勾配での登坂を念頭に開発されたキハ181系やキハ183系、キハ65などではツインターボ構造の「DML30HS型」を採用していた。
民営化後も、JR貨物・JR九州のDF200形やDD200形機関車、JR東日本の電動車両と気動車両を組み合わせた周遊型寝台列車トランスイート四季島専用のE001形にも採用されている。