概要
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に属するスパイダーマンを主役とする3つの映画の総称。由来は全ての副題に「ホーム」が付いていることから。
ピーター・パーカー/スパイダーマンを演じるのは若手イギリス人俳優のトム・ホランド。
シリーズ一覧
No. | タイトル | 公開(全米 / 日本) |
---|---|---|
1(16) | スパイダーマン:ホームカミング | 2017年7月7日 / 8月11日 |
2(23) | スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム | 2019年7月5日 / 6月28日 |
3(27) | スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム | 2021年12月17日 / 2022年1月7日 |
※括弧内はMCU全体。
沿革
「アメイジング・スパイダーマン」シリーズの打ち切りをきっかけに、スパイダーマンの実写映画化権を持つソニーと、MCUを制作するマーベル・スタジオが二重契約によりスパイダーマンをシェアしている。
これは、ディズニーとマーベル・スタジオが制作しているMCU(『アベンジャーズ』をはじめとする一連のシリーズ)と世界観を共有する新たなスパイダーマンを、ソニーピクチャーズとディズニーが共に展開していくというものである。
2019年には、ディズニー・マーベルとソニーが大揉めしてしまい、一時はスパイダーマンのMCUからの離脱が発表される騒ぎが起きている。
※当初は、"マーベル・スタジオの社長ケヴィン・ファイギがスパイダーマンシリーズに関与しなくなるというニュースを曲解したもの"という憶測もあったが、その後、ファイギとトム・ホランドがイベントの中でスパイダーマンがMCUから離脱することを正式に認める発言をしたことで、スパイダーマンのMCUからの離脱は最早疑いのない事実となってしまった。
この頃、MCUはちょうど『エンドゲーム』が無事公開され、これから『ファー・フロム・ホーム』を経てフェーズ4へと突入していくという段階にあったが、そのフェーズ4では他ならぬスパイダーマンが主軸を担っていくと発表されていたため、ファンはもちろん共演した俳優達をも巻き込む大騒動となった。
ファンの間では署名活動も起き、一部の過激なファンがソニー製品の不買運動を呼び掛ける等混乱が広がった。また、ホークアイ役のジェレミー・レナーが自身のインスタグラムの中で
「ソニーさん、そろそろスパイダーマンの権利をMARVELに返してあげましょうよ(意訳)」
と投稿する等、関係者の間でもこの一件がシリーズに少なくない影響を与えることを危惧する意見が上がった。
ちなみに衝突の理由は、ディズニー側が利益の取り分を上げるよう求めたのがきっかけ。もともとディズニーは、ソニーが権利を持っているスパイダーマンを使用するにあたり「製作費は折半・利益の取り分は5%のみ」という破格の条件で契約を結んでいたのだが、いきなり「これからは製作費も利益も折半」、つまり利益の取り分を5%→50%に上げる条件を再提示したため、ソニーを怒らせてしまったようだ。
結局この衝突は、ディズニー側が譲歩する形で和解を見たため、スパイダーマンがMCUから姿を消す事態は回避された。
この交渉には、トム・ホランドがディズニーとソニーのそれぞれのCEOを直談判し、両社の架け橋になったとの事。
そして2021年12月に完結編『ノー・ウェイ・ホーム』が無事公開。
ただスパイダーマン自体は今後もMCUに出る予定で、主役となる作品の制作も発表されている。
- 『4』『5』『6』に当たる新三部作
ソニー側から発表された…とされているが、正式ではなく、やや不透明。
一応、『ノー・ウェイ・ホーム』ではある人物が持ち込んだものの行方が気になる結末が描かれており、続編を示唆するものではある。
- ピーターが能力を得て1年目を描くアニメ『Spider-Man: Freshman Year』
マーベル・スタジオから発表。こちらは着々と進んでおり、2024年配信予定。
当初は三部作、正確に言えば『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の前日譚とされていたが、時期発表と同時に別アースでの出来事と告知され、メンターはなんとノーマン・オズボーン。
クラスメイトもMJとネッドに代わり、ノーマンの息子のハリー・オズボーンや、コミックでは実質2代目のハルクであるアマデウス・チョウ、同じくランナウェイズの一員のニコ・ミノル。
さらにデアデビルやドクター・ストレンジ、またヴィランとしてドクター・オクトパス、ライノ、スコーピオンらが確認できる。
シーズン2にあたる『Spider-Man: Sophomore Year』、つまり2年目を描くアニメの制作も既に決定している。
特徴
まず大きな点として、過去の実写映画版シリーズ(サム・ライミ版、アメスパ)と異なり、ピーター・パーカーがシリーズを通して現役高校生であることが挙げられる。
これにより青春映画の要素が強く出ており、甘酸っぱいラブコメディや、親友や級友とのからっとした爽やかなシチュエーションが多くみられる。
そして三部作はそれぞれピーターが1年生・2年生・3年生の出来事を書いており、総じてピーターの高校生活を網羅したシリーズとなっている。
他のMCU作品と比べて、お馴染みのヒーローや主要な関係者の客演が多いのも特徴で『ホームカミング』ではアイアンマン/トニー・スターク、『ファー・フロム・ホーム』ではニック・フューリー、『ノー・ウェイ・ホーム』ではドクター・ストレンジ/スティーヴン・ストレンジがそれぞれ重要な役割として登場している。
特にトニー・スタークは、直接的な登場は『ホームカミング』のみではあるが、MCUではスパイダーマン/ピーター・パーカーの師匠という事もあり、以降の作品では物語の中で何かしらの影響を与え、更にハッピー・ホーガンやペッパー・ポッツも登場した事もあって、実質的にアイアンマンの続編または外伝とも捉えられる作品となっている。
また過去のMCUシリーズのサブキャラクターの再登場も多い。
『ホームカミング』では、『インクレディブル・ハルク』で大学生だったロジャー・ハリントンがピーターの学校の先生として再登場、また『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』でキャップの仲間の一人ジム・モリタを演じたケネス・チョイがジムの子孫でありピーターの学校の校長のモリタ役で登場した。
『ファー・フロム・ホーム』では、『アイアンマン』に登場したスターク社の科学者ウィリアム・ギンター・リヴァが再登場した。
配給にSONYが関わっているからか、いわゆる「芸能人声優」が少なく、他シリーズからの客演を除けばアニメで活躍する専業声優・アイドル声優の起用が多いことも特徴と言えるだろう。
そもそもMCUのみならず、スパイダーマンの実写映画は全体的に見ても芸能人声優の起用が少ない。中村獅童や中川翔子といった例外もいるが、いずれも過去に声優経験があり演技力も高いと評価されている。
なお『ノー・ウェイ・ホーム』では藤森慎吾・尾上松也がそれぞれ端役で出演しているが、これは2人がYouTubeで配信されているソニーピクチャーズの宣伝番組の司会を務めている関係でのいわゆる"友情出演"である。ちなみに尾上氏はスパイダーマン・ユニバース(SSU)の映画『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』『モービウス』にも同じく端役ではあるが出演している。
その代わりなのか、他のMCU作品と異なり、日本語吹き替え版にはタイアップの主題歌が用意されている。
余談
ピーター・パーカー役には元々は"アメスパ"で同役を演じたアンドリュー・ガーフィールドにオファーされていたが、それまでの彼の演じてきたキャラクター性と大きく異なるため、アンドリュー側が断った。
これは、2003年版の『ハルク』でブルース・バナー役を務めたエリック・バナにMCU版のブルース役としてオファーが来て、エリック側が断った事例と似ている。
監督は全作通してジョン・ワッツが手掛けているが、「ジョン・ワッツ版」とは呼ばれない。
後に同氏はMCU版『ファンタスティック・フォー』の監督も務めることが発表されたが、脚本段階で降板している。
関連タグ
ダークナイト・トリロジー:アメコミ実写映画の三部作繋がり。こちらはDCコミック。
実写映画シリーズ
サム・ライミ版 → アメイジング・スパイダーマン → ホーム三部作 → MCU新三部作(予定)