グラスワンダー
ぐらすわんだー
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選ばれた夢
歴戦のジョッキーが選んだのは、骨折を克服した3歳チャンピオンだった。
傷は癒えた。しかし、走りを取り戻せない日々が続く。
そして迎えた冬のドリームレース。1年ぶりに点火されたターボエンジンが爆発した。
グラスワンダーは夢のように勝ち、夢のようなレースを見せる。
7年ぶりにレコードを更新した朝日杯3歳ステークス。
現役最強の座を争い、力を見せつけた夏のドリームレース・宝塚記念。
驚異の爆発力を持つ夢の馬、グラスワンダー。未だその底を見たものはいない。
≪『ヒーロー列伝』No.47≫
Wonder Boy
その日、私たちは
歴史的な瞬間を
確かに目撃した。
それほど速かった。
ひたすら強かった。
この若き俊傑なら
苦境やライバルに
行く手を阻まれても
さらなる驚きを
積み重ねていくだろう。
≪『名馬の肖像』2017年朝日杯フューチュリティステークス≫
概要
生年月日 | 1995年2月18日 |
---|---|
英字表記 | Grass Wonder |
性別 | 牡 |
毛色 | 栗毛 |
父 | Silver Hawk |
母 | Ameriflora |
母の父 | Danzig |
5代内のインブリード | Nearco4×5 / Native Dancer5×5(母内) |
競走成績 | 15戦9勝 |
近親 | ディサイファ |
アメリカで生まれ日本に輸入された。
1997年デビュー。朝日杯3歳ステークス(現朝日杯フューチュリティステークス)ではリンドシェーバーのレコードタイムを塗り替える。
同年のJRA賞最優秀3歳牡馬受賞。
NHKマイルカップの最有力馬と目されたが、骨折。
主戦騎手の的場均もグラスワンダー騎乗を予定していたが、もう一頭のお手馬エルコンドルパサーでNHKマイルカップを制する。
秋にグラスワンダーが復帰、エルコンドルパサーと同じ毎日王冠出走が決まる。
選択を迫られた的場は悩み抜いた末にグラスワンダー騎乗を決断した
毎日王冠ではサイレンススズカに次ぐ2番人気に支持されるが5着。
アルゼンチン共和国杯は1番人気、6着。
有馬記念は4番人気で1着、エアグルーヴやメジロブライトやシルクジャスティスを破り世代交代をアピール。
99年は京王杯スプリングカップから始動。1年半ぶりの1400mのレースだったが1番人気に推され1着。
安田記念でも1番人気だったが、京王杯で破ったエアジハードに敗れ2着。
宝塚記念では春の天皇賞を制したスペシャルウィークが1番人気、グラスワンダーは2番人気だったがレースでは完勝。スペシャルウィークを3馬身突き離した。
秋は毎日王冠から始動。1番人気、1着。
ジャパンカップ出走を目指すが断念。
連覇のかかる有馬記念に出走。同年の天皇賞春秋連覇、ジャパンカップも制したスペシャルウィークと人気は伯仲。僅差でグラスワンダーが1番人気に。
レースでも大接戦。2頭が並んでゴール、写真判定ではわずか4cmグラスワンダーが先着していた。史上2頭目のグランプリレース3連覇(3連勝)と史上6頭目の同一年両GP制覇も達成。
同年のJRA賞では年度代表馬、最優秀5歳以上牡馬部門の得票数でグラスワンダー、スペシャルウィーク、エルコンドルパサーの3つ巴となり、選考委員会の協議の結果エルコンドルパサーが受賞。グラスワンダーとスペシャルウィークには特別賞が贈られた。
2000年は日経賞から始動。1番人気、6着。
京王杯スプリングカップ、1番人気、9着。
宝塚記念、2番人気、6着。
2001年シーズンから種牡馬となった。
産駒からは複数のGI勝利馬を送り出し、このうちスクリーンヒーローの系譜はモーリスへと繋がり、2021年のスプリンターズステークスでモーリス産駒のピクシーナイトが優勝。日本の中央競馬としては初の父系4世代に渡るGI制覇という記録を樹立した。
2020年4月、高齢を理由に種牡馬を引退することになった。
今後は明和牧場に移り、そこで余生を過ごす予定。
種牡馬成績
主な産駒
余談
どうも放牧場内に自生しているたんぽぽを食べるのが大好きなようで、少なくとも種牡馬時代は場内のたんぽぽを食べつくさんばかりの食べっぷりを見せていたようだ。(ウマ娘の方のグラスワンダーを演じた前田玲奈氏のツイートなどで確認できる。)
なお、このことに目を付けたのか、「寝ながらたんぽぽ食べてたら太っちゃったグラスワンダー」なる動画が一時期話題となったが、これはイギリスのshakalakabooomboom(シャカラカブンブン)という、無関係の馬の動画を(グラスワンダーのものと偽って)無断転載したものなので注意。
当然だが、元々の動画を撮影・投稿した人には何の罪もないので、誤解無きよう。また、そもそも動画内で食べているのもたんぽぽではなくシロツメクサである。
なお、間違われたシャカラカブンブン号は「完走すら難しい」と言われる世界最高の難度を誇るという障害競走・グランドナショナルを走りきった馬である。興味があれば調べてみると良い。