JRA広告
選ばれた夢
歴戦のジョッキーが選んだのは、骨折を克服した3歳チャンピオンだった。
傷は癒えた。しかし、走りを取り戻せない日々が続く。
そして迎えた冬のドリームレース。1年ぶりに点火されたターボエンジンが爆発した。
グラスワンダーは夢のように勝ち、夢のようなレースを見せる。
7年ぶりにレコードを更新した朝日杯3歳ステークス。
現役最強の座を争い、力を見せつけた夏のドリームレース・宝塚記念。
驚異の爆発力を持つ夢の馬、グラスワンダー。未だその底を見たものはいない。
≪『ヒーロー列伝』No.47≫
「THE WINNER」2012年宝塚記念
標的はただ1頭、同期のダービー馬だった。
今行くか?いや、まだだ。いや、今か。
一瞬の判断で未来を変えた、未知なる栗毛。
その馬の名は…
Wonder Boy
その日、私たちは
歴史的な瞬間を
確かに目撃した。
それほど速かった。
ひたすら強かった。
この若き俊傑なら
苦境やライバルに
行く手を阻まれても
さらなる驚きを
積み重ねていくだろう。
≪『名馬の肖像』2017年朝日杯フューチュリティステークス≫
誘導
- 競走馬
- 1をモチーフとしたウマ娘プリティーダービーに登場するウマ娘。→グラスワンダー(ウマ娘)
こちらでは1に関して解説をする。2に関してはリンク先のタグを使用する事を推奨。
概要
生年月日 | 1995年2月18日 |
---|---|
英字表記 | Grass Wonder |
性別 | 牡 |
毛色 | 栗毛 |
父 | Silver Hawk |
母 | Ameriflora |
母の父 | Danzig |
5代内のインブリード | Nearco4×5 / Native Dancer5×5(母内) |
競走成績 | 15戦9勝 |
近親 | ディサイファ |
(馬齢はレース名以外現表記)
アメリカで生まれ日本に輸入された。
1997年9月13日の新馬戦(芝1800m)でデビュー。単勝1.5倍の1番人気でスタートでやや立ち後れものの、すぐに先団にとりつき2番手を追走して直線で抜け出し、2着に3馬身差をつけ初勝利。続くアイビーステークス(当時は東京競馬場芝1400m)では、新馬戦同様鞭を使うことなく、レコードタイムに0秒2差の1分21秒9、2着に5馬身差をつけて連勝。さらに3戦目の京成杯3歳ステークスは、単勝1.1倍の1番人気となり、レースでは2番手追走から直線で独走状態となり、またしても鞭を使うことなく的場は何度も後ろに振り向き後続を確認する余裕すら見せ、2着に6馬身差で重賞初勝利を挙げた。
そして迎えた12月6日、2歳王者戦・朝日杯3歳ステークス(現・朝日杯フューチュリティステークス)(当時は中山競馬場芝1600m)を迎える。出走メンバーにはのちにスプリンターズステークスを勝つマイネルラヴ、函館3歳ステークスを制したアグネスワールドがいたが、当日は単勝オッズ1.3倍に支持された。レースでは中団からやや後方を追走すると、第3コーナー過ぎからスパートをかけ、2着マイネルラヴに2馬身半差をつけて完勝。勝ちタイム1.33.6は1990年優勝のリンドシェーバーが記録したレコードタイム1.34.0を0秒4更新、2歳馬で初の1分33秒台のタイムだった。この勝利はフジテレビで実況した三宅正治アナウンサーが
「マルゼンスキーの再来です!」
と実況するほどだった。同年のJRA賞最優秀3歳牡馬受賞。
NHKマイルカップの最有力馬と目されたが、骨折。
主戦騎手の的場均もグラスワンダー騎乗を予定していたが、もう一頭のお手馬エルコンドルパサーでNHKマイルカップを制する。
秋にグラスワンダーが復帰、エルコンドルパサーと同じ毎日王冠出走が決まる。
選択を迫られた的場は悩み抜いた末にグラスワンダー騎乗を決断した。(エルコンドルパサーはこの後蛯名正義が引退まで騎乗。)
毎日王冠ではサイレンススズカに次ぐ2番人気に支持されるが5着。
アルゼンチン共和国杯は1番人気、6着。
これで終わったかと思われたが迎える有馬記念・4番人気で出走。前年の年度代表馬エアグルーヴ、前年の有馬記念馬シルクジャスティス、同年の天皇賞(春)を制したメジロブライト、そして同年代の皐月賞・菊花賞を制したセイウンスカイが相手となった。レースは中段で待機し、3コーナー中間より朝日杯の時の脚色を見せて徐々に先頭に立ち、最後の直線を抜け出し2着メジロブライトを2馬身退けて快勝、復活を果たした。また、史上初の外国産馬による有馬記念制覇だった。
99年は京王杯スプリングカップから始動。1年半ぶりの1400mのレースだったが1番人気に推され1着。
安田記念でも1番人気だったが、京王杯で破ったエアジハードに敗れ2着。
宝塚記念では春の天皇賞を制したスペシャルウィークが1番人気、グラスワンダーは2番人気だったがレースでは完勝。スペシャルウィークを3馬身突き離した。
秋は毎日王冠から始動。1番人気、1着。
ジャパンカップ出走を目指すが断念。
連覇のかかる有馬記念に出走。同年の天皇賞春秋連覇、ジャパンカップも制したスペシャルウィークと人気は伯仲。僅差でグラスワンダーが1番人気に。
レースでも大接戦。2頭が並んでゴール、写真判定ではわずか4cmグラスワンダーが先着していた。史上2頭目のグランプリレース3連覇(3連勝)と史上6頭目の同一年両GP制覇も達成。
同年のJRA賞では年度代表馬、最優秀5歳以上牡馬部門の得票数でグラスワンダー、スペシャルウィーク、エルコンドルパサーの3つ巴となり、選考委員会の協議の結果エルコンドルパサーが受賞。グラスワンダーとスペシャルウィークには特別賞が贈られた。
2000年は日経賞から始動。1番人気、6着。
京王杯スプリングカップ、1番人気、9着。
宝塚記念、2番人気、6着。
2001年シーズンから種牡馬となった。
産駒からは複数のGI勝利馬を送り出し、このうちスクリーンヒーローの系譜はモーリスへと繋がり、2021年のスプリンターズステークスでモーリス産駒のピクシーナイトが優勝。日本の中央競馬としては初の父系4世代に渡るGI制覇という記録を樹立した。
2020年4月、高齢を理由に種牡馬を引退することになった。
今後は明和牧場に移り、そこで余生を過ごす予定。
種牡馬成績
主な産駒
母の父としての主な産駒
2021年グラスワンダー⇒スクリーンヒーロー⇒モーリス⇒ピクシーナイトで、史上4例目の親子4代GI制覇を達成。
2023年グラスワンダー⇒スクリーンヒーロー⇒モーリス⇒ジャックドールで、史上5例目の親子4代GI制覇を達成。
上記の事により2つのラインで親子4代GI制覇を達成するという、史上初の快挙も成し遂げた。
余談
どうも放牧場内に自生しているたんぽぽを食べるのが大好きなようで、少なくとも種牡馬時代は場内のたんぽぽを食べつくさんばかりの食べっぷりを見せていたようだ。(ウマ娘の方のグラスワンダーを演じた前田玲奈氏のツイートなどで確認できる。)
なお、このことに目を付けたのか、「寝ながらたんぽぽ食べてたら太っちゃったグラスワンダー」なる動画が一時期話題となったが、これはイギリスのshakalakabooomboom(シャカラカブンブン)という、無関係の馬の動画を(グラスワンダーのものと偽って)無断転載したものなので注意。
当然だが、元々の動画を撮影・投稿した人には何の罪もないので、誤解無きよう。また、そもそも動画内で食べているのもたんぽぽではなくシロツメクサである。
なお、間違われたシャカラカブンブン号は「完走すら難しい」と言われる世界最高の難度を誇るという障害競走・グランドナショナルを走りきった馬である。興味があれば調べてみると良い。
関連項目
グリーングラス- TTGの一頭。こちらは馬主・半沢信彌氏の実兄だった半沢吉四郎氏が所有していて、勝負服が同じ。
ゴールドシップグラスワンダーの前では大人しくする。
クロノジェネシスグラスワンダー以来史上三頭目のグランプリホース