曖昧さ回避
高河ゆんの漫画作品 → アーシアン(高河ゆん)
概要
『機動戦士ガンダム水星の魔女』の舞台となる時代アド・ステラにおける地球に住んでいる人々の事を指す。「地球居住民」とも呼称される。本作では宇宙で暮らす人間・スペーシアンとの関係は対等ではなく、経済格差に起因する差別感情に晒されている。
特徴
スペーシアンの企業行政法による一方的な工場設備接収に反対するデモでは、「地球居住民は宇宙事業の為に税金と労働を1世紀半捧げてきた」と訴えており、搾取される側である事が窺える。スペーシアン側はデモ隊の鎮圧にベネリットグループ御三家に連なるモビルスーツを投入したり、老朽化したインフラや建造物を管理するような事などをせず、アーシアンの生命・人権に頓着しておらず地球で暮らす人々は非常に苦しい状況に置かれている。
地球では採掘業が盛んらしく、これがパーメット資源の事を指すのであればA.S.122現在では水星を含めた産出星の一つとなるが、事故が起こる事も珍しくなく四肢を失ったりする事例もあるにもかかわらず、先述の通り満足な保険や治療を受ける事が出来ない待遇でありスペーシアンとは現代(?)に蘇った奴隷と植民地の関係であるといえるだろう。
旧来の国家の一部は衰退もしくは消滅しており、その一例として日本が描写されていた。先のデモが行われていた地域は不明であるが英語圏である事は確かであり、企業判断による武力行使がまかり通っている点を見るに、残存する国家も弱体化して相当に権限が低下しているのは間違いない。
ミオリネとシャディクの会話で「フォーカード17地区」なる区域の契約を彼が取り付けたとされ、これが地球が群雄割拠の事態に陥っている事を示唆するのであれば、より資本力に優れたスペーシアンが新たな統治者として入れ替わっていく状況である事が予想される。
また、地球では戦争孤児は珍しくなくアーシアンの反動・武装勢力が存在している事から、地球上での紛争や情勢不安な状況が続いている模様。
アスティカシア高等専門学園に在籍するごく少数のアーシアンは共に地球寮で生活している。スレッタとリリッケの会話から、単に地球生まれの人間を指すのではなく、地球圏の企業がスポンサーとなっている学生を弱者として軽んじる差別感情も含まれた呼称である様子。
その反面、地球寮内のアーシアン達の関係は良好そのもので、辺境の水星からの転入生であるスレッタ・マーキュリーに対しても偏見は少ない。スペーシアン嫌いのチュアチュリーとは一悶着あったが、すぐに和解している。
主なアーシアン一覧
アースノイドとアーシアン
アースノイドとは宇宙世紀における地球に住む権利を持った人間たちで、こちらでは宇宙移民政策を執り行う地球連邦の議会が地球側に存在するため、実質的政治権力をエリート官僚などが独占したため後に様々な軋轢と摩擦を生み出すことになった。もちろん例外的な事例や生活にあえぐ地球市民の描写も存在するのだが、アースノイドという言葉が出てきたときは上記のような意味で語られる。
しかし地球連邦政府は長年に渡り環境保全を名目に資産家や有力者などへ特権的な居住権を与え続けたため過度なエリート主義が台頭し、その実態は腐りつくし、地球生まれじゃないと見れば徹底的に見下すティターンズのような組織を生み出す温床ともなったため、相容れない思想や風土の者たちに絶えず不満を与え続けた(この傾向はアド・ステラにおいてはスペーシアンの描写に近しい)。そして彼らによって半ば強制的に排斥され、「宇宙に捨てられた棄民者」として長年過酷な開発事業を強いられてきたのがスペースノイドである。
一年戦争ぐらいまでのしばらくは豊富な資源や絶対的な利権などで有利な立場であったが、食料生産やエネルギーライフラインの確保などは主に宇宙側の開発によって賄われており、年代が進むにつれて立場は逆転していき、その過程でアースノイドとスペースノイドの対立関係はより一層強くなる。
スペースノイド側が地球に住む者の知識に乏しいために『重力に魂をひかれた者たち』と過激派スペースノイド組織から敵視されて攻撃を受け、被害者のアースノイドがスペースノイド全体を憎むようになるという悪循環に陥っている。
- ティターンズ、ブルーコスモス:他作品に登場する地球至上主義者の組織(ブルーコスモスは作中描写から反コーディネイター組織と思われがちでしかも支持母体に軍産複合体がついているものの、本質は自然保護団体である)。共に反動的な宇宙移民者やコーディネーターを目の敵にして弾圧や虐殺などの過激な行動を取る。スパロボなどで共演した場合は結託し合い、地球側市民から圧倒的な支持を集めると思われる。なお彼らと一括りにされて語られがちだが、OZとアロウズは反動勢力狩りこそすれど宇宙移民者に対する露骨な差別はしておらず、構成員にも地球生まれと宇宙生まれが混在する。
- 未来世紀:上述宇宙世紀に反してこちらは地球側の住民が劣勢。何せ地球全土をガンダムファイト(ガンダム版オリンピック)会場にするため殆どの国が宇宙に移住した世界観なので、どこもかしこも荒廃して荒れ放題。ただし一部ネオ・ホンコンのような自治体が国家として承認されるような事例も存在するが、肝心の国家元首がマフィアだったりキナ臭い風習が拭いきれない。現状、アド・ステラ世界に最も近い構造がこちらと言われている。