概要
2015年6月12日に発表された、『勇者であるシリーズ』の第3作にあたるイラストノベル作品。
著者は朱白あおい、イラストはBUNBUN、企画原案・シリーズ構成はタカヒロ。略称はのわゆ。
電撃G's magazineにて約1年半の連載を経て完結した。各話冒頭は公式サイトにて読むことができる。
連載終了後は電撃コミックスEXより単行本が刊行されている。全2巻。
小説単行本の上巻に特別書きおろし番外編「白鳥歌野は勇者である」、下巻には書下ろし短編イラストノベル「託されたバトン」がそれぞれ収録された。
時系列
本作の時系列は『結城友奈は勇者である』(「結城友奈の章」と「勇者の章」)から約300年前、西暦2018年以降の出来事になり、『勇者であるシリーズ』における全ての始まりを描く物語。『勇者であるシリーズ』の中では物語の起源である西暦時代を描いた「乃木若葉の章」に位置付けられている。
本作にて明かされた要素は後発の『楠芽吹は勇者である』や「勇者の章」にも登場している。
作風
主な登場人物は、勇者の乃木若葉、高嶋友奈、郡千景、土居球子、伊予島杏と、神樹に遣える巫女の上里ひなたの6人。
突如バーテックスが襲来し西暦から神世紀へと移り変わる激動の時代で、彼女達「初代勇者」に襲いかかる壮絶な現実と、仲間や自分との葛藤を鮮明に描いた作品。
勇者システムもこの頃から存在。しかし、その性能は当然ながら『鷲尾須美は勇者である』の性能にも劣るため、その代わりとして神樹の記録にアクセスして神の力を一時的に自身に宿す「切り札」なるものが存在する。
「結城友奈の章」では描かれなかった、一般市民を守る事にもフォーカスされており、「結城友奈の章」と違って勇者の正体は最初から一般にも広く知られている。それ故に「そもそも人間は守るに値する存在なのか?」という疑問をほのめかす展開もある。
ストーリー
二〇一八年七月三〇日。
乃木若葉は香川県丸亀城の本丸石垣の上に立ち、瀬戸内海を見つめていた―――
(公式サイトより引用)
登場人物
メインキャラクター
- 乃木若葉(のぎ わかば)
CV:大橋彩香
本作の主人公。超が付くほど真面目な性格。精神的にも肉体的にもタフ。
- 上里ひなた(うえさと ひなた)
CV:高野麻里佳
本作唯一の巫女。面倒見が良い。若葉の幼馴染で大の親友。
- 高嶋友奈(たかしま ゆうな)
CV:照井春佳
ムードメーカー。身の上話はしようとしない。容姿や性格が結城友奈に酷似している。
- 郡千景(こおり ちかげ)
CV:鈴木愛奈
若葉達の先輩。内気な性格。高嶋友奈にだけは心を開いている。
- 土居球子(どい たまこ)
CV:本渡楓
わんぱくな少女。お調子者なところあり。伊予島杏とは姉妹のような仲。
- 伊予島杏(いよじま あんず)
CV:近藤玲奈
若葉達の後輩。読書が大好き。身体的にあまり強くはないが、頭は良い。
サブキャラクター
- 安芸真鈴(あき ますず)
CV:田澤茉純
大社勤めの巫女の一人。以前から球子や杏と面識がある。
関連作品
詳細は「勇者であるシリーズ」を参照。
コミック版
電撃G'sコミックとComicWalkerにて連載されたコミカライズ版。
作画は滝乃大祐。連載開始の前月には予告コミックが連載された。電撃コミックスNEXTにて単行本が刊行されている。全4巻。エピローグに書き下ろしてあるシーンがある。
ドラマCD版
「勇者であるシリーズ」初のドラマCD。
原作小説の話をドラマCD用に再編成したものと、新たに書き下ろされた話が収録されている。脚本には朱白あおいの他、タカヒロも参加している。現在Vol.2まで発売中。
イラストノベル
白鳥歌野は勇者である
長野県諏訪地方の唯一の勇者、白鳥歌野が主人公の書下ろし短編イラストノベル。
単行本の上巻に収録された。
託されたバトン
本作の物語と「二冊目の勇者御記」を繋ぐ、書き下ろし短編イラストノベル。
単行本の下巻に収録された。
勇者史外典
本作と関連が深いスピンオフ作品。いずれも本作の登場人物が登場する。
よって本作のネタバレも多いので読む際は注意。
ゲーム
結城友奈は勇者である 花結いのきらめき
「乃木若葉の章」と「白鳥歌野の章」の登場人物たちも参戦している。安芸真鈴はシナリオ内に名前が挙げられるのみで直接は登場していなかったが、2021年1月から登場。
4コマ漫画
勇者の部屋
東郷美森と乃木園子の二人が毎回「乃木若葉は勇者である」の登場人物をゲストとしてトークを繰り広げるWEB4コマ漫画。公式サイトにて読むことができる
作画は娘太丸。本編と同時連載だった。13話ではゲストとして、「白鳥歌野は勇者である」の登場人物達が登場した。本編とはパラレルワールドになっている。
新米勇者のおしながき~乃木若葉は勇者である すぴんあうと4コマ~
2021年7月30日よりComicWalkerにて連載スタート。作画は『勇者の部屋』と同じく娘太丸。
「乃木若葉は勇者である」の勇者達による手料理をテーマとしたWeb4コマ漫画。ちなみに同年の作者公式Twitterには「わかばめし」というエイプリルフールネタが投稿されていた。
余談
2018年以降を予言?
本作の舞台となった2018年は、現実でも異常気象や災害が頻発し、しかも四国は豪雨被害に遭いその後も狙いすましたように何度も台風が直撃、遂には丸亀城も石垣が崩落するという、まるで本作を連想させるような事態になったため、一部ファンが「バーテックスの仕業」「樹海化の影響」「現実でも人は天の神の怒りを買った」などと慄く事態になっている。そして、作中で行われた改元も現実のものになってしまった。さらに、ややニュアンスは違うが後の作品で語られた「世界がウイルスで覆われる」事も…
アニメ化について
2019年11月に発売された、「結城友奈は勇者である」ベストアルバム。
それには、本作のキャラクター達による新曲「キボウノツボミ」と「勇気のバトン」のカバー版が収録される事が事前に告知されていた。
このため、かねてから期待されていた「乃木若葉の章」アニメ化が現実味を帯びてきたと期待する声が上がっていた。
その後も新作スピンオフが始まったり、開連グッズが出ている事も、アニメ化が期待される裏付けになっている。
なお、キャラクターのアニメ作品自体への本格登場は、2021年放送の『結城友奈は勇者であるちゅるっと!』にて実現する事となった。
そして、その時は来た。
『結城友奈は勇者である 大満開の章』5話~8話にかけ部分的ながらアニメ化が実現。
ただ、詳細は大満開の章の記事を参照して欲しいが、第1話放送時点から一部で本作の内容を放送する事が盛大にネタバレされてしまっていた。
『楠芽吹は勇者である』の内容が展開された2話~4話と同様、原作にはない新解釈が取り入れられている他、どちらかというと高嶋友奈や郡千景をメインに据えてストーリーが展開されている。
一方で、なぜ「部分的」と前置きしたかというと、原作上巻の内容がほぼカットされ、いきなり後半部分からスタートしているためで(起承転結の「起」と「承」をすっ飛ばして「転」から始まる構成)、最低限原作上巻か『花結いのきらめき』の「乃木若葉の章」を読んでいないとほぼ理解できない流れになっている(作中では検閲だらけの勇者御記を読み進めるという体を取って一応フォローされている他、放送でも原作の単行本の宣伝が流れている)。この影響で、メインキャラの一角であるはずの球子と杏に至っては初回でろくに活躍が描かれないまま退場という異常事態にもなってしまっている。
このため、完全版あるいは補完する前半部分のアニメ化を望む声も多い。
なお、BD-BOX下巻のブックレットには「それはそれで将来的にアニメ化されるでしょう」とアニメ化を匂わせる文章があり、トークイベント「BONKLIVE 2022秋」でも監督の岸誠二がアニメ化に前向きなコメントをしている。
関連動画
関連項目
勇者であるシリーズ
関連タグ
若葉が勇者の力を手に入れる経緯がダ・ガーンの主人公である高杉星史と類似。