概要
なお、この項目では基本的に本人や事務所が引退宣言を行なっている、関係者からの証言で引退したことが明らかになっているといった、引退が確定している者を紹介する。
これに加え、かつて演じた作品の降板が相次ぐなど「作品や製作側の一時的な都合」ではないと推測されるキャスト変更から、引退、復帰の見通しがない長期休業であると判断された者も含まれる。
仕事がない(生活できないほど減った)ためといった経済的な理由のほか、加齢や病気で仕事が難しい、これまでのような声が出なくなった、またはその療養のためであったり、結婚や出産、育児、介護などのタイミングに合わせたり、といったライフステージの変化によるものも見られる。
また、本意ではない仕事ばかりやらされ、精神的に疲弊した、業界の内情を知って絶望した、仕事を勝ち取るための生存競争に疲れてモチベーションが維持できなくなった、といったメンタル面の変化を理由に挙げる人もいる。
引退後は、専業主婦や家事手伝い、療養といった形で表舞台に立つことがなくなる場合や、芸能界とは全く異なる業界に転職(場合によっては故郷に帰って実家の家業を継ぐなど)したり、学業に専念したり、進路はさまざまである。
荘真由美や、及川ひとみのように、後進の指導や芸能事務所の経営者、マネージャーなど裏方に転じた者もいる。
また、歌手・アナウンサーのような「声優」ではない声の仕事を専業としたり、俳優・タレント・お笑い芸人のような顔出しでの芸能活動に転向したりすることもある。
引退後も、以前出演した作品の続編やメディアミックスなどには続投するという場合もある。
例えば『スーパーロボット大戦』シリーズのボイス付き作品では、よほどの事情がない限り引退、休業状態にある者でもオリジナルキャストを採用している。「よほどの事情」というのは、体調不良などで演技をするのが困難であると声優自身が断った場合や、引退後連絡先が不明で、関係者も把握していない場合が挙げられる。(引退、死去後もアーカイブを利用してオリジナルを採用することが多い)
また、そのような作品に出演したことがきっかけで長期的に復帰を果たすといった例もある。
このほか、先に挙げたような声優以外の活動に転向した後、「タレント枠」として声優活動に復帰したり、転向後や芸能界引退後も限定的に出演したりする人もいる。例として戸田恵子は声優としての活動が少なくなり、女優として顔出しでの芸能活動に主軸が移っているが、『それいけ!アンパンマン』ではレギュラーとして20年以上出演しているほか、過去に出演した吹き替えの追加収録などで復帰している。ただし、一部の作品では「女優としてのゲスト出演」という向きが強い宣伝がなされることもある。
近年では、過剰な「声優(になりたい)ブーム」の弊害として、アイドル声優としてデビューさせられる新人声優が激増したぶん、若手を中心に「多忙な活動や急激な環境変化に体がついていけずに体調を崩してしまった」というケースもしばしば聞かれる。
またそのような新人が毎年大勢デビューする結果として、ギャラの高くなった中堅〜ベテランの声優(※声優業界は芸歴によるギャラ制が基本であり、かつ多くの作品で全世代を対象としたオーディションを前提としている)が、声の変化などもあってそれまでの仕事を失い、世代交代として引退に追い込まれるケースも増えていると考えられる。
あるニュース記事で、2023年10月から実施される「インボイス制度」についてアンケートを行った所、声優の約2割が廃業を検討しているという結果があった事から、インボイス制度によって、若手声優の引退の懸念と日本のアニメ業界の衰退も危惧されている。
公式に引退の報告はしていないものの、実質引退状態にある人も多い。本人は直接言及していなくても、関係者からの証言で引退が明白になることもある。
また、声優として売れる前に諦めて引退する人の数はさらに多い。
一方で、天野由梨、櫻井智、片石千春、内山夕実、古谷静佳など、1度は完全に引退したが、期間を空けて復帰した声優もいる。特に、片石千春に関しては20年ほど(日本での)活動を行なっていない状態での復帰となった。
主な引退した声優
主に声優事務所や個人ブログなどを通して、引退が明らかになっているごく一部の例を紹介する。
なお、ある程度声優として継続的に活動し、複数の作品に出演した経歴を持つ人物について取り扱うものとし、声優としての出演は一作品やその関連のみ、または本業が別にあって声優活動はゲスト扱いである、というような人物については記述しないものとする。
()内は最後に所属していた事務所。
女性声優
- 逢沢凜(アシスト)
- 阿久津加菜(マウスプロモーション)
- 浅野るり(マウスプロモーション)
- 雨宮一美→雨宮かずみ(アクセント)
- 今井由香(アトミックモンキー)
- 今村彩夏(WITH LINE)
- 岩坪理江(ア・ミュー)
- 遠藤ゆりか(スワロウ)
- 及川ひとみ<現在は音響製作とマネージメントとして活動中>(アズリードカンパニー)
- 岡田栄美(マウスプロモーション)
- 大沢千秋(ホーリーピーク)
- 大原桃子(マウスプロモーション)
- 大前茜(賢プロダクション)
- 大森加奈女(青二プロダクション)
- 大山のぶ代(アクターズ・セブン)
- 利田優子(81プロデュース)※1
- 川島千代子(青二プロダクション)※1
- 菅まどか(MILLENNIUM_PRO)
- 喜多丘千陽<旧芸名:合田彩>(フリーランス)※1
- 後藤友香里(青二プロダクション)
- 笹川亜矢奈(演劇集団キャラメルボックス)※1
- 志村由美(アイムエンタープライズ)
- 鈴木菜穂子(ケッケコーポレーション)
- 荘真由美(青二プロダクション)※2
- 白石文子(81プロデュース)
- すみさなえ(ミノリス)
- タカオユキ(A-Sketch)
- 高橋菜々美(スタイルキューブ)
- 田上和枝(所属事務所不明)
- 竹内若子(青二プロダクション)
- 竹尾歩美(シグマ・セブンe)
- 多田葵<現在はシンガーソングライターとして活動中>(劇団ひまわり)
- 鶴岡弥生→鶴岡やよい→岡田ルミ(大沢事務所)
- 寺門仁美(スタイルキューブ)
- 天神有海(メディアフォース①)※1
- 徳光由禾(アクセント)※1
- 永迫舞(マウスプロモーション)
- 永田依子(賢プロダクション)
- 永見はるか(フリー)
- 鳴海杏子(フリー)
- 成海瑠奈(スターダストプロモーション)
- 西口杏里沙(アクロスエンタテインメント)
- 二宮圭美(E-sprinG)
- Hazuki(東京俳優生活協同組合)
- 林沙織(アクセルワン)
- 日比野朱里(トリトリオフィス)※1
- 細川聖可(アトリエアー)
- 間嶋里美(フリーランス)※1
- 松岡ミユキ(劇団青年座)
- 松永真穂<音楽活動に専念した後芸能界引退>(スタイルキューブ)
- 的井香織(81プロデュース)
- 嶺内ともみ(アイムエンタープライズ)
- 水野マリコ(東京俳優生活協同組合)
- 宮里久美(ホリプロ)
- 矢澤りえか(アプトプロ)
- 山口理恵(81プロデュース)
- 弥生みつき(劇団青年座)
- 吉田理保子<現在はディーカラーのマネージャー>(81プロデュース)
- 芳野日向子(青二プロダクション)
- 米本千珠(青二プロダクション)
- 藁谷麻美<現在はアナウンサーに転身>(81プロデュース)※3
男性声優
- 植木慎英(81プロデュース)
- 逢坂秀実(プロジェクト・レヴュー)
- キートン山田(リマックス)
- 木村亮俊(アイムエンタープライズ)
- 木内力也(トリトリオフィス)
- 桑畑裕輔(AIRAGENCY)
- 越田直樹(マウスプロモーション)
- 長南翔太(賢プロダクション)
- 徳武竜也(WITH LINE)
- 中田雅之(ウィーヴ)
- 樋口智透(フリーランス)
- 望月祐多(鹿プロダクション)※4
脚注
※1 2021年現在は、過去の出演作の新規録音のみの参加。
※2 2021年現在は、後進の育成などを行って声優業界には関わっている。
※3 2021年現在は、アナウンサーとしてテレビユー福島⇒テレビ大阪⇒ワイワイワイを経てpicante所属。なおテレビ大阪時代にアニメ声優としての出演有り。
※4 2020年公開の映画『魔女見習いをさがして』で端役出演した。