概要
本作の第10話(1996年6月5日放送)のサブタイトルにして、作中で涼村暁が発した台詞の一つ。
その字面のインパクトに加え、作中でこの台詞が飛び出すまでの一連の経緯もまた同様に強烈そのものであったことから、放送当時から今に至るまでファンの間に強い印象を残し、さらには後年の作品でもパロディが行われたりと、本作を代表する台詞として認知されている。
経緯
失踪したバッカサ王国の王女の捜索を依頼された暁は、囮となったエリまでもが誘拐犯にさらわれるなどといった紆余曲折を経て、(半ば偶然ながら)この一件にダークザイドが絡んでいることを突き止める。
が、その真犯人である闇生物バクリナーの襲撃によって暁と速水はビルの一室に閉じ込められ、さらには変身途中でシャンバイザーを室外に吹き飛ばされるというアクシデントにまで見舞われてしまう。たまたま吹き飛ばされた先に、王女の執事と3人の通訳がいたことから、直接取りに行けずにいた暁は彼等にシャンバイザーを取ってもらおうとするのだが・・・これが思わぬ事態を引き起こすこととなる。
というのも、バッカサ語は複数の言語への訳を重ねてようやく伝わるかどうかという、マイナーにして難解な言語であり、ここでも暁からの頼みは伝言ゲームのように伝わっていき、それを最後に受ける形となる執事が持ってくるものはバナナだのひょっとこのお面だのと、ことごとく的外れなものばかり。そしてその果てに執事が持ってきたのは、
「よし、シャンバイザー! ・・・サバじゃねぇ! 何やってんだ!」
・・・かくして、後々までの語り草となる台詞がここに誕生することとなったのである。
このあまりにも回りくどいやり取りの連続に痺れを切らした暁は、直後に「大体なんで通訳する必要あんの? あんたが拾えばいいじゃん!!」と、日本語の通じる1人目の通訳へとツッコみをかまし、彼が直接取りに行くことでようやく事無きを得た。
そして物語のラストでは、一連の事件で散々苦労させられる要因となった「バッカサ語の話者」の不在が、実は宗方チーフ一人いれば何とかなった(※)というなんともなオチが付くこととなるのだが・・・。
(※ 宗方はかつてマヤ文明を研究していた際にバッカサ王国に滞在していた時期があり、バッカサ語もその際に習得していたという経緯があった)
サバじゃねぇ!2
こちらは第33話(1996年11月13日放送)のサブタイトル。一発ネタかと思われていた「サバじゃねぇ!」の、よもやの第2弾である。
と言っても、この回の内容は第10話とはまるで関係ないものであり、前話にて鮮烈なデビューを果たした謎の新ヒーロー「ザ・ブレイダー」の正体を知りたがる速水と、その正体と目された魚屋に隠された秘密を巡るストーリーが展開される。
この回のクライマックスでは、シャンゼリオンが闇将軍ザンダーと闇生物フォンダーの、2体の敵を相手に苦戦を強いられることとなり、手にしていたシャイニングブレードまでも取り落とすという危機的状況に見舞われたシャンゼリオンは、同行していた速水にそれを拾うよう頼むのだが・・・これがまたしても思わぬ事態を引き起こすこととなる。
というのもこの回の速水、とある事情から意識が朦朧とした状態にあり、最初に掃除用のモップを渡してシャンゼリオンにどやされ、そしてその次に拾い上げたのが・・・
「よし!・・・サバじゃねぇ! シャイニングブレードだ! 何やっとんだお前!!」
・・・そう、かつてのドタバタがまたしても再現されてしまったのである。当然ながらサバを手にして太刀打ちできるはずもなく、ザンダーの一閃でサバも哀れ真っ二つにされてしまうのであった。
備考
この台詞の初出となった第10話については、演出を担当する小中肇が以前に手掛けた「花嫁ゾロゾロ」(第3話)がよかったことから、同様のスラップスティックものをという意図のもと制作されたエピソードであり、登場する通訳は当初は10人を想定していたという。
プロデューサーの白倉伸一郎も一番好き、というよりエポックとしてこだわりのあるエピソードと、後に番組公式サイトにて語っているが、「エリが誘拐されて暁と速水が一致団結にして助けに行く」というストーリー展開こそ固まっていたものの、実際に井上敏樹から上がってきた脚本を目にした際には「サバの話なんかした覚えはない!」と、その題字の達筆ぶりと併せて驚かされたという逸話も残されている。
通訳の一人を演じたセイン・カミュは、本作への出演当時はまだ『笑っていいとも!』などで売れ始めた頃であり、白倉や武部直美も「「ヘンなガイジン」を演じたらホントにうまい」と、その演技を高く評価している。東映特撮へはそれから20年近くの時を経て、『仮面ライダーゴースト』(スティーブ・ビルズ)で再び携わることとなる。
漫画『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』においても、「マグロじゃねえ!3」というこの台詞をオマージュした題名の回が存在する。作者のうすた京介は、熱烈なセガ愛を公言する人物としても知られており、『シャンゼリオン』についても単行本の「ハマったもの」にてその名を挙げていたりもする。
番組放送から四半世紀あまりを経た2022年10月15日には、千値練から「『超光戦士シャンゼリオン』 シャンゼリオン アクションフィギュア」が発売されているが・・・ここでも武器や各種手首に混じって、当然のようにサバが付属品に含まれている。
このサバには、フィギュアの内装パーツに用いられた特殊なメッキ塗装と同じものが施されており、てらてらと光を反射する姿はとれたての新鮮ささえ感じさせる、千値練の確かな技術に裏打ちされた逸品でもある。
サバじゃねぇ!3・・・?
『シャンゼリオン』の放送から20年余りを経た2017年、思わぬ形で三度この台詞が擦られることとなる。
これは同年2月19日より東映特撮ファンクラブにて配信された、『仮面ライダーブレイブ Surviveせよ!復活のビーストライダー・スクワッド!』(『仮面ライダーエグゼイド』のスピンオフ作品)でのことで、同作には暁と演者を同じくする、仮面ライダー王蛇こと浅倉威がゲストとして登場している。
作中では、鏡飛彩の部下であるさつきの買い物袋から生魚を奪い取り、喜んだ表情で「おぉ、サバかぁ・・・」と生のままかじりついて食した後、件の生魚がサバではなくイナダであるのに気づいたためか、あるいは本来の目的がライダーガシャットであることを思い出したためか、生魚を投げ捨てて不機嫌そうに「サバじゃねぇ!」と吐き捨てるくだりが盛り込まれており、この東映による半ば公式のパロディには「実質サバじゃねぇ!3だろ」といった反応も少なからず見られた。
浅倉役の萩野崇は、同作への出演に際し「今回は台本に『生魚を食べる』って書いてあって(笑)。本当にコアなファンの方にしかわからないと思うんですが、僕と鈴村さんからのプレゼントです」と発言している。
このコメントの中に出てくる「鈴村さん」は、同作の演出を手掛けた鈴村展弘のことを指しており、誤字などの類でないことを付記しておく。無論鈴村と言っても健一でないことは言うまでもない(超・電王?何の話だ)。
・・・最後に、言うまでもないことかもしれないが生のサバ(イナダも)を食すのは大変危険なので、絶対真似したりしないように!!
関連イラスト
関連タグ
エンター:『特命戦隊ゴーバスターズ』の登場人物の一人。第1話にて、開口一番「サヴァ(Ça va)?」とフランス語で挨拶に及び、ここでも「サバじゃねぇ!」を想起させられたというファンが少数ながら観測されている
焼きそばだよ!!!:『日常』に登場する台詞の一つ。やはり伝言の齟齬によるトラブルに起因した台詞という点で近似しているが、こちらは本当にサバ(焼き鯖)が欲しかったという相違点も見られる
駄菓子じゃねぇか!:『だがしかし』のサブタイトルの一つ。放映話数も同じく第10話であり、ある意味「サバじゃねぇ!」の対義語とも言える
バイカソウ(花騎士):googleで別の花騎士にもしかして誘導をされたことがある
けっとうマジマジ/けっとうソノ2:いずれも『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のエピソードの一つ。こちらも井上敏樹が脚本を手掛けており、「同じネタの天丼」という意味でも近似点を有する他、公式ブログでも「サバじゃねぇ!」についてしれっと触れていたりもする。また、これらのエピソードより後に制作された「イとニとザとシ」には、同様の天丼要素に加えて「サバじゃねぇ!」で印象深い伝言ゲーム的な展開も盛り込まれている