曖昧さ回避
- トム・マールヴォロ・リドル。本項にて解説。
- トム・リドル・シニア。1.の父親。
作中では2人の人物が登場するが、ここでは1について扱う。
かつて、ある若者が皆と同じこの学び舎にいた。
城の廊下を歩き、この屋根の下で眠り、傍目には他の生徒となんら変わらなかった。
(アルバス・ダンブルドア:ハリー・ポッターと謎のプリンス)
演:クリスチャン・コールソン(第2作)、ヒーロー・ファインズ・ティフィン(第6作・11歳)、フランク・ディレイン(第6作・16歳)
吹き替え:石田彰(第2作)、小林翼(第6作・11歳)、福山潤(第6作・16歳)、えなりかずき(ゲーム版)
概要
トム・マールヴォロ・リドル(Tom Marvolo Riddle)は『ハリー・ポッターシリーズ』の登場人物である。
ハリー・ポッターが2年次(1993年)の50年前(1943年)、ホグワーツ魔法魔術学校のスリザリン寮に所属していた男子生徒で、年齢は1943年時点で16歳。
初登場となる第2巻『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、『リドルの日記』に宿る「記憶」の中の存在としてハリーの前に現れ、彼に50年前のホグワーツで起きた『秘密の部屋』事件の記憶を見せる。
そこでハリーは、当時の事件でマグル生まれの女子生徒が「スリザリンの怪物」に襲われて死亡したこと、当時3年生だったルビウス・ハグリッドがリドルに犯人として告発され、退学処分を受けたことを知るが……。
人物像
外見は色白の肌に漆黒の髪、黒い瞳を持ち、背が高く美男子であると描写されている。作中での容姿評価に厳しいハリーも「その気になれば魅力的になれた」と大いに認めるほどの公式美形である。なお、激昂した時は瞳が赤く変色する。
ホグワーツ在学時は優れた頭脳と才能の持ち主として知られ、恩師の一人アルバス・ダンブルドアに「ホグワーツ始まって以来の秀才」と評されるほどだった。ダンブルドアによれば受けた試験は全てトップだったとされ、N.E.W.T試験も全教科1位通過という天才中の天才だった。
5年次(1942年)には監督生、7年次(1944年)には首席に選ばれており、非常に謙虚で成績優秀な模範生として、当時の校長アーマンド・ディペットを含めた教師陣からの信頼も絶大だった。
関連イラスト
関連タグ
【警告】これより先、この男の正体が記載されているため閲覧には注意されたし
「この名前は、ホグワーツ在学中にすでに使っていた。もちろん親しい友人にしか明かしていなかったが。」
「汚らわしいマグルの父親の名前を、僕がいつまでも使うと思うか?母方の血筋にサラザール・スリザリンその人の血が流れているこの僕が?汚らしい、俗なマグルの名前を、僕が生まれる前に、母が魔女だというだけで捨てたやつの名前を、僕がそのまま使うと思うか?」
「ハリー、ノーだ。僕は、自分の名前を自分で付けた。ある日必ずや、魔法界のすべてが口にすることを恐れる名前を。その日が来ることを僕は知っていた。僕が、世界一偉大な魔法使いになるその日が!」
真相
その正体は、『秘密の部屋』事件の真犯人「サラザール・スリザリンの継承者」であり、ヴォルデモート卿の若かりし頃の姿である。
ファーストネームは父トム・リドル・シニア、ミドルネームは母方の祖父マールヴォロ・ゴーントに由来する。
しかし、幼少期から「トム」という「平凡な名前」が好きではなかったことに加え、後に自身の出生を知るとマグルの父親と同じ「トム・リドル」という名前を嫌悪し、"Tom Marvolo Riddle"を並べ替えて"I am Lord Voldemort"「私はヴォルデモート卿だ」と名乗るようになる(本人によれば、この名前は学生時代から密かに使い始めていたようである)。
母方の血筋であるゴーント家は、ホグワーツ創設者の一人サラザール・スリザリンの末裔である。本人は知らなかったが、実はペベレル三兄弟の次男カドマス・ペベレルの末裔でもある。
純血主義である彼にとっては、マグルとの混血である自分の出自、父親と瓜二つの容姿は強烈なコンプレックスになっている。
幼少期
1926年12月31日、サラザール・スリザリンの末裔にして純血の魔女メローピー・ゴーントとマグルのトム・リドル・シニアとの間に、混血の魔法使いとして生まれる。
生まれたのは臨月のメローピーが飛び込んだロンドンのウール孤児院で、メローピーは彼の誕生後まもなく死亡している。また、この時点で父や親族とは音信不通状態だった。
生まれる前から父に棄てられ、母にも「見捨てられた」と感じていたリドルは、生まれ育った孤児院でも事務的な扶育のため十分な愛情を得られず、愛情を信じられないまま成長する。
孤児院のマグルの職員たちは彼の母親についても、魔法についてもまったく知識がなかった(そのうちの一人であったミセス・コールはメローピーをサーカス団員だと思っていた)。当然、リドルも両親について何も知らなかったが、自身に特別な「力」があることは自覚しており、同年代の魔法族の子たちより早く自分の能力に目覚めていく。この頃からその「力」を他人を支配するために行使していた。気に入らないことがあると他の孤児に対して魔法で仕返ししたり、他の孤児たちから物を盗んで「戦利品」として自分の部屋のタンスに隠したりもしていた。
学生時代
1938年夏、11歳になったリドルは孤児院を訪れたアルバス・ダンブルドアから自身が魔法使いであることを知らされ、ホグワーツ魔法魔術学校に入学し、スリザリン寮に組み分けされる。
自身が魔法使いである理由について、この時点では父の才能を受け継いだものと考え、“死に屈した”母は普通の人間(マグル)であると思っていた。
もともと人を惹きつける魅力があり、表面上は成績優秀な模範生を演じていたこともあって、その父親譲りの端正な容姿と不幸な境遇、決して驕らない謙虚な態度により、教授陣から絶対的な信頼と同情を集めた。
しかしその実、当時ホグワーツで起こった数々の怪事件を裏で操っていた黒幕であり、未成年らしからぬ統率力で上級生をも支配下に置いていた。
自分に近しい学生に自らの「力」を示し、後に死喰い人となる者を取り巻きとして従え始めたのもこの頃である。
ハリーがクィディッチや恋愛に興じているような年頃に、自身の目的(後述)のためとはいえ未成年ながら計画的に殺人さえ犯していた。
唯一ダンブルドアだけは、こうしたリドルの邪悪な本性を見抜き、常に監視していた。
リドルもダンブルドアを非常に警戒しており、他の教師達のようにダンブルドアを魅了しようとはしなかった(ダンブルドア自身、ゲラート・グリンデルバルドとの一件をしっかり自戒していたお陰もあったかもしれない)。
『秘密の部屋』を探し当てたリドルは、5年次(1943年)に密かに『部屋』を開いてバジリスクを解放し、レイブンクロー生のマートル・エリザベス・ワレンを殺害した。
そして1943年6月13日、ルビウス・ハグリッドに全ての罪を着せて退学に追い込み、自身は犯人を捕らえたとしてホグワーツ特別功労賞を授与された。当時のハグリッドは秘密裏にアクロマンチュラのアラゴグを飼育しており、スケープゴートとしてはまさにうってつけの相手だったのである。
在学中、リドルは純血主義にのめり込むと同時に自らの出生を探し求めた。過去の生徒名簿にリドルの姓が無かったことから、父がマグルである事実を受け入れざるを得なかった模様。そして、今度はそれまで軽蔑していた母の素性を調べ、ミドルネームの「マールヴォロ」というヒントからゴーントの家名を発見。母が魔女であり、サラザール・スリザリンの末裔であることを確信する。
そして1943年夏、訪れたリトル・ハングルトンのゴーント家(母の実家)で伯父のモーフィン・ゴーントと対面し、彼の証言から「凡庸なマグル」の父が「魔法使いの中でも特別」だった母を棄てたことを知る。
リドルはモーフィンを気絶させて彼の杖を拝借すると、その足でリドル邸に向かい、「母の復讐」および「自分に相応しくない血筋の抹殺」のため実父と父方の祖父母を“死の呪文”で殺害した。
直後にリドルはモーフィンの記憶を魔法で改ざんし、彼自身がリドル一家を殺害したと思い込ませ、その罪を着せた。かつてマグルに対して呪文を使ったためにアズカバンに3年服役した前科があったモーフィンは、修正された記憶をもとに自らの「犯行」を自慢げに認め、アズカバンでの終身刑を宣告された(後に獄死)。また、リドルはゴーント家の家宝である指輪をモーフィンから奪い、ホグワーツでトロフィーのようにつけていた。
この頃には既にホークラックス(分霊箱)の概要を知っており、親しい教師の一人であったホラス・スラグホーンに取り入って言葉巧みに「魂を二つ以上に分割した場合はどうなるのか」について聞き出している。
前述のマートルや実父殺害も、分霊箱作成の過程上の生贄として利用していた。
卒業と失踪
卒業後の進路が注目される中、リドルは「闇の魔術に対する防衛術」の教授としてホグワーツに残ることを志願した。当時の校長であったアーマンド・ディペットはその理由を尋ねるが、リドルは頑なにそれを拒んだ。
ダンブルドアは「教師、恩師という立場から教え子に影響力を与えること」と「歴史あるホグワーツ校に秘された魔術の探求」が目的と考え、ディペットに対してリドルに職を与えないよう進言し、ディペットもそれに従った。
教授職を拒否されたため、ホグワーツ卒業後は「夜の闇横丁」にあるボージン・アンド・バークスに就職する。
周囲からは「あんな優秀な生徒がただの店員とはもったいない」と残念がられたが、彼自身は「将来特別になる自分に相応しい、伝統と由緒ある魔法具の探索と入手」を目的としていた。そして自らの目的に相応しい魔法具を発見すると、その持ち主であったヘプジバ・スミスを殺害してそれらを強奪し、その後約10年間に渡って行方を眩ませるのだった……。
因果関係
マグルと純血の魔法使いの混血、高い能力、愛情に恵まれなかった幼少時代と、ハリーとは多くの共通項がある。
しかしながら二人を決定的に分けたものは「愛情のない結婚」による出生であったことだと作者は語っており、父親のトム・シニアがメローピーを捨てなければ、或いは母親のメローピーが捨てられたことに絶望し、生きることを放棄せずに愛を持って彼を育てていたならばヴォルデモートは生まれなかっただろう、とも述べている(ただし、前者の方は魔法薬で無理矢理心を奪われた被害者なので「常識で考えてそんなことはあり得ないが」というニュアンスを含んでいる)。
『ハリー・ポッターと呪いの子』ではドラコ・マルフォイがハリー・ポッターとの会話で「トム・リドルも孤独な子供だった。(中略)トム・リドルは闇から抜け出すことができなかった。その孤独がトム・リドルをヴォルデモート卿にしたんだ」と評している。
両親が不仲、マグルと純血の魔法使いの混血、スリザリン寮に所属、魔法使いである母の血筋を重んじて本名とは別の名前を自称していたなど、彼が腹心として重用したセブルス・スネイプとも共通点が多い。
腹心の一人であったバーテミウス・クラウチ・ジュニアとは、は「父親と全く同じ名前を付けられた」「父の存在を受け入れることができず、最終的に自らの手で父親を殺した」「ホグワーツ在学中は首席級の秀才だった」「闇の魔術に対する防衛術の教職を志願した」「演技力に長けている」などの共通点が多い。
注意・タグ付け
リドルタグのみをトム・リドルを描いた作品に付けられることが多い。
しかしリドルと言うタグははハリポタ以外の作品でも多く使用されるため(特にツイステのリドル・ローズハート)、
特定の意図・好みがなければトム・リドルとフルネームのタグを付けることが検索に配慮した形となる。 (ヴォルデモートだと彼が闇の帝王になった後の容姿の作品が出てくることが多い)
ミドルネームも入れたトム・マールヴォロ・リドルのタグも使われているが、現状トム・リドルが多いのでそちらに合わせる方が都合が良い。