※この記事はその性質上、機動戦士ガンダムシリーズの宇宙世紀における「逆襲のシャア」以後の時間軸の大半の作品の軽度のネタバレを含みます。ご注意ください。
概要
主に宇宙世紀0140年代において、地球連邦政府の弱体化とそれに伴うコロニー国家間戦争が多発した時代がこう呼称される。
それまでの戦争は連邦VSジオンのようなアースノイドとスペースノイドの対立の側面が強かったが、この時代に入るとスペースノイド同士の対立関係が関係してきている。
地球に居住権を持ったエリートであるアースノイドと、宇宙棄民者達の子孫であるスペースノイドとの軋轢が無くなったわけではないが、ラプラス事変を経た宇宙世紀0105年の時点で、スペースノイドは地球を複数ある星の一つであると考える風潮が蔓延しており、既にスペースノイドの世論では地球に対する魅力も、連邦政府に対する興味も失っていた。
地球連邦政府は各コロニーによる軍事面での防衛要求を無視し、各コロニーの自衛のためのコロニー軍増強行動も静観した。
ギリギリ自活できるレベルになった各コロニー間での経済格差や住民意識の隔たりが非常に大きなものとなり対立が激化した。連邦政府は各コロニー政庁に自衛権を認めたことで、スペースノイドの意識はジオン・ズム・ダイクンらが望んだサイド国家主義からコロニー単位の国家主義であるコロニー主義へとミクロな変貌を遂げていった。
地球連邦政府のサイド内での動向に対する無関心や連邦の干渉が無くなった各サイド内での各コロニーにおける戦力増強、連邦により与えられた自衛権の拡大解釈による各コロニーの独立国家並みの自治権行使がまるで地球における武将たちの争いのごとくコロニー同士の戦国時代を招いたのである。
コスモ・バビロニア建国戦争
宇宙世紀0100年のジオン共和国自治権返還以降、マフティー動乱を経てスペースノイドの連邦政府に対する武力を用いた強い抵抗意識は薄まりつつあった。
宇宙世紀0123年。ロナ家率いる武装勢力「クロスボーン・バンガード」がサイド5のコロニー「フロンティアⅣ」を占領。コスモ・バビロニアと改名し、地球連邦政府に宣戦布告した。
この戦いはクロスボーン・バンガードの内部分裂により数年で連邦の勝利に終わったものの、ロナの提唱した思想「コスモ貴族主義」はそれまでの「ジオニズム」と並び宇宙世紀の歴史に大きな影響を与えた。
戦後、連邦は各コロニーによる駐留軍の拡充などの要求を無視し、政府高官に至っては「酔っ払いの喧嘩みたいなもの」とまで言い放つなど戦後処理は杜撰を究め、コロニーの不信感や独立機運を高めることになり、これが宇宙戦国時代のきっかけとなったと言える。
実際のところはラー・グスタ隊など、練度の高い兵士の果敢な抵抗は確認されている。
また政府高官のいい加減な態度こそ報道されたが、現地の地球連邦軍としてはその後早い段階で増援艦隊を派遣していた。
更に二度のオールズモビル戦役では連邦単独で勝利している。
結果的に後のザンスカール戦争時の連邦のやる気のなさもあって、この時期まではまだかろうじて連邦の意識と戦力は高かったとも言える。
しかし、腐敗や負け戦の方が世間的には目立つというのが現実であり、連邦の活躍した一面については社会から無視される傾向にあったのかもしれない。
木星戦役
宇宙世紀0133年、木星圏コロニーにおいて連邦の知らぬ所で密かに建国していた木星帝国が地球に親善訪問のふりをして地球圏へ侵攻した事で勃発した戦い。
この時は10年前のコスモ・バビロニア戦争の影響か各コロニーが自立化し始めており、軍備まで保有していた。木星帝国の攻撃による地球滅亡まで動かないと思われていたそんな各コロニー軍が連邦軍と宇宙海賊クロスボーン・バンガードの危機に突如として加勢し、帝国総統クラックス・ドゥガチが討たれ、帝国撃退に成功した。
その後は木星圏に連邦の査察が入ったが、それでも木星圏の過酷な生活環境は改善されておらず、また木星帝国残党が暗躍を行っていたが0136年に新総統カリスト兄弟が行った新たな地球攻撃作戦が失敗した為に帝国体制が瓦解し、穏健的な木星共和国へと改変し、生活基盤の改善などの改革が行われた。なおこの木星帝国による事件を受けて標的となっていた地球連邦の中央議会は地球上から月面のフォン・ブラウンへと移動された。
ザンスカール戦争
宇宙戦国時代の中で最も大きな戦い。同単語は23話のザンスカールの学徒兵の会話中から出ている。
サイド1のアルバニアンコロニーにて買春行為を行っていたマリア・ピァ・アーモニアは、ついに誰の子かもわからない子供シャクティ・カリンを妊娠してしまう。
しかし妊娠・出産と同時にヒーリング能力を中心とした霊能力に目覚めたマリアは、宇宙世紀0141年にアルバニアンにおいて人生相談所を設立。0144年には出版された書籍が話題を生み、同年に組織は弟であるクロノクル・アシャーや支援者の手により宗教団体「マリアの光の教団」に発展解消する。
「マリアの光の教団」は戦乱の原因を男性社会に求めて批判、女系社会への回帰とその象徴である母なる地球を大事にすると言う女性優生思想「マリア主義」を提唱。これ自体はジオニズムの一つである「優性人類生存説」を女性目線で焼き直したに過ぎず、教団も単にマリアのカリスマによって成り立ったものだった。
しかし、その力に目を付けたフォンセ・カガチが宇宙世紀0146年に結成した政治結社「ガチ党」は民間団体を取り込んで勢力を拡大。翌年にサイド2のアメリア政庁の政権与党となる。
そして宇宙世紀0149年、マリアを女王とするザンスカール帝国の建国を宣言。
サイド2におけるサナリィの支社、サイド4の一部コロニー、月面のアナハイムの都市吸収等急速に力をつけていったザンスカールは、マリアによる「マリア主義」による平和思想、カガチによるギロチンに代表される恐怖政治の二面性を現していった。
このような状況下でも形骸化していた連邦は何ら対策も取らず、ついには「神聖軍事同盟」及びレジスタンス組織リガ・ミリティアがザンスカールに抵抗を試みる。
ザンスカール帝国は軍事組織ベスパを用いて地球への侵攻作戦を展開、宇宙世紀0152年にザンスカール戦争が開始。
既に弱体化し権威失墜していた地球連邦政府はザンスカール相手に敗色濃厚となっていたが、ムバラク・スターン率いる「ムバラク艦隊」がリガ・ミリティアと合流。力関係が逆転し、ザンスカールの最終兵器エンジェル・ハイロゥも破壊され、ザンスカールが事実上滅亡したことでザンスカール戦争は終結した。
ザンスカール戦争後
ザンスカール戦争は宇宙戦国時代において最大の戦となったが、それを終結に導いたのは連邦政府ではなくレジスタンス組織であるリガ・ミリティアであり、さらに決戦に動いたムバラク艦隊は主流から外れた勢力であったため連邦の主流派はいずれも傍観を決め込んでいた。
宇宙世紀169年。上述の事情によるザンスカール戦争の結末は結果的に地球連邦が弱体化している事実を内外へ知らしめ、その連邦という巨大な力の歯止めを失った各コロニーの独立運動は徐々に暴走し、長い戦乱の影響による技術力の低下から戦力の大多数を整備が容易な旧式のモビルスーツに切り替えながらも、互いの覇権を奪い合うような泥沼の混戦へと移り変わっていった。但し戦力が低下したので大規模な戦争は起こっていなかったがザビ・ジオンやネオクロスボーン・バンガードなどの勢力が乱立していた。
この頃はエンジェル・ハイロゥの残骸が地球の周囲を漂っているせいで航路が限定された事もあってか連邦の勢力圏は地球近傍までに縮小しており、コロニーの防衛や統治を実質的に放棄してしまっている。また宇宙にいる連邦軍も腐敗が悪化しており、末端部隊は連邦と言う看板を掲げてやりたい放題するだけの愚連隊に成り下がっている。十分な規模を持つ治安維持部隊であるキュクロープス隊でも腐敗した末端部隊よりは多少はマシ程度のレベルであり、その容赦の無い非道行動と合わせて内外からティターンズの末裔と言われるほど。
また、この頃に讃美歌の国と言うならず者集団がルナツーを拠点に台頭し暴れまわったが、サイド1・ネオ1バンチコロニーの地球降下作戦「DUST計画」のさなかに、首魁である「首切り王」が無敵運送を始めとするコロニー防衛戦力やキュクロープスに討たれたことで壊滅した。
結果
宇宙戦国時代がいつ終わったのかは定かではないが戦争自体が泥沼化したともとれる。
宇宙世紀0200年代を描くガイア・ギアではコロニー間の対立は描かれていなかったが宇宙世紀0220年代を描くG-SAVIOURでは宇宙戦国時代と地球連邦の末路が語られた。
それによると度重なる戦乱の影響によりサイドの自立化が促され、弱体化した連邦内では地球至上主義が醸成していき、宇宙世紀0217年には連邦政府の命令により連邦軍が各サイドの制圧を開始し、それに反発したサイド自治政府はサイド駐留軍で抵抗を試みて、地球圏を巻き込んだ高烈度紛争に発展していった。その後の0218年に地球寄りのサイドが仲介役として調停し、紛争を終結させた事で連邦の支配体制が瓦解、政府機能や支配力を完全に失った連邦はサイドの独立を認め、そして200年以上に渡り地球から宇宙を支配していた地球連邦政府は崩壊・消滅してしまった。スペースノイドの悲願はようやく達せられ、地球と同等の権利を持ったスペースコロニーもスペースセツルメントへと名を変えた。
これにより宇宙戦国時代は終結したと言われている。
かくして世界は絶対民主主義が終焉して単一勢力の独裁へと変貌し始め、地球各国で構成された旧連邦派と地球寄りサイドが樹立したセツルメント国家議会とそれに反対するサイドと月面都市によるセツルメント自由同盟の2大勢力が対立する時代へ突入、プライベートクラブを前身とする組織イルミナーティはそんな不安定な世界情勢の秩序やバランスを保つ為の活動に乗り出した。
その後の戦いの結末は明かされていないが、遠い未来に宇宙世紀は改暦され新たにリギルド・センチュリーへと進んでいたことは確かである。
尚、宇宙世紀1160年には太陽系連邦なる組織が世界を統治していると言うがこの太陽系連邦が旧地球連邦、もしくはセツルメント国家議会の成れの果てなのかは不明。
関連タグ
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