モンキーモデルとは
この言葉は冷戦真っ盛りの1980年の初頭、とあるロシア連邦軍参謀本部情報総局将校がアメリカ合衆国へ亡命してきた。
その時に「こんなモノがソビエト連邦にあるんです」という事で知られた用語であり、ここから、「輸出向けに意図的に性能を劣化させた兵器」を差すように成った。
何もソビエトに限った話では無く、アメリカも似た様な事を結構やっている。
発生の理由
何でわざわざスペックダウンするのかと言えば、これは大人の事情によるものが大きい。
分かり易い例を挙げればフルスペックの車両そのものや、整備の為の部品、機材、人員等、兵器を使う為のコストはそれなりに掛かる。
ところが国により、極寒かつ前線と成るソ連に適合した兵器の能力は必要無い場合が多い。例えば寒冷対策が取られていても、それが温暖な気候では無駄と成る。
その為ある程度割り切って不要と思われる機能をオミットする事により価格や維持費を下げる、という事が有る。
また、国際情勢において「この国に最新鋭の機種を輸出するのはどうか」という場合、特定の機材や機能を取り外したりして輸出する場合も存在する。
更に、対立する国を刺激しない為で有ったり、鹵獲されたり購入国が解析し新兵器を製造しようとした際の保険で有ったり、反旗を翻されても叩き潰せる戦力差を確保して置く為だったりする場合も存在する。
注意点
一つ注意して欲しいのは、ローカライズされたもの全てがこう呼ばれる訳では無く、改良されたものはそう呼ばれない事である。
例えば運用等が異なるため特定の機能を外した場合や、部品の載せ替えや装備の除去により能力を向上させたもの等はこう呼ばれない。
デメリット
しかし一方で、モンキーモデルが国際紛争の最前線に投入された場合、その低い性能の為コテンパンにされると、オリジナルの兵器の評判、下手をすると産出国の信用まで下がる、というデメリットが存在する。
その他の手法
この様に「他国に兵器を供給する」場合、以下の手法が存在する。
- 能力を下げた機種を製造する
- 他国供給専用の機種を製造する
- 自国の「お下がり」の機種を供給する
代表的な機種
この様なモデルが存在する、と言われる兵器は複数存在する。例えばF-16にはエンジンの性能を下げたF-16/79というモデルが存在し、MiG-23にも攻撃や索敵能力が劣るモデルが存在した。
T-72神
ソ連の代表的な戦車で有ったT-72そのものが改造の最大の被害に有った。
劣化内容は以下の通り。
- 複合装甲200mmから280mm( 焼入れした鉄で400-600mm程度 )から、焼入れした鉄板( 均質圧延装甲 )にした。
- 硬く成きゃいけない徹甲弾の素材が通常通りのタングステン等のレアメタルでは無く、ただの鋼鉄。当然敵の装甲を打ち破れない。
- 装甲以外違うT-72神との部品共通が無い
という悪趣味な劣化と同じく、オリジナルの弱点も加わってシリアやイラクに輸出されたものは大変なことに。
逸話
- M1エイブラムスを10対1でも傷すらつけられず、やられる。
- 動けないM1エイブラムスに3対1でやられる。
- 戦車じゃないM2ブラッドレーを2両相手にするも25mm機関砲弾やTOWミサイルに10台近くやられる。
- 自分より小さい口径のメルカバに一方的に撃破。
- はっきりいってT-55の方がマシ
……この様な事が調べれば山の様に出てくると言われる。
派生型
こんなゴミを送られて困ったのが衛星国・同盟各国。
- PT-91シリーズ
ポーランドが有りったけの技術を詰め込み、現代でも通用する様な改造を施した。
射撃制御装置・爆発反応装甲・エンジン・トランスミッションは安心の国産。エンジンは高出力化されている。
- M-84シリーズ
セルビアで作られたもの。あくまでも参考程度に製造されているものの、非常にそっくりであるが、中身は全く違うのはお約束。
一般的なものを挙げているので、その他改修されているものも星の数。
因みに、これらの戦車は一両5000万円程であると言われるが、流石に個人輸入しようとする猛者はいないよね……
関連項目
ストライクダガー AEUヘリオン フレック・グレイズ 量産機