朱の盆
しゅのぼん
概要
「朱の盤」は以前はそれほどメジャーな妖怪では無かったが、水木しげるの漫画作品『ゲゲゲの鬼太郎』で敵方妖怪の総大将・ぬらりひょんの手下として描かれてから、少しずつではあるが一般にその名が知られるようになった。
本来の伝承では人を驚かせたり、場合によっては命も奪う恐ろしい妖怪だが、『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズでは一貫して「ぬらりひょんの腰巾着」や「間抜けでどこか憎めない小悪党」といった姿で描かれている。
そのため、妖怪同士での戦闘もほとんど描写されず、いざ戦いになったとしても自分の力で勝利した事は皆無に等しい程の弱小妖怪とされるが、さすがに人間相手だと負ける事はないので最低限の力はある模様であり、『国取り物語』では相撲にてパワーやアクロバティックな動きを見せる運動能力を見せたり、5期では妖怪城の戦いで猫娘相手に戦い、猫娘に避けられたがそれなりに強力な頭突きを行っており、6期では鬼太郎自身を相手取ってそれなりに戦果を見せる場面はあったなど、特殊能力ではなくて身体能力がクローズアップされることがある。
アニメにおける描写
3期
本来小心者の妖怪だったが、一人前の悪党妖怪になるためにぬらりひょんの子分となった。
初登場時は人間に化けてディスコで踊り、正体を露にして人間達を驚かせるという前述の伝承のような演出があった。ぬらりひょんからは無能者と蔑まれていたが根気強く従っていた。
だが天童ユメコの優しさに触れて改心し、ぬらりひょんへの義理もあって「あんたはオイラが居ないと誰も悲しまないから、せめて一緒に地獄へ行きましょう」と道連れにして、鬼太郎たちを守る最期を選び消息を絶った。
4期
歴代で一番巨漢で怪力の持ち主であるが、呑気でお人よしな性格。ぬらりひょんの食事を作ったり身の回りの世話をするなど、子分というより使用人のような立場にある。
悪い事に協力させられている自覚に乏しく、凄まじいまでのオトボケぶりで、主人のぬらりひょんからもツッコミを入れられる時があったほど。
5期
ぬらりひょんの最古参の部下であり、ぬらりひょんから悪行の手ほどきを受けるなど弟子のような立場にある。ぬらりひょんも彼を憎からず思っている節がある。だが、5期のぬらりひょん一味には朱の盆以外にも有能な部下が大勢いるため、贔屓するわけにもいかずぬらりひょんから辛く当たられる事も多かった。
妖怪城覚醒のため各地から家鳴りを集めるもうまくいかず、鬼太郎達との交戦中に苦労してやっと1体捕まえて報告に来るも、無能ぶりにウンザリしたぬらりひょんに見放されてしまう(他の部下の手前、朱の盆に甘くするわけにはいかなかった)が、ショックに泣きながら駆け出した矢先に次々と戦闘に巻き込まれてボコボコにされた(あまりの想定外ぶりに敵味方双方から「ごめん」と謝られている)。ところがそれが家鳴り達に大ウケし、結果やる気を出させて妖怪城を覚醒させることに見事成功した。さすがにぬらりひょんも想定外ではあったが、まさに「天が味方した」としか言いようのない偶然力が働いた功績に手のひら返しで称賛しているが、本音では朱の盆を呼び戻す口実ができたと喜んでいたと思われる。
6期
ぬらりひょんの使い走りとして妖怪との連絡調整や人間の悪徳政治家に賄賂を送り届けるなど、秘書のような立場にある。大逆の四将の封印が解けた際に、地獄の最下層で赤い顔の妖怪が目撃されたことから四将の封印を解いた犯人は彼だと思われたが、実際は真犯人の手がかり的存在であることが発覚する。
今作においても間抜けな面は健在だが、戦闘力においては歴代でもトップクラスを誇り、鬼太郎のリモコン下駄を弾き、髪の毛針も「ちょっと痛いけど特に問題はない」と言い、多くの妖怪にダメージを与えたちゃんちゃんこでの打撃攻撃も難なく防ぎ逆に捕まえて殴り返すなど、ぬらりひょんの側近として恥じぬ実力を見せた。
更に第94話では、鬼太郎たちですら弱点を突かなければ太刀打ちできなかった狼男ヴォルフガングの攻撃を止めるなど、かなり強力な妖怪となっている。
第95話では、ぬらりひょんを乗せた車を運転したり、武装した隊員たちをガトリング銃で射殺するなど、機械の操縦もできるらしい。
最終回ではぬらりひょんが鬼太郎たちの前で自害したため独り寂しくしている。
その他
水木しげるによるイラストは2種類が存在し、『妖怪画談』では、本来の伝承通りの「赤い盆の頭部を持つ妖怪」としてデザインされている。
『妖怪大戦争ガーディアンズ』のスピンオフ小説『平安百鬼譚』では、安倍晴明(DAEMON)と鵺との最終決戦に鬼太郎ファミリーやぬらりひょんと共にごくわずかだが助っ人として活躍する場面があり、鵺は妖怪や人間では抑えきれないので神である玄武(ガメラ)が対処したが、手下の妖怪軍団との戦いでは朱の盆たちが奮戦して安倍晴明が撃破されるまでの時間稼ぎを行った。