※本記事には「新たなる帝国」の重大なネタバレが含まれます。
概要
2024年公開のモンスターバースシリーズ第5作『ゴジラxコング:新たなる帝国』に登場する怪獣(タイタン)。
地下空洞に棲息する伝説の古代怪獣で、予告編では「更なる脅威」と紹介されている。同じく地下空洞に君臨する本作のメインヴィラン・スカーキングと並ぶもう一つの敵怪獣としてコング及びゴジラの前に立ちはだかることになる。
外見
四足歩行の爬虫類のようだが、四肢は恐竜やゴジラのような直立歩行型となっており、ラウィスクス類のような体つきとなっている。
性別は雌(※)だがかなりの巨体を誇り、体高(身長)約162mとゴジラやコングはおろかキングギドラすら凌駕する。
最大の特徴として、後頭部から尾にかけて結晶に似た瑠璃色の棘のようなもので背面が覆われており、特に尾の先端部はステゴサウルスなど剣竜のサゴマイザーのような形状となっている。これに加え雪のように白い体色も相まって、さながら氷を鎧のように纏ったかのような姿となっている。
※ 劇中および公式パンフレットでは性別に関する言及はないが、英語版のX(Twitter)では、シーモの紹介文に“She’s a bit of an ice queen.”(「彼女はちょっとした氷の女王である。」)という一文が書かれている。更に雑誌のインタビュー記事等で監督が雌であることを明言した。
能力
その外見から想像できる通り、冷気を操る能力を持ち、体から常に周囲を凍りつかせる程の冷気が溢れ出ている(ただし、ある程度調節が可能なのか、彼女に跨ったスカーキングやコングは特に寒そうな様子は見せていなかった)。
最大の武器は、背中の棘を光らせながら口から発射するフロストバイトブラスト(Frost bite blast)と呼ばれる強烈な冷気のエネルギー波であり、あらゆるものを凍り付かせてしまう。劇中では一時的とはいえゴジラをも凍らせた他、コングはコングアックスで受け止めたにもかかわらず(前作でゴジラの熱線を受け止めた際には完全に無効化した)、右腕の神経系や体組織が損傷する重度の凍傷を負ってしまった。
更にはかつてゴジラと共闘しギドラを南極で氷漬けにした事も明かされており、フロストバイトブラストの威力がうかがえる。
その巨体から見て取れるように肉弾戦能力も高く、ゴジラとの取っ組み合いでも一歩も退かないパワーを見せた。
攻撃力だけでなく耐久力も桁違いであり、身にまとう冷気もあってか、これまでよりも大幅にパワーアップしていたゴジラの熱線を直接浴びせられてもほとんどダメージを受けた様子がなかった。幾多の戦闘があったにもかかわらず、最後まで無傷であったことがその防御力の高さを示している。
活躍
※以下、劇中ネタバレ注意
ここまでの説明に加え、作中世界においてもかつて氷河期を引き起こした存在とされ、本気で暴れだしたら地球を破壊しかねない程の強大な力を秘めており、まさに「更なる脅威」のキャッチコピーに相応しい危険な怪獣と予想された。
だが意外なことに本来の性格はそこまで凶暴ではなく、自発的に相手に危害を加えるようなことはしない温厚な怪獣である(…なのだが、日本版のパンフレットでは「(ゴジラの)宿敵」「暴れだしたら地球も破壊しかねない凶暴なタイタン」などと記述されていたため、事前にパンフレットを読んでいた視聴者の中にはそのギャップに驚いた者も多かったとか)。
しかし、現在はスカーキングによって発見されて捕縛・使役させられており、彼の武器・ウィップスラッシュの先端部に付けられたシーモの棘に似た氷のような結晶によって苦痛を与えられて強制的に服従させられていた。
だが、逆に言えばスカーキングとの間に信頼関係などは無く、物語終盤で結晶がスーコの手によって破壊され自由の身になっている。そして追い詰められたスカーキングに助けを求められたが、ゴジラ・コングを王と認めたことや、散々顎で使われ続けたことに対する積年の不満もあったのか、ゴジラのアルファコールにあっさり従いスカーキングにフロストバイトブラストを放ち凍り付かせ、コングが止めを刺す手助けをした。戦いの終わりを告げるようにゴジラが天に向かって放った放射熱線には、目を輝かせて見入るようにしていた。
※ゴジラの事は格上と認識している節があり、劇中では洗脳が解けた後ゴジラのアルファコールに躊躇なく従ったほか、ゴジラがいることに驚くような仕草を見せていた。
戦いが終わった後は、コングを乗せて地下空洞世界に帰還。そのままコングに服従することにした様で、グレイト・エイプの新たなる支配者となったコングをスーコと共に見守っていた。
なお、コングからは顎を撫でられるなど大切にされており、スカーキングの時のように無理強いされたのではなく、信頼の上で彼の配下となることを選んだようだ。
余談
- 名前の由来
監督などのインタビューによると、冷凍能力を持つ怪獣なので日本語の「霜」が名前の由来になっている。更に女性の怪獣なので「she monster」も掛かっており、ダブルミーニングであるとされている。
- 登場の示唆
前作『GODZILLAvsKONG』における敵怪獣・メカゴジラが特報や予告編ではひたすらその存在を隠されていたが、シーモに関しては2024年2月15日に公開された第二弾予告編にてまさかのシルエット及びに放たれるフロストバイトブラストが公開され、ファン達を驚愕させた。
更に遡ると『Call of Duty: Warzone』で2022年に配信されたモンスターバースとのコラボモード「オペレーション・モナーク」のステージにて、ゴジラと対峙するシーモの壁画が登場している。
- オマージュ?
上記の通り背面は棘で覆われており、四足歩行だが直立も可能な骨格、本来は凶暴で無い、主役怪獣の仲間になるなど、昭和ゴジラにおける2代目アンギラスに似た要素が多い。ちなみに、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』の初期プロットで登場が予定されていた(結局没となり、設定の一部が魏怒羅へと受け継がれた)GMKアンギラスとは四足歩行の氷を纏う怪獣という共通点がある。
また、全身を結晶のようなものに覆われたその外見から、詳細が判明する前はスペースゴジラのオマージュキャラなのではないか?という見方もあった。
- 珍しい冷凍怪獣
ゴジラシリーズではウルトラシリーズ等と比べると意外にも冷凍属性の怪獣と呼べる存在がかなり少なく(アブソリュート・ゼロを使用できる3式機龍も含めてゴジラの方が冷気属性を持たされるパターンも少なくなかった)、冷凍属性を前面に押し出したシーモがかなり珍しいゴジラ怪獣ともいえる。
- 新たなるヒロイン?
モスラに次ぐ、モンスターバースにおける雌のメイン怪獣であり、物語で重要な役割を担ったことから、ファンからは新たなるヒロイン怪獣枠として注目された。モスラが「戦乙女」「女神ヒロイン」だとすれば、シーモは「囚われの姫」、「悲劇のヒロイン」などといったところであろうか。
加えて、鎖に繋がれ、苦痛を与えられて無理矢理服従させられるなどの劇中の描写、氷属性=クールビューティーというイメージ、ゴジラやコングよりも大柄な体格、スカーキングの呪縛から解放された後に見せたあざとい仕草等、人間の女性に置き換えると萌え要素の塊であると話題になり、公開直後からファンの間では「シーモちゃん」と呼ばれて人気を博している。
それゆえ、二次創作では、モスラ同様擬人化の題材としての需要も爆増している。
ちなみに上記の通り強大な力を持つが本来の性格は温厚な彼女が、氷河期を起こした原因になったというのはそれだけの冷気を放つ必要があったということなので、約7万年前にゴジラと戦った結果、氷河期を到来させてしまったという可能性もある。そしてスカーキングも同様だが世代交代や休眠などしていないとすれば、約7万年も捕らえられ苦痛によって服従させられていたということに…。そこから解放されれば助けを求められようが容赦なくスカーキングを攻撃するのも納得というものである。