概要
フランスの宮廷料理に由来する「オート・キュイジーヌ」が諸国外交の正餐に使われてきた歴史があるため、高級で気取ったイメージがある。ただ、最近は郷土料理や家庭料理も知られるようになっている。
歴史を辿ると、中世の料理は庶民はありあわせの物を調理して食いつなぎ、貴族も「質より量」とばかりに大食いであった。香辛料が貴重なために宴席では大量に輸入品のスパイスを使ったり、「手の込んだ料理は高級」と焼いた肉を更に煮たり(栄養分と旨味の無駄)、野菜を蔑視して栄養バランスが悪かったりと、洗練には程遠い状態であった。
フランス料理が洗練されたのは、中世の後期にイタリア料理が導入されてから。実はフォークが導入されたのもその頃。フランス王国が元々海に面し土地が肥えているために海産物、農産物ともに豊富で西欧最大の強国であった事もあり、各国の王侯貴族の宴席にフランス料理が広まって行った。
そして近代には、フランス革命により、宮廷・貴族お抱えの料理人が民間に流出、市井にレストランを開いたり、スパイスを控えめにしてハーブを重視したり、ロシア料理で料理が冷めないように一品ずつ持ってくるスタイルを取り入れたりと、度重なる普及と改良が進んで現在に至っている。
フランス料理の食事は基本、以下の三つの料理を順に提供する。これを定食(ムニュ)といい、ビストロから家庭料理、あるいは学生食堂までこの構成が基本。
オードブルHors-d'œuvre | 前菜のこと。 |
プラPlats | メインディッシュ。一般に魚料理か肉料理かを選ぶ |
デセールDesserts | デザートのこと。 |
豪華なフルコースはこの基本からさらに品数が増えていく。
もちろん、全てのフランス人がブルジョワという訳ではなく、B級グルメもある。カフェで出るランチの定番では軽くはクロックムッシュやフランスパンのオープンサンドイッチ、クレープなど。重くはフライドポテトをどっさり付けたビーフステーキもしっかりランチメニューにあったりする。胃もたれしないのか?ムッシュよ。
日本との関連
日本でフランス料理が知られるようになったのは幕末から明治初頭にかけてで、宮中の宴に用いられた。理由としては交流が深かった欧州王家の正餐がフランス料理主体であったのもあるが、大正の始めに宮内省の大膳に料理長として抜擢された秋山徳蔵氏がフランスに料理修業に出ていたのも大きいと言う説がある。
当時の庶民にフランス料理は高嶺の花だったが、フランスの肉料理であるコートレータから派生したカツレツや、クロケットが元とされるコロッケと言った、日本人好みの味になった料理も多く、今も私達の側に根付くフランス料理も多い。近年は、お手頃な料理や創作料理も考案され、日本人の食により一層浸透している料理となっている。
創作上のフランス料理
どうしても堅苦しいイメージと高級感が抜けきらないためか、技術に溺れたかませ犬的な役割が多いが、食に対する追及は世界的によく知られており、本格的に扱った作品も多数存在する。
どちらかというと勝負形式のような作品は少なく、フランス料理を通した人間ドラマや求道的な風景を描く作品が多い。