概要
ベニエ(beignet)とは、フランス発祥の揚げ菓子、または揚げ物のこと。「揚げた生地」を意味する。源義は「baigner(浸す)」に遡る。
菓子としてはシュー皮生地を揚げたものとパン生地を揚げたものが知られる。揚げ物はフレンチの定番として知られ、野菜を揚げたものが有名。
菓子
フランス発祥の菓子。イーストで発酵させた生地、ないしシュー生地をカリッと揚げ、粉砂糖をかけたスイーツ。
地域や店で異なり、バリエーションも豊富。呼び名も地域により様々。
特徴
生地じたいに甘味はなく、粉砂糖をかけたり、中にクリームやチョコ、ジャムを入れて食べる。
普段のおやつで食べられる他、謝肉祭(カーニバル)に欠かせない行事食でもある(後述)。
種類
形は地域や店により様々で、見た目や味わいが大きく変わる。形は定番の四角から、丸型やスティック状、リボン状などバリエーションが多い。
バラやコニャックで香り付けするなど、アレンジも多種多様。
また、地域より呼び名も変わる。リヨン付近では「ビューイ」、ランドック地方では「オレイエット」、ペリゴール地方では「メルヴェイユ」と呼ばれる。
タイプとしては、以下の二種類に分かれる。何れも粉糖をかける点は共通。
- パン生地タイプ
イーストで発酵させた生地を揚げたもの。ドーナツのようなふわふわした食感が特徴で、甘さは控えめ。
ドーナツといっても、穴は空いていない事がほとんど。
アレンジが多く、粉砂糖をかける以外に、ジャムやチョコレートソースも詰める。ジャムのフレーバーも、フランボワーズや桃、アプリコット、リンゴなど様々。
ジャムタイプは、夏の海岸で食される軽食の定番として人気が高い。日本でもこのタイプが多い。
- チップスタイプ
シュー生地のような薄い生地を揚げる。パリパリした軽い食感が特徴。
謝肉祭とのかかわり
4月のイースター前の40日間、節食する風習があるが、その前の1週間(謝肉祭)は節食に備え、飽食が行われる。その最終日、マルディ・グラにベニエが食べられる。
これは、節食前に卵や肉を食べきるために、ベニエが食べれるようになったからと言われる。
この時期になると、パティスリーやベーカリーにはベニエがズラリと並ぶ。最近では、イースター以外の1月~3月にもパティスリーに並ぶようになっている。
揚げ物
様々な食材に衣を付け、揚げたもの。肉や魚、野菜、洋酒に浸けた果物、クレーム・パティシエール等のクリームなどのバリエーションがある。シュー生地やブリオッシュ、折り込みパイ、ゴーフルなどの生地を揚げたものも言う。
シュー生地で揚げたものは、「ベニエ・スフレ(soupirs de nonne)」「ペ・ド・ノンヌ」と言う。後者は「尼のおなら」の意で、ある女性修道士が少量の生地を熱い油に落としてしまったという伝承が由来だが、後に“品がない”として「尼のため息」を意味する前者で呼ばれるようになったと言う。
フレンチ料理として知られ、イタリア語のフリット、英語のフリッターと同じもの。
特徴
メレンゲなどを加えたふわふわの衣で揚げられる。メレンゲを泡立てて作るため、ふわふわした食感と卵白の優しい味わいが特徴。
洋風の天ぷらのような見た目だが、具材を予め火に通してから揚げる点が、天ぷらとは異なる。
お酒のつまみにもぴったりだと言う。
ルイジアナ州の「ベニエ」
フランスの影響が強いルイジアナ州でも、クレオール料理として、ベニエは食べられている。
上記の内、菓子の「ベニエ」を起源としたもの。しかし、発祥地とは異なり、サックリ揚げた四角いベニエに、どっさり山盛りになる程の粉砂糖をかけて食べられる。
カーニバルの時のみの行事食ではなく、カフェなどの定番メニューとして、日常的に食べられている。
関連タグ
菓子
揚げ物
串揚げ:大阪梅田にあるフレンチ串揚げ専門店『BEIGNET』
ルイジアナ版ベニエ
ティアナ:ディズニー映画『プリンセスと魔法のキス』のヒロイン。得意料理の一つ