その腹から産むのはどれほど恐ろしいものか、未だに想像したがらない
概要
深海棲艦の一種。艦種分類は「補給艦」。
速吸や神威の実装以前は、艦これに登場する唯一の「補給艦」だった。
補給艦と言われるものの、実際のところ何を運んでいるのかは不明である(深海棲艦の補給、活動のためのエネルギー源や資源が何なのかも、その供給が必要であるのかも含めてこれまたよくわかっていない)。
外見
黒い球体の艤装から人に似た上半身が生えるという妊婦のような姿をしており、顔にあたる部分はキノコの傘を思わせるヘルメット状の被り物に覆われている。球体下部はゲーム内では確認しづらいものの、カードゲーム版のイラスト等で、左右後側から太いホース状の付属器官が前方側へ伸びていることが明らかになっている。
もっとも、ただでさえ全貌を確認しづらい深海棲艦な上に下記の通り通常版は一切攻撃しない為、
カットインを拝む機会が少なく、その容貌はあまり知られていない。
ゲーム内での扱い
ろ号作戦などのクエストで「補給艦」として撃沈対象に指定されている。
この敵が初登場する2-2「バシー海峡」は補給艦を倒すデイリークエストやウィークリークエスト達成にもってこいである。
また、随伴艦が旗艦をかばうシステムが実装されて以降、旗艦(戦艦、重巡洋艦など)をかばって撃沈されるシュールな光景を見ることができるように。輸送船団とは一体……
彼女らは主にボス海域から外れた海域で行動しており、ノーマルでは戦闘能力皆無。
主に任務の標的としてプレイヤーの艦隊から狙われることとなる。
ただし、elite以降になると主砲を装備し、自力で反撃してくるようになる(割合ダメージが入り、少し痛い)ので油断禁物。
ちなみにeliteクラスは夜戦カットインも仕掛けてくるが、火力が15と低いうえに雷装は0なのでさほどの威力ではない。
flagshipクラスは4-2から登場する。
こちらはeliteクラスから大幅に強化され、火力と装甲はそれぞれ55、65と重巡リ級eliteクラス並みに、耐久値は130と装甲空母鬼(HP150)に迫る高耐久力となった。装甲が強化されたことで、駆逐艦などの低火力の艦娘ではダメージを与えにくくなっている。
また、eliteと異なりこちらは火力が高めなので夜戦カットインの威力もそこそこあり、こちらの艦娘を一撃で大破させてくることも。
令和3年春イベント「激突!ルンガ沖夜戦」では、輸送ワ級IIelite、IIflagshipが新登場。グラフィックに変化はないが、耐久値が480にまで上がっているほか、対空電探を装備してほとんど防空巡洋艦の様相となっており、水偵も装備しているので、制空権を取られた場合は昼連撃までしてくる。特にflagshipは主砲も特殊高角砲に換わっているため対空カットインを使えるようになっている。ただし、耐久と防空能力以外のステータスは、従来のelite・flagshipと比べても微増程度。
初登場時はただの旗艦だったのでさして問題は無かったのだが、3年後の令和6年夏イベント「Operation_Menace」でワ級IIは突如牙を剥き、E4−3のボスマスで戦艦新棲姫の随伴艦隊に丙作戦以上で2隻出現。第二艦隊らしからぬ耐久力で主力艦隊との夜戦に入るのを阻む上に高い防空能力で艦載機をカトンボのように落としまくる悪魔と化した。特に甲ではflagshipなので対空カットインが出た場合は攻撃機や爆撃機は確定で壊滅してしまう。乙と丙ではeliteだがflagshipと比較しても耐久力据え置き、防空もナ級後期型llとどっこいなので甲よりはマシといった程度でほとんど慰めにもなっていない始末。当然ワ級だけでなく、主力艦隊も頑強な上に正規空母か高角砲持ちしかいないという悪夢のような部隊であり、理不尽すぎる布陣に心を折られた提督が多数出る始末。なお丁でもワ級は出るが何もしてこないワ級1隻のみであり、ゲージ破壊段階でただのeliteが1隻追加されるだけなのでワ級は脅威にはならず、主力艦隊も高耐久艦が半減するなどだいぶ難易度が下がる。特に丙作戦のボス編成がヘタな甲最終海域並みに狂っていた上に報酬も微妙だったので、乙が無理なら丁まで下げた方がマシだったためか、突破者の4割が丁だった一方で丙突破者がほとんどいないというアンバランスなことになった。
なおE5-5でもワ級IIはギミックで行くことになるYマスの4隻編成の輸送部隊に2隻固定(丁だとワ級IIは旗艦のみで随伴はただのワ級)で出現。乙以上だと随伴の駆逐艦が先制雷撃をしてくる米駆逐棲姫2隻なので耐久のみならず対空砲火も狂っているうえ、道中も重巡夏姫とネ級改3隻が陣取る強襲水雷部隊マスを通る必要があるため、Yマス自体のタフさもあってA勝利もキツイのだが、よりにもよって甲の装甲破砕時はここでS勝利2回を要求される。なお丙以下では道中のネ級改の数が減る上、随伴の駆逐艦が二級後期型までランクダウンするのでA勝利のハードルが大きく下がる。
『艦これ』第二期における扱いの変化
二期では輸送ワ級の出現場所が心なしか増加し、4-2や4-3、4-4のボスマスにも出現するようになった。
4-3において港湾棲姫を駆逐イ級と無印のワ級が囲む光景は艦これ改を彷彿とさせる…というか艦これ改の「カレー洋リランカ島沖」丁難易度ボスマスの編成そのものである。
さらに、ワ級が出現する道中マスでは他のマスより獲得経験値が多い傾向にあるという事が明らかになった。
「上陸船団」「後方兵站部隊」等と言った艦隊名の敵が出現するマスにおいてはその海域のボスマス並の経験値が得られるようになっている。
仕様変更で3-2-1や潜水艦レベリングがし辛くなった一方、このような変更が行われていたのである。
例外は5-2のDマス「敵任務部隊 随伴部隊」で、ここだけ普通の道中マス並のしょっぱい経験値しか得られない。
此方に関してはモチーフである珊瑚海海戦において空母と誤認され撃沈されたアメリカの給油艦ネオショーが元ネタで「主目標ではない為に経験値が低い」という説も考えられる。
特に5-3「第一次サーモン海戦」Pマスと5-4「東京急行」Jマスに存在する「敵泊地投錨中輸送船団」では1期の東京急行を上回る経験値が得られる(5-3では1期の頃からあったが、此方の場合戦闘回数が増えてボスで燃料・弾薬ペナルティがかかるようになる為、邪魔とすら言えるものであった)。
そして、この「敵泊地投錨中輸送船団」マスは夜戦マス。2期のアップデートで夜戦マスでの燃料・弾薬の消費が緩くなるように変更された(正確には期間限定イベント海域と同じ仕様になった)為、単純な1戦だけで見ればその効率は3-2-1の比ではなく、かつての東京急行に勝るとも劣らない。
1期3-2-1:S勝利で384、燃料・弾薬20%消費
1期東京急行:1マスあたりS勝利で504、燃料・弾薬20%消費。ボスまで全てS勝利で1512、燃料・弾薬60%消費
2期敵泊地投錨中輸送船団(第一次サーモン海戦):S勝利で最大660→900(2018年11月16日以降)、燃料・弾薬10%消費
2期敵泊地投錨中輸送船団(東京急行):S勝利で最大588、燃料・弾薬10%消費
おわかりいただけただろうか。燃料・弾薬比で見れば此方の方が経験値は多いのである。
…しかし、2期が始まって暫くの間は、この事実がわかってもなお「以前のレベリングマップを返せ」という声が絶えなかった。
理由は非常に簡単、このマスはどちらもかの夜戦の鬼・重巡リ級flagshipとの夜戦マスを超えた先にあるからである。
当然門番マスで大破させられてしまえば雀の涙ほどの経験値しか得られず、任務も達成できない為不安定かつ非効率なのである。バケツの消費と修理費も決してバカにならないわけだし。
何よりも『艦これ』のレベリングにおいて重要視されるのは時間効率。
5-3・5-4におけるワ級レベリングは細々と行われてはいたもののレベリングの『主流』にまでは至らず、提督達はキス島・リランカ島沖・東京急行に代わる新たなレベリング天国を渇望している状況であったのだ。
そんな状況の中、2018年11月16日、深部海域の獲得経験値上方修正が行われ、ただでさえ高かった5-3の「敵泊地投錨中輸送船団」Pマスの経験値がさらに上方修正された(5-4Jマスの方は残念ながら?据え置きである)。この獲得経験値では確定で重巡リ級flagshipと戦わされるリスクに見合わないと判断されたのだろうか。
具体的には基礎経験値が500~550から700~750に引き上げられ、S勝利で最大660から最大900になった。ここまで来ると演習の高レベル編成と比べても決して見劣りはしなくなった。
これによって、いよいよ5-3Pマスにおけるレベリングも実用的なものとして現実味を帯びてきたのである。
一方、1期のレベリングスポットに比べた難点も存在する。
前述した通り5-3は夜戦マップである。
重巡・軽巡・駆逐艦のレベリングが捗る一方、戦闘に向かない特務艦のレベリングにはあまり向いておらず、戦艦を複数起用する場合は高速化が必要となる。また、空母はそもそも羅針盤の条件でPマスまでたどり着けない為、このマスでのレベリングには使えない。
そしてこれまた前述した、確定で遭遇する重巡リ級flagshipの存在である。
駆逐艦に熟練見張員と電探を搭載して回避率を上げる等の対策はあるが、確実ではなく以前のレベリングに比べると大破リスクは格段に高い。
が、上述した2021年春イベの終了後、状況は一変する。
同イベントでは新装備「精鋭水雷戦隊 司令部」が実装された。
その機能は「『これを装備した軽巡or駆逐艦が旗艦、およびそのほかの艦が雷巡or駆逐艦』の編成の場合、1回の戦闘につき1隻に限り大破した艦娘を単独で退避させられる」というもの。
そしてイベント終了とともにこのシステムは5-3含む通常海域での使用が可能となった。
…もうおわかりであろう。
使える編成が水雷戦隊に限られるとはいえ、この装備を使えば、1隻に限り道中大破しても撤退させて残りの艦で進撃できるため、夜戦マスの脅威が大幅に薄れることとなったのである。
自艦隊の1隻のみに敵の攻撃が集中しやすくなる探照灯もこれに伴い「大破リスクを上げてしまう扱いづらい装備」から一転「大破艦を1隻のみに絞れる=司令部要員での進撃に重要な装備」として敵の夜戦攻撃を低減させる照明弾などと並ぶ存在意義を獲得。
結果、5-3・5-4は3-2などと並びワ級狩りを行いつつ駆逐艦・軽巡・雷巡の経験値を安定して得られるレベリング天国となった。
もっとも、「精鋭水雷戦隊 司令部」を使わない場合は当然これまでと同じくリスクが伴ううえ、1度に複数が大破すれば同じことであるため、回避補正が強化された梯形陣・期間限定イベント海域中の警戒陣、いざとなればダメコンも活用するなどして計画的なレベリングを心がけよう。
二次創作
二次創作の深海棲艦サイドを描いた漫画等では、その役割から深海棲艦のお母さん的な役柄を任されやすい。
一方でその独特のフォルムが絵師たちの妄想をそそるのか、pixivに投稿されるイラストとしては艦娘達のアッチ系のネタに使われている例が多い。
余談・考察
一般的な「輸送艦=紙装甲」という通念に反して、ワ級flagshipの耐久は前述の通り下手な戦艦・正規空母以上であり、装甲でも重巡に匹敵する。このため提督たちの間では古くから「重巡洋艦より硬い補給艦って一体何なの」と訝しむ声があった。
しかしながら輸送艦は大量の物資を積むために大きな容積の空間があり、また重量物を搭載するために非常に浮力が高く設計されているため、実のところ現実でも沈めるのは意外に難しかったりする。
一例として、海上自衛隊の護衛艦「ゆきかぜ」らが撃沈処分しようとしたものの、当初の砲撃ではびくともせず、魚雷まで使ってようやく沈んだタンカー「第十雄洋丸」の件などをご覧になれば解りやすいだろう。
2-2の元ネタ「バシー海峡」は、太平洋戦争時に多数の日本軍の輸送艦がアメリカ軍の潜水艦に撃沈された別名「輸送船の墓場」とされる海域であり、この敵が多数出現するのはそれに由来していると推測される。
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以下ネタバレ注意! |
アニメ劇場版
とうとう体形からのネタが公式に採りあげられてしまった。
劇中冒頭では深海棲艦側の棲地に対する夜襲で、多数のワ級が撃沈されるが、その直後、テレビ版で撃沈された如月が、人体部分を破壊されたワ級の球体部らしきものの中から、全裸で現れるという衝撃的な生還を果たしたのだ。
前述の通りワ級が何を運んでいるのかはゲーム内では明らかになっていないが、アニメ版の設定では補充の兵員を輸送しているということだろうか。
しかし既出のワ級の姿では確認できない「ワイヤーで縫い合わされた巨大な口」から如月を放出するという描写から劇中の物体は本当にワ級なのか?という疑問も提示されている。
ただし、球体下部のホースなど特徴の多くはゲーム内のワ級と共通する。人体部が等身大とすれば、球体部の中に艦娘が入っているサイズ的にも辻褄は合うだろう。
ワ級だとして、なぜ中に如月が? 運んでいただけなのか。それとも…!?
如月についての詳細は彼女の項に任せるが、劇場版アニメで示された艦娘と深海棲艦の関係。そこにワ級が大きく関与している可能性が示されたと言える。