「私が奴村さんを独りにさせない」
「…ありがとう」
概要
『魔法少女サイト』に登場する奴村露乃×朝霧彩のGLカップリング。
本作の主人公である彩と、彼女を支えるもう一人の主人公的な位置付けの奴村という、本作の看板的存在な2人である。
2人の出会い
「まったく…、世話…焼かせるわね」
「あなたは…奴村さん…?」
高ノ織中学校に転校してきた彩は雫芽さりなを中心とした女子グループからの凄惨極まりないいじめに遭い、奴村は彩と初めてすれ違った頃から彼女のことを密かに気にし、クラス内でいじめられている彩を遠巻きに見つめるのみだった。
特に面識はなかった2人だったが、魔法少女サイトと出会った彩が瞬間移動能力を持つ拳銃型ステッキを与えられたことで運命的な出会いを果たすことになる。
さりな達グループの知り合いである男の先輩に強姦されそうになったとは言え、彩が咄嗟に使ったステッキの瞬間移動で強姦を仕向けた貝島えりかとその先輩が踏切事故で亡くなり、奴村は先輩達から逃げ出す彩の姿を偶然見つけ、それから起こった一部始終を目の当たりにしていた。
その翌日、凶器を手にしたさりなが事故の真相を聞き出そうと怒りのままに彩を問い詰め、奴村は自身が持つ時間停止能力のスマホ型ステッキで彩の窮地を救うことで、彼女と出会う。
当初は彩が自分に害は無く、共闘するのに良いと考えていただけの奴村だったが、自身の壮絶な過去を明かした際に自分のために涙を流す彩の底知れない天使のような優しさに触れたことで彩に好感を抱き、彼女がさりな達にいじめられるようになった経緯を聞いて励ましたことで初めての友達となった。
奴村と出会う以前から彩の味方となっていた唯一のクラスメイトである火本真も、彩と奴村が仲良くなってからは奴村に対して「朝霧さんと一番仲が良い」という印象を抱くようになっていた。
ステッキの代償
奴村は物語序盤から寿命の減りが異常に速いスマホ型ステッキに加え、複数ものステッキを酷使していたために寿命が残りわずかとなってしまうが、彩はステッキの使い過ぎで倒れた奴村を守るために復讐の牙を剥けるさりなの猛攻から身を挺して守り、成長の第一歩を見せ、奴村の寿命のことを知らされてショックを受けた時も覚悟を決め、自身が企画した海水浴で奴村や仲間達と楽しい一時を過ごした。
しかし、魔法少女サイトの秘密を知り、穴沢虹海のステッキを手にした彩の兄・朝霧要が魔法少女達から全てのステッキを奪おうと暗躍し、自身のせいで仲間を追い詰め、絶望に閉ざされた虹海が自らを犠牲にし、要に反撃を下した末に絶命。
彩は虹海の死に一人強い罪悪感を覚えて塞ぎ込み、奴村は彩や自分達を苦しめた上、虹海を殺して行方を眩ました要に復讐しようと企てていたが、彩や奴村をはじめ、魔法少女達は要本人がサイト管理人の協力者によって拉致監禁され、既に自業自得の報いを受けていることを一切知る由もない。
後日行われた虹海の告別式で奴村達と再会し、もう誰も傷つけさせないことを誓う彩は仲間のステッキを預かり、一人で全てを背負い込もうとしたことから奴村の平手打ちを受け、「犠牲者は出てしまったが、あんたのせいじゃない」、「あたしたちにも痛みを分けてほしい」などの言葉で強く諭され、仲間と協力して真の敵である魔法少女サイトを倒すことを改めて誓った。
思い出作り
さりなと水面下で行動を共にする魔法少女・禍沼アリスの発案によるサイト管理人奇襲作戦で、住倉湯華の元へステッキを届けようとしたひょっとこのサイト管理人・弐を仕留めたその後、彩の寿命も残りわずかな中、奴村の寿命があと2日と知り、詳しい寿命の日数を初めて知った彩は泣き崩れてしまう。
サイト管理人奇襲作戦第二弾の決行前…、
彩と奴村は2人きりになり、彩は皆との思い出作りである海水浴だけではまだ物足りないと、最後の思い出作りをしようと笑顔で奴村を誘い、竹下通りでわたあめやパンケーキを食べたり、スマホケースをおそろいで買ったり、似顔絵や街道インタビュー、プリクラなど…、魔法少女サイトと出会う以前は悲しい顔しか見せなかった彩、彩と出会う以前はすごく楽しい時に楽しそうな顔ができないのが悩みだった奴村は、互いにこれまでに見せることのなかった明るい顔で一緒の時間を楽しく過ごすのだった。
その夜、最期に充分悔いのない素敵な思い出を作った奴村が嬉し涙を流したことから、互いに「ずっと一緒にいたい」という本音を出し合い、涙を流して笑顔を見せる二人は…………………。
「朝霧さんと一緒にいた時間…、幸せだった…」
「…本当に…ありがとう」
※以下、ネタバレ注意!!
サイト管理人奇襲作戦第二弾にて、世多谷区在住の魔法少女候補の少女が通う学校にサイト管理人・漆からステッキを与えられた彩や奴村たちとアリスが待機し、ステッキを届けようとする管理人を待ち構え、彩と奴村は強く手を繋いでいた。
しかし、管理人達に行動を読まれてしまった魔法少女達はサイト管理人・拾と拾肆に苦戦を強いられてしまい、頼みの綱であるはずのアリスが突如姿を消し、万事休すと思われたその時、
自分のスマホ型ステッキで彩と自分以外の全ての時を止めた奴村は、ステッキを使ったことで寿命を使い果たし、そのまま安らかな顔で静かに息を引き取ってしまう。
自らの命を賭けた奴村の思いを受け取り、奴村や仲間のためにも一人拾に立ち向かった彩は奴村を失ったショックで声を出せなくなったものの、仲間を救い出し、拳銃型ステッキも対象を別の場所に移動させるだけでなく、人の記憶や寿命を移動させることができるようになった。
「もう……安心……ね……」
私たちは…(アニメオリジナル)
※以下、アニメ版ネタバレになりますのでご注意!!
「大好きよ…朝霧さん。ありが…とう…」
第10話から12話にかけてのアニメオリジナル展開では、湯華の学校へステッキを届けようとした弐を倒した直後に襲来した漆との一騎討ちでスマホ型ステッキを破壊され、深手を負った奴村がわずかな寿命と引き換えにシャーペン型ステッキによる防御壁で彩や梨ナ、小雨と漆の攻撃で負傷したさりなを守り、さりなのヨーヨー型ステッキで一人漆に挑む。
ステッキでわずかだった寿命を使い果たした奴村は、絶望しかなかった自分に生きる希望を与えてくれた彩に感謝の言葉を伝えながら、彩の目の前で安らかに息を引き取った。
…しかし奴村は、新たなサイト管理人候補として選ばれ、かつての記憶を消されると同時に超人的なパワーを身につけ、一度は漆の攻撃で破壊されたスマホ型ステッキと共に復活して彩に襲いかかり、奴村の猛攻に苦しむ彩は拳銃型ステッキで奴村と共に「また一緒に行こう」と約束した海に瞬間移動し、自分自身に拳銃型ステッキを使うと…
「大好き」
彩のステッキは、絶望しかなかった自分に生きる希望を与えてくれた奴村への強い想いで自分の寿命を移動させることができるようになり、彩によって寿命を分け与えられた奴村は、奇跡の復活を果たす…!!
自我を取り戻した奴村は、涙をこぼして傷だらけになった彩を強く抱きしめ、二人は下の名前で呼び合うようになった。
その場に現れた漆を彩が初めて使ったステッキで人を殺めてしまった例の踏切へと瞬間移動させ、奴村がスマホ型ステッキで時を止め、自分達も拳銃型ステッキで踏切へと瞬間移動する。
そして奴村が時を動かすことで、二人は踏切内に瞬間移動した漆を電車で撥ね飛ばすことに成功!!
漆を撃破したその後、奴村は彩の元に身を寄せるようになり、二人はわずかな寿命の中でも幸せな時を過ごそうと誓った。
私たちは
不幸じゃない
どこにも行かない。
BD/DVD(全6巻)初回限定版特典として収録されている、アニメ版最終回の後日談を描いた書き下ろしオリジナルコミックスの最終話において、幸せに浸り「ずっと一緒にいよう」と約束を交わす彩と奴村が描かれている。
キャラクターソング
彩のキャラクターソングとなる「赤イ涙の先」は居場所のない絶望の中でしか生きられなかった彩が奴村の存在によって救われ、希望を見出だすことができたことが強く意識された歌詞となっている他、奴村のキャラクターソングとなる「believe again」は彩のキャラソンと対となったアンサーソングと言えるものになっており、二人のキャラソンのMVも対となったものになる。
また、彩のカップリング曲として収録されている「もしアナタが 消えようとも」(アニメ第8話の挿入歌として使用されている)及び奴村のカップリング曲として収録されている「あたしがいなくても」も、曲名といい対となった曲であり、海水浴や竹下通りを二人で遊び歩く彩と奴村の姿も歌詞で描かれている。
まさにつゆあや(及びあやつゆ)を象徴していると言っても良いキャラクターソングである。
余談
因みにもう一つのCPと言われているきよこさと位置付けが類似した部分がかなりある。
- 誕生日が同じ月同士
- 片方が金髪の子(ステッキを受け取った順もどちらも奴村と清春の方が先)
- 片方がいじめられっ子
- 常に一緒にいる(互いに良き理解者)
など、対義されてるいることから作者のこだわりを感じる。
因みに二部の主人公の湖村花夜と酒木さくらの場合はCPというよりコンビ関係の方が強いためこちらは類似していない。
関連イラスト
関連タグ
逆CP:あやつゆ
表記揺れ:露彩
他の関連CP:きよこさ
以下、重大なネタバレを含みます!!
第2部47話(通算第102話)話以降におけるネタバレ注意!!
…実は彩と奴村は、それぞれ異なる養父母の元で育てられた、一日違いの血の繋がった双子の姉妹であると判明。
彩と奴村は一日違いの双子(おそらく二卵性双生児)として生まれるが、実母は出産直後に死亡、実父は消息不明で親類縁者も引き受けを拒否したために姉となる彩が朝霧家、妹が奴村家へと養子として引き取られ、二人はそれぞれの家庭で育てられていた。
しかしその数年後、二人は引き寄せられるかのように同じ学校で、運命的な出会いを果たしたのだった。
父親からは自分が引き取られた養子である事実を突き付けられ絶望に閉ざされる彩だったが、養女である自分を純粋に「家族」として受け入れ、愛情を注いでくれた母親の愛に触れて涙をこぼし、例え血の繋がりはなくとももう誰も死なせはしないと奴村のために誓って天狗のサイト管理人・拾弐から家族を守ろうと立ち向かう中、拾弐から奴村が自分の双子の妹だった事実を突き付けられた彩は、自分と奴村が「運命で繋がっていた」ことを心から喜び、拾弐が放った攻撃を相手の背後へと飛ばすことで拾弐の撃破に成功。虹海のステッキは要の手に渡る前にすかさず湖村花夜の元へと瞬間移動させ、兄に悪態を突かれながらも満面の笑みを浮かべていた。