ケーンヂくん、あーそびーましょ♪
概要
主人公ケンヂが子供の頃に描いた“よげんの書”の記述どおりに計画を進め、世界滅亡を企む謎の人物。
自身を教祖とするカルト教団を組織し、お面やマスクで素顔を隠した異様な風貌でありながら、圧倒的な支持で信者や協力者を増やし日本を侵食していく。
風貌
スーツを着用し、忍者ハットリくんのお面や組織のシンボルマークが書かれたマスクを付けているため素顔が不明(初期は素顔で活動していたが影で顔が隠れている)。
ともだち組織
信者たちは側から見ると穏やかな一般人に見えていたため周囲はさほど警戒しておらず、「友民党」という政党を作り、裏で“ともだち”の邪魔をする者や嗅ぎまわる者を“絶交”する過激な集団。
“ともだちランド”というテーマパーク(実際は洗脳施設)を作り、悪の親玉ケンヂの恐ろしさを民衆に広めている。
人物
信者の前では弱者に手を差し伸べる様な言動を繰り返す一方で、大量の兵器を作らせるために科学者を懐柔・誘拐し、裏でテロ活動を行なっていた。
経歴
世界を破壊する前章として“血のおおみそか”と呼ばれる自作自演の大規模テロを行ないその罪をケンヂに被せ、自身は「世界を救った英雄」に祭り上げられ日本を掌握してしまう。
2015年の元日、母校の理科室で“ひみつ集会”をひらきヤマネを呼びよせるが逆に射殺されてしまう。
その場に居合わせたオッチョによってお面を外されたことで正体が明らかになる
※ネタバレ注意
オッチョがお面を外した素顔は“血のおおみそか”で戦死したはずのフクベエだった。
だが万博の開会式セレモニーで、大衆が見守るなか復活を果たす。更にウイルスをばら撒かせた事で世界滅亡させる。
真の正体
その真の正体はケンヂの同級生であるカツマタであった。
そして1人目の正体だと思われたフクベエ本人は小学校卒業後の春休みに死亡しており、理科室で暗殺されたのは影武者であった事が判明する。
最終局面でケンヂ達と対峙するが、円盤型飛行機を田村マサオの特攻で撃墜させられ、その下敷きとなって満身創痍となる。
ケンヂにマスクを剥がされるも、その素顔は理科室で倒れた“ともだち”と同じ顔であり、整形をしているのか明かされず、正体がカツマタである事も最終話でようやく判明して物語は終結した。
映画版
演:佐々木蔵之介(成人後)/神木隆之介(中学時代)/黒羽洸成(小学生時代)
映画版では尺の都合や複雑な展開のテコ入れなどもあったからなのか、設定と展開が微妙に異なる。
まずフクベエは小学5年生の頃に急死していた(死因は不明)。
元々ケンヂ達とは親交がなく、時が経つにつれて同時期にフクベエ達からのいじめなどで不登校になっていたカツマタと混同され、いつの間にか人知れずに亡くなったのは名前も思い出せないカツマタという認識になっていたのである。
そのため映画版でのフクベエは普通の少年であり、ヤマネと共に“しん・よげんの書”を作っていたのはカツマタになっている。
手品道具の商人であった万丈目胤舟を勧誘して超能力者を演じて宗教サークルを拡大させ、フクベエの死を巧みに利用してケンヂ達に接触していた。
死からの復活については、万丈目が事前に替え玉を用意していたと明かしている。
終盤ではケンヂ達と対峙した際に、フクベエとして素顔を明かすも、裏切った万丈目に銃撃されてしまう。
足元から崩れるように倒れ、瀕死の状態で「まだ…終わらないよね?」とケンヂに語りかけるも、「終わりだ」と一蹴され息を引き取る。
その後、廃墟となったともだちランドのヴァーチャルアトラクションを使用したケンヂが、万引きをしたかつての自分に接触し、幼少期の“ともだち”に謝罪と返品をさせる。
また、中学時代の“ともだち”を「カツマタくん」と、初めてその名を出して呼び止め、当時の自分との関係修復を後押した。
映画版ではその際に彼の素顔も明かされ、当時のケンヂと談笑を始めた所で物語は終結する。
余談
- 完全版での補足
以前まで初代“ともだち”=フクベエ、二代目“ともだち”=カツマタと言われていたが、完全版にてフクベエが小学校卒業後の春休みに人知れず亡くなっていた事が明かされた。『漫道コバヤシ』の第51回で原作者・浦沢直樹氏から“ともだち”は最初から最後までカツマタただ1人であり、理科室でヤマネに射殺されたのは影武者である事が語られた。
そして、忍者ハットリくんのお面はフクベエと思わせるミスリードであり、キリコやカンナなどが感じていた“ともだち”に対する違和感とは、カツマタに似た何者か=影武者であり、カツマタ本人は最後まで生きていた。ただし、完全版でも冒頭の登場人物紹介の“ともだち”(ヤマネに射殺された方)の説明は一貫して「正体はケンヂの同級生・フクベエ。」と断言されたままである。
- “ともだち”は複数
チョーさんメモには「“ともだち”は複数?」とあり、その右下にA,B,Cとある他、14巻で複数の人物が同時に“ともだち”を目撃しているため(高須が中目黒、ユキジとオッチョが中華街、敷島教授の娘が西麻布、万丈目が議員会館)、“ともだち”には影武者が複数人いたと考えられる。
- “ともだち”誕生の経緯
原作者・浦沢直樹氏が小学校の同窓会に出席した際に、やたら親しげに話しかけてくる人がいたが、浦沢はその人の名前が分からず、「気持ち悪い」と感じた。その時の感覚が“ともだち”誕生のきっかけとなった。
- 20世紀を生きた少年?
単行本20巻第8話で“ともだち”が「僕が……僕こそが……20世紀少年だ」とタイトル回収するシーンがある。よく「20世紀少年のみを生きた少年」と解釈されがちなのだが、正確には「20世紀を体現した少年」という意味合いである。20世紀に流行ったカルチャーやニュース、それらを詰め込んだのが『20世紀少年』という作品であり、それらで構成された存在こそが“ともだち”なのである。
関連項目
ヨハン・リーベルト:同じ浦沢直樹作品である『MONSTER』の登場人物。
人格や人を操るといった面が“ともだち”と類似している。
うちはオビト:「仮面を被った黒幕」「別の人物に成りすます」などの共通点がある。