概要
2015年3月30日より、NHKで放送されているテレビドラマ。連続テレビ小説・第92シリーズ。
石川県・能登地方に家族と移住してきた主人公・希(まれ)が、パティシエを目指す成長物語。主人公の希役には2020人の応募の中から、女優の土屋太鳳がオーディションで選ばれた。
あらすじ
幼い少女・希は、東京で事業に失敗した父・津村徹によって家族と共に石川県のとある村へと引っ越し。農家の桶作家と暮らすことになった。
そこで出会ったのはなんとケーキ職人であるロベール幸恵。
彼女との出会いで、希もまた、ケーキ職人になりたいという夢を持つことに。
が、父・徹によって夢は儚く台無しになり、これをきっかけに夢を見ることを嫌いになってしまう。さらに母とロベールが実の母娘で、絶縁状態であることが判明。壮大な幼少期を迎えた。
時は流れ高校卒業後、輪島市役所に務めるものの夢を捨てられずロールケーキコンテストに出場するも落選、しかも審査員の一人、池畑大悟に作品を酷評されてしまう。
それでも後に上京し横浜の中華街にある中華料理屋に居候。
しかし、やっと見つけた就職先の店はかつて自分の作品を酷評した池畑大悟が店長だったという前途多難な日々が幕を開けるのであった。
登場人物
主人公と津村家
津村希(つむら まれ) / 演 : 土屋太鳳(幼少期 : 松本来夢)
本作の主人公。幼少期はケーキ職人になるという夢を持っていたが、夢を追いかけては、ことごとく失敗する父親の徹を見て、夢を見ることを嫌うようになる。
「地道にコツコツ」を人生のモットーに、高校入学後は父に代わって、母・藍子の仕事を手伝っている。高校卒業後は念願だった輪島市役所に就職するが、幼いころ抱いていたパティシエを再び目指すために、横浜へ行く。
津村徹(つむら とおる) / 演 : 大泉洋
希の父。家族を思う気持ちはあるが、「でかい夢」をモットーに一攫千金で儲けようとする山師的な考え方の持ち主。過去に何度も職を変えたり事業を始めては失敗している。
後半より自分が経営していたIT企業であったが彼の自己破産により元社員の一人から怨みを買うことに。彼から『家族に危害を加えない』という約束のもと石川県の村を出ていくことになった。
服装も前半では虹が描かれたものやアメリカの国旗(アメリカンドリーム)のデザインをしたものなど、如何にも夢を追い求めているイメージのあるものを着ていたが、後半で落ちぶれて以来そのような様子は見られなくなっている。
津村藍子(つむら あいこ) / 演 : 常盤貴子(幼少期 : 采沢真実)
希の母。旧姓は山本。明るく人懐こい性格で、地域の人々ともすぐに打ち解ける。夫・徹に対して呆れながらも見守り支える。
津村一徹(つむら いってつ) / 演 : 葉山奨之(4歳時 : 杉園啓仁、幼少期 : 木村聖哉)
希の1歳年下の弟。外浦村に引っ越してからすぐに友人ができ、能登弁にも慣れ親しんでいる。冷静沈着で客観的な性格であり、6年ぶりに再会した不甲斐ない父親に対し内心は憤りながらも、表向きは親切に接する。2001年(平成13年)には、姉たちと同じ高校に進学し、野球部の戦略担当をする。
ロベール幸枝(ロベール ゆきえ) / 演 : 草笛光子
希の祖母で、藍子の母。若い頃にフランスで修業を積んでいた有名パティシエ。日本人だが、希が生まれる前にフランス人と再婚したためロベール姓となっている。旧姓は山本。仕事を優先させるあまり、娘・藍子とすれ違い、絶縁されていた。
桶作家
津村一家の下宿先。かつては民宿を営んでいたが、津村家が来た時には塩田と農家を兼営して生活していた。
桶作文(おけさく ふみ) / 演 : 田中裕子
元治の妻。畑で野菜を作って朝市などで売っている。
周囲に勧められ、渋々ながらも宿無しだった津村家を「一時的に」という条件で引き受ける。当初は淡白な態度を示すが、地域に馴染もうと奔走する希や藍子に対してやがて心を開いて接するようになり、家賃の支払いや塩田でのアルバイトを条件に、桶作家で暮らすことを認める。
意地っ張りな性格で、自分の生きる場所は自分で守ることを信念としている。
桶作元治(おけさく がんじ) / 演 : 田中泯
文の夫。 代々伝わる塩田での塩作りに精を出している。普段は寡黙だが、夏祭りが近づくと性格が豹変して、祭りのことしか考えなくなる。友人・弥太郎の見合い相手であった文を奪って結婚した過去を持つ。
紺谷家
紺谷圭太(こんたに けいた) / 演 : 山崎賢人(幼少期:山崎祐馬)
希の同級生。当初は東京からやって来た希をよそ者扱いし、冷たい態度を示したが、地域に馴染もうとする希の努力を知り和解。その後、金沢へ転校したが、7年後の2001年(平成13年)に父の転勤に伴い、希たちと同じ高校に転入する。
ひたむきな希を見て、自分の夢である輪島塗職人になる決意をするとともに、交際を申し込むが…。
紺谷弥太郎(こんたに やたろう) / 演 : 中村敦夫
圭太の祖父。輪島塗の塗師屋(ぬしや)「紺谷漆器」の経営者で、輪島塗製造業者の組合長。若い頃は元治と遊び仲間であったが、文を巡り関係がこじれて以来、犬猿の仲となる。
マ・シェリ・シュ・シュ
池畑大悟(いけはた だいご) / 演 : 小日向文世
フランス菓子店「マ・シェリ・シュ・シュ」のオーナー。希とは第16話でロールケーキ甲子園審査員の1人として出会い、彼女の作品を酷評している。弟子入りも当初は門前払いにするが、希の必死のお願いで一か月間のテスト期間を経て判断することとなり、紆余曲折を経て正式に彼女を採用した。
パティシエとして華やかな経歴を持ち、フランスでは希の祖母であるロベール幸枝の下で修業していた。「巨匠」とも呼ばれる反面、頑固な上にプライドが高く些細なことでも機嫌を悪くする性格。また、極度のあがり症で雑誌取材やテレビ出演を断り続けていた。
矢野陶子(やの とうこ) / 演 : 柊子
マ・シェリ・シュ・シュのスーシェフ。過去に根性論を振りかざす先輩の扱きに耐えたからこそ今があるという過去があるため知識も経験ないのに就職した希を快く思っておらず、冷たくあしらっている。
また、職業柄男性との出会いも無く何年も恋人がいないため休日には精力的に合コンへ参加する。
後にステータスホテルのデザート部門シェフに引き抜かれ退職、フランスでの修業を経てスーパーパティシエTOKOとしてメディアに出演する。
浅井和也(あさい かずや) / 演 : 鈴木拓(ドランクドラゴン)
マ・シェリ・シュ・シュの従業員。勉強熱心であるが仕事の腕前はイマイチで以前勤めていた店は6年で解雇されている。さらには年下で仕事歴が自分よりも短い陶子には呼び捨てにされ、希も後にスーシェフに抜擢されたため追い抜かれる。しかし熱意と押しに弱く、質問に対して丁寧に答えるなど面倒見はいい。
植田弥生(うえだ やよい) / 演 : 福田彩乃
陶子の退職による欠員補充募集で採用された。希同様に地方公務員からの転職者だがボールに入っていたグラニュー糖をボールごと溢す、リンゴの皮も満足に剥けない、さらには大悟が作ったケーキに指で穴を開けて彼を激怒させるなど並外れた不器用で解雇されそうになるも希に救われる。
真面目で素直だが、酒に酔うとモノマネを連発するようになる。
余談
輪島市に本作のセットや衣装などを展示、グッズを販売する輪島ドラマ記念館が作られたが、2024年1月1日に起こった地震(令和6年能登半島地震)により発生した火災により全焼してしまい、残ったのは屋外に移動されていたケーキのオブジェのみであった。これだけ残っただけでもまさに奇跡だろう。