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魔法使いは誰かを笑顔にするために、その魔法を使う。それが私の目指す魔法使い、だからね!


概要編集

CV:千本木彩花


本作の主人公。パレッティア王国の第一王女であり、現国王オルファンス・イル・パレッティアの長女。愛称は「アニス」。「誰よりも魔法を愛しながら、魔法に愛されなかった王女」。


5歳の時に前世の記憶(正確には科学・文化などの知識・情報)を思い出し、自分が転生者だと自覚する。

(なお、前世の人格は一切引き継がれていない為、アニスの人格は前世を思い出す前も思い出した後も変化が無い模様。)


魔法を使うことを夢見ていたが、莫大な魔力を持ちながら適正属性がなく、魔法を使うことができなかった。それでも諦められずに"魔法を科学的に解明する学問"……「魔法科学」(略して「魔学」)を提唱し、以後この理論に基づいた様々な魔導具を開発していく。


人物像編集

"キテレツ王女"や"うつけ者"と呼ばれるだけあって(周囲目線での)奇行が多く、また魔法が使えない上に魔学で魔法を再現することが「冒涜」とみなされ、魔法を神聖視する貴族から嫌われている。加えて当人が魔法を使えないままでいることを死と同義と考えるほどにに忠実で、魔法を使えるようになるための行動を止める気もない暴走特急。結果として合わない相手との歩み寄りも苦手であり、破天荒すぎて貴族という概念と折り合いをつけにくいことも拍車をかけている。

反面、魔学の実績もあって軍人・医者などの一部の専門家からは「天才」と称賛され、市民からも次期国王にと望まれるほどの好感を持たれている。幼少期から彼女を知るグランツには「留まるところを知らない竜巻」に例えられる一方で、「風の如く気まぐれで溶けてしまいそうな程に儚くもある」とも評されている。


ただし、本人は自分が王になった場合は政策改革の際に貴族の血で城が紅く染まると悟っており、「"冷酷非道の独裁者"を次期王にする気ですか?」とオルファンスを脅しているうえ、同性愛者で有る事を公言している。自分が王に向いていない人間であることを一番自覚しており、両親が無理やり膠着状態に持ち込んでギリギリ鎮静状態にしている内乱を悪化させたくない事もあり、王位継承権を放棄している。


しかし、批判的な側からも「魔法さえ使えればアルガルドより王にふさわしい」と思っているものもいるほど王の素質が高いのも事実。そもそも魔学が浸透しないのは魔法が使えない彼女が提唱し実践していることが大きく、そこはアニスフィア自身も理解している。厳密にいうのなら魔法の神聖視による内憂を抱えているパレッティア王国において、「流血を齎さない国を安定させる王」の資質が無いのであり、逆に「流血を齎そうとも国を変革する王」の才覚はずば抜けて高い。

ただ当人は国を乱してまで王になるぐらいならうつけ者でいいとすら思っており、本気で王の才能がないと思っている。

  • Web版においては、この自己認識を「自ら呑んでいる毒」という形でさらに煽った人物がのちに自白している。また、たびたび騒動を起こしてはかなり過激に怒られているが、貴族と平民のバランスを保つために必要なことであると理解している。言うなれば怒られるところまでが計算のうちである。
    • このような処世術を身につけたのは、魔学の研究過程で必要な材料集めの手段として冒険者を兼任している経験から。それでも破天荒であらねば別種の問題が王国を悩ますため、無難な王女としては振舞わない。とはいえ両親からは実のところそんな立ち回りをしていることは理解されている様子。
  • 作者のツイートでは王になったと仮定した場合の世界線に触れているが、実際暴君になるとのこと。冷酷非道の独裁者とは脅しで済まない真実なのだが、それでも目的は変革をもたらすことであり、国をひっくり返したらあとは次代へ託すため処刑されるつもりでいるらしく、君臨し続けるつもりはないあたり根の良さは覆らず、特に「変革を望む点」と「自分が痛い目に遭うことを計算に入れて動く点」は何も変わらない。大きな視点で見ればそのあたり根っから人が良いと言える。

他に特筆できる点は天性の勘を備えていることで、彼女がその勘で拭えぬ懸念を抱いた時は大概が重大事件を突き止めるきっかけになっており、これは両親からも手放しで信頼されている。特に悪意を発端とした動きに対しては鋭く、パレッティア王国を揺るがす事態を引き起こそうとした者は、彼女が知ってか知らずか起こした行動を発端にことごとく出鼻をくじかれて破滅している。

一方で、周囲から変り者と見られ抑圧されてきた生い立ちから自己肯定力がかなり低く、自身への善意に対してはかなり鈍感。他人を褒めるのは上手だが、自身が褒められるのは慣れていない。ユフィリアを伴侶としてもこの短所の改善にはかなりの長期間を要することになる。


また、転生しているとはいっても思い出したのは飛行機といった現代地球の知識や概念止まり(例えるならこの存在が与えられる現代知識が近い)。前世の自分に関する記憶は全く無く、性別すらわかってない可能性がある。自分は現世の自分であると理解しているが、希に本当に前世の人格の影響が無いのかと不安になっている。


なお、同性愛者となった理由は幼少期の頃、魔法が使えない王族という理由から、男性貴族(特に魔法信仰者集団の『魔法省』)から子供を作る道具としか見られていなかった為、男性恐怖症を発症してしまったからである。

ただ、広義では男性恐怖症とはいうものの今現在は『アニスフィアという一個人』として真っ当に・対等に接してくれる相手に対しては老若男女や立場の違いなどの一切を問わず友好的なため、厳密にいえば「アニスを国家の消耗品とするような古くねじ曲がった考え方を毛嫌いしている」といった方が正しいのかもしれない。

実際、男性は伴侶に迎えることがお断りなだけで、交友関係や仲間などに目を向ければ彼女を取り巻く男性キャラクターは主要人物・モブ問わずかなり多い。ちなみに冒険者としてはギルドから最上級ランクに指定されている腕前だが、あくまで周囲は「王女である身分をわきまえて、態度は砕けてこそいるがアイドル的存在として最低限の距離は置いている」という出来た間柄。

また、「人たらし」と例えられるようにその行動は他者を惹きつける魅力があるようで、彼女の破天荒な行動がきっかけで本来運命的には日の当たらない末路になるはずだった人物の行く末を数多く変えている。


弟にして王太子であるアルガルドとは幼少期は仲が良かったが、現在は前述した王位継承権やアニスへの劣等感などが絡んだ複雑な感情を向けられている。


とある超常の存在を倒した時に、相手から「真に奇異なる稀人」「人という矮小な種でありながら己の魂で道を切り拓く者」と賞賛の言葉を送られている。また、その存在はアニスが「パレッティア」の名を持つ人間であることを知り、「あの精霊の愛し子の血族から稀人が生まれるとは皮肉な話だ」と意味深な言葉をかけられている。


余談編集

  • 作者のツイートでは本作のif展開について自らいろいろ提示・考察をしているが、ネタバレにならない範囲で結論から言うと、アニス(あるいはレイニ)が主人公でなければパレッティア王国は滅亡していたとのこと。
    • もともとは乙女ゲームと悪役令嬢ものがベースになっている世界観にて、それを覆すキャラクターとして考案されたのがアニスである。アルガルドとレイニの恋仲が主役となり、ライバルとしてユフィリアがいる構図を崩し、アルガルドやレイニの立場を変え、ユフィリアから「悪役」の立場を引き剝がした形。
    • また、アニスの奇想天外な立ち回りや周囲の扱いが奇跡的なバランスになってこの物語が成立しており、そのどれかがボタンを掛け違えば多くのifはたちまち崩壊へのフラグが起動するらしく、その意味でも本作を本作たらしめる役割を持たなければいけないキャラクター。
    • そのアニスの運命についても、作中の通りになっていなければ、それが冷遇どころか作中より優遇される場合であっても王国の歯車はいずれ狂っていたらしい。念を入れてネタバレを避ける形で言及するが、作中終盤の展開は作中の運命を辿ったアニスでなければまず打開できないと思われるため、if展開になっていた場合は遅くとも多くの世界線が最後に詰む。
  • 百合界隈から時々「転生前の性別」について話が挙がるようだが、転生という設定は「話を動かすべく必要な“この世界に存在しない知識”を持ち込む手段」として用いられているのであり、そのため「現代日本出身」という点以外は一切設定が作られておらず、今後も作られる予定はない。物議をかもすことは作者曰くいただけない行為とのことなので注意されたい。極端な言い方をすれば、この世界にない知識を持ち込む手段が転生以外であっても構わないのである。
    • ネタ的にアニメ放映当時よく言われていたのは、前世は前クールで千本木女史が演じていた廣井きくりではないかというものである。これは中の人ネタの他、アニスもきくりも破天荒なキャラで有名なのも一因である。

アニスさん×きくりさん


関連動画編集


関連タグ編集

転生王女と天才令嬢の魔法革命

オルファンス・イル・パレッティア(父) アルガルド・ボナ・パレッティア(弟)

ユフィリア・マゼンタ(助手・相棒) グランツ・マゼンタ(ユフィリアの父)

イリア・コーラル(専属侍女) ティルティ・クラーレット(共同研究者・悪友)

レイニ・シアン


共通点がある人物編集

歴史上の偉人編集

  • 織田信長:言わずと知れた史実に名を残した偉人。彼も若い頃にはトンデモな奇行の数々を繰り広げており、周囲から「うつけ者」と言われているが、驚くような革新的な事も取り入れてもいる。この辺りはアニスと共通してもいる。
  • 平賀源内:江戸時代に実在した発明家で医学など多岐にわたる技術を持っており、世間からは稀代の発明家奇人大うつけとアニスと似たような評価を受けていた。だがアニスと違い、源内は何一つ大成しなかったという相違点がある。

他作品のアニメ編集

  • 錦木千束:プラチナブロンドのボブカットに巨乳、明るい性格に他人を巻き込みながらやりたい様に行動する点と似ているところが多い。また他には類を見ない異端の才能の持ち主であることや他と隔絶された環境下にいる点も似ている。彼女たちの物語はお互いクール系の相棒を得た事を経て動き始める。
  • ムウ・ラ・フラガガンダムシリーズに登場する、自称『不可能を可能にする男』。アニスも序盤で人知を超えた強敵を相手にした時、彼のように「不可能を可能にする」と口に出して、ユフィと共に苦闘の末にやってのけた。他にも金髪ショートヘアーという共通点もある。

Fateシリーズ編集

  • モルガン(Fate)作者のツイートでも多少言及されているほか、即位した場合の暴君としての在り方には「統治地域への深い愛」「自分を礎にすること前提の計画」などの共通性がある。
  • 魔人アーチャー:同作における織田信長。性別は女性であり「ノッブ」という愛称で親しまれている。アニスと同様高い才能を持っていたが、生前は特殊な体質だった為、「うつけ者」を演じる事で弟の信勝に家督を継がせようしていたという共通点を持つ。さらに信勝とアルガルドの序盤における行動原理には共通点があり、実弟との対立が将来に大きく影響を与える分岐点でもあった。なお、ノッブはアニスと容姿が近い人物凸凹コンビを組んでいる。












以下ネタバレ注意編集
















































そんな彼女がなぜ魔法を使えないのか。理由は2つあった。

  • 転生者であること。
    • これは運命的な理由。転生者でない状態で生まれてきた場合は普通に魔法が扱えるとのこと。転生という設定が「外世界の知識の導入というガジェットでしかない」本作においては、物語を作る側としては重要だが、読み手側としてはあまり気にする必要はないだろう。
  • 稀人であること。
    • こちらは読み手にとっても重要である。ドラゴンが指摘した言葉ではあるが、その前に「魔法」「稀人」について説明する。
    • この世界の「魔法」とは自身の中にある精霊の協力によって発現する現象。よって魔法が使える人は、自分の魂を人間のそれと精霊のそれで折半しているのである。このバランスが悪い場合は魔法を使うことで精霊によって精神や体調を崩す(その格好の例がティルティ・クラーレット)。
    • そして「稀人」とは、精霊の助けがなくても自分の魂だけで自分の意志が持てる人間を指す。すなわちこの世界においては、真に人間として意志が自立している人物は数えるほどしかいない。類稀な発想と行動力を持ち続けられるのも、精霊の助けがいらないほど強い人間だからであり、言うなれば魔法が扱えないからである。したがって魔法が扱えて伝説を残すキテレツ王女はどうやっても誕生しない。
    • 資源豊富で安定しているパレッティア王国だからこそなかなか輝かなかったに過ぎず、ドラゴン曰く「稀人」は揃いも揃って何かを成してきたという。必然、他国であればアニスフィアの経緯はかなり変わっていただろう。神の使いのごとく、自分の目的へと自然に手を伸ばす存在であるらしく、それがパレッティア王国においても後においてついに花を咲かせることになる。
    • 実際、のちに国交を結ぶアーイレン帝国からは、ルークハイム皇帝自ら喉から手が出るほど欲しい人材と認識されており、流動激しい帝国領に来訪した際は同行していたユフィリアから「発言一つで産業が動き出しかねないから注意するように」と指摘されるほどの影響力がある。






以下、ノベライズ版6巻・Web版2部6章以降のネタバレあり。
















































長らく実態がわからなかったカンバス王国について、崩壊の知らせが突然舞いこんだ。

多種族を統括してきたヴァンパイア族の頂点たるライラナが、「皆を幸せにする」という目的であらゆる存在を取り込もうと活動を開始したことで、カンバス王国としての集団が崩れ去ったのである。

これに対して、婚約破棄事件の責任を取らされる形で辺境に飛ばされていたアルガルドからいち早く報告が入り、レイニおよびユフィリアと共に対処へ向かったが、魔法対策をしているライラナに対しては魔学による魔道具こそが天敵であった。周りの存在を取り込んでその力を拡大しうるライラナに対しては、「一番手」に「最強の戦力」をぶつけることでしか事実上対処できず、それを担えるのがアニスフィアであった。


しかしライラナの攻撃を捌き切ることができず、ヴァンパイアの精神支配を受けかける。

自分が誰からも受け入れられる「もしもの世界」に精神がいざなわれるも、そこに過去しか存在しないことを看破して、未来を見続ける自分の生き方を貫きこれを拒否。さらにヴァンパイアの力を手にしているアルガルドの助言でユフィリアによってドラゴンの刻印へ精霊契約者としての魔力が送られたことで、ドラゴンの力がヴァンパイアの浸食より優先される形で立ち直る。


この影響で刻印は魔石となり、さらにヴァンパイアの形質を取り込んだことで、人型の吸血鬼ならぬ人型の竜という、この世界においては他例のない存在になった。もとより刻印を入れた段階で徐々にこうなる運命にあったものが、この処置により一気に完成形となったらしい。

単独でライラナを追いかけ、ドラゴンの力を完全に自分のものとしたことで有利に立ち回るも、ライラナは最後の手段として「自身そのものを魔法と化させる」ことで世界を呑み込もうとする。



そこにユフィリアが加勢に入り、事実上唯一の対処法として、アニスフィア自身の魔石による魔力をユフィリアの魔法で顕現させるという、「アニスフィアの精霊顕現」とでも言うべき魔法を発動させた。


アニスフィアの適正属性は「無」。

しかしそれは普段なら単純に魔法を使える可能性が「無」であるだけだが、こうして条件が整えば「魔法を無力化する意味での無属性」として発動させることができ、「ライラナという魔法」を無力化させて除去したのであった。


このような事例は「稀人」としても希少極まる経緯であり、「稀人の中の稀人」と言って差し支えないだろう。



そしてこれこそが、パレッティア王国において「もしもの平行世界」があった場合にそのほとんどが王国滅亡へと至る理由である。

  • もし、アニスフィアがさらに冷遇され、飼い殺しや出奔という結末になっていたら。
  • もし、ドラゴン討伐を騎士団やアルガルドに任せていたら。
  • もし、ドラゴン討伐後に手に入れた魔石を、聞き分けよく自身に取り込まず慣例にしたがって王家の国宝として献上していたら。
  • もし、アルガルドが婚約破棄していなかったら。
  • もし、アルガルドがシャルトルーズ親子に入れ知恵を吹き込まれず、ヴァンパイアにならず辺境にも飛ばされていなかったら。

あるいは、


  • もし、飛行実験が失敗せずユフィリアと出会わなかったら。
  • もし、レイニを離宮に取り込めていなかったら。
  • もし、アニスフィアが優遇されて、もっと幸せになっていたら。
  • もし、アニスフィアが国王に就任していたら。
  • もし、アニスフィアが転生者でなかったら。

どれか1つのピースが欠けただけで、おそらく高確率でライラナ打倒に失敗し、王国は飲み込まれていただろう。


もう一つの関連タグ編集

  • 人間万事塞翁が馬
  • ジーク:『Fate/Apocrypha』の主人公でアニスと同様、作品内におけるイレギュラーな存在。竜の呪いと因子をその身に宿した事で身体が徐々に竜へと近づくという共通点を持つ。因みに彼も心臓を一度失っている。
  • ドヴァキンskyrim):「ヴァンパイアの形質を取り込んだ人型の竜」で主人公(ヴァンパイア要素はプレイヤーの任意)。
  • 錦木千束:明るい性格や行動の裏には内側に抱えていた闇から起因している所まで似ているのだが、よりにもよって心臓を失っているところまで似通ってしまっている。

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