曖昧さ回避
- エジプト神話の神。本項目で解説する。
- モンスターストライク(モンスト)に登場するモンスター→アメン(モンスト)
名前
名前は「隠す」を意味する動詞「imin」から来ており「隠されたる者」を意味する。
古代エジプトの言語における発音にはわかってない部分も多く、現代における表記もアメン、アムン、アモンと様々である。
ギリシャ語、ラテン語での発音アモン、アンモンからは、アンモンの角の石『アンモナイト』という命名が生まれた。
ヘブライ語のアーメンは「本当に」「然り」という意味であり無関係。聖書に出てくるセム系民族アンモン人とも無関係。
概要
神名とこの神に捧げられた賛歌の内容、男根を勃起させた豊穣神ミンの姿で造形される事から、元は目に見えないものとしての大気、自然や万物を動かし育む力を司る神と見られる。
ナイル川の東岸にあるテーベで信仰されていたローカルな神であったが、この地の王族によりヒクソスと呼ばれる異民族が撃退されると、この戦勝をもたらした神として称揚された。
この王族による「エジプト第18王朝」はやがて全エジプトを統一し、ヌビアやシリア方面にも進出した。
アメンは敵国に対する勝利や領土拡大を支える国家神の性質を持った。
さらに、ラー、アトゥムのような他の著名神と習合することで、古代エジプトの神話世界において有力な神となった。
こうした特徴からアメンの神官団は国家の中枢に食い込み、権勢を誇った。
世界初の一神教、と呼ばれる事もあるイクナートンのアテン信仰の宗教改革(アマルナ革命)の動機の一つとして、強大になりすぎたアメン神官団を疎んだから、という説もある。
しかし次の王、ツタンカーメンは即位に際してツタンカーテン(トゥート・アンク・アテン:アテンの生ける似姿)であった名前をツタンカーメン(トゥート・アンク・アメン:アメンの生ける似姿)に改名し、アメン信仰に戻したと言われる。
信仰
テーベにおいては地母神ムトを妻とし、彼女との間に息子である月神コンスをもうけたとされた。
第18王朝以降は最高神とも呼べる極めて高い地位に上り詰めたが、その信仰においては他の神と共に祀られた。テーベのカルナック神殿には、アメンのほかムトと軍神モンチュが主祭神として祀られている。
アメン信仰が広まると共にヘリオポリス神学における八柱の創造神(オグドアド)の一人とされた。八柱は男女四対の存在であり、アメンと対となる女神はアマウネトである。
アメンへの信仰はオリエント、地中海世界をアブラハムの宗教が席巻するまで続いた。ギリシャ人からはゼウスと、ローマ人からはユピテルと同一視された。
アレクサンドロス大王はこうして生まれた「ゼウス・アモン」の息子(神の子)を自称した。
姿
青い肌の男性の姿、クヌムのような羊頭人身の姿、羊そのものの姿、また前述のミンの姿で造形される。
習合神であるゼウス・アモンやユピテル・アモンは普通の男性に羊の角が生えた姿である。
メジェドの中身?
メジェド(打ち倒すもの)は独立した神の名前ではなく、中の人もとい中の神様が布の下にいるという説もある。
その中の神の有力な候補が、
- 「不可視」(イメン)の名を持つ
- 「火と光線を操る」太陽の神
- 「敵を打ち倒す」軍神
- 「空も飛べる」
- ナイルの神ハピから報告を受け取ることができるくらいに「えらい」
の要素を満たしたアメンであると言われている。
なにより、アメンには「アメン・アシャレヌウ」(名前に富むものであるアメン)の異名もある。
参照:大人気? メジェド様とその周辺 ~死者の書・第17章の前後解釈を添えて
悪魔アモンとの関係
ソロモン72柱のアモンはアメン神が元になったとする説がある。
アモン神と悪魔アモンは、名前に類似性があり、(アモンの場合、習合神アメン・ラーが)鳥の頭を持つが、その種類は両者で違っており、違ってもいいなら鳥頭の悪魔は他にもいる。
アメンと他文化圏の神との習合のバリエーションとして「セラピス・アムン・アガトダイモーン(Serapis Amun Agathodaemon)」があり、下半身は悪魔アモンと同じく蛇である。ただし、習合神のほうはアモンと違い頭部は人間の男性で両腕が無く、尻尾の先が蛇の頭になっている。
名前以外の相似はかなり微妙であり、名前の相似も偶然と考える事も十分可能だが、古代エジプト文明が滅んだ事による情報の断絶を考慮に入れるなら、伝言ゲームの結果と考える事も可能なのかもしれない。