概要
アラブ首長国連邦やクウェート、バーレーンなどで用いられる方言英語。
日常生活で常用される英語であるものの、後述する特徴により英語圏では日本訛りのEngrishと並び、やべー英語の代表例的に扱われている。
ヒングリッシュやコックニーと並び、日本人の聞き取りが最も困難な英語方言として知られる。
民族的には同じくアラブ人であるエジプト人も英語に堪能であるが、エジプト人はアラブ英語とはまた異なる独自の訛りの英語を話す。
ヒングリッシュとは共通点が多く、ヒングリッシュに慣れた人間はアラブ英語も問題なく聞き取れるし、逆も然りである。
背景
アラビア半島に位置するこれらの湾岸諸国においては、アラビア語が公用語である。
しかしながら、不足する成人男性の労働力を補うために、パキスタンやイラク、アフリカ諸国、イエメンなどから多数の出稼ぎ労働者を受け入れている事情や、企業活動目的で滞在している欧米人や中国人などの駐在員の存在もあり、そもそもアラビア語が理解できない、もしくは理解はできるものの、方言酷かでなんばぬかしょっとやいっちょんわからんげな人間のよんにゅーいよらすげな事情もある。
特にドバイ首長国においては住民の過半数どころか、ほとんどを非UAE国籍の外国人が占めるレベルに達している。
そのため、公的な場では英語が経済言語として多用される。
特徴
rの音はスオミのそれに非常に近い、極度の巻き舌で舌を震わせて発音される。また、容認発音においては黙字化する母音の直後の語末のrもはっきり発音される。「car」「park」はそれぞれ「カッルル」「パルルク」のような音になる。
Bahrainのような黙字化・直前の母音の長母音化を示す「h」の音は、ドイツ語の「ch」のように息を強く吐き出す音となる。hの消失が著しいコックニーとは対照的である。
pとbの音が区別されず、どちらもbに近い音で読まれる。これは、アラビア語にはpに相当する音が存在しないため。日本人の感覚ではbの音はvの音と混同される傾向にあるが、アラブではpである。
加えて、vの音はfと同音になり、「very」と「ferry」の区別がつかない。
このような発音の区別ができない事情ゆえ、英米などの非アラブ諸国に位置する英語圏においては、アラブ英語はEngrish同様、嘲笑・いじめを受ける原因になりうる。
一方、当のアラブ英語の話者の中には「LとRの区別ができない日本人や韓国人の英語」を殊更に馬鹿にし、喋り方を真似してゲラゲラ笑うような人間もいたりするが、それでは客観視できていない。
外国語を使う際、母国語に影響されるのは当たり前である。
また、出稼ぎ労働者も含め、ほとんどの住人がムスリムである事情を反映してか、アラビア語由来の釈用語が非常に多い。喋っているうちにどんどん意味がわからなくなってきた場合、なし崩し的にいつの間にやら全部アラビア語にすり替えられていることを疑った方がいい。
英米で用いられる英語としては南部方言の特徴と似ているところが多く、前述の区別のつかない子音字に関する特徴を除けば、あらゆる面でその特徴を先鋭化させた南部方言とも言えるので、アラブ英語に触れると米語力が鍛えられる。
西部劇の洋画を字幕なしで見たいと思っている人は、若干遠回りしてアラブ人の友人を探してみるといいかもしれない(無論、変な奴らに接触しないように注意は必要ではあるが)。