現代エジプト人
およそ2000年前に古代エジプト文明は滅亡したが、その後も古代エジプト人の子孫は現地に留まり、世代交代を続けてきた。やがてアラブ商人によりイスラム教が持ち込まれると、急速にアラブ人との混血が進むこととなる。さらにギリシャ系住民やトルコ系住民との接触もあり、カオスじみた多民族状態の中で民族を超えた婚姻が繰り返された。こうして、純粋な古代エジプト人は地上から姿を消し、現代エジプト人が誕生することとなった。
言語
アラビア語を母語とするが、基層言語であるエジプト語の影響が色濃く残っており、アラビア半島のアラビア語とは似ても似つかぬ方言(エジプトアラビア語)と化している。そのため、国外のアラビア語話者とは筆談でもしない限り意思疎通が困難なことも多く、アラビア語話者同士の会話であっても英語やフランス語が多用される。
イスラム化の流れに同化しなかったコプト教徒のみ現在でもエジプト語の方言を用いており、コプト語の名前で知られるが、実態は宗教言語であり、実態としては母語話者はいない。
アラブ人との混血が進んでいることから自身のエスニシティをアラブ人であると自称するエジプト人も多く、前述の事情もあってアラブ首長国連邦構成諸国の住人と並び、アラブ人としては最も高い英語力を有する集団でもある。ただし、UAE諸国のアラブ人同様に訛りに訛った方言英語(エジプト英語)と化しており、他の英語圏の人間が理解に苦しむこともしばしばある。
古代エジプト人
紀元前3000年、ナイル川流域にエジプト文明を築いた民族。高い測量・土木技術を有しており、ピラミッドと称される大型の古墳やスフィンクスなどの現在も残る遺跡の多くを建造した。
ラテン文字のルーツとなる最古のアルファベットであるヒエログリフを発明し、また一日24時間制の暦を編み出した。また、それまでの多くの民族は独自の進数を用いていたが、エジプト人はこれを十進法に統一し、後にギリシャやローマを経て世界中に広まることとなった。
そのほか、現代幾何学の基礎理論を確立させるなど、同文明の滅亡から2000年以上が経過した今なお、学術会に多大な影響を及ぼし続けている。
国王などの上流階級をミイラとして遺体の永久保存をしていたため、現在でもその遺伝情報や生前の容姿などを簡単に再現できる。
使用言語はコプト方言を除いて消滅言語となっているエジプト語。
独自の多神教を持っており、信者を喪失した現在でもエジプト神話として創作の題材として全世界で多用されている。
余談
ロマの旧称であるジプシーも、エジプト人という意味。しかし、ロマのルーツはインド亜大陸であり、エジプトとは無関係なことから、現在はこの呼称は政治的に正しくないとして、一般に使用されない。