概要
学名は「力強い古代の亀」を意味するアーケロン・イスキロス。
白亜紀後期の北米大陸に存在した内海・ニオブララ海(ウエスタン・インテリア・シー)に棲息しており、カンザス州などで化石が確認されている。
絶滅したグループであるプロトステガ科に分類され、その大きさは全長3.7m・甲長2.2m・頭骨長約80cm・全幅5m弱・推定体重2tに達したとされており、現在のところ史上最大の亀とされている。
多くの亀の甲羅と異なり、発達した肋骨の上には皮膚や骨板は発達しておらず、現在のオサガメやスッポンように皮状の皮膚に覆われた甲羅だったと考えられている。これは恐らく、産卵で上陸した際にその巨体による自重で圧迫されないよう、軽量化を図った結果とされている。
多くのウミガメと同様に雑食だったとされており、鋭く曲がった嘴でアンモナイトの殻も噛み砕けた可能性が示唆されている。
その巨体と鋭い嘴を除けば、頑丈な甲羅もなく遊泳スピードも遅かったことから、ティロサウルスやプログナトドンのような大型のモササウルス科や、クレトキシリナ等の大型の鮫といった大型の捕食動物にとっては格好の獲物だった。実際、見つかっている化石には、そうした捕食者に喰い千切られたのか、脚鰭が一つ欠損しているものもよく確認されている。
白亜紀末の大絶滅を待たずに約7000万年前に絶滅しているが、恐らくその巨体故に、より小柄で機動力のあるウミガメとの生存競争に敗れたのかもしれない。