概用
ジュラ紀後期の1億4000万年程前程の中国に生息していた、原始的でかつ最古の角竜である。全長は2~3m、体重70㎏程と非常に小柄である。
因みにインロングとは「隠れた龍」を意味するが、これは発掘地の近くが映画『グリーン・ディスティニー』のロケ地だったことから、同作の英題『Crouching Tiger, Hidden Dragon』に由来している。
形態
角竜は基本的に4足歩行であるが、インロングをはじめとする原始的な角竜は2足歩行である。また、角竜であるが、より進化したカスモサウルス亜科やセントロサウルス亜科と比べると遥かに小柄で、角はなく、フリルも発達していない。また、上顎の歯の一部が牙のように大きくなっている。
生態
インロングは、小型植物食恐竜と考えられており、ソテツやシダ植物を餌にしていたと言われている。この地域には、トゥオジャンゴサウルスやマメンチサウルス等の大型植物食恐竜が生息し、それらを狙って、ヤンチュアノサウルス等の大型肉食恐竜が生息していたが、足の速いインロングが恐れる相手ではなかった。それよりも、恐ろしいのはグアンロンという、小型だが俊敏な肉食恐竜がいて、彼らによく捕食されていたと考えられる。なお、生息環境は、火山が近くにある緑豊かな湿地や湖の側だったらしい。この為、火山が噴火し、火山灰がたくさん降り、そこをマメンチサウルスのような竜脚類が通ると、底無し沼が作られ、そこに足を取られて死んだインロングの化石も見つかっている。
角竜の進化
インロングの捕食者グアンロンは最古のティラノサウルス類であり、ティラノサウルスがその中で最も進化した種であり、獲物である角竜を倒す為に体を大型化させていった。一方インロングら角竜は、ティラノサウルス類に対抗して、体を大型化と角とフリルでの武装を発達させていき、その最終過程がトリケラトプスである。つまり、インロングとグアンロンの抗争から、8000万年に渡るティラノサウルス類と角竜の闘いの運命を決定させたといっても過言ではないのだ。