概要
【破壊力 - D / スピード - D / 持続力 - B/ 射程距離 - A / 精密動作性 - D / 成長性 - B】
裏切り・拘束・堕落を意味する、タロット大アルカナ15番目のカード「悪魔」の暗示を持つスタンド。本体は呪いのデーボ。
“エボニー(Ebony)”とは黒檀、つまり黒を意味し、これまで登場したスタンド名に倣って日本語表記するならば「黒の悪魔」となる。
人形に憑依し、操作する事で標的を攻撃する、遠隔操作型のスタンド。
スタンドのビジョンは『ナイフを持つ、原住民が呪術に使う木製の人形』のような姿をしている。
だが人形に憑依すると、憑依された人形は凶悪な顔へと変貌し、更にデーボの人格が反映されるため、ハイテンションな奇声を上げ、口汚く相手を罵りながら縦横無尽に飛び回り襲いかかる。
本体の恨みをエネルギー源とし、相手への恨みが強ければパワーも増し、遠隔操作型でありながら、近距離パワー型並の戦闘能力を発揮可能。また、通常ならスタンドを傷付けられない剃刀、割れた瓶等の凶器に恨みのパワーを伝導させ、スタンドを直接殺傷する効果を付加させる。
これによって、多くの要人を呪いのように見せかけて殺したため「呪いのデーボ」の名は裏世界に広く知れ渡っている。
シンガポールのホテルの1室で独りきりになったポルナレフを襲撃。わざと攻撃を受けておいて、ベランダから逃走後にいよいよ暗殺に取り掛かる。
部屋に設置していた人形を操り、ポルナレフをベッドの下敷きにして拘束。本体と視覚がリンクしていないシルバーチャリオッツの弱点を突いて、死角から一方的に攻撃を繰り出していたぶってから、止めに床に滴った飲み物へドライヤーを落とし、感電死させようとした。
しかしあと一歩の所で、割れた鏡で人形の位置を把握したポルナレフの反撃で形勢逆転され、全身を切り刻まれて敗北。本体であるデーボも潜んでいたトイレで同様の最期を遂げた。
本体のデーボ自身がそこそこ頭の回るタイプゆえに善戦していたようにも見えたが、パワーを発揮する為には、わざわざ標的から攻撃を受けて恨みを募らせる必要があったり、人形に憑依している遠隔物質同化型ながら、本体へのダメージフィードバックがある等と、単純な性能としてはお世辞にも使い勝手が良いとは言えないスタンドの部類である。
また、上記の通り恨みを募らせる為、相手の攻撃を受ける必要上、本体のダメージ蓄積が重く、間髪置かずの連戦も厳しいと思われる。
「シンプル故に強力」が第3部のスタンド使いの特徴であったが、エボニーデビルの場合制約や条件があるにもかかわらず能力はそこまで強力ではなく、正面切っての戦闘ではシルバーチャリオッツに圧倒されていた。
一般人相手ならまだしも、スタンド使い相手に渡り合うには、少々厳しかったかも知れない。
そのうえ、劇中でポルナレフから攻撃を受けた時にデーボは笑っていたようにも見え、もし本当に笑っていたのなら「恨みを強く抱いた」事にはならない為、そのあたりの慢心も、デーボが満足に力を発揮できなかった一因なのかもしれない。
余談
作者が執筆した創作指南書『荒木飛呂彦の漫画術』によると
“旅の途中で次から次へと敵が出てくる3部の方式は「戦いをインフレさせる事なく登場人物を前進させられる」として、少年漫画でお約束のトーナメント方式の代わりに作られたものである。デーボはその一環として、意図的に弱い敵として登場させた”
との趣旨が語られている。
スタンドビジョンは出番が少なく、読者には憑依した人形のほうが強く印象に残る描かれ方であった。
ところが、第9部冒頭のスタンド集合絵に、各部のメインキャラクター達のスタンド達に囲まれてエボニーデビルのスタンドビジョンがまさかの再登場。知名度の低いスタンドの意外な抜擢にジョジョラー達からは驚きの声があがった。