ハズレスタンド
はずれすたんど
ジョジョの奇妙な冒険で一般的に『ハズレ』と見なされているスタンドを指す言葉。
同漫画の読者なら誰もが憧れるであろうスタンド能力だが、その中には当然周囲にも危害を加え兼ねない物騒なものだったり、あっても別に嬉しくないようなものだったりと、ハズレとされる能力も存在する。
ハズレの定義とされるものは、
- 戦闘要員なのに戦闘向きではなかったり、能力の汎用性に乏しかったりするタイプ
- 発動条件が重すぎるタイプ
- スタンドの能力に精密さが欠いているタイプ
- スタンドの能力が本体に害を為しているタイプ
これらの点で指摘されるケースが多い。
最初のタイプは本体の機転・仲間のアシストによっては補えるから良いが、2と3は能力だけなら強力な例が多く、本体の制御から外れた場合、ひたすら無差別攻撃を仕掛けるだけの災害にしかならない為に正しく誰得であり、最後のタイプに至っては存在意義すら疑う案件でしかない。
上記定義からも分かるように、ハズレとはスタンドの強弱で決まるわけではなく、本体との相性や汎用性、何より本体が制御出来るか、本体にデメリットを為さないかも大きく重点に置かれる。一見矛盾しているように見えても、使い手から見ればハズレスタンドでも戦闘相手からすればチートスタンドである例も、普通にありうるのだ。
単純に『周囲に危害を加えかねない』だけを定義とするなら、パープル・ヘイズやグリーン・デイも当てはまるが、これらは本体がスタンドを目的の範囲内で制御出来る上に、本体の生業に対して十分強力で実用的な結果を得られるので、一般的にハズレスタンド扱いはされない。
パール・ジャムに関しては戦闘能力を一切持ち合わせていないが、使い手が戦う必要がない料理人でありスタンド能力を生業に最大限活用している為、こちらもハズレ扱いはまずされない。
ホリィの背中に出現した植物型のスタンドも、役に立たない点と本人に害を成す点でかなりのハズレとも捉えられるが、あれは能力的にどうこう以前にホリィ自身にスタンドを操る精神力がなかったのが原因(仮に彼女に発現したのがスタープラチナであっても昏倒していた、最悪余計に負担が掛かって死期を早めた可能性が高い)の為、ここではハズレスタンドとは扱わない。
ハズレスタンドとは戦う為の能力なのに途轍もなく弱かったり、本体が利益を受けられないどころか害を為したり、本体のみならず敵にもメリットがある等々、明らかな欠陥があって初めてハズレスタンドなのである。
『ハズレスタンド』の要因(例)
- A:本体へのメリットが皆無、或いはあってもほぼ無意味
- 役に立つ・立たない以前の論外の存在
- 例:「チープ・トリック」
- 役に立つ・立たない以前の論外の存在
- B:本体へのメリットや能力の有用性以上に、デメリットやリスクが大きい
- 本体への直接・間接問わず命の危機に及ぶスタンド程、ハズレに近付く
- 例:「ハイウェイ・トゥ・ヘル」
- 本体への直接・間接問わず命の危機に及ぶスタンド程、ハズレに近付く
- D:本体とスタンドの組み合わせが悪い
- 上記の『戦闘員なのに戦闘向きではない』例に加え、スタンドの欠点を斜め上の方向で解決しようとするなど、本体自身の言動や思考に問題がある場合もある
- 例:「サバイバー」(特にスタンドの影響で一家離散してしまった元の本体にとって)
- 上記の『戦闘員なのに戦闘向きではない』例に加え、スタンドの欠点を斜め上の方向で解決しようとするなど、本体自身の言動や思考に問題がある場合もある
- E:発現した本体に卓越した技能が備わっていないと扱えない
- 本体に知識や経験等がないと、そもそもまともに扱えない場合が顕著
- 例:「マンハッタン・トランスファー」
- 本体に知識や経験等がないと、そもそもまともに扱えない場合が顕著
- G:スタンドのパワーが本体を上回る、スタンド毎の性質や制約等で、本体の制御がほとんどできない
- 往々にして精神の弱い本体が発現したスタンドが該当する他、自我を備えたor能力がシステム化・ルーチン化されたスタンドも同様
- 例:「スーパーフライ」
- 往々にして精神の弱い本体が発現したスタンドが該当する他、自我を備えたor能力がシステム化・ルーチン化されたスタンドも同様
- H:能力のメリットが敵にも及ぶ
- 場合によっては自爆行為となる可能性もある
- 例:「ドラゴンズ・ドリーム」
- 場合によっては自爆行為となる可能性もある
- I:当該スタンドの上位モデルが存在する
- 単体で見ると問題はないものの、明らかに上位互換の能力のスタンドが存在したり、能力の系列が異なりながらもほとんど同様の芸当が可能なスタンドが存在する場合も同様
- 例:「クヌム神」
- 単体で見ると問題はないものの、明らかに上位互換の能力のスタンドが存在したり、能力の系列が異なりながらもほとんど同様の芸当が可能なスタンドが存在する場合も同様
- J:一般的な道具で事足りる
- 能力にスタンドならではの利点があまりなく「法の目を掻い潜れる」程度の場合、スタンド使い同士の戦闘ではほとんどメリットになり得ない
- 例:「ショット・キーNo.2」
- 能力にスタンドならではの利点があまりなく「法の目を掻い潜れる」程度の場合、スタンド使い同士の戦闘ではほとんどメリットになり得ない
- K:本体以外の諸要素の影響を強く受ける
- スタンド行使の際に本体以外の要素まで関わる場合、良ければ本来のスペック以下に成り下がる、悪いとまともな行使すら不可能になる
- 例:「キャッチ・ザ・レインボー」
- スタンド行使の際に本体以外の要素まで関わる場合、良ければ本来のスペック以下に成り下がる、悪いとまともな行使すら不可能になる
- L:スタンドの能力が神の領域に位置する
- 『人々の生と死』『運命』『厄災』等の世界や宇宙規模に及ぶ、普遍的な摂理の一環に関わる能力のスタンドの場合、本体の手に余るのは当然であろう
- 例:「ローリング・ストーンズ」
- 『人々の生と死』『運命』『厄災』等の世界や宇宙規模に及ぶ、普遍的な摂理の一環に関わる能力のスタンドの場合、本体の手に余るのは当然であろう
第3部「スターダストクルセイダース」
人形に憑依して相手を襲う、ホラー映画によくあるタイプのスタンド。
特筆すべきは『発動条件の厳しさ』と『それに見合わない戦闘能力の低さ』。
スタンド(が憑依した人形)に「相手へ向かって攻撃する」挙動をさせる為だけに、本体が恨みの感情を募らせるようなダメージを先に喰らう必要があるとの重過ぎる縛り持ち。しかも条件をクリアして特別な能力が発動するならまだしも、単に「スタンドが出てきて相手に攻撃する」だけと、他の人型スタンドなら当たり前にできる行動が可能になるだけ…
しかも、条件をクリアして出現するスタンドがすこぶる弱い。ベッドの下で四肢を縛り付けられ、スタンドとの視界リンクも持たず周囲がほぼ見えず、圧倒的な窮地に追い詰められたポルナレフ&シルバーチャリオッツを仕留められず、逆転負けを許すレベル。擁護すると、チャリオッツの防御甲冑の上からカミソリで太腿を裂く攻撃力は見せてるが……
相手への攻撃に現物の刃物や武器を使用している等、恨みを募らせた状態でも攻撃力は人並で、その上人形に憑依しているせいでリーチも非常に短い等、お世辞にも戦闘に向いているとは言い難い性能をしている。
正面切っての1vs1なら、一般的な体格の人型スタンドであれば「能力を使わずとも倒せてしまうのでは?」と思えてしまうレベルである(劇中の人形以上の質量の物質に同化させれば、リーチの短さは解消できるのだろうが、後述の欠点もあって不可能と思われる)。
そんなエボニーデビルが誇る唯一の個性が『物質同化型』かつ『遠隔自動操縦型』の悪くない肩書。しかし、何故か本体へのダメージのフィードバックがあり、この欠陥が致命的すぎて何をどう強みと捉えれば良いのか分からないレベルである。追加のダメージで更に恨みを募らせられる見方も可能ではあるが……。尚、エボニーデビルがダメージを受けた際に驚いていたような描写から、デーボ自身も『本体へのダメージのフィードバックがある』欠点を知らなかった可能性も。
仮に非スタンド使い専門の殺し屋だったとしても、そもそも非スタンド使いから本体が恨みを感じるレベルの傷を先に負わされる必要がありハードルが無駄に高く、本人の生業に特化したスタンドとも言い難い。しかも本体が傷付かなければ発動しないのだから、当然短期間に何度も使おうとすれば、先に本体に限界が来る事態が容易に想像できてしまう(但し、客観的には『傷だらけの変人に襲われた後、更に不気味な人形に襲われる状況』にパニックになるので、普通の一般人には十分に通用する……と信じたい)。
尚、ここまで散々こきおろしてきたが、こんなんでもきちんと発動を操れ、意のままに動き、本体に直接害を為さず、限定的ながら有益な効果をもたらすだけで、実はハズレスタンドの中ではかなりマシな方である。端的にはただ弱いだけ……より救いがないかも知れない。
ターゲットに自らの血液を付着させると、そこに吹き出物を発生させる。吹き出物は時間経過で人面疽のようなものになり、更に食物の摂取により上半身だけ生えた小人のような最終形態に成長する。受肉している為に実体があり、また非スタンド使いにも声が聞こえるようになる。かなり気色が悪く、一般人なら自分に発動しただけで精神的に参ってしまうかも知れない。
本編ではジョセフに寄生。医者を殺害して彼に濡れ衣を着せ、大声で騒いでジョセフの居場所を警察にバラし、仲間との合流を妨害する等して翻弄。
最終形態は小さいながらもジョセフの義手を損傷させる程のパワーを持ち、あわや首を切られて殺されかけるまで追い詰めた。しかしコールタールで固められた後にハーミットパープルを巻き付けられ、全体重をかけて引っ張られ引き千切られる。そのダメージは本体のネーナにも伝わり、彼女の最期となった。
……とまあ、本編ではそこそこジョセフを追い詰めた雰囲気は出していたエンプレスだが、冷静に考えるととても弱い。
「義手を破壊した」とあるも小指をちぎったのみで、なんならその壊れかけの義手で普通にラッシュを受け止められてしまっているし、顔に直撃しても軽い怪我で済む程度。普通の人型スタンドならこの距離まで近づいて攻撃を当てられれば、ものの数秒でジョセフを殺害可能である。釘で喉を刺された時に「パンチで義手が壊れかけたから力が入らない」とこぼしており、つまり至近距離であれだけ殴っても完全に破壊はできなかった事実も示されている。
受肉してしまっているので、スタンド以外でもある程度物理的な攻略が可能で、コールタールで固められるし、それだけで身動きが取れなくなるほどパワーも弱い。また、ジョセフが全体重をかけて引っ張った程度で千切れたところから見るに、強度もあまり無いと見て良い。
仮にエンプレスをターゲットの背中や首筋に発生させれば、ターゲットはそう簡単には攻撃できないかも知れない……が、仲間がいれば簡単に排除されるだろうし、ピンポイントで発生したい部位に血液を付着させるのが至難の業。
何よりダメージフィードバックも完備している都合「倒されても何度も送り込む」戦術も不可能。
分類的には遠距離操作型スタンドなのだが、その性質上しょぼい接近戦しかできない歪なスタンドである。発動条件も含めてこの弱点は上記のエボニーデビルにも共通するが、あちらは武器や道具を使う等で工夫はできる。しかしターゲットと同化しているエンプレスは搦手の難易度も跳ね上がる。
正直、ジョースター一向の優れたスタンド使い達の中では、「苦戦しそうなのがジョセフだけ」と酷評できるレベルであり、他のメンツを相手取れば一瞬で肉体から引き剥がされミンチにされたり、締め上げられ蜂の巣にされたり、燃やして消し炭にされたり、串刺しにされたりするのは想像に難くない(だからこそジョセフを狙ったのだろうが)。
主に攪乱等のサポート要員としてなら悪くないので、チームで襲撃すれば活躍はできるだろう……が、その場合でも物質同化したダメージフィードバック持ちのリスクが大きく、かなりの危険を伴う。
最も適しているのは非スタンド使いの暗殺か、作中でジョセフに対して行った冤罪工作だろう。
もしくは寝込みを狙い、エンプレスを成長させてそのまま暗殺だろうか。
そもそも、エンプレスが直接動いたのはジョセフが腫瘍状の人面疽を懸念して病院に行って、医者が手術で切除しようとした為であり、もしも病院に行かずに放置していたら本当に殺されていたかも知れない。
本体の顔を思いのまま作り替える(曰く「身長、体重、果ては匂いまで」)。
その精度はかなりすごいのだが、見た目を作り替える以外の能力はなく、正面切っての戦闘能力は皆無。
その為、オインゴも作中では直接の戦闘は行わず、ボインゴの指示に従う形で毒や爆弾による暗殺を狙っていた。また、ターゲットの顔を真似たところで、それはあくまで工作を成功に導く為の一端に過ぎず、それ以上の偽装工作は本体の絶え間ない努力に依存する。
……ただし、完璧に他人に変身できるのは普通に便利かつ色々と使い道があり、ここまでなら戦闘力の低さから強スタンドとは呼び難くとも、能力的にはハズレでもない。
犬としての鋭い嗅覚を持ち、更に抜け目ないイギーすらも騙し通したのは特筆に値するだろう。
だが、同じ部で登場したイエローテンパランスが単騎でスタープラチナを苦戦させるレベルの戦闘能力を保持したまま、クヌム神とほぼ同じ芸当が可能と、とびきりの残念ポイントが存在する。
あちらは肉を纏って姿形を形成しているだけなはずなのに、声もきっちり変えられるし、本体より小柄な花京院の体格まで再現可能。更にはクヌム神は服までは対応していない為、元々被っていた帽子と髪の毛を合わせて必死こいて承太郎の学帽を再現していたのに、イエローテンパランスは肉の変形で花京院の学ラン一式を揃えてしまっていたともなると、もう本当にクヌム神の立つ瀬が無い。
一応、本体のオインゴは戦闘以外のスキルは優秀であり、相性そのものは良い。
その上で本気でクヌム神を活用するならば、ボインゴに加えて腕の立つ戦闘員とチームを組み、ボインゴの指示で戦闘員が暴れている内、オインゴはスタンド能力を活かしての暗殺や、敵戦力の分散などの裏方仕事に徹すれば、かなり恐ろしいと思われる(……もっとも、無理に暗殺など狙わず、裏方にのみ徹していた方がDIOに貢献出来たのでは?)。
第4部「ダイヤモンドは砕けない」
罪悪感を抱いた対象に錠前を取り付ける能力。
錠前を取り付けられた対象は罪悪感を強く感じるほど錠前が肥大化し心に「重圧」を与える。本体である玉美を攻撃すると錠前(を取り付けられた人物?)にダメージが跳ね返ってくるらしい。玉美は相手に狡い手段で罪悪感を植え付けてから金品を巻き上げるのに悪用していた。
……のだがこのスタンドに直接攻撃性能は全くない。その上、自分のスタンドをコントロールできるほどの精神力が備わっているスタンド使いに対しては、罪悪感を植え付ける行為自体が容易ではなく、また対象が罪悪感から解放されればスタンドが自動解除される為、相手を術中に嵌めてもタネが割れれば一方的にやられるのがオチであろう(しかも、罪悪感からの解放自体は玉美の小細工などを暴けば良いのもあり、やろうと思えば無関係の第三者であっても可能と、不確定要素による能力の強制解除される危惧も秘めている)。
劇中では玉美が康一との戦いで会心した後にスタンドが成長したのか、仗助と露伴のチンチロリン勝負の取り立て役として再登場した際には、特定の行動を見せた相手に錠前を取り付けられるようになっていた。
この実例から悪人を制裁ないし会心させるのには使えそうだが、微塵の罪悪感が無い極悪人を裁けないのが惜しいところ。
本体が10万で購入した、使われなくなった40mの鉄塔と同化したスタンドで、鉄塔内に入った相手を出られなくしたり、鉄塔を攻撃した人間に反射ダメージを与える能力。
スタンド使いになる以前から、本体が鉄塔で自給自足の生活を続けていたところを、いつしか鉄塔自体に本人でも制御不可能な膨大なスタンドパワーが宿ってしまい、自身も鉄塔の中から出られなくなってしまった。
スタンドのせいで行動範囲を制限されている上に、持ち運び不可能なスタンド像から戦闘に転用するにしてもまずは対象を鉄塔に誘き寄せなければならない為、拘束具や牢獄同然のハズレスタンドである。
豊大がまともに戦闘を行えていたのも、彼が反射角度を計算し尽くし、写真のオヤジを餌にターゲットを鉄塔内に誘き寄せて、自身の得意フィールドに持ち込んだが故であり、本来なら戦闘自体がほぼ不可能である。
本編でも鉄塔から開放されようと勝負を挑んだ豊大だったが、結局仗助達の反撃にビビり、再び鉄塔内に引きこもる道を選ぶと、根本的な解決には至っていないオチで終わってしまった。
もっとも豊大自身は元々好戦的ではなく、仗助達に謝罪した後は吉良の親父のような矢の悪用者と共謀する様子もなく、鉄塔の中である程度充実した生活を送っている。
しかし、一生郊外の鉄塔から出られない生活を受け入れられる人間は、そう多くはないだろう。
- 本体:乙雅三
ハズレスタンド界の殿堂入り選手にして、絶対に欲しくないスタンドランキング終身名誉1位。
能力としては本体となった生物の背中に寄生し、ひたすら耳元で囁き続ける。スタンドには本体とは別個の自我あり、制御は全くできない。スタンドはかなりひねくれた性分で、四六時中本体に不快な内容を囁き続けては精神的苦痛を与える他、執拗に誰かに「背中を見せる」ように促し、他の生物に勝手に話しかけたりする。
そして、本体が他者に背中を見られた場合、本体の背中を裂くようにして殺害する。数あるハズレスタンドの中でもぶっちぎりで「本体に害を為す能力」と断言できる。
更に、本体を殺した後スタンド自体は背中を見た存在の背中へ移動し、新しい本体に鞍替えし殺害を繰り返す『百害あって一利なし』を具現化したようなスタンド。
スタンドそのものにパワーはないが、背中に取り憑く力だけは非常に強く、無理にスタンドを引き剥がそうとすると本体の背中も引き裂かれてしまう。その為に真っ向なやり方では、一度取り憑いた相手からスタンドを引き剥がすのは至難の業になる。
チートスタンドを持つ露伴でも一度取り憑かれると手に負えず、最終的には街に存在する反則級の存在を駆使して漸く撃退している。
「役に立たない」とか「自分にも危害が及ぶ」とかそんな生温いものではない、「自分を殺す為だけに存在するスタンド」であり、そのハズレ度はダントツで1位。こんなのが発現してしまった本体が、あまりにも不憫である(雅三を矢で射抜いたであろう吉良吉廣も、流石にこんなスタンドの発現を予想していたとは思えない)。
余談だが、チープ・トリック本人の弁によると「元の本体である乙雅三はスタンドの才こそあったが、それを扱える精神が伴ってなかった(意訳)」と答えている(スタンド使いの才能が無い者が矢で刺された場合、スタンドに目覚めずに死亡する為)。その精神面の弱さが起因となって、このようなハズレ能力に目覚めたのかも知れない。
『精神力の無さ』が原因で自身のスタンドに殺される点は(こちらは未然に防がれたが)ホリィと似通っている。
もしも、雅三にスタンドを操るに足る精神力があったのなら、全く違う能力になって、より強敵として登場していたかもしれない。
ちなみに、雅三は自身のスタンド能力について全く無知・無自覚であるが、チープ・トリックの存在は本能的に感じてたようで、徹底的に背中を見せまいと挙動不審な行為を繰り返していた。
結果的にはその行為が仇となり、好奇心を刺激された露伴に嵌められる形で背中を見られ死亡してしまった……悉く不憫。
第5部「黄金の風」
対象の舌に取り憑き、本人の意思とは真逆の言動を行わせる能力。
攪乱が目的のため、戦闘能力の類は皆無なのが欠点。
能力発動には対象本体の舌に接近・直接寄生させなければならないので、基本的に相性の良いスタンド使いの協力が必須となる(劇中では、スクアーロのクラッシュのサポートを受けて発動させた)。仮にサポートなしで取り憑かせられたとしても、トーキング・ヘッド自体の戦闘力が皆無なので戦える相棒がいないとその能力を発揮させられない。
寄生対象が頭の悪いナランチャかつ、本体のティッツァーノ自身がそれなりに頭が回る人物だったからこそ、劇中ではある程度の戦果にはなったが、あまりにも直接的な戦闘力に乏しい。相手が複数人でなければ意味がなく、かつこちらも複数人でなければ戦闘力がない為に圧倒的な使い難さを誇る。「単体では役立たず」で「単体相手にも役立たず」のスタンド。
別に本体に害を為さないのだが、あまりにも弱い。ジャンプ公式を介し読者からも「弱い」と認定されてしまった、筋金入りのハズレスタンド。
しかし、条件さえ満たせば相手にとって非常に厄介な能力なのは変わりなく、何より本体であるティッツァーノにはイタリア最大のギャング組織の支援により、適材適所の任務を与えられる為、ハズレスタンドでありながら戦果を挙げており、しかもその内容は主人公であるジョルノ・ジョバァーナを(クラッシュとの連携ではあるが)瀕死の重傷を負わせる大金星を挙げており、ハズレスタンドの中ではトップクラスの戦果である。
「集団戦における撹乱要員」と評価できる、完全な組織戦・団体戦専用スタンドである。
スタンドの扱い辛さを本体の頭脳や相方の働き、本体を取り巻く環境でカバーする、その最たる例とも評せる。
動く物体を感知して物体やスタンドエネルギー等、あらゆるものを取り込み肥大化させるスタンド。
スタンド個別の自我があり文章を書いたりしていたが、内容は支離滅裂で知能はそれほど高くない。
チープ・トリック同様、本体死亡後に発動する為に本体による制御がなく、動くものを見境なく攻撃する。特に速く動くものを優先して攻撃する習性を持ち、それが時速800キロで飛行する飛行機であろうが、同じスピードで追尾しては攻撃・寄生してくる。
結局は護衛チームは疎か、相性的に優位なスパイス・ガールでも完全には仕留められず、ティレニア海へ投げ出された後は波しぶきを延々と自動追尾し、時折り船舶を沈没させるだけの迷惑な存在に成り果てた。
スタンド自体はめちゃくちゃ強く、手に負えなさでは歴代でも屈指の強さを誇る強スタンドであるが、本体の死亡を発動のトリガーとしている為、暴れ回っても誰が得するでもない自我を持った災害のようなスタンド。それ故チープトリック同様、ハズレスタンドの筆頭として扱われ易い。
ただし、カルネは死の直前にスタンドのヴィジョンを出す描写があり(この時は人型だった)、わざと攻撃されたような描写を踏まえると、元々は先述のエボニー・デビルのような恨みを糧とするタイプのスタンドだったのかもしれない。
一応、作中の本体であるカルネはギャング組織に身を置くスタンド使いで、ボスの為に命を捧げてブチャラティ一行を妨害する目的で使用した為、最大限効果的に使えてはいるのが救いか。
暴走して制御不能な上に本体死亡により撃破も出来ないスタンドであり、ジョルノからも危険視されていた真意が、第5部の外伝に当たる『恥知らずのパープルヘイズ』の物語が始まるきっかけの1つとなっている。
近い内に死の運命が待ち受ける人物が近づくとどこからか現れ、その人物を模した石像に変化し、対象の人物が触れるとその者を安楽死させる石のスタンド。勝手に発動するので本体のスコリッピですら制御は不可能。
端的には「死の運命にある人間をある程度ながら、救われる形で安楽死させてやろう」とするスタンド。
死の運命が近くない人物から見れば「動くだけのただの石」同然、本体に危害を加えるわけでもなく、そもそも本体がただの彫刻家の為、誰かと戦う必要も基本的にない為「別にハズレではないだろう」との主張もある。
しかしながら、実際の所はハズレスタンドと呼ぶに十分な理由を幾つか持っている。1番の問題はこのスタンドが『運命』等の人間が制御出来ようもない、大いなる概念をキーに発動しながらも、近い内に死ぬ運命にある人物が「死ぬまでに何を成すか、死んで何を遺すか」や、このスタンドで安楽死した人物がいたとして「残された遺族・友人がどうするか」を一切考慮していない点にある。
例えば、花屋の娘はこの石を受け入れて安楽死したが、残された父親は「娘が自殺などするはずがない」「妙な石を抱えて投身自殺した」等の点を怪しみ、最終的には全ての蓄えをギャングに支払い、更に借りを作ってでもスコリッピに復讐を誓う程に思い詰めてしまったし、スコリッピは結果的にブチャラティの命を受けて調査に現れたミスタに両手を撃ち抜かれる等、不運にもボコボコにされてしまった。
一応「対象とローリング・ストーンズの接触」が安楽死のスイッチなので、対象がローリング・ストーンズに触れないように近付かなければ良いのだが、一旦発動したローリング・ストーンズは段差があれば(石なのに)跳び跳ねるし、障害物があれば融解して通り抜けるなどと、有り得ない事象を起こしながら追跡する為、対象の安楽死を強行しに来る。
ブチャラティについては言うに及ばずで、この時にストーンズの押し付けてきた安楽死の運命に抗い、その後の真実に向かおうとする意志から出た、決して滅びはしない誠の行動があったからこそ、最終的に「矢」はジョルノの許に渡りボスを倒せたのだ。
時系列としては第5部のプロローグともなるあの場所で、仮にブチャラティが死んでしまっていたら
- ジョルノはボスの許まで辿り着けたか?
- ブチャラティがいるからこそ組織に身を置いていた部下達はどうなってしまったか?
- トリッシュは暗殺チームかボスのどちらかに殺されてしまっていたのでは?
となってしまう。
見方次第では、ストーンズの安楽死からブチャラティを守ったが故に、対象者以外の者にも被害が及んだ。
しかし、待ち受ける『運命』が悲惨なモノであっても、人間には必ず辿り着かなければならない『真実』がある。これが第5部を通じての作品のテーマであった。しかしこのスタンドは「それが『運命』なんだからさっさと受け入れろ」とばかりに安らかな死を強制してくる為、ある意味「ジョジョ」のテーマの1つである黄金の精神を否定するスタンドと評価できよう。
ただ、第5部のテーマには運命の奴隷もある。この石を受け入れた花屋の娘はそこが『運命』であり、逆にブチャラティは苦難の道を歩もうとも『眠れる奴隷』として目覚め、解き放つ運命にあったので、どれだけ迫ろうとも「あの場で石は破壊される事態が決まっていた」(より大きな運命の流れの1つだった)とも取れる。ただその場合、この石は『ブチャラティを散々ビビらせるだけに現れた』と解釈でき、どっちにしてもタチが悪いのには変わりがない。
第5部の外伝作品
- パブリック・イメージ・リミテッド
- 本体:リガトニ
第5部の外伝作品の1つ『ゴールデンハート/ゴールデンリング』に登場。
サメのような意匠の銃弾型のスタンドで、自身のスタンドパワーを注ぎ込んで、圧倒的な貫通力と精密性を得られる。
命中すれば対象のスタンドパワーを根こそぎ奪う=ターゲットの命を食らうも同義の文字通りの必殺技でありつつも、敢えてパワーを抑えればターゲットのスタンドを一時的に封印する芸当も可能など、スタンド使いを相手取る暗殺者に相応しいスタンド。
しかし、基本的に自身のスタンドパワーを全て注ぎ込む=自身の命を燃料にして放つ性質であり、万が一外せば本体は即刻瀕死状態に陥るのが最大の弱点。
これは本体であるリガトニの『標的を仕留められないヒットマンは、死んだも同然』とする価値観が大きく反映されているが故に、このような能力が生まれたとも推測でき、一撃必殺でターゲットを殺すか、失敗して自分が死ぬかの二者択一を強制するそれは、正にハイリスクハイリターンを地で行く能力と評価できる。
ターゲットに攻撃を命中させれば、そのスタンドパワーを根こそぎ奪ってコストの回収(自身のスタンドパワーの回復)ができるが、逆説的にスタンド使い以外には全く意味を為さない攻撃であり、色々な意味で両極端過ぎて汎用性に欠ける。
ただし、リガトニはスナイパーとしては極めて優秀である為、本体との相性はすこぶる良く、加えて非スタンド使いがターゲットであれば、通常の弾丸を使用すれば済む話なのでその点は大した問題ではないと思われる。
- 本体:ビットリオ・カタルディ
第5部の外伝作品の1つ『恥知らずのパープルヘイズ』に登場。
ナポレオン時代の古い短剣と物質同化したスタンド。
『ドリー・ダガーの剣身にターゲットを映す』行為をトリガーに、自身が受けたダメージの7割を敵におっ被せる能力。自らを傷付ける行為が相手への攻撃になる上、やりようによっては相手の攻撃を利用しての発動も可能。
能力的には後に登場するハイウェイ・トゥ・ヘルに近しいものがあるが、こちらは剣身にターゲットを映さなければならない縛りがある反面、受けるのは相手に与える半分以下のダメージで済む。
また特筆すべき点として、この「7割」とは「本体が負った傷そのものの深さに応じた割合」となっており、たとえ反射先が鋼鉄であろうが、物理攻撃では壊れないほどの柔らかい物体であろうが、ドリー・ダガーの能力は対象の防御力を無視して傷を付けられる。
そして麻薬チームの為なら文字通り「我が身を捨てられる」ビットリオの覚悟も合わさり、その脅威度は極めて高い。
……ただし、結局は残り3割のダメージは必ず本体が受ける為、普通に斬った時よりはマシ程度の自傷行為を繰り返しているに過ぎないのが最大の弱点であり、実戦ではスタンド発動のダメージに耐えながら、相手の攻撃を捌くとんでもない状態を強制される。
更に、相手が群体型スタンドの場合、相手への割合ダメージがスタンドの数だけ分散される(例えば50体の群体型スタンドを相手にした場合、ビットリオが3ダメージを受けるとすると50体のうちの1体がその1体基準での7ダメージを受ける)為、途端に勝ち筋がなくなる。
劇中でも相性上最悪のカンノーロ・ムーロロを相手に前述の弱点が全て露呈した上、ビットリオの覚悟も「無謀さ」へと変わってしまい、自滅するように死亡した。
一応、相手の防御力を無視してダメージを与えられる能力は確かに驚異的であり、クレイジー・ダイヤモンドなどの回復能力を持つスタンドと共闘できればかなり強力な能力となっていたかも知れない。もしくは同作においてはジョルノのスタンドの治療能力も本編時点よりも大幅に向上している描写もあり、もしビットリオがムーロロの誘いを受け入れて麻薬チームを裏切り組織に服従していれば、彼の指摘通り「ジョルノの役に立てる」素養は十分にあっただろう。
第6部「ストーンオーシャン」
本作の敵スタンド使いでは比較的珍しい、スタンドDISCを介さずに誕生したスタンド。
能力は憑依したターゲットのサイズを自在に縮小させる他、ターゲットが本体から逃走しようとするや自動で制裁する。
後述される〈自称ハズレスタンド〉の1体に類する能力である一方、ターゲット以外の人間・物体の縮小が不可能である、スタンドのステータスそのものも低く、グーグー・ドールズ以上のパワーを持つスタンドには歯が立たないと、残念ながら劣化モデルと断言できる。
しかも、本体のグェス自身も秘めたる狂暴性はあるものの、特段好戦的ではない上に機知にも秀でていない、文字通りの凡人である為にスタンドの能力以上の行為が行えないのもあり、スタンドと本体の両方がハズレとも酷評できる。
スタンドDISC化した状態で登場した為、元の本体は不明。
本体が怒りを覚えた時に発生する神経細胞に流れる電気信号に宿っており、水等でそれが周囲の人間に届いた時、周囲の者達の闘争本能を刺激して殺し合わせる能力。
DIOに敢えて最も「弱い」と明言されたスタンドである。
尚、DIOの解説(かつての本体の周りに近付いた者はみんなケンカを始めた)やグッチョのコミックでの解説や状況(周囲の人間は何かとトラブルを起こし離散していく)からすると、このスタンドは本体以外の周囲の者が、本体が少しイラついただけで殺し合いを始めるほど憎しみ合う……つまりかつての本体のように家族が離散してしまう=本体が絶えず孤独に陥る点を除けば、本体はその殺し合いにさえ巻き込まれないように事前に避難していれば影響はない。つまり敵だらけの場所に送り込むにはうってつけの超凶悪スタンドでもあり、正に災厄でしかない。
- ハイウェイ・トゥ・ヘル
- 本体:作中での使い手はサンダー・マックイイーン
スタンドDISC化した状態で登場した為、元の本体は不明。
本体が自殺しようとした時、ターゲットに選んだ相手を同じ状態にして道連れにする能力。結果的に死亡しなくとも自殺を招き兼ねない自傷行為(リストカット、首吊り等)でもターゲットには適用される。
当然、本体に自殺願望がない場合全く意味がなく、使い勝手の悪さは同じくダメージを負う行為で発動するエボニーデビル以上。ただし相手からの攻撃ではなく自分の意思で能力を発動できる点や、本体のダメージがそのまま相手に反映される点等、使われた時の脅威度はかなり高い部類。
また本体に心中相手を求める自殺志願者が選ばれた為、本体の目的・利益には十分噛み合っている珍しいタイプのハズレスタンド(そもそもプッチが本体と相性の良い能力を選んで与えているのだが、マックイイーンの場合はそれが特に顕著)。
また、スタンドは無意識の才能とされているので、DISCを与えられたマックイイーンより以前の本体(本来の持ち主)も、強い自殺願望の持ち主だった可能性が高い。
- 取り立て人_マリリン・マンソン
- 本体:作中での使い手はミラション
DISC化された状態で登場した為、元の本体は不明。
本体とターゲットが金品が絡むゲームを行い、勝敗が決した時にターゲットからその金額をキッチリ取り立てる能力で、ターゲットの所持金がその額に達していない場合には、ターゲットの臓器などを立て替えて強制的に徴収する程。
更にターゲットは負い目等から抵抗もできず、攻撃もほぼ受け付けない上、スペックも殆どがAを占めている一見すれば強力なスタンド。
だが、直接的な戦闘能力自体は極めて低く、取り立て以外何もできない為、能力を行使する為にはターゲットが本体に借金を負った状態でないとならない。
更に、ターゲットに借金を負わせる過程は基本的に本体の口八丁に依存される為、相手によって発動条件がそうそう達成できない。
何より『取り立て=公平なルールに則った正当な行為』を実行する性質上、取り立て人であるスタンド自体はルール厳守の公平性を絶対視する為、本体であろうともイカサマは許さないし、ターゲットの金銭が足りずに補填しようとする場合も「取り立てるのは対象の大事なもの」であるのを重要視し過ぎて、対象が『他者から奪った金銭』を持っていても受け取りを拒否する等、真面目が過ぎて本体の意に反する行為も平然と見せる。その為取り立て直前に新たなゲームが設定されたら、ゲームの勝敗が決まるまで無能化してしまうと、本体の制御から離れる危険性もある。
取り立て人の名の通り、本来は戦闘よりも借金の取り立てに有効なスタンドである為、元の本体はその手の職業の人間だったのかもしれない。
本体が扱う『暗殺風水』の要のスタンドで、風水学における「吉の方角」と「凶の方角」を教える。
更にドラゴンズ・ドリームを仲介した攻撃は、ターゲットにとって「絶対的な凶の方角の攻撃」と変わり、確実を追い詰めてゆく(その性質上『あらゆる攻撃を無視する』『本体へのダメージのフィードバックが存在しない』等の絶対的な防御力も誇る)。
ドラゴンズ・ドリーム自体は攻撃ができないものの、ケンゾー自身の風水の知識と身体能力も合わさり、本体とスタンドとの相性自体はハズレでない。
だが、ドラゴンズ・ドリーム曰く「オレは中立」の発言通り、ある程度の自我を備えている為、吉凶の方角を敵にも教えてしまうなど、利敵行為を平然と行う危険性を秘める。
また、既に示された方角の吉凶は「絶対」である以上、その指示を無視すると本体も当然のように実害を被るし、凶の方角の相手と物理的に繋がる(=相手のベルトが本体の衣服に絡まる等々)と、二次被害を受けるケースも。
更にドラゴンズ・ドリーム自体は『攻防に適したポジショニングを教える』以上の行為ができない為、本体の行動制限に繋がる上、相手のスタンドが十分に暗殺風水を無視する手段を持つ場合(例えば遠距離から動かずに炎で相手の動きを封じつつ広範囲攻撃ができるマジシャンズレッド、遠距離攻撃と法王の結界による行動抑制が両立可能のハイエロファントグリーン等々は相性最悪である)には、実質丸腰でスタンド使い相手に立ち回らざるを得ない為、性質を理解されるとハズレスタンド感が否めない実態も……。
第7部「スティール・ボール・ラン」
降っている雨を空中に固定する能力。固定された雨粒は能力が解除されない限り何をやっても動かない為、本体はそれを足場に空中を歩く、雨粒を中継点に自身の肉体を分割して移動・攻撃するなど変幻自在に動き回れる他、集めた雨粒で傷口を止血する、敵には攻撃を兼ねた拘束具として運用が可能と、基本能力や応用に優れ、本体へのデメリットもない。
但し『雨が降っている時にしか使えない』欠点が致命的過ぎる。
能力を自由に使えない上、雨が降っていても途中で晴れると能力が強制的に解除される他、単純に拘束攻撃以外に攻撃手段がほぼない(劇中では普通に銃撃する、分割しての噛み付きがある程度)で、相手が拘束をものともしない攻撃が出来る場合もあり、本体では対処できない諸要素が常に大きく影響する不安定さを最大の弱点とする。
もしも、このようなスタンドとチームを組めれば、かなり恐ろしいスタンドになるが。
第8部「ジョジョリオン」
対象の手足に負傷させ、その真上に立つと負傷させた部位を操作する能力。
2階建て以上の建物でなければ使えないし屋外に至っては論外、更に相手に傷をつける行為はスタンド関係なく、本体が別途に罠を仕掛けなければならない。
何より、傷を負わせる部位はどこでもいいし、相手の真上に立つ必要性もない完全上位互換のスタンドのジャスティスが存在するのも厳しい。
最初の本体の名前は不明だが、第8部開始前に死亡している人物。
大成功した武器商人の一族だったがある時、訴訟されて500億ドルの賠償金を払う事態となり、家族諸共自殺したのを契機に「呪い」同然のこのスタンドが発現した。
対象を乗り換えてきたいわゆる「ひとり歩きしているスタンド」であり、8部世界においては都市伝説と化している。
貨幣に類似し、また類似した物体を生成するスタンドで、その生成物を盗むと呪いが移り、お金を使えば使う程に増えて決してなくならない生活を強いられる。
一見どこがハズレなのかと思うかもしれないが、この使っても使っても増え続けるお金は精神的・物理的に本体の行動を縛っていく。例えば1000円の食品を買おうとすると「食品に何か不備があった」等何らかの理由で支払おうとしたお金は使えず、逆に「お詫び」等の題目で払った以上の金額が返ってくる。
初期段階では増える金額は緩やかだが、お金=紙束と金属塊を常に抱え込みながら移動せざるを得ない状況に陥ってしまい、行動を大きく縛られるようになる。
それらの貨幣を燃やすか破く等で処理しようとすると、更に貨幣が増加。この段階になるとスタープラチナやクリーム等でも処理し切れるか、怪しい量を抱える羽目になる。
呪いが移った時と同様に、他者にこのスタンドによる貨幣を盗ませるのに成功すると、呪いは別の者に移る。
- 本体:エイフェックス・ツインの兄
スタンドビジョンは存在せず、能力は「本体の左手で触れたものを右手に移し替えられる」だけ。
正直「よくこの能力で定助と戦い切ったな」と、本体を称賛したくなるレベルで微妙な能力。
本体がその性質を熟知し、また自身の弟と抜群のコンビネーションを組んで初めてまともに戦闘ができた能力であり、仮にこのスタンドの扱いに不慣れな者に渡したら、腕っ節の強い一般人に負けても不思議ではないだろうか。
- ショット・キーNo.2
- 本体:エイフェックス・ツインの弟
小人のようなスタンド(画像の右側が該当)。本体が持ち歩くサッカーボール状のバッグの中に潜んでおり、まともに吸い込めば即死するレベルの猛毒を発生させられる。
正直スタンドである必要が一切ない。毒ガスは本体にも影響を及ぼす上に、本体に影響が及ばないようにしているのは、本体自身のボール捌きによるもの。なので要は自分の許に戻したボールの中に毒ガスを詰められるように、毒ガスを入れたスプレー缶等を持っているだけで代用できてしまう(そもそも、そんなもの持っているなら、直接本体が敵に近づいて吹きかけた方が早い)。
バッグ内部にしかスタンドを潜ませられないなどの制約があるのか不明だが、わざわざそれに限定して入れている辺り、本体がボール捌きに絶対の自信を持っているのだろうか?。
双子の実質的な死因もこのスタンドの毒ガスの所為。例えば本体には毒ガスが効かないとか、もう少し本体にのみ有利になる仕様であったのなら、まだ有用だったかも知れない。
攻撃面こそ及第点であるが射程が短過ぎる上に、本体も巻き添えを食らう危険性があるなどの穴があり、よっぽどサッカーボール捌きに自信があるのか知らないが、本体がスタンドの長短を斜め上の方向で補おうとするのも加わり、見方によっては「『スタンドと本体の組み合わせ』そのものがハズレ」と評価されても仕方ないかもしれない。
第3部
マンガの形式で未来を預言するスタンド。
ページに写し出された預言は基本的には絶対に現実となるため、極めて脅威である……のだが、解釈を誤ったり預言にない言動を採るなどすると、預言とは似て非なる結果に陥る危険性がある。
また、見たページ=極直近の預言だけを鵜呑みにすると、後のページ=直近の預言でしっぺ返しを食らう場合もあり、その扱いは極めて難しい。
ただし、トト神自身はある程度の自我こそ備えているが、あくまで本体とTPOに考慮した預言を示す以外はしないので、本体(及び本体の関係者)が軽挙妄動に走らず慎重に行動すれば、預言は確実に果たされる点は脅威である以上、やはりチートなのも事実だろう。
後の外伝のナレーションによると、 “元々はあらゆる事象を記憶する存在だったが、ディオの復活に伴うスタンド発現によって、スタンドのトト神として組み込まれた(要約)” との記載が発表された上に、未来預言=運命に関わる性質から、このスタンドは既出のローリング・ストーンズ以上に、人間の手にどうしようもできない神の領域に位置する存在と思われる。
人間の魂を掴められるスタンド。そして「人は勝負に負けると心にダメージを負い隙が出来る」特性を利用し、相手に「勝負に自分の魂を賭ける」契約をさせた上で戦い、負かせば相手の魂を肉体から引き剥がせられる。更に引き剥がした魂をコインに加工するのも可能で、ダニエルはこれをコレクションしていた。
しかし、裏を返すと勝負事で本体が勝てなかったり、そもそも相手に魂を賭けるのを認めさせなければ、事実上無力なスタンドとなっており、本体がギャンブラーとして圧倒的な強さを持つダニエルだったからこそ脅威となったスタンドと評価できる。また、直接的な戦闘能力も非常に低く、破壊力は最低評価のE、持続力は中堅のCだが、残りは軒並みDで埋まっている。
加えて、ダニエルの実弟であるテレンス・T・ダービーのスタンドであるアトゥム神は、能力自体はオシリス神とほぼ同じことができる上、副次的な能力として「人間をサーモグラフィーのように見通してYesかNoかでの読心を行える」芸当も可能。
基本能力にしても、どちらも戦闘向きのスタンドではないが評価はアトゥム神の方が高く(破壊力C、持続力B、残りD)、事実上アトゥム神はオシリス神の完全上位互換と断言しても過言ではなく、この記事の定義上はハズレスタンドの部類になってしまう可能性は高いだろう。
また本編にて、ダニエルはテレンスに対して頭が上がらず、遊びのレベルでも弟との勝負は避けていた過去が語られている。
ただし、本編中で承太郎がダニエルを「暴力は使わないが…今まで出会ったどんなスタンド使いよりも危険なヤツだ」と評しているように、「彼の戦いの強さ」はスタンドの戦闘能力とは全く別の所にある。ダニエル自身スタンド能力については勝負に勝った後に「相手の魂をコインにする」趣味的な部分にしか使っておらず、本体のダニエルにとっては十二分な能力であったのは間違いなく、それを十全に活かした戦いをしていたのも事実である。
一方で、テレンスはアトゥム神の読心能力に依存し切っており、本編では一時はこれで優位に立ったものの、最終的には逆手に取られて承太郎とジョセフの単純なイカサマに嵌まり、精神的に追い詰められた末にあっさり敗北している。この事実から能力自体は兄よりも恵まれながら、それに慢心し依存し過ぎた為に十分に使いこなせなかった皮肉な事実が露呈した。
基本ステータスが弱い、能力発動のハードルが高い、事実上の完全上位互換が既にいる等々……ハズレスタンドの要因を複数満たしうる厳しい立場であるものの、本体との相性は頗る良く、戦績もジョースター一行を後一歩まで追い詰めた作中描写を考えると、一概にハズレの烙印は押し難い。
第4部
ポーズ人形を依り代に顕現し、ターゲットそのものの外見に変貌・相対するターゲットの自由を奪い支配する能力を持つ。
発動条件が厳しい部類だが、サシの勝負であれば『発動=ほぼ勝利』にも等しく、あの仗助も「ハマっちまえば結構ヤバい」と評価している。
ただし、ポーズ人形がないと能力の使用がままならない性質から、咄嗟に発動できない上に、かさ張るポーズ人形を持ち歩く必要がある=本体の行動に制限が掛かり易い、怪しまれバレ易い等の欠点も多い(しかも、劇中では常に人間大のポーズ人形を持ち歩いている様子を見る限り、ターゲットとポーズ人形のサイズを合わせないと、発動できない可能性も考えられる)。
また、ターゲットを操っている間は本体は全くの無防備で、当の間田は仗助を操る間に(直前まで仗助に変貌したサーフィスを使って、舐めた真似をして怒らせた)一般のチンピラにリンチを受けて敗北・リタイアと、何とも格好悪い倒され方をしている。
また、発動したサーフィスはターゲットの思考・人格も模倣する為、ターゲットによっては(一応命令には最低限従うが)間田の意に反する行動や態度を取る場合もあり、スタンドなのに本体の制御から離れ易いのも難点で、実際に間田も「自分のスタンドなのに」と不満を露わにしている(ただし、これは間田の根暗で陰湿な性格にも問題があるのだが)。
『強力だが、扱い辛い能力』の典型例とも評価できる。
加えて本体の間田自身、知恵が回る訳でも機転が効く訳でもなく、上記の根暗で陰湿な性格も相まって能力を使いこなしきれていない為、スタンド以上に本体がハズレとも酷評できうる。
尚、ポーズ人形はあくまでも依代の為、破壊されても本体へのダメージフィードバックは無い模様(事実、人形の手が破損したり仗助に人形を粉々にされても、間田本人にダメージのフィードバックは無かった)。
第6部
基本的にはターゲットの周囲に浮いているだけのスタンドだが、周囲の気流を寸分違わず読み切る能力を持ち、これを応用して凄腕スナイパーである本体が発射した弾丸がマンハッタン・トランスファーを経由すれば、如何なる場所に居るターゲットでも狙撃できる。
本体のジョンガリ・Aが所持する銃器と弾丸は至って通常の物(勿論真っ直ぐしか発射できない )であるが、そのスタンドを活用すればあらゆる居場所に潜むターゲットの狙撃を可能とする。
「ならば先にスタンドを無力化すれば良いのでは?」と考えても、気流を読み取る能力の精度が高過ぎるがためにマンハッタン・トランスファーに攻撃を当てるのは基本的に不可能(劇中では消火用スプリンクラーの放水すら全て回避している)。
……だが、冷静に考えると、スタンドの能力は「気流を読む」だけである。
劇中で圧倒的だったのは、ジョンガリ・A自身が卓越したスナイパーでスタンド能力との相性が最高であったからで、もし狙撃や投射兵器の心得がない一般人がこのスタンドを得たならば、無意味に周囲を漂うだけの謎のオブジェに成り下がるのは必至。
また、人外かつ極端に小さいサイズで、気流を読む能力であらゆる攻撃を回避する=敵の攻撃から本体をほぼ守れないのと同義であり、自衛能力は皆無である。
もっとも、上記の通りジョンガリ・Aにとって自身の才能に適した “最良のスタンド” なのも事実であり、良くも悪くも『本体の才能に依存・特化し過ぎた』スタンドである。
尚、上記の活躍のほとんどはホワイト・スネイクによる幻覚内での出来事である。幻覚の能力は謎が多いので完全な夢オチとは限らないが、少なくとも現実での行動ではない。
現実でジョンガリ・Aは徐倫達の前にまで現れて拳銃による近距離戦闘を仕掛けてきており、驚異的な狙撃スキルや完全に気流を読む能力は披露していない(盲目の身で杖等も使わずキビキビと行動していたのは凄いが)。
その為、実際のスペックは不明瞭かつ下回る可能性も存在する。
第6部の外伝作品
- バッド・ロマンス
- 本体:藤山富士子
『フジコの奇妙な処世術ーホワイトスネイクの誤算ー』に登場するスタンド。
本体がターゲットをあるイメージを持って描くのをスイッチに、ターゲットの状態をそのイメージ通りに変質させる能力を持つ。
本体である富士子は幼少期から絵を描き続けた半生を過ごしただけに、スタンドとの相性は良く十二分にバッド・ロマンスを使いこなせる技量を持ち、当初は黒幕の目論見通りに動いていた。
しかし、バッド・ロマンスの能力は『本体がターゲットに対するイメージが作用される』性質上、富士子がターゲットに対し畏敬や崇拝にも等しい念を抱いて描くと、ターゲットが〈解脱に至った聖人〉と化す危険性もある。
前述の通り本体とスタンドの相性自体は最良である一方で、良くも悪くも『本体がターゲットに向ける感情』 に依存する性質から、何が起こるか予想できない不安定さを強く孕んでおり、判断に困る存在と化している。
第7部
本体を励ますだけの能力。本当にそれだけ。
チープ・トリックのように本体以外に話しかけたりもしない為、本当に無害。
「自分の幸運を信じろ」と語り続け、実際その通りにしたら本体には非常に幸運な出来事が続いた為、幸運をもたらすスタンド……かと思いきや、それらの幸運は正真正銘本人の運である。
戦闘能力も特殊能力もなく「何の役に立つんだ?」と思われるかも知れないが、見方を変えるとどんなに苦しく辛い時でも、自分を絶対に肯定してくれる存在がずっと身近に居る状態であり、超耐久レースであるスティール・ボール・ランや、人生の中の岐路等で精神的に支えてくれると、ある意味で最も実用的かつ、最高の能力とも評せる(ただし、口調自体は結構悪い上、時にかなり辛辣な物言いにもなるので、本体が豆腐メンタルだった場合、ダメージを受ける可能性もあるが)。
特に、戦いが無く平和でも「苦しい時は絶対に来る『人生』」の試練の中で、1番の力になってくれる心の支えとなるのは、ジョジョ最大のテーマである『人間賛歌』を最も体現したスタンドであろう。
この為、能力的には疑う余地なくハズレだが、ハズレスタンド扱いするのは憚られたりもする。
スタンドの中には「本人曰く最弱≒ハズレスタンドを自称しているが実際そうではない」ものが存在する。
第3部
相手の耳等から体内に侵入し脳に居座り、本体と相手の感覚が共有され、本体が受けた痛みが何倍にもなって相手に伝わる。すなわち、ラバーズの本体が足をぶつければその痛みが、背中を搔かれればくすぐったさが何倍にもなって相手に反ってくる。
また、相手の脳組織を使って自分自身のコピーを作り出す技も持っており、切れば切る程に分裂を繰り返し、数百体まで増殖する。またスタンド射程距離は数百㎞にも及ぶ。
本人が「最弱≒ハズレスタンド」だと思っている点は「髪の毛一本さえ動かすことができない」からである。しかし、それはスタンド像がミクロサイズだからで、ラバーズと戦う為にミクロ化したハイエロファントグリーンとシルバーチャリオッツに対しては、殴って十分なダメージを与えられている。
その為「類似したスタンドが存在しない故に、本体から正当な評価ができなかったスタンド」とも評価できる。
第5部
傷をつけた物をどんどん小さくすることができるスタンド。
チームのメンバーから能力を「くだらない」と扱き下ろされているが、実際はその「くだらない」能力を自分の機転で上手く利用してナランチャを追い詰めている他、実は破壊力も設定上はD(人間以下)ながらタイヤを切り裂いたりと普通に高い。更にホルマジオ自身も縮小でき、撤退や偵察にも向いている。
またあらかじめ車などを小さくしておき、それをターゲットの食べ物や飲み物に仕込み能力を解除し質量爆弾にするなど、応用性も高い。
イルーゾォ自身がチート級のスタンドを持っている為、ただ小さくするだけの能力に対し「くだらない」と評するのは仕方ないかもしれないが、能力や応用性を考えてみれば普通に強スタンドに該当する可能性がある。
更にホルマジオ自身は上記の酷評に対して
「くだる」「くだらねー」ってのは所詮・・・
ここの使い方ひとつさ・・・能力ってのはな・・・
と反論しており、どんなスタンドであろうとも応用力や使い方一つで強スタンドにもなる、「スタンドというものは単純な腕っぷしだけではその強さは測れない」実態を明確に示している。
メタ的な意味でのハズレスタンド
こちらは神の視点によるハズレスタンドであり、実際にインタビューでこれ等のスタンドを暗に「(味方で使って)失敗した」と答えている程。
第3部
荒木先生公認のメタ的ハズレスタンドその1。
金属を蒸発させる温度の火炎を生じさせ自在に操る炎のスタンド。
『シンプル・イズ・ベスト』を体現する強力なスタンドであり、本体のアヴドゥルも初見殺し以外は即座に対応できるだけの精神力と、ジョースター一向でもトップクラスの対スタンド使いの経験を併せ持っており、「本体・スタンド・双方の組み合わせの全てが最強クラス」であると断言できる。
だが、それ故にどんな相手も容易く瞬殺できてしまう為に、物語に必要な『逆転のカタルシス』の演出がほぼ作れないのが漫画的に最大の弱点。
また、スタンドを介して火炎にある程度の指向性は与えられるものの、火炎自体に者物を識別する能力はない=無計画に使うと二次災害が起こるリスクがあり、戦う場所を選ぶ必要性もある。
その為、戦う相手は相応の手練や初見殺し等の難敵、戦場は人と遮蔽物がほぼない屋外に限られる等の縛りの多さから、3部最序盤から登場している割にその強さを見せる場面が極端に少なく、白星の数は僅か3回しかない。
(しかもその内一つはジョセフとのタッグによるもの)
結局、アヴドゥルは何度かの退場を押し付けられた挙げ句、ヴァニラ・アイス戦で永遠にリタイア、DIOとの決戦に省かれてしまう末路を迎えた。
後の部では、「マジシャンズレッドがいれば苦戦しようがないな…」と感じざるを得ないようなシーンも多数。
第4部
物の収集を得意とする約500体からなる虫型の群体型スタンド。
個々の攻撃力は小さいものの、手には鋭い爪に加え噛み付きもできるので、相手に組み付いて眼球や頸動脈などの急所をピンポイントで狙えば高い殺傷力を発揮する。ピラニアのように集団で襲い掛かれば、相手の皮膚を削り取って大ダメージを与える芸当もできる。額にある穴からは注射器のような針を隠し持っており、アルコール類を相手の血管から注入するなどして行動の制限も出来る。
群体型でありながら非常に高い殺傷力に加え、射程距離も街全体に散開させられる程に広範囲。
加えて数が多いことから数体破壊されたところで、本体にダメージのフィードバックが殆ど無いと、シリーズ全体におけるチートスタンドの代表格の1体。
その強さは主人公の仗助が「ハーヴェストに勝てるやつがいるとは考えられない」と評し、作者からも太鼓判を押される程。
このように戦闘力・索敵能力・応用力とあらゆる面で高性能なスタンドの為、初登場から間も無く第4部のラスボスたる吉良吉影と真っ先に出くわして戦い、爆殺されて永久にリタイアする凄惨な最期を遂げている。
仮に重ちーが死なずに吉良の捜索に参加していたら、街中にハーヴェストをばら撒いて吉良の居場所を特定出来た事態は想像に難くないだろう。
そう考えると『街に潜む殺人鬼を見つけ出して倒す』 のが最終目的となった、第4部の背景との相性が悪過ぎたとも評価できる(そもそも、本来『ジョジョの奇妙な冒険』は第3部で完結する予定だったのを、編集部の頼み込みでシリーズの継続+スタンドの設定だけは沢山ある 状態=事実上の見切り発車だった実状もあるだろう)。
余談だが、作者の荒木先生はハーヴェストをお気に入りのスタンドに挙げており、「重ちーが殺される場面は泣きながら描いた」との弁。
第5部
荒木先生公認のメタ的ハズレスタンドその2。
両拳に備え付けられたカプセルから、殺人ウィルスをばら撒く能力を備える。
能力の強力さ……特に殺傷力の高さは、5部どころか全編を通してもチート級だが、問題はそれを差し引いて余りある危険性の高さ。
スタンド自体に自我を持つが、本体の内面を表した獰猛かつ知性に欠ける凶暴な性格で、それ故に本体であるフーゴにも完全には制御しきれない。
特にウィルスの効果はそれが顕著で、たとえ本体であっても射程内に居ようものなら、例外無く感染する極悪さを見せる。
ウィルスの射程範囲は約10m程だが、これはあくまでウィルスの弱点である光であるからで、逆に光の無い暗闇の中でウィルスをばら撒こうものならば、感染する範囲が爆発的に拡大し周囲が未曾有のパンデミックに陥る危険性を秘める。
事実、外伝作品にあたる小説『ゴールデンハート/ゴールデンリング』では、光の少ない夜間に能力を使用して大量の死者を出している。
更にはウィルス自体が日々変化し、一度血清を打って助かっても、同じ手で2度目以降に助かる保証は無い。
ただし、スタンド自体はちゃんと本体の命令に従うので、本体が生きている内ならば制御できる為、汚れ仕事等で使い道もある。
しかし、それでも本体の秘めた凶暴性とスタンドの強い自我故に、常に暴走の危険性を孕んでおり、前述のノトーリアス・B・I・Gのように、万が一本体の死後スタンドが残存・一人歩きしてしまえば最後、 “ウィルスを無差別に撒き散らす災害同然の存在” に成り果ててしまう、最悪の可能性を秘めている。
この可能性は新生パッショーネのボス・ジョルノですら恐れる事態であり、外伝においてフーゴの精神的成長を促し、ウィルスの制御をある程度可能にさせている。
仲間キャラとしては余りにも凶悪かつ強過ぎる能力であり、作者側にとっても扱い辛い意味では紛れもなくハズレである。
これは元々フーゴが当初、敵として再登場する予定だった為であり、結局これは「暗い話にしたくない」作者の意向により没案となった。
後に登場したグリーン・デイに能力の傾向が引き継がれている(……との説が有力視されている)。
ハズレ扱いされてはいるが、結果を見れば本当に本体に害しか齎さない物もあれば、上手く活用して能力以上の戦果を挙げる物もあったりと、多種多様である。
これは逆も然り、チートスタンドを持っていても、それを使いこなせず間抜けな負け方をしたり、弱点を突かれて瞬殺された者もいる。
とどのつまり、スタンドとは本体の持つ無意識の才能である為、その才能を活かすも潰すも本体の知恵と行動次第なのである。
害しか及ぼさないスタンドも、元を辿れば本体の精神力の未熟さ・弱さが起因している部分が大きく、それが無ければ、あるいは本体が精神的に成長出来れば、本体にとって有用な能力になっていた可能性も決して否定は出来ない。
すなわちハズレスタンドの持ち主の多くは「才能を無駄遣いしてしまった」とも評せられる。
「どんな者だろうと人にはそれぞれその個性にあった適材適所がある
王には王の……料理人には料理人の……それが生きるという事だ
スタンドも同様『強い』『弱い』の概念はない」