「理解不能 理解不能 理解不能 理解不能」
概要
ぶどうヶ丘中学校に通う中学二年生。
あだ名は「重ちー」。由来は彼の両親が「重ちゃん」と呼ぶことから。
体重110kgで、巨漢であるジョナサン・ジョースターよりも重い。苗字の「矢安宮」はカナダの歌手ニール・ヤングに由来する。
某フリーザ様の側近の人によく似た髪型(?)をしている。作品によってはうっすら金髪(ピンク色のパターンもある)の坊主頭にトゲトゲしたまとまりがついた髪型になっているが、原作のカラー版や近年の3Dゲームでは重ちーの頭に髪の毛らしい髪の毛は確認できず、頭皮から直接肌色のトゲが生えている。仮に髪が無いのだとするとこういう頭の形であるということだが、頭蓋骨がこんな形なのだろうか…?
実年齢より精神年齢は幼く、口癖は語尾につける「〜だど」や笑い声の「ししっ」。家では「ゴン太」という名の亀を飼っている。鼻水を垂らしている図が多く、言動も間抜けかつあまり知性を感じさせないが、地頭は悪くない様子。応用性に長けたスタンドを存分に生かした戦法は仗助と億泰をも驚愕させたほど。
最初はゴミや落とし物の小銭を集めるだけの平和な子だったが、実はかなりの守銭奴であり、仗助と億泰に利用される形で宝くじを手に入れると、賞金を独り占めにしようとして一悶着起こした(更に仗助と億泰の金に汚い本音を盗み聞きして怒ったことでより一層金銭欲と敵意が剥き出しになってしまった)。
仗助と億泰を翻弄する実力を見せ、直接対決ではハーヴェストの能力を上手く使って圧倒的優位に立つ。
しかし仗助がビリビリに破いて捨てた宝くじを、ハーヴェスト総動員で拾いに行かせたことで身を守ってくれる者がいなくなり、億泰の蹴りを受けて敗北する。仗助から説得されたことで「自分一人では宝くじを手に入れることはできなかった」と悟って改心し、宝くじの賞金は平等に三等分した。オチではハーヴェストの数も勘定に入れるべきだとダダをこね、「話が終わらない」と二人から怒られてすぐに意見を引っ込めるなど、ギリギリまで揉めたが。
それ以降は本当の友達として仗助や億泰と交流を持つようになり、お互いに憎まれ口を叩きながらもそれなりに仲良くやっていたのだが……。
悲惨な最期
物語の中盤、偶然同じ店でサンドイッチを買っていた殺人鬼・吉良吉影が、持ち歩いていた女性の右手が入った紙袋を、重ちーは自分の買ったサンドイッチの袋と勘違いして持って行ってしまう。慌てた吉良は彼の後を尾け、中学校に侵入してあの手この手で何とか奪回するが、消えたサンドイッチを諦めきれず探していた重ちーが、素知らぬ顔で立ち去ろうとする吉良の持っていた紙袋を目撃する。ハーヴェストで紙袋を奪い取ろうとするも、破けた袋の中から出てきたのはサンドイッチではなく女性の右手。図らずも吉良の秘密を知ってしまった。
『異様に不気味な奴』と判断した重ちーはそのまま吉良と交戦。一時はハーヴェストで吉良の頸動脈を切る寸前まで追い込むなど善戦するが、キラークイーンの力で爆弾に変えられた100円玉を奪い取ったことで爆破攻撃をモロに喰らってしまい、『顔半分が内部で吹っ飛んで脳味噌が1/3ぐらい顔の肉とシェイクされた』ほどの瀕死の重傷を負う。
吉良は「杜王町にいる、他のスタンド使いの人数と能力を教えなければ君の両親を殺す」と脅しを掛けるも、重ちーは大好きな両親を人質に取られたことで激怒し、全力を振り絞って何とか逃げ切る。
『オラはッ……『パパ』と『ママ』を……守るど!オラがッ!……『パパ』と『ママ』をあいつから守るどッ!』
『あんなうすらけがらわしいヤツがッ……『パパとママ』が住むこの町にいてはならないどッ!!』
瀕死の身体を引きずって、仗助に傷を治してもらうため、高等部の校舎へ向かう。そして辛うじて仗助のいる教室の前へと辿り着いた。だが……
「キラークイーンは、既にドアノブに触っている……」
先回りしていた吉良が教室のドアノブを爆弾に変えていたため、後一歩で扉の向こうの仗助と億泰に会えるという所で仗助の名を叫びながら爆殺され、消滅してしまう。
そして重ちーの魂は悲痛な絶叫を上げ、瓦礫のようにボロボロに崩れながら、天へ昇っていった。
その痛ましい光景を見た杉本鈴美は、滂沱の涙を流しながら見送るのみ……。
誰かの叫び声に気が付いた仗助と億泰の目に入ったものは、たった1体の、血まみれのハーヴェストだった。そのハーヴェストは何かの服のボタンだけを残し、バラバラに砕けて消滅する。重ちーの身に異変が起こったことを察知した仗助と億泰は中等部の校舎へ向かったが、重ちーの姿はもうどこにも見つける事が出来なかった。
そして数日後、鈴美によって、仗助と億泰は『重ちーが殺され、死体も何らかの手段で消し去られた』という残酷な事実を改めて知らされる。彼とは面識のない杜王町に住む他のスタンド使い達とジョースター家の2人も、この町に恐ろしい殺人鬼が住んでいるという事実を認識させられたのだった。
しかし彼の死は無駄死にではなかった。上述の、最後にハーヴェストが残したボタンは、戦闘の際に吉良の服のボタンをちぎって入手したものであり、仗助達に殺人鬼へと繋がる大きな手がかりを残した。これにより殺人鬼が通常の法では探したり裁いたりできないスタンド使いであると知った承太郎達が対応し始めたことで、吉良は平穏な生活を捨てざるを得ないほど追いつめられてゆく。
重ちーの死を境に、第4部の物語は『殺人鬼・吉良吉影の捜索』という目的へ完全にシフトしていくこととなる。上記のエピソードはアニメ版では演出と担当声優である山口勝平氏の熱演も相俟って、原作以上に涙を誘う名シーンとなっている。またアニメ版独自の描写として彼の教室の机には両親の絵が落書きされており、重ちーが心底パパとママを大事に想っていたことがわかる。
瀕死の重傷を負いながらも、自分よりも両親を気遣って「『パパ』と『ママ』を…………守るど!…………オラがッ!…………『パパ』と『ママ』を あいつから守るどッ!」と叫んだ重ちーは、まさしく『黄金の精神』の持ち主であった。
なお、重ちーと交流のあった仗助と億泰は彼のことを「欲深でムカつく奴だがどこかほっとけねー奴」と評していたり、重ちーの死を受けたことで「怒ったらいいのか悲しんだらいいのかそれさえもわからないイラつきがある」と言っていたり、終盤に吉良と対峙した仗助が「おめーが重ちーを殺したから追ってんだろーが」と啖呵を切って重ちーのことを言及するなど、心底では大事な後輩だと思われていたようである。
『Eyes of Heaven』
物語中盤に登場。並行世界のDIOによって復活させられ、洗脳された状態で仗助たちに立ちはだかる。倒された後は正気を取り戻し、再会を喜び仲間となった。
スタンド「ハーヴェスト(収穫)」
500体以上(自称)からなる小さな群体型のスタンド。
詳細は当該記事参照。
声優
余談
カプコンのゲーム「モンスターハンター3G」で、『ジョジョの奇妙な冒険』とのコラボクエスト「ハンティングに行こう!」の依頼人としてこの矢安宮重清が依頼人として登場してくる。
同じくコラボクエストの依頼人として登場するこの人やあの人等、軒並み依頼人の名前が伏せられている中、どういうわけか彼だけ依頼人の欄に「矢安宮重清」という本名がばっちり書かれてしまっている。
ちなみに、件のクエストで手に入るチケットを入手することで、「スタンドのお面」というハーヴェストを模したオトモ用のお面が作成できる。能力は採取で、お金になるアイテム「10円玉」「亀有クーポン」などを拾ってくるようになる。
また、ピンクのクマのモモで一躍有名となったソネットのメールソフト「PostPet」の開発者である八谷和彦氏は「ハーヴェストを見て、PostPetを思いついた」と語っており、原作者の荒木飛呂彦氏も「行きつけのレコード屋のクーポン券(集めるとレコードが貰える)を集めていて、『捨ててあるクーポンを自動的に集めてくれる奴がいたらいいなあ』と思った」と誕生秘話を明らかにしている(原作・アニメ版でも、仗助のアイデアで落ちている小銭やスーパーマーケットのクーポン券をハーヴェストに回収させた後、現金化させて一儲けしている)。
荒木氏が気に入っているキャラの一人だったらしく、原稿を製作している時に『そうだった、もう重ちーは いないんだ・・・』と悲しんだという。
因みに第7部には登場こそしていないがレース参加者の中にシゲチーと言う名前の人物が居たことが確認されている。
関連タグ
花京院典明…前部のスタンド使い。死に際にDIOの重要な手がかりを仲間に伝えた者同士だが、両親を守りたい一心で仗助達にボタンを届けた重ちーと両親のことではなくスタンドの謎解きに全てを費やした花京院と両者の今際の心境は対照的なものであった。