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オリバーニューヨーク子猫ものがたり

おりばあにゅうよおくこねこものがたり

「オリバー/ニューヨーク子猫ものがたり」は、1988年のディズニー映画。日本での公開は1990年。
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概要編集

原題は「Oliver & Company」。

チャールズ・ディケンズの「オリバー・ツイスト」が原作だが、主要人物が猫と犬であったり、舞台がイギリスから'80年代のアメリカに変更されたりするなど、設定と脚本に大幅なアレンジがなされている。

ディズニー映画の中ではややマイナーな位置付けではあるものの、本作の興行収入は1985年の「コルドロン」の2120万ドル、1986年の「オリビアちゃんの大冒険」の2530万ドルを遥かに上回る5320万ドルであり、次作「リトル・マーメイド」から続くディズニールネッサンスの先駆け的作品となった。また、従来のディズニー作品のような軽快なアニメーションやミュージカルシーンも随所に見られる。

この頃より、キャスティングに著名人を起用する方針が目立つようになり、原語版ではビリー・ジョエルベット・ミドラーなどのミュージシャンが声優を務めた。日本語吹き替え版でも同様に、松崎しげる尾崎亜美木の実ナナといった顔ぶれが吹き替えを担当した。

あらすじ編集

1980年代ニューヨークシティ。街の一角ではダンボールに入った捨て猫達が売られていた。そんな中、一匹だけ売れ残ったオレンジ色の子猫は嵐の晩に大雨に流され、路上に放り出されてしまう。翌朝、腹をすかせた子猫は道でホッドドッグ屋を見つけるが、屋台の主に追い払われる。そこへ、一部始終を見ていた野良犬のドジャーがやってきて、二人で協力してソーセージを手に入れないかと持ちかける。作戦は成功したものの、ずる賢いドジャーは自分だけ食べ物をせしめると子猫を後にする。怒った子猫は分け前を貰おうと、ドジャーにあしらわれながらも彼の後を追う。

たどり着いた場所は港に停泊しているボロ船だった。そこではドジャーの他に、リタ、フランシス、ティト、アインシュタインら5匹の犬が飼われていた。船に住んでいるフェイギンは、衣食住さえままならない程貧しい生活を送っていたが、ドジャー達を非常に可愛がっていた。そこへ悪徳高利貸しのサイクスが2匹の犬を連れて港に現れる。フェイギンはサイクスに借金をしており、彼はドジャー達の漁ってきた品々で返済しようと考えていた。しかし、この日の収穫は一銭にもならないガラクタばかりだった。サイクスは3日以内に全額返金できなければ命はないと告げる。一方、船内ではサイクスの飼い犬であるロスコーとデソートがドジャー達に因縁をつけていた。そこで子猫を見つけたデソートが彼を食べようと襲いかかるが、ドジャーと仲間達に阻まれ、渋々引き上げる。子猫はフェイギンによって飼われることになり、成り行きで仲間入りを果たした子猫はドジャー達から温かく迎えられる。

翌日、借金を返すために街へ盗みに繰り出す6匹。金持ちの車に目をつけたドジャーは、車を停めさせて金品を得ようと企むが、乗っていた少女ジェニーに子猫が連れていかれてしまう。彼女は子猫をオリバーと名付け、餌を与えて可愛がる。初めて経験する暖かいひと時に夢見心地になるオリバーだったが、それを良く思わないジェニーの飼い犬ジョルジェットの計らいで、事情を知らないドジャー達によって連れ戻されてしまう。ボロ船に戻ったオリバーは、あの家で幸せでいられたのにと落胆する。気嫌を悪くしたドジャーは仲間達の言葉をよそに、戻りたければ勝手に戻ればいいと突き放す。オリバーはジェニーとドジャーの板狭みに会い悩む。そこへ、自分達の命はないと絶望するフェイギンが戻ってきた。オリバーがジェニーに付けられた首輪を見るとフェイギンは目の色を変え、子猫が欲しければ身代金を払うようにフォックスワース邸へ脅迫状を送りつける。

オリバーを心配するジェニーはジョルジェットを連れて指定された場所に来る。相手が子どもで驚くフェイギン。ジェニーは彼女の全財産である小さな貯金箱を抱えていた。その健気さに心打たれた彼は思い悩み、オリバーを無償で返す。ところがサイクスが乱入し、ジェニーを誘拐して去ってしまう。オリバーとドジャー達は後を追ってサイクスのアジトへ向かう。

なんとかジェニーを救出したドジャー達はフェイギンの運転するスクーターで逃亡する。執念深いサイクスは車で追跡し、一行を地下鉄へと追いつめる。サイクスはジェニーを捕らえるが、オリバーが手に噛みついたことで取り逃す。サイクスに振り払われたオリバーはロスコーとデソートの待ち受ける後部座席に投げ込まれる。咄嗟に車に飛び乗ったドジャーは2匹と対決する。間一髪の所で逃げ切ったジェニーとフェイギン達だったが、オリバーとドジャーを乗せた車は電車に轢かれて大破する。心配する一行の前に、オリバーを咥えたドジャーが姿を見せた。

後日、ジェニーの家で開かれた誕生日パーティーに集まったフェイギンとドジャー達。オリバーは彼女と家に残ることに決めた。ドジャーは仲間同士の絆は今後も変わらないと告げるとオリバーとジェニーを後にし、フェイギン達と共に大都会の渋滞をすり抜けて軽快に帰っていった。

登場人物編集

オリバー編集

(ジョイ・ローレンス/藤田哲也)


本作の主人公の雄猫。オレンジ色の毛並みと首輪が特徴。空腹で途方に暮れていた所をドジャーにソーセージを盗むためのダシに使われる。偶然フェイギンに見つかったことで一緒に飼われることになる。身寄りがなかったため、兄貴分のドジャーを慕う。誤ってジェニーに連れていかれ、フォックスワース邸で生活するうちにジェニーを愛するようになる。元々臆病な性格だったが、終盤ではジェニーのためにサイクスに立ち向かうなど、勇敢な姿を見せる。ロスコー達に捕まり、絶体絶命の所をドジャーに救出された。最終的にジェニーと暮らすことを決心した。


ドジャー編集

(ビリー・ジョエル/松崎しげる)


赤いスカーフを首に巻いたクールなジャックラッセルテリア。頭の回転が速く、統率力もある仲間達のリーダー的存在。性格はキザで前向き、且つ楽観的。ジェニーの家で暮らすことに満足していたオリバーに怒り、一時突き放すが、ジェニーが拐われた際に迷いなくオリバーに協力するなど、根は優しく、とても仲間思いである。間一髪の所でオリバーをロスコー達から救った。ジェニーと暮らすことになったオリバーをアップタウン地区の副代表に任命し、またいつでも遊びに来るように告げて別れた。


リタ編集

(シェリル・リー・ラルフ/尾崎亜美)


セピア色の毛並みのサルーキ。ドジャー達メンバーの紅一点。暴走気味のティト達をなだめる役割を担っているが、自身も彼らのじゃれ合いに参加してしまう一面もある。姉御肌であり、ドジャーと共に都会を生きる術をオリバーに教授する。フォックスワース邸にて安らかな寝顔をしていたオリバーを見て、そこが彼にとっての幸せなのではないかと察するなど、洞察力も持ち併せている。


フランシス編集

(ロスコー・リー・ブラウン/富田耕生)


誇り高く、気取り屋のブルドッグイギリス訛りの英語を話す。テレビで芝居を観るのが趣味なため博識且つ演技派であり、劇中では当たり屋を担当している。喋り方が仰々しく、無駄口が多いが、その割にロスコーに詰め寄られた際に言葉に詰まったりしていた。ティトから「フランク」「フランキー」などと呼ばれる度「フランシスだ」と訂正する。


ティト編集

(チーチ・マリン/三ツ矢雄二)


緑のバンダナを身につけたお調子者のチワワ。荒っぽい性質で気が強く、自分の何倍もある体躯の相手にも臆することなく立ち向かう。ワイヤーを噛んで機械を操作するのが得意。本人によればフルネームはイグナシオ・アロンゾ・フリオ・フェデリコ・デ・ティト。ジョルジェットに一目惚れするも、彼女から風呂に入れられ、無理矢理服を着せられたことで嫌気がさし、逃げ出す。


アインシュタイン編集

(リチャード・マリガン/島香裕)


灰色の毛並みのグレートデーン。メンバーの中で最も背が高い。名前とは裏腹にお世辞にも賢いとは言えないが、おおらかで心優しい性格。大柄な体格で頑丈なため、自らぶつかって車を停車させるという危険な役を担当する。また、寝る前に絵本を読んでもらうようにねだるなど、子どもっぽい一面もある。


ジョルジェット編集

(ベット・ミドラー/木の実ナナ)


ジェニーの飼い犬のプードル。ドッグショーで56の賞を受賞し、地区優勝で14回、全米で6回優勝している。そのため、かなり高慢でナルシスト。ジェニーがオリバーを連れてきたことで彼に激しく嫉妬する。ドジャー達と協力してオリバーを追い返すが、オリバーの身代金を払う際、心細いジェニーに渋々同行する。誘拐されたジェニーを救出するためにオリバー達と協力し、その過程でティトと相思相愛の関係になるが、最終的にティトに逃げられる。


ロスコーとデソート編集

(トーリン・ブラック、カール・ウァイントロー/小林清志江原正士)


サイクスの飼っている2匹のドーべルマン。共に獰猛で残忍な性格。イタリア訛りの英語を使い、ドジャー達を煽る。ロスコーは赤い首輪を付けており、リタを自分達につくように口説こうとする。デソートは青い首輪を付けており、大好物の猫であるオリバーを食べようとした際に鼻を引っ掻かれる。最期はドジャーと対峙し、決闘の末に地下鉄の線路上に落下して感電死した。


ジェニー・フォックスワース編集

(ナタリー・グレゴリー/里中茶美)


金持ちの家の一人娘。両親とは仕事などの都合から別居している。オリバーを家に連れて帰って可愛がり、首輪を付けてあげた。オリバーの身代金を払うためフェイギンに会うが、無償で返されて喜ぶ。その直後にサイクスに誘拐されるが、オリバー達の活躍によって救われた。後にフェイギンやドジャー達とも仲良くなる。


フェイギン編集

(ドム・デルイス/池田勝)


貧しく、みすぼらしい風貌の男。自身の生活も困窮しているにもかかわらず、ドッグフードを与えたり、寝る前に本を読むなど、ドジャー達を我が子のように可愛がる。オリバーを利用して大金をせしめようとするなど、悪賢く意地汚い部分もあるが、根っからの悪人ではなく、最終的に思い直してオリバーを無償で返してやったり、ジェニー救出に一役買っていたりしている。


サイクス編集

(ロバート・ロッジア/石田太郎)


本作のディズニーヴィランズ。冷酷で無慈悲な高利貸し。借りた金を返せない者は容赦なく殺害する非情な男。電話越しの会話から、拷問、死体遺棄なども行っている模様。ジェニーを拐って身代金を巻きあげようとするがフェイギン達によって逃げられ、暴走運転でどこまでも追いかける。最期は電車に轢かれて車ごと轢死した。


ウィンストン編集

(ウィリアム・グローヴァー/藤本譲)


フォックスワース家の使用人。両親と中々会えないジェニーの面倒を見ている。温厚な性格だが、プロレス中継を見ている時は言葉違いが荒くなる。ジェニーが帰還した後に誕生日パーティーを催し、ドジャー達も招き入れた。フェイギンとプロレス試合の勝敗の賭けをしたが、負けるなりごまかされた挙句、リンゴ1つをちょろまかされる。帰っていくドジャー達を気持ちのよい連中だと言って見送る。

余談編集

序盤でドジャーが「ホワイ・シュッド・アイ・ウォーリー?」を歌っている場面では「101匹わんちゃん」のポンゴ、「わんわん物語」のジョック、トラスティ、ぺグといったキャラクターがカメオ出演している。

関連タグ編集

ディズニー映画 アニメ映画 ビリー・ジョエル 松崎しげる

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