概要
原子番号48の金属。同属元素である亜鉛と化学反応の挙動が似ており、体内に取り込まれやすく排出されにくい事と、化学反応の挙動が似ていても別の物質であるため、重篤な中毒症状を引き起こす。
イタイイタイ病は亜鉛鉱から亜鉛を精錬する際に一緒に含まれているカドミウムが回収されずに工場から排出されていたためそれが自然界や生体内に蓄積され、カドミウム中毒のひとつである腎機能障害により骨が非常に脆くなり容易く骨折してしまうため、工場下流域の住民がこの中毒症状により日常生活が出来ないどころか闘病生活も激痛に苦しむ重篤な障碍を被る公害となった。
ちなみに、イタイイタイ病の原因発覚以降は亜鉛精錬の際に亜鉛鉱から一緒に取り出されるカドミウムは当然回収されている。
余談だが、金属の地金を扱う通販サイトではカドミウムのインゴット(鋳塊)も売っていたりする。ただし毒性が高いため、正当な理由がなければ当然売ってくれない。
中毒症状など
慢性症状としてイタイイタイ病のほかに、腎障害、肺気腫、蛋白尿がある。また、体内の酵素のうち亜鉛を含む酵素の挙動を乱すため発癌性を有している。
用途
大抵化合物や混合物として用いられていた。他の物質への代替ができない特殊な用途では現在でも使用されている。
- 顔料(カドミウムレッド、カドミウムエイローなど)
- 光半導体・・・硫化カドミウムの光に対する性質が人間の目の特性に近く、電子部品としても便利なため使われていた。
- 光学測定・・・赤外線観測やX線観測といった一部の特殊用途向けに使われている。
- めっき・・・潤滑油とのなじみが良いため以前は機械の可動部のうち油膜切れが困る場所に使用されていた。
- 銀ロウ・・・融点の低下と流動性が良くなる事からロウ付け作業がしやすいため、銀ロウに含まれていた。
- 二次電池用合金・・・ニカド電池でおなじみのアレ。
- 制御棒・・・中性子を吸収する性質があるため原子炉の制御棒の成分として含まれている。この原理を応用し、某有名怪獣映画では、怪獣王の活動を停止させるために使用されたことがある。
- 放射線測定用のコーティング・・・微弱な放射線を測定する際に自然放射線など外界からのわずかな放射線が雑音として計測されてしまうため、測定対象物と計測器を入れる箱の一番内側にコーティングを施す。(外側から鉛→銅→カドミウムの順になっている)