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概要編集

カナダにおいては、英語フランス語の方言が、いくつかの原住民俗語と共に公用語に指定されており、これらの中から各や準州が独自に公用語を選んでいる。このうち、ケベック州を除くすべての州・準州において、英語を公用語、もしくは公用語の一つに指定している。

カナダ国内の英語は全体に均一であり、の英語ような各地域に独自性の強い訛りはほぼ存在せず、国土が広大であるにもかかわらず、国内全体でほぼ同一の方言が話されている。ただし、近年はバンクーバー周辺の中華系移民により、マングリッシュに似たアジア訛りの英語が話されているなど、局所的に異質な方言が生じている場合も見られるほか、英語を公用語としないケベック州の人間が州外の人間とのコミュニケーションのために英語を用いる場合は当然フランス語訛りの独特な英語を話すこととなるが、一般にこれらはカナダ英語に含まれることはない。

特徴編集

国内での訛りが少ないのは前述の通りだが、英語としても極めて訛りの少ない、綺麗な英語であると言われる。基本的な発音や表現はアメリカ英語に準じるが、イギリス英語の影響も多分に受けている。氷のように澄み切った美しい発音が特徴で、特に女性が話すとフランス語日本語ペルシア語アラビア語などの一般に音韻が綺麗であると評価される他言語にも引けを取らないほどの洗練された印象を醸し出すことができる。

聞き取りやすさ編集

オージー英語ほどではないが発話速度も遅く、初心者にも非常に聞き取りやすいため、学習にも好適である。初めて英語を学習する際に選ばれる外国人講師カナダ人であった場合、英国人米国人インド人などのその他のネイティブスピーカーであった場合に比べてリスニングやスピーキングの難易度は大きく低下すると自覚する人も多い。加えてオーストラリア人ニュージーランド人のように変な訛りがついてしまう心配もない。転校などで講師がカナダ人になった途端に英語の成績が上がったという例も時折見受けられるし、逆に講師がカナダ人から米国人になった途端にリスニングの成績が低下したという例もある。

綴りと語彙編集

…とはいえ、他の英語にはない独特のややこしさもないわけではなく、唯一綴りに関しては非常に複雑でややこしいものとなっている。歴史的経緯から英国式と米国式の綴りが混在した影響で見事にちゃんぽんになっており、英国式の綴りと米国式の綴りが混じって両方使用されるためである。しかも、どちらを使ってもいいというわけではなく、単語により英国式で綴らなければならない単語と米国式で綴られなければならない単語が厳格に決まっており、書き手の意思で勝手に変えることができない

  • 例えば「color」は英国式の「colour」と綴る。切手も英国式の「cheque」であり、米国式の「check」ではない。しかし、タイヤは米国式の「tire」であり、英国式の「tyre」は用いられない。
  • 歴史的に英国との関連が強かった郵便などの分野に関連する語は英国式、工業などの米国との関連が強かった分野に関する語は米国式になっていることが多いが、個別の単語ごとに見れば逆もある。最近は英国の経済的地位の低下の影響もあって、全体的に米語に近づいている面もあるが、カナダ人の独立心と愛国心の強さもあってなかなか米国への同化が進まず、英米どちらにも染まらぬカナダ英語は今なお健在である
  • ケベック語を通じてフランス語から借用した語彙もかなり見られるが、どちらかといえばカナダ英語がケベック語に供給した単語の方が多い。ケベック語が標準フランス語に比べて英語からの借用語に富んでいるのは、カナダ英語からの語彙の借用によるものである。

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