今夜いよいよ――
「水曜どうでしょう」が総力を結集した
サイコロに代わる新企画がスタートする
(第1夜導入部のテロップより)
概要
番組初期の1997年に、2度に亘って行われた国内企画の一つ。
鈴井貴之が考案した企画でもあり、鈴井が「ミスターどうでしょう」の称号を得るきっかけともなった、記念すべき旅と言える。
日本を股にかけ、さらには海外にまで足を伸ばしながらも、「北海道で放送している番組なのにあまり北海道での企画がない」という、北海道ローカルの番組としては致命的な点に気付いた鈴井が、自分たちの足元である地元・北海道に注目し、当時212あった北海道の全市町村を巡ることを企図して考案したものである。
企画内容
鈴井と大泉洋が、用意された212枚のカードを引き、そこに記された「カントリーサイン」のある市町村へと自動車で向かっては、着いた先でまたカードを引き移動を繰り返していくという、「どこかで見た」ようなルールの元で企画が進行する。
カードは初期状態では市町村名が隠されており、裏に記された「セールスポイント」から、その市町村がどこであるのかを推測する。また目的の市町村に到着した際にはカードの抽選に加えて、北海道の地図が記されたパネルのうち、訪れた市町村の部分を赤いペンで塗りつぶすのもお約束の一つとなっている。
目的地に着いたからと言って特に何をするでもなく、基本的にはすぐに次の目的地の抽選に移ること、また“道北から道南”など効率の悪い移動が多いことから、内容としては「いつも通り」のどうでしょう班による車内でのやりとりがメインになる。
北海道212市町村カントリーサインの旅
収録日程:1997年6月27日~30日
放送日程:1997年8月13日~9月3日(全4夜)
収録ソフト:DVD第5弾(「宮崎リゾート満喫の旅」「韓国食い道楽サイコロの旅」とともに収録)
先に放送された「サイコロ韓国 ~韓国完全縦断~」の旅から帰って中5日でロケが行われ、大泉の個人的事情から月曜の朝までをタイムリミットとする形で旅がスタート。この企画にてどうでしょう班が訪れた市町村は以下の通り。
- 国道36号の札幌市・北広島市境界
- 夕張市
- 幌加内町
- 雨竜町
- 名寄市
- 豊頃町
- 鹿部町
初日の晩から翌日の早朝、名寄市までの行程はそこそこ順調だったが、ここで鈴井が400km先の豊頃町を引いてしまったあたりから雲行きが怪しくなる。
6時間あまりをかけて辿り着いた豊頃町では、今度は大泉が鹿部町(函館の隣)を引いてしまい、藤村Dが計算したところ、あと24時間で残りの206市町村を回るには「10分に1つのペースで行く必要がある」という結論に達してしまう。この事実に心が折れた鈴井が「泊まろう」と言い出したことで、どうでしょう班は途中で登別へと立ち寄り、以降2日目の晩から翌日の午前中まで、ただの観光旅行モードに突入してしまうのであった。
- 登別温泉で1泊
- 洞爺湖でボート遊び
- 豊浦町でイチゴ食べ放題
- 大沼公園で大沼だんごを満喫
このように遊び呆けつつ、豊頃町から実に24時間かけて到着した鹿部町であったが、ここで大泉が最北端の猿払村を引いてしまい、結果時間切れというオチで企画が終了するに至った。
前述の通り、番組の象徴としての敬意を表す意味で鈴井が「ミスターどうでしょう」(略してミスター)と呼ばれるようになった。
・・・というのはあくまで建前。実際はどうでしょうの象徴――すなわち、不運やら不幸やらはすべてミスターのせいだぞという「押しつけ」の意も込められている。発端となったのは雨竜町に向かうまでの車中での大泉の発言であり、その後の雨竜町、そして名寄市での抽選で決定的なものとなった。どうでしょう公式FAQにも、そうした意味合いや経緯について触れられている。
雨竜町から名寄市へ向かう途中、先に訪れた幌加内町の中心街を通る際、「幌加内駅」と書かれた看板を目にした大泉が「皆さん先ほどお出迎えに来てくれたから帰って寝ちゃっ・・・たかなぁ」と発言しているが、幌加内駅を通っていた深名線は本企画放送の2年ほど前、1995年9月に廃線となっていたりする。
北海道212市町村カントリーサインの旅II
収録日程:1997年10月31日~11月3日
放送日程:1997年12月10日~1998年1月14日(全3夜)
収録ソフト:DVD第9弾(「サイコロの旅4」とともに収録)
前回の企画から、ヨーロッパロケを挟んで4ヶ月ぶりに収録が行われ、事前に番組内で前回の企画にて最後に引いた猿払村からスタートすると告知がされていたことから、収録当日は深夜にもかかわらず少なからぬ数のファンが待機していたという、異例な出だしとなった。この企画にてどうでしょう班が訪れた市町村は以下の通り。
- 猿払村
- 追分町(現:安平町)
- 丸瀬布町(現:遠軽町)
- 興部町
- 下川町
- 大成町(現:せたな町)
- 上ノ国町
前回の企画と比べると、全体的に効率の悪い行程が目立っており、今回も2日目の晩に興部町を引き当てながらも、途中能取湖荘(網走市)にて一泊、前回の豊頃町~鹿部町ほどではないにせよ、到着までに「どういう訳か」17時間も費やす結果となった。
また、下川町での抽選では、どうでしょう班と同様にカントリーサインの旅を行っていたファンと遭遇する一幕もあった。ここでは直前に「ダメ人間」ことミスターが引き当てた上ノ国町のカードを、「身代わり」として彼らに押し付けたはいいものの、その代わりとして彼らに引いてもらったカードは、上ノ国町と殆ど位置が変わらない大成町のものであり、結局「悪いことはできない」と思い知らされたどうでしょう班が上ノ国町のカードも返してもらうという、如何にもどうでしょうらしいオチが付く格好となった。
下川町から大成町・上ノ国町間の行程では、鈴井達が大泉を騙す形で「合宿」を敢行、前回とは異なり途中での宿泊なしに夜を徹して目的地への移動が行われた。この間、車内では稲川淳二の怪談テープが流され、さらに道中で仕入れた多数のアイテムを用いる形で、ミスターによる大泉へのイタズラも行われた。
この企画の〆では、ミスターが「雪が解けたらまたいつか会いましょう」と発言しているが、結果的にこの公約が果たされることはなかった。
というのも、「このままのペースで行くとあと30回ロケをしなければならない」という理由から、まだ199市町村を残した段階でミスターの口から「完結」が宣言されているためである(「2周年記念! 秘蔵VTR一挙公開!!」第3夜より)。結局、2回に亘るこの旅でどうでしょう班が訪れた市町村は、合計で13市町村のみに留まった。
派生・関連企画
以上のような形で幕切れとなり、「今後もやらない」と公言されている「カントリーサインの旅」であるが、その後もこの企画に絡んだネタや、派生・後継とも言える企画が複数存在する。
「サイコロの旅4」
「カントリーサインの旅2」の直後に放送された企画で、企画の導入に際し「カントリーサインの旅の続きをやる(すべて回る企画がある)」という、大泉へのドッキリが行われている。ここでは(カントリーサインの旅の)次の目的地であった生田原町(現・遠軽町)へ向かうと大泉に説明しつつ、実際にはそれとは真逆の新千歳空港へと向かい、その事実にいつ大泉が気付くかにも焦点が当てられていたが、結果なんと新千歳空港の目の前に至るまで気付かなかったというとんでもないオチが付いてしまった。
もっとも、この時大泉は驚く一方で「212よりはいいかな」といった反応も示しており、如何に「カントリーサインの旅」が過酷なものであったかがここからも窺える。
「十勝二十番勝負」
1998年に行われた国内企画の一つで、基本的なルールはこの企画のそれをほぼ踏襲していることから、マイナーチェンジ版「カントリーサインの旅」とも言える企画でもある。
この企画との違いとしては、
- 目的地が北海道十勝支庁(当時)に属する20市町村に絞られている
- 訪れた先で最初に出会った人にその市町村の名物を聞き、実際にそこを訪れる
といったものが挙げられる。こちらも最終的に20市町村のうち、半数の10市町村を訪れたところで企画が終了しており、『どうでしょう』の中で行われた「カントリーサインの旅」およびその派生企画としては、2023年現在同企画が最後となっている。
「オクラホマの北海道完全制覇の旅」
HTBのローカルフードバラエティ『おにぎりあたためますか』内で、2005年より行われた企画の一つ。
「カントリーサインの旅」と同様に、オクラホマ(河野真也・藤尾仁志によるお笑いコンビ。鈴井が社長を務めている「CREATIVE OFFICE CUE」の所属タレントでもある)が抽選で選ばれた北海道内の208市町村を訪れ、その先で番宣ポスターを貼っていくという内容の企画であるが、「カントリーサインの旅」とは以下の点で相違する部分も見られる。
- 移動はコンビではなく、河野・藤尾がそれぞれ単独で行う
- 移動手段は基本的にヒッチハイクで、宿泊も野宿もしくは訪れた先の見知らぬ人の家に停めてもらうのが主である
- 旅費は初期状態で10,000円、そこから目的地到着後のくじ引きで3つの選択肢(10,000円、1,000円、100円)の中から引き当てる方式とされている
このように、「カントリーサインの旅」よりも条件的には厳しいものがある「北海道完全制覇の旅」であるが、スタートからほぼ10年が経過した2014年12月に、道内の全市町村(この時点までに合併により179市町村となっていた)を全て回りきり、最後の179市町村目となる札幌のHTB本社に到着したところで無事ゴールとなった。この様子は、翌2015年3月に1時間特番としても放送されている。
後に同番組が放送1000回を迎えた際の記念コメントVTRにて、鈴井は「水曜どうでしょうで回れなかった」と言及しており、この企画が「カントリーサインの旅」の事実上の代替企画でもあった事実が、改めて示される格好となった。
関連タグ
闘痔の旅:同じく『どうでしょう』の国内企画の一つ。かつて同企画で訪れた平田内温泉(熊石平町)がルートの途上にあったことから、大成町から上ノ国町への移動中そちらへ立ち寄ろうとする一幕が盛り込まれているが、この時は閉鎖期間であったため未遂に終わっている