概要
水曜どうでしょう2019年最新作。全11夜(HTBでは第1夜と第2夜を一挙放送のため、実質10回分)。
前回の「初めてのアフリカ」以来、実に6年ぶりの企画で、番組としては令和初の放送(本企画の放送自体は令和になってからだが、企画の大半は改元前の平成の時期にロケを行っている)にして、不定期放送となってから初のオール道内ロケ(総集編も道内の範疇と言えるが、趣旨が異なるためここでは除外)にして、レギュラー放送を含めても「釣りバカ対決!わかさぎ釣り2」以来19年ぶりとなり、なおかつHTBが南平岸からさっぽろ創世スクエアに移転してから放送された初の企画でもある。
なお、似たような名称の企画としては既に「粗大ゴミで家を作ろう」(レギュラー放送初期の1996年11月に放送)が存在するが、こちらは「札幌市内の粗大ゴミ(本放送当時、ごみステーションでの回収が実施されていた事による)を集めて空き地に家…もとい部屋(っぽい物)を作った」という内容であり、一部のファンからは「23年を経てリメイクか」という声も少なからず上がっていたが、この時点では「今回は部屋の類では無く(企画名に恥じずに)文字通り『家』を建てる」事も、その先に待ち受ける「真相」を誰もが知る由も無かった…
なお、番組表上では前半は「北海道に家、建てます」というタイトルだったのだが、途中でなぜか「に」が「で」に変わった(「前枠」「後枠」では鈴井が一貫して「で」を使っている事から、本項では「で」の形で項目名としているが、同番組において「本放送とソフト化の際に企画名が異なる」事は時折ある)。
…と、冒頭ではさらっと「家を建てる」と紹介してしまったが、実は初回たる第1夜では企画発表すらせずに終わってしまい、続く第2夜にてようやく企画発表がなされた(したがって、本格的に動き出すのは第3夜以降となる)。「どうでしょう迷走中」と言う藤村の発言の中Bプランの企画が実行された。
具体的には「ミスターの住む赤平市の森の中にツリーハウス「レイクサイドリゾート どうでしょうハウス」を建てよう(平たく言えばBUMBUN的なものをジャングルではなく道内の森におっ建てる)という企画。
先述した様に、放送自体は令和期となった2019年から行われたが、収録自体はまだ平成期だった2017年から3年の歳月を経て断続的に行われた。一つの企画に長期間を要したのは番組史上初(ただし、後述する様に実際には横軸として別の企画のロケも内包されていた)である。
なお、北海道での放送開始からしばらく経った2020年時点でも本企画の最終夜の収録を行っており、ある意味では「放送がいつまで続くのかの目処が立たない」という状況であった。
最後に大泉が表札を取り付けツリーハウスは無事に完成した。……かと思いきや衝撃の事実が発覚する。
これまではD陣の顔を意図的に映さないようにしてきたことが多かったが、番組の認知度が向上した事とは別にネット配信企画(YouTubeだけでもどうでしょう公式チャンネルの企画「腹を割って話そう」や、D陣2人がYouTuberとなったチャンネル「どうでそうTV」など)でもD陣2人の顔が知れている事から、藤村Dの顔を意図的に映しているシーンが多い。
スタッフロール
初回で大泉が自らをこの番組の主演だと言いエンディングのスタッフロールにも要望をした。それがそのまま採用され、馬の大群が走るシーン(大泉も出演していた「真田丸」のオープニングのパロディだが、映像自体は北海道ではお馴染みの「馬追い運動」の映像にクレジットを被せている)に「主演 大泉洋」とデカデカと表示された。記述のフォーマットも時代劇風に縦書きとなっている(第10夜のみ映画風に横書きかつ下から上にクレジットが流れた)。
エンディング映像とほぼ同じアングルで撮影された「資料映像」
しかし企画が大泉に不向きなDIYだったため企画が本格始動すると、大泉は次第に「主演」から「出演」に格下げとなり(ひどい時には「クレジット上は出演者では無くスタッフ扱い」「スタッフ扱いすらされずケータリングを提供する飲食店と同列の扱い」「極端に小さい文字で表記」にされた事も)、その間に鈴井が主演を勝ち取り、藤村も1回主演になった。
大泉はこのエンディングの演出について後に「どうでしょう祭2019」にて「僕ぁ頼んだのはこんな牧歌的な画(馬追い運動を指す)じゃ無いぞぉ」という趣旨の発言をしていたり、第10夜においても途中から自身のクレジットの出し方についてのトークを行い、表記の位置については「2人はそれだけの事(主演に相応しい活躍を見せた事)はやってるから自分としては異存は無い」と半ば容認した一方で「出演者と協力の枠がごっちゃになるのは普通の番組ではありえない」と前置きし、映画「タワーリング・インフェルノ」を引き合いに出した上で「せめて珍来(ケータリングを提供している飲食店。第9夜と第10夜の前・後枠にも登場し、大泉が「ここが噂の『珍来』か…」と言っている)よりは上にしてくれ」と要望を出し、その日のエンディングでは実際に「やや右斜め上」にて表記された。
キャンプ地をこことする
ツリーハウスが完成するまでは近くにテントを張り、そこに泊まると藤村が言い出した。しかし次の日は作業せずに帰るので全く意味がない。そもそも近くにミスターの家がある。それでもテント泊は実行された。
すると、藤村のいびきがうるさいという問題が発覚した。しかも藤村は数秒で寝てしまうという魔人ぶり(彼に言及する際は「藤やんマーク」も添付された)。当然他のメンバーはあまり寝られなかった。
労使交渉
この企画の間はシェフ大泉が料理を担当した。初回は企画に入る前に鈴井の家で料理に挑戦した。1品目にイマイチな料理を作り、2品目を作ろうとしたところ突然停電が起きてしまった。
2回目は雪中テント泊当日。ヘルメットをかぶったまま料理を待っている3人の姿が鉱員の労使交渉のように見えたため、以降は料理の結果が「労使ニュース」として逐一画面表示された。
最初こそ酸っぱい味しかしなかったものの(時を経て大泉の料理の腕前が向上したのか)その後は店で出てもおかしくないような料理ばかりだった。
同番組を知らない様な人からすれば「おいしいのだから問題ないような気もするのでは?」と思う方もいらっしゃるだろうが、これまで散々な料理ばかり作ってきたシェフ大泉としては「調理工程の不手際、調理器具の不足」から生じる料理を「処刑」と比喩してゲラゲラ笑って楽しむのが本来の趣旨とするならば、逆の意味で期待外れとなってしまった事は否めない。
その結果、最初のうちは鉱員からも評判は良かったが、次第に「我々は君(大泉)に『うまい飯を食わせろ』というシュプレヒコールをあげたかった」という(ある意味では不味い料理を「おみまい」されたい本来の趣旨からすれば)本末転倒なコメントが出る始末となった。
後日、思案の末生み出したアイディアは「荒々しい料理」。森の中から食材を持って走ってきて工具で料理をするというもの。しかもスープには本来捨てるような部分も入れた。結果はラーメンの味が薄かったがそれ以外の料理は結局おいしい。
キャスト
主演 鈴井貴之
スタイリスト 小松江里子
音効 工藤哲也
音声・ドローン破壊 松澤聡
制作 松倉和哉
制作協力 クリエイティブオフィスキュー
美術 BgBee
プロデューサー 福屋渉 工藤哲也
建築協力 建築工房らくだ(千葉秀希・戸上房夫・奥泉慎太郎) ある意味主演。
テーマ曲 1/6の夢旅人2002 樋口了一
関連タグ
3年越しに明かされた「衝撃の真実」(ネタバレ注意)
表札を付けた大泉に「これまでの経緯を振り返る」と振ってVTRを見る事になったのだが…
実は最初に建てていたツリーハウスは時折協力者が状態を確認して除雪も行っていたが、最後の除雪から程なく記録的な大雪とそれに続く季節外れの雨で雪が重みを増したことにより倒壊。大泉を除くメンバー(以下、首脳陣)でロケをした2018年3月に発覚した(なお、大泉がロケに参加出来なかったのは、同時期に「NACSの舞台公演」と重なったため)。
一面雪野原となった森の中「あるはずのデッキ」が見つからず、1日をかけて発掘調査をし無残に崩れ去ったデッキを発見した。これを「新作がなかなか放送されないファンの怒り」と解釈(もちろん、実際に怨念のせいではないだろうが、VTR中では「現場検証」で首脳陣が口々に「大泉の工程の不手際ではないか」と推測していたものの、結局「根本的な原因」は不明のままであったが、藤村が嬉野と共に活動しているYouTubeチャンネルで開催した最終夜同時試聴会において冒頭の太字のことが原因であろうと話している)。
首脳陣は万策が尽き(ミスターをもってして「心が折れた」と落胆した)、その後の緊急会議の結果「ツリーハウスの再建を建築工房らくだに丸投げ」(第10夜まで「建築協力」となっていたのに、最終夜のみ「建築・設計・施工」に変化したのはこのため)する事にし、視聴者側からすれば(当初は苦肉の策だったとしても)機転を利かせてそうとは思わない「大泉ドッキリ」を仕掛けることになった。結果的には2年もの間、大泉に内緒にしていたのだ。
最初に建てたデッキは「完成地」の近くに放置され、その惨状を見た大泉は「ショックだ」と言っていたが、即座に藤村Dが「君より僕ら(首脳陣)の方がショックが大きい」と反論した。
しかし「2年もすればさすがに大泉さんも『おかしい』と気づくはずでは?」と疑問を抱く人だっているかもしれないが、そもそも彼も多忙の身であり道内だけでも「ハナタレナックス」「おにぎりあたためますか」「1×8いこうよ!」等の収録に参加し、道外でも俳優として多数の作品(例えば「ノーサイド・ゲーム」の君嶋隼人役など)に出ている事から「本人は薄々疑問視していても、確証を得られない」状況であったのだ。
首脳陣が「崩壊していた事実を2年間黙秘していた」事に加えて「(道内での最終夜放送時点で)また見ぬ海外企画(後述)のロケ中ですら、一言も口を割らなかった」事(ニュアンスとしては「完全黙秘」では無く「虚偽の事実を吹聴した」に近い)に恐怖を抱いた大泉は「すげぇ悲しい…」とうなだれるのが精一杯なのであった…
なお、放送上では前後枠において「既に完成していた『どうでしょうハウス』で収録した回」がある為、視聴者には「どうでしょうハウスは第一夜オンエア開始時点で既に完成済」と言う事は示唆されていたものの、先述した事実は最終夜で大泉にネタばらしするまで一切本編で明かされていない為、視聴者に対しても(大泉程長期ではないにせよ)結果的に約3ヶ月程度の期間をかけたドッキリが仕掛けられた事になる。
いずれにせよ、ツリーハウスは完成したとはいえ結果として「番組史上最長の収録期間で壮大な大泉ドッキリを仕掛けた」という形で幕を下ろした、と思われたのだが…
その後の展開
本企画のロケ期間中(時系列では「デッキ崩壊後」)に「21年目のヨーロッパ21ヵ国完全制覇」(以下「2020年新作」と略す)のロケも行っており、なおかつそのロケが今回の企画には含まれていない事が、最終夜の終盤にて明かされた。
ただし、そのロケ自体は本企画では扱われなかっただけで、実際には「大泉への口封じを兼ねて急遽ロケを企画して速やかに敢行した」という意味では「2020年新作」のロケも本企画の一部として扱っても差し支えは無い(ただし、経緯こそ急ごしらえだがこのロケが「思わぬ副次効果」をもたらしたのはまた別の話)。もっとも、結果的にはそれが本企画そのもののロケが長期化した遠因になったともいえるのだが。
そのため、次回の企画で「放送時点での令和初の海外企画」になる(なお、同企画は今回の企画とは異なり「ロケ自体は平成の期間内で実施済み」であるため、実質的に「平成最後の企画」にもなる)事は確定していたが、この時点では「海外企画である」事と「どうでしょう班4人が車で走った」事以外の詳細は一切不明であった。
なお、放送時期に関しては2020年8月5日に「HTBで2020年10月28日から放送開始」である事が番組公式Twitterで明かされており、既に同企画の編集作業自体は開始していたものと思われる(実際、既に映像そのものは全て撮り終えていたため、比較的早く放送へと漕ぎ着けた)。
そして2020年10月28日にHTBにて放送開始され、その後順次各局でも遅れネットされる事になった。
ちなみに、視聴者から見た場合「どうでしょうの新作」展開については、2018年7月29日に札幌で行われていた「CUE DREAM JAM-BOREE 2018」において、岩手で「どうでしょうキャラバン」を行っていた藤村Dおよび嬉野Dとの中継において「旅に出よう」との発言が飛び出し「事実上の新作制作が発表」された後に、当企画の展開を目の当たりにしたことになる。
…ここまで読んだ勘の鋭い皆さんなら察しもつくだろうが、本企画は2017年から既に始動し、この時点での「旅」とは「2020年新作」のロケであり、家を建てるとは一切言及していない。
即ち2018年夏のイベントの時点で本企画が「視聴者側には伏せられた状態で水面下で進行していた」事になり、その上に「別の企画(2020年新作)のロケを行う」旨を発表していたのである。
つまり、番組史上初「未放送の企画が複数乱立している」という状態に陥ってしまったため、本企画の放送が決まった際には「旅に出てたんじゃなかったのか」などと困惑した視聴者が続出した。
因みにこの困惑の要因はもう1つあり、本企画最初のロケ日である2017年1月8日、藤村Dが公式HPの本日の日記にて「行ってきます。どうでしょう軍団」と新作始動を仄めかす投稿をしていた。
そう、本企画の始動自体は(内容は伏せてあるとは言え)藤村Dから一度明言されていたのである。
しかし、その翌日にミスターが「旅には出ていない」旨のツイートをした為、2017年の年明け早々にどうでしょう班が何かしら動いたようだが、ミスター曰く旅には出てないらしいから新作の撮影なのかどうかは定かでは無いという非常にややこしい状態が視聴者に提示されてしまったのだ。
しかも、2003年のプチ復活以降の新作が全て旅企画だった事も重なり、旅に出てないのなら新作ロケでは無いのでは?と思う視聴者がいても不思議では無い中で2018年の新作ロケ実施が公表された。(実際には2017年2月に再度「新作は始動した」旨を藤村Dが本日の日記に記載していたのだが、この当時のホームページ仕様だと日記が更新される度に過去の日記が上書きされて見られなくなる形式だった為、これらの経過を断片的にしか知らない視聴者が一定数存在していたであろう事は想像に難く無い。)
つまり、大泉以上に何も知らない視聴者からすれば2017年のあれは何だったんだ?という状態で更に1年以上待ってスタートしたのが本企画だったということになる。
藤村Dもミスターも何一つ嘘は言っていなかったのだが、ネタバレ防止で詳細を伏せざるを得なかった事とそれまでの状況が重なった故に起こったどうでしょう初の珍事だった。
その後、本企画の最終夜での事実発表により「2018年の旅は当企画ではなく別の企画(2020年新作)のことを指す」という1年半越しの伏線回収となった。
なお、この中継時は、当然大泉は事実を知らないため、どんな心境だったかは想像に難くない。
Netflixでの配信は当初「どうでしょうClassic」として配信されている一部企画とは異なり、本企画のみで「水曜どうでしょう」として配信されていたが、ヨーロッパ三部作プレミア版配信に伴い、「どうでしょう」に統一された(Classicとして配信された作品もどうでしょうに統一されたが、中身は変わらない)。
企画終了後、藤村Dが「野鳥観察の刑」と称してレイクサイドリゾートに宿泊を開始。基本的にはキャンプ番組のような雰囲気。先述の通りミスターが近くに住んでいるため、たまにやって来る。
また、入場料を徴収した上での一般公開も予定されていたが、放送終了直後に諸般の事情により一般公開には至っていなかったが、2022年3月30日に「同年7月16日から一般公開に踏み切る」事が明らかにされた。