キャプテンパワー
きゃぷてんぱわー
日本の特撮ヒーロー作品にヒントを得て制作された海外ドラマ。アメリカでは1987年放送、日本でも同年に円谷プロが制作協力した日本語吹き替え版がテレビ朝日で放送されたが、初回放送時は最終回まで放送されずに打ち切りになり、後の再放送や衛星放送で全エピソードが放送された。
放送当時、まだ誕生したばかりのCGを使用してキャラクターを表現するという手法が用いられた。
また番組放送と連動して遊ぶことができる「テレビパワー」を搭載した玩具がマテル社から発売され、日本でも日本語吹き替え版放送時にバンダイが逆輸入し発売していた。
これはドラマ映像に含まれる強い光の点滅により玩具のセンサーを感知させ連動を行うもので、それにより玩具を持つ視聴者は擬似的に劇中の戦闘へ参戦できた。連動可能なシーンの挿入はマテル社の意向が含まれているため、1話あたり1〜3分ほど強い光の点滅がテレビから放たれる事となり、視聴者の目への負担もそれなりのものとなった。
この技術は後に『仮面ライダーBLACK』等の玩具にも導入された。
セカンドシーズンの制作も予定されており、最終回もそれに準じたものとなっていたが、玩具の売り上げが伸び悩み制作されずに終わった。
時は、21世紀の後半。
地球は、戦争をするために作り出された機械軍団バイオ・ドレッドによって制圧された。
自らが作り出したメカニカル・サイボーグに・・・人類は敗れ去った・・・
バイオ・ドレッド帝国に君臨する帝王ドレッド。
彼は超巨大コンピュータ「オーバーマインド」と頭脳を接続。
自らをサイボーグと化し、地球制覇を夢見る恐怖の帝王となった。
しかし、廃墟の中から立ちあがった勇者たちがいる。
人類最後の望みを担って、帝王ドレッドとその帝国を倒すために生まれ、訓練された未来戦士たち。
若きリーダー、キャプテン・ジョナサン・パワー!
パワースーツをオンにすれば、彼ら一人ひとりが強力な攻撃軍団に変身する。
ホークことマシュー・マスターソン少佐は空の戦士!
タンクことマイケル・エリス中尉は地上の戦車隊!
スカウトことロバート・ベイカー軍曹は情報と通信担当!
パイロットことジェニファー・チェイス伍長、戦術とメカの担当!
彼等に課された使命は、帝王ドレッドの手から人々を救い、地上に生命と平和を取り戻す事!
行け!未来戦士達よ!
※以上は、OP前のナレーション(CV:内海賢二)
()内左は担当俳優、右は吹き替え。
未来戦士
- ジョナサン・パワー(ティム・ダニガン / 田中秀幸)
通称「キャプテン」未来戦士たちのリーダー。
パワースーツの開発者であるスチュアート・ゴードン・パワー博士の息子で、父の遺志を継ぎドレッド帝国と戦う。
パワースーツにはレーザーガンと手裏剣サイバーシューター、マグマ・スティック、サイバーナイフといった武器や精神感応器、跳躍ユニット・パワーロケットが搭載されている。
- マシュー・マスターソン(ピーター・マクニール / 青野武)
通称「ホーク」階級は少佐。
未来戦士の最年長で、唯一の実戦経験の持ち主。
スカウトからは「御老体」とからかわれる。
ドレッド帝国との戦いで息子を失っており、ジョナサンに息子の姿を重ねている。
パワースーツは航続距離400マイルの飛行性能を持つ小型戦闘機として設計されており、背中に収納された翼を展開させ、未来戦士の中で唯一、自力での飛行が可能。腕から発射するホークミサイルや、大型イオンブラスターを搭載している。
- マイケル・エリス(スヴェン=オーレ・トールセン / 郷里大輔)
通称「タンク」階級は中尉。
遺伝子工学によって生み出された人間で、怪力の持ち主。脳筋だが敵の攻撃から仲間を庇ったり、撤退時には進んでしんがりを引き受けたりと仲間思いな性格。
元はストリートファイターで、かつては悪い仲間とつるんでいたらしく、刑務所に収監され脱走した過去を有する。あるエピソードでは、現れたムショ仲間と決闘していた。
パワースーツは全身を完全に覆い尽くした外骨格の役割を果たし、硬い壁を突破できる。絶大な威力を誇るプロトン・カノンや、PC先端に装填・発射するキャノン・コマンドミサイル、火炎放射器、アシッド・グレネード等を搭載している。
- ロバート・ベイカー(モーリス・ディーン・ウィント / 田中亮一)
通称「スカウト」階級は軍曹。
未来戦士きっての頭脳派だが陽気な性格のムードメーカーでもあり、いつもホークやタンクをからかっている。
電子戦および情報戦を一手に受け持っている。ハッカーとしての才能も優れており、作戦行動のバックアップのためいつもパソコンをいじっている。
パワースーツにはホロ=フィールドを発生させることができ、周囲の風景に同化したり、BD兵士などに変装する事で基地に潜入が出来る。
- ジェニファー・チェイス(ジェシカ・スティーン / 小山茉美)
通称「パイロット」階級は伍長。
未来戦士の紅一点であり、元々はドレッド軍側の青年隊員だった。当初は人間らしい感情を持っていなかったがキャプテンに救われて改心。感情を学んだ。
最終回にて一人基地を攻撃してきたドレッド軍の攻撃からメンターのバックアップと予備のパワースーツを脱出させた後、基地を自爆させ殉職した。
コードネーム通り、未来戦士の移動基地ジャンプシップの操縦、メカニックの整備、BD軍での経験を活かし戦術立案も担当する。
ドライバー型万能ツールプロトン・スパナを持っている。
- メンター(ブルース・グレイ / 塩屋浩三)
キャプテンパワーの父親スチュアート・ゴードン・パワー博士の記憶と外見を持ったコンピューター。
モニターにスチュアートの姿が映し出されており、戦士たちにアドバイスを送る。戦士達からも父親として慕われており、キャプテンも「親父」と呼ぶこともある。
バイオ・ドレッド帝国
- 帝王ドレッド(デイヴィッド・ヘンブレン / 柴田秀勝)
バイオ・ドレッド帝国を支配する悪の帝王。本名はライマン・タガート。スチュアート・G・パワー博士の友人。有能な科学者だったが理論の敵である感情を押し殺すことで実現する完璧な世界を目指し、古い世界と人間をすべて焼き尽くし新たな世界を創造する「ニューオーダー計画」を発足し、戦争を起こした。
全ての人間性を否定しており、止めようとしたスチュアートを殺害。自身も負傷したもののスーパーコンピューター「オーバーマインド」に脳を接続しサイボーグとなり復活した。感情を嫌悪しているものの、スチュアートを殺したことを後悔しているかのような一面もあり、以前から親交のあったジョナサンと戦う事も歓迎していない。
サイボーグ化したのち、右腕と顔の半面をメカ化している。普段はその姿で、バイオ・ドレッド帝国中央に存在する「ボルカニア城」の、玉座めいた司令室のシートに座っており、そこから指令を発する。
心の奥では、人間性や感情を未だ捨てきれていないものの、本人はそれを認めていない。
過去には芸術家の女性と交際していたが、自身のミスで彼女を失明させてしまった。後に彼女を探し出し、視力を回復させてブラスター製造の際にデザイナーとして起用しようと試みた事があった。
- オーバーマインド(CV:郷里大輔)
究極の知性として人間に生み出されたスーパーコンピューター。ドレッドの脳と接続されており、参謀的な役割を担ってサポートしたり、バイオ・ドレッドを制作したりする。
サイボーグとなったドレッドに「感情は人間の敵」という理念を植え付けた。
- ソロン(CV:塩屋浩三)
銀色の体に鳥のような頭、背中に翼を持った人型バイオ・ドレッド。フルCGキャラクター。
左手の装備「デジタイザー」で人間を電子情報化して捕獲したり、消去することもできる(これをデジタイズと呼ぶ)。また、強力な自己修復能力を有し、大破しても自力で再生修復していた。
両腕の甲と両目からは、ビームを発射する(通称「目から火の出るソロンレーザー」)。他にもミサイルや爆弾などを装備しており、小都市程度ならば単体で破壊が可能。
吹き替え版では「承知のすけ帝王様」といった、コミカルなセリフを口にするキャラ付けが為されている。
- ブラスター(CV:堀之紀)
ソロンに次いで生み出されたバイオ・ドレッド。フルCGキャラクター。
猪突猛進な性格だがドレッドには絶対服従を誓っている。反面ソロンとは仲が悪い。
元々は量産機だったが、製造時に未来戦士にエネルギー供給を妨害され、1体しか存在しない。
ソロン同様に左腕にデジタイザーを装備し、デジタイズが可能。
武器は両手の指から放つレーザーブラスト。また、右腕には折り畳み式のシールドも装備している。
飛行は出来ないが、両足に内蔵されたキャタピラを展開する事で、ローラーダッシュの様に地上を高速移動する事が可能。
上記2体のバイオドレッド、並びにBD兵士は胸部が点滅しており、TVパワー玩具対応のターゲットになっている。
- ラッキー(CV:田中亮一)
ブラスターを量産する「シャロン計画」がキャプテンたちの妨害にあった際、バイオ・ドレッド製造機から誕生した出来損ないのバイオ・ドレッド。
非常に卑屈な口調で喋る。当初はドレッドに破棄されそうになるが、オーバーマインドに救われ、ドレッドが口走った言葉から命名された。戦闘からは枠外視されているが、オーバーマインドはなぜか持ち上げている。
未来戦士
- パワースーツ
未来戦士たちの装着している特殊強化服で、主力兵器。
配線が内蔵されたアンダースーツに、専用装置パワー・エナジャイザーを用いてエネルギーを充填。通常服につけられた未来戦士のエンブレムを模したバッジに触れて「パワー・オン!」をコールすると装甲を実体化させ装着される。
パワーは被弾するごとに減少し、エネルギーがゼロになると装甲が消失する。アンダースーツへのパワー充填は、高圧の電流でも代用が可能(一部エピソードではパワーがほぼゼロになり、緊急事態ゆえに電線から充電していた)。
- ジャンプシップ
未来戦士たちの大型戦闘母艦兼移動基地。遠方への移動の際に出動する。パワーベースで生成されたワープゲートを利用し、米大陸を瞬時に移動できる。
その上部には、パワージェットが合体している。
- パワージェットXT-7
ジャンプシップと合体している戦闘機。主にキャプテンがパイロットとして乗り込む。商品化され、TVパワーで遊ぶギミックが内蔵されている。キャプテンのフィギュアを乗せ、被弾すると、玩具内部に設定されたポイントが減点、0になるとコクピットがはじき出されるギミックも有する。
- ドラゴンフライ
飛行バイク。ホーク以外の、自力で飛行できない未来戦士が使用する。ビームを搭載しており空中戦も可能。また、声紋を登録させる事で、一般人でも乗り込み動かす事も可能。
既に世界そのものは、バイオ・ドレッド帝国にほぼ蹂躙され、人間はドレッド帝国に怯えつつ、生活している。
かつてバイオ・ドレッドは戦争用のロボット兵器であったが、後の帝王ドレッドとなるダガード博士が、オーバーマインドに感化された事で、人類そのものの敵となり、人間対バイオ・ドレッドの戦争が勃発した。
後に「メタル戦争」と呼ばれるこの戦いに人類は破れ、世界中は荒廃。バイオ・ドレッド帝国が世界を蹂躙するように。
ダガードは帝王ドレッドとして、「ニューオーダー計画」を実行に移し、それを生き残った僅かな人類の勢力がそれに抵抗している、といった状況である。
ほとんどの人間は、ドレッド帝国に抵抗の意を表しているが、その多くがゲリラ的な活動にとどまっており、帝国に対してはほぼ無力。また、それぞれの抵抗グループも、協力体制が取れず、中には排他的な連中もいる。
劇中でも、元アメリカ軍の一大隊の司令官がリーダーとして率いる抵抗グループが登場した。しかし彼らはキャプテンら未来戦士たちを味方と思わず、ドレッドの手先で国家の敵だと勝手に思い込み、収監していた。
時にはドレッド軍のスパイとして、人間側を裏切るような者も少なからず登場する。
非戦闘員の人間がドレッド帝国に発見されると、強制的に捕獲され、絶対服従と人間性および感情を捨てる事を命じられる。また、ソロン(およびブラスター)が僻地などで人間を発見すると、問答無用でデジタイズの対象となり、データ化されて捕獲され、コンピューター内に保管、任意で実体化される、囚人同様の存在となる。デジタイズ自体は受けても死にはしないが、激しい苦痛を伴うものらしい。
また、デジタイズで逆らう人間などを消滅させる事も可能。
ゆえに、都市部ではバイオ・ドレッド帝国に生存を許された僅かな人間のみが、スラム街のような極貧の生活を送っている。
あるエピソードでは、人工衛星に搭載した巨大なデジタイザーで、大量の人間を一斉爆撃の如くデジタイズする恐ろしい計画も立案されていた。
ドレッド帝国軍に参加している人間もいるが、彼らは人間的な感情を捨て去る事を強要され、それが出来ない者や従えない者は、デジタイズで消滅させられる。未来戦士のパイロット=ジェニファー・チェイスも、かつてはこのドレッド帝国軍の青年士官だった。
状況的には、圧倒的に未来戦士側、人類側は不利であり、バイオ・ドレッド帝国が完全勝利し地球支配する事は時間の問題。人類側は、抵抗し続ける事だけが現在できる事の全てである。
なお、このような状況ゆえに、様々な希望的観測や噂も多い。
その一つが、地球のどこかにある「楽園(ヘブン)」の存在である。そこはドレッド帝国すら感知しておらず、既に滅びて久しい植物や作物、野菜や果物などの食料が多く存在し、生命と自然にあふれた文字通りの楽園だという。
この「楽園」は、未来戦士たちの間でも単なる噂で実在しないと思われていたが、あるエピソードではその「楽園」からの使者と自称する男が登場。「『楽園』は存在する」とキャプテンらに言い放ち、小さな箱を手渡してそのままいずこかへと去っていった。
箱の中に入っていたのは、現在では手に入らず、どこでも育てられていない生のオレンジ。未来戦士たちはそれを切り分け口にして、『楽園』の存在を実感していた。
本作には、演者や小道具のデザインなどが異なるパイロット版が存在する。その中には、水中戦を得意とする未来戦士、「スティングレイ」こと「ネイサン・ジョンソン大佐」も登場。アクアラングを思わせるパワースーツに身を包み、水中銃型のブラスターを武器にしていた。
本編最終回後も、人気が出ていればシリーズを続ける予定だったらしく、脚本なども仕上がっていたらしい。その際には、未来戦士側も二名の新メンバー(TNT、レンジャー)が加わる展開になっており、本編中にもその伏線が張られていた。
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