「キャニスター12番装着完了!たっぷり喰らえナチュラル共!!」
概要
ザフトが保有する戦略兵器の一つ。
強力なEMP(Electo Magnetic Pulse=電磁衝撃波)を発生させ、電子機器を破壊する。
宇宙でしか製造できない特殊な圧電素子を周囲に設置した点火装置(イグナイター)によって急激に爆破する事で強力なEMPを発する事が可能となる。点火装置の組み立て・設置に加え、暗証番号の入力や防衛のための戦力が必要な事から、モビルスーツとの運用が前提とされている。
アラスカ攻防戦において地球連合軍(大西洋連邦)にサイクロプスを使用されたことでザフト側のオペレーション・スピットブレイクは失敗に終わり、この作戦に向けて集中させた戦力が丸ごと失われた状態から地球連合軍の戦力と戦う状態へ追い詰められていた。この事態に対して、C.E.71年5月25日に地球連合軍のパナマ基地に対して「パナマ攻略戦(PHASE-37『神のいかずち』)」を仕掛け、このグングニールが実戦投入される事になる。
グングニールを投入した狙いは、基地に敷設してあるマスドライバー施設「ボルタ・パナマ」の破壊によって「地球連合軍を宇宙へ侵攻させないこと」にあり、強力過ぎるEMPによってマスドライバーの超伝導体レールは対抗しきれずに破壊されている。
「機体が!!」
「動かない…!動きません、隊長!!」
さらに、地球連合製のMS(GATシリーズ)、リニアガン・タンク、パナマ基地の軍設備もグングニールの巻き添えを受けて次々と電子機器を破壊された事で機能を停止。パナマ基地は全ての機能を失って陥落した。
一方で、ザフトのMSや兵器にはグングニールのEMPを想定したEMP対策を施しているため、グングニールの傍に居ても影響は一切受けない。
「はっはっはっは!良い様だな、ナチュラルの玩具共!!」
「アラスカでやられた、ハンナの仇だ!!」
「ナチュラルの捕虜なんか、要るかよ!!」
ザフト側の兵士はアラスカ攻防戦での地球連合軍によるサイクロプス使用の報復として、上記のセリフと共に投降した連合軍兵士を次々と虐殺していった。
余談
- 本来、マスドライバーはザフトにとっても貴重な施設だが、オペレーション・スピットブレイクの情報漏洩によるアラスカ攻防戦で、ザフトは敗退して大きなダメージを負っていたために仮にパナマ基地を制圧しても、基地を占領し続ける戦力が残されていなかった。
- ラウ・ル・クルーゼが「宇宙への門を閉ざし、奴等を地球に閉じこめる。その為にもパナマのマスドライバーは潰しておかねば」と語っているとおり、地球連合軍の戦力を地球上に留めておくために、本装備によるマスドライバー破壊に踏み切ったとされる。
- マスドライバーが破壊され、その後に司令部が爆発している描写があるため勘違いされやすいが、この兵器自体はあくまで強力な電磁波を発生させるだけであり、マスドライバーは強力な電磁波により誘導電流がレールに流れて磁力で自壊したものである。基地の破壊はミサイル等による絨毯爆撃によるもの。
- グングニールの本体にMSでしか扱えないサイズの点火装置を12本接続し、起動にはわざわざMS用の巨大なテンキーを押して暗証番号を打ち込むといった手間が必要となっている。全ての工程を行うにはMSが必要であり、当然だが作業中のMSは無防備になるので、防衛のためのMSや兵器も必要になる。
- 続編『DESTINY』に登場した小惑星破砕の大型機材メテオブレイカーにも、懲りずにMS用のテンキーを撃ち込む仕様が採用されている。一応、メテオブレイカーは兵器で無く重機の部類なので、戦場のど真ん中に落とす訳では無い(破砕対象が戦場になっただけで)。
- パナマ攻略戦がデビュー戦であったストライクダガーやロングダガーは「折角のデビュー戦でケチが付いた」と呼ばれる羽目になる。
- なお、後継機のウィンダムでもデビュー戦でケチが付いている(クルセイダーズ参照)。もはや様式美である。
EMP対策について
- この戦略兵器で機能を停止させられたためか、ストライクダガーは「戦時中の急造品のために、EMP対策は施されていない」と度々言われるようになるが、公式にそのような設定は無い。おそらくは、105ダガーからの簡略化や機能のオミットの件とごっちゃになっている。
- ラウ・ル・クルーゼは「虎の子のモビルスーツ、共にグングニールの餌食にして差し上げよう。EMP対策が施してあるといっても、程度は知れたものですから」と語っており、地球連合軍のMSにEMP対策が施されていることはまず前提とした上で、グングニールの強力なEMPに耐えられる対策まではしてないと高を括っている。
- 地球連合軍はMSどころか軍設備やリニアガン・タンクなどの兵器類もすべて機能を停止させられているため、グングニールは従来のEMP対策でも防げない強力なEMPを発生させている代物になる。逆に言えば、地球連合軍がグングニール並みのEMPを想定した対策を済ませているのであれば、この戦略兵器は存在意義が無くなる。
- このパナマ戦にはストライクダガーの上位機種に当たるロングダガーも投入されてグングニールのEMPで停止している。このロングダガーには急造品と言う設定はなく、そもそもこの時点で地球連合軍にはグングニールに耐えられるMSや兵器が存在し無かった可能性は高い。
虐殺行為について
- パナマ攻略戦が、アラスカ攻防戦(オペレーション・スピットブレイク)における地球連合軍のサイクロプス使用に対するザフトの報復兼兵力増強のためとも言われるが、報復と兵力増強は作戦の主目的ではなくマスドライバーの破壊とパナマ基地の戦力を削ぐ事にある。
- つまるところ、報復劇はあくまでアラスカ攻防戦に対する現場の兵士による暴走行為であり、作戦内容では無い。
- 先のアラスカ攻防戦でサイクロプスを使い、ザフトを虐殺したのは地球連合軍であるが、サイクロプスのような大量破壊兵器の使用を禁止する戦時条約は連合・ザフト間には結ばれておらず、サイクロプス単体の使用は人道に反する行為であって違反行為には該当しないとされる。
- むしろパナマ攻防戦での虐殺劇は捕虜兵の権利を保障していた「コルシカ条約」に違反しており、後の第三次ビクトリア攻防戦を制した連合軍兵士が降伏したザフト側の兵士を虐殺する事態へ繋がったとされる。
- アニメ本編では大破して動けないザフトのモビルスーツに掃射部隊が投降を認めずトドメを刺しており、小説版では「地球連合に捕虜条約黙殺の大義名分を与える結果となった」とも語られている。漫画『DESTINY ASTRAY』では地球連合軍の兵士全員へ「ザフト側の降伏を認めない」とする命令まで下っていたことが語られており、ソードカラミティで参戦したエドワード・ハレルソンがザフトの兵士を投降させた際には友軍の部隊から「このことは上に報告させてもらう」と咎められている場面がある。
- 続編の『DESTINY』でも、投降した連合軍兵士を報復として射殺する場面があるものの、この報復劇を行ったのは地球連合の圧政に苦しめられた地元のレジスタンスである。ザフトは彼らの協力の見返りに報復劇を黙認しているので、事情は異なる(PHASE-18「ローエングリンを討て!」より)。