概要
アメリカンコミックや日本の特撮作品におけるヒーロー(戦うヒロインも含む)のような活動を行うケモノのこと。すなわち、普段は作中世界の一般人と同様の姿で過ごしているが、ひとたび人々の平和な生活を脅かす存在(悪漢、侵略者、はたまた大災害など)が現れれば戦うための姿へと変わりこれを排除するケモノ。解りやすい例を版権作品から挙げれば鉄人タイガーセブンや快傑ライオン丸がこれにあたる。ただし、PIXIV内でケモヒーロータグを付けるのはユーザーのオリジナルキャラクターが主である。早い話がケモノでヒーロー物をやりたいという創作意図のもとに生まれたキャラクター達である。
等身大ケモヒーロー
当ジャンル内においては、特徴的な衣装に身を包んだ等身大のヒーローがヒーローの形式として多く見られる。
デザインの類型
目元のみを隠す
往年のタツノコプロ製アニメを彷彿とさせる、体のラインも顕わな全身スーツにドミノマスクや半透明のシールドで目元を隠すというスタイル。ケモノキャラなのだから毛(髪)とケモ耳はそのキャラの自前の物を表面に出そう、ということかもしれない。2016年現在、このスタイルが主流と言ってもいいだろう。
頭部全体を隠す
現実の(ケモノに限らない全般的な)特撮ヒーロー文化へのオマージュ、あるいはパロディとしてケモヒーローを描く場合、特撮ヒーローの様式に則った姿、すなわち頭部全体を覆う(演じる俳優の露出度が皆無に近い)スタイルをとる事が多いようだ。その場合、体毛やケモ耳はスーツの意匠の一部(多くの場合硬質素材製)として表現される。
生身の姿を完全に隠してしまったら、それはもう衣装が動物をモチーフにしているだけの事でケモノキャラとは言えないのではないか、という疑問も生まれるが、さらにそれを逆手に取り、生身の状態と異なる動物の戦士に変身(変装)するという作品も存在する。
(ジャコウウシからポメラニアンに変身する例。)
顔を一切隠さない
豹マン、ライオン丸、タイガーセブン等、実在する特撮ケモヒーロー作品の多くはこの形式をとっている。それらの作品では人間からケモノに変身することが即ちヒーローへの変身、つまりケモノキャラ=超人という世界である。変身により別の生物になるのだから、正体を伏せる事が目的ならそれ以上顔を隠す必要はないだろう。もちろん版権作品だけでなくPIXIVユーザーのオリジナルキャラクターにも、この形式のヒーローはいる。
その他に「正体を隠す必要がないので顔を隠さない」という作品や、バトルヒロイン物を意識した作品(変身して悪に立ち向かうヒーロー物のフォーマットに沿いつつ、変身後の姿が魔法少女である等)も存在する。
巨大ケモヒーロー
前項に書いた通り、等身大ヒーローがケモヒーローの多数派なのに対し、等身大ではないいわゆる巨大ヒーロー型ケモヒーローもわずかながら存在する。
デザインの類型
ウルトラマン型
版権作品の巨大ヒーローの代表格といえばやはりウルトラマン(ウルトラ戦士)だろう。一口にウルトラシリーズと言ってもその世界観はすでに複数の平行世界を内包し、キャラクターのバリエーションも幅広い。ファンが個人の創作として独自のウルトラ戦士を空想しやすい状況と言えよう。PIXIV内ではそうした個人創作ウルトラマン用にオリジナルウルトラマン(略してオリトラマン)というタグもあるほどである。ケモヒーローにおいても、巨大ヒーロー型としてはケモノ版ウルトラ戦士といった趣の作品が多いようだ。
なお、本家ウルトラマン自身もケモヒーローと全く縁がないわけではない。番組の企画当初は、登場するヒーローはベムラーという名前の怪獣(裸の烏天狗、あるいは大巨獣ガッパを人型に近づけたようなデザイン)つまりケモヒーローだった。しかしヒーローと悪者を視覚的に判別しやすくするため、銀色の巨人(ウルトラマンの原型)と差し替えになったのだ。
(左がベムラー、右がウルトラマンの原型。)
ウルトラマンのケモノ版として巨大ケモヒーローを創作する際には、上記の経緯を踏まえて「銀色の巨人と比べてヒーロー性に乏しいと判断されたケモノ的なデザインに、いかにヒーロー性を付与するか」を考えてみるのも面白いかもしれない。
非ウルトラマン型
無論、ウルトラマン型ではない巨大ケモヒーローもいる。
巨ケモとの違い
巨大ケモヒーローはその外見から巨ケモに近い印象を受けるが、巨ケモは「怪獣寄りに描かれることが多く、ウルトラマンといった巨大ヒーローとして描かれることは非常に少ない」(巨ケモの項目より引用)とされ、その場合いわばケモヒーローとは対極の画題である。むろん破壊や殺戮などとは無縁の巨ケモ作品も存在することは言うまでもないが、巨ケモと巨大ケモヒーローは分けて考えておく方が無難だろう。