「敵?敵とはだれの事だ。俺達をこんな目に合わせてくれたのはな…」
CV:稲垣悟(旧OVA版)、赤城進(Die Neue These)
概要
銀河英雄伝説にて、銀河帝国に所属する兵士の一人である。登場時の階級は大尉。
リップシュタット戦役において、門閥貴族連合側の輸送艦の副長としてキフォイザー星域で戦うリッテンハイム候の後方に補給部隊として控えていた。
ところがリッテンハイム候はジークフリード・キルヒアイス上級大将率いる艦隊に敗退し、味方の艦隊を置いてそのまま逃走(リッテンハイム曰く「転進」)を図り、その前にいた味方の補給艦隊を「邪魔をした」と称して攻撃するという愚行を犯す。補給艦隊は壊滅し、リンザーは生き延びるが艦内の爆発に巻き込まれて右腕を失ってしまう。艦内で生き延びたのは彼以外は、幼年学校の生徒でわずか13歳(5日後に)のコンラート・フォン・モーデルだけだった。その後リッテンハイム候はガルミッシュ要塞に立籠るが、味方を討ったことで士気は急落する。
こうして2人の「コンラート」はキルヒアイス艦隊に降伏し捕虜になるものの、リンザーは「生き証人」としてガルミッシュ要塞の説得に志願する。キルヒアイスに「リッテンハイム候に対する忠誠心はもうないのだね」と問われると、「(忠誠心とは)美しい響きの言葉ですが、都合の良い時に濫用されているようです」と述べ、忠誠心は無条件に発揮されるものではないと語り、キルヒアイスを納得させる。そして「要塞内に私と同じ心情の者が5人いたら、リッテンハイム候の首は胴から離れていると思いますよ」とも述べた。
そしてリンザーの予感は的中する。要塞内の指令室に引きこもっていたリッテンハイム候は、部下を失った士官の怒りの自爆によって爆死。ガルミッシュ要塞は陥落し、門閥貴族連合軍は兵力の3割と副盟主を失い、その後の敗北を決定づける事になる。
リンザーはその後、アウグスト・ザムエル・ワーレン上級大将の指揮下に入り(リップシュタット戦役でワーレンはキルヒアイスの副将に属していた縁があったからと思われる)、ローエングラム王朝成立後の時点で中佐にまで昇進。ワーレンの地球教討伐作戦に赴くことになる。折しも、ワーレン自身もその途上で潜入していた地球教徒によって左腕を失ってしまい、義手が出来るまでの間で「確かこの艦にも義手の士官がいたな」とリンザー中佐を思い出し、彼に先発隊として地球へ降下して地球教本部の偵察する事を命じる。そしてその期待に応え、地上の入り口を見つけ出し2個大隊を投入。フェザーンの商人を名乗る者たちの協力もあって地球教本拠地の壊滅に貢献した。
余談
この作品では名も知られない兵士は当然ながら、多少名乗る末端の士官・将官も短い最期を遂げる者が多いが、中には同盟軍のオーブリー・コクラン(民需物資を守るため帝国軍のナイトハルト・ミュラーに軍事用に転用しないことを条件に無抵抗で引き渡し、その後同盟で売国奴として収監されるもミュラーに助けられる)のように生き延びた者もいる。だがリンザーの様に出世した上に再登場するパターンは極めてまれである。他に例があるとすれば、共に助かった「もう一人のコンラート」であるモーデル少年で、後にラインハルトの姉アンネローゼの従卒となっている。