概要
北欧神話に登場する英雄の名前で魔女グローアとホズを盲目にした小人アウルヴァンディルとの間に生まれた。
降霊術を使う事が出来たとされ、ニヴルヘイムで一時的に母親を蘇生させて9つの呪文を習得したとされる。それは次の通りである。
番号 | 呪文の内容 |
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1つ目 | 万病を治療する呪文 |
2つ目 | 進むべき道を示す呪文 |
3つ目 | 洪水避けの呪文 |
4つ目 | 絞首台送りを避け、相手に和平を求める呪文 |
5つ目 | あらゆる拘束から逃れる呪文 |
6つ目 | 航海の安全を約束する呪文 |
7つ目 | 凍傷や凍死を防ぐ呪文 |
8つ目 | 暗闇に迷わず、異教徒の呪いに掛からぬ呪文 |
9つ目 | 巨人たちとの弁論にも勝る知恵を授ける呪文 |
エッダ詩の一つ『フョルスヴィーズルの言葉』においては花嫁となる女神メングロズ(フレイヤの別側面とも呼ばれる)を探すべく9つの世界を旅し、遂にヨトゥンヘイムの山頂にある砦に住んでいる事を突き止める。しかしながら、門番をしている巨人フョルスヴィーズルは「この砦に入りたくば、ユグドラシルの枝に住むヴィゾフニルの肉を番犬(※1)によこせ、しかし、其奴を殺す武器はあのロキが鍛えたレーヴァテインしかあるまいよ。」とスヴィプダグルを追い立てるが、フョルスヴィーズルは「レーヴァテインを無傷で手に入れるにはヴィゾフニルの尾羽を管理者であるシンモラ(※2)に渡すしかない」とも告げた。どう考えてもレーヴァテインを使わないと倒せないような鶏の尾羽を取るなど不可能な話である。しかし、スヴィプタグは他にも開ける方法があるはずだと睨み、砦の構造やメングロズに仕える侍女の情報を聞き出して行き、最後に「メングロズに運命の相手はいるのであろうか?」と問うた。するとフョルスヴィーズルはそれは太陽の如き男「スヴィプダグル」をおいて他にはいないと告げたので、スヴィプダグルは素性を明かして、メングロズと結婚したという。
後にニヴルヘイムに渡ってフレイ神の勝利の剣を取り戻した後に冬の戦いでハールヴダンやトール神と戦い、ミョルニルの柄を叩き折った勇猛さが認められてアース神族に迎え入れられるなどの華々しい戦果を上げたが、最期はドラゴンの姿になっていた所を父の復讐を誓うハッディングに殺された。かつて巨人ベリに攫われた際にスヴィプダグルに救われた事のあるフレイヤは彼が殺された事を嘆き悲しみ、ハッディングに呪詛を掛けたという。
脚注
(※1)日中と晩に代わる代わる砦の番をしている二匹の犬で、名前はギフとゲリと言う。
(※2)スルトの妻。
関連タグ
スキールニル:同じく勝利の剣を使ったことがある英雄。同一起源かは不明。